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中丸薫のワールド・レポート、平成16年12月号
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投稿者 春風 日時 2004 年 12 月 09 日 21:15:34:uST14SBmWdy7Q
 

▼「暫定票」は共和党の選挙妨害
 
 米大統領選は、「ブッシュに再選して欲しくはないけれど、恐らくブッシュが勝つだろう」という大方の予想通り、ブッシュの再選が決まった。
以前本紙に書いた通り、クリントンら民主党主流派は、今回の選挙にあえて負ける候補を立て、四年後の選挙でヒラリー・クリントンを女性初の大統領として就任させるつもりでいる。今回の選挙結果は共和党、民主党双方にとって、予想通りだったということになろう。

「米大統領選とは、民主主義を演出するための壮大なショーである」と私は言い続けてきたが、今回の選挙もそれを物語るような幕切れとなった。ケリーが敗北宣言を出したのは、オハイオ州での開票が進んだ時のこと。だが、もしオハイオ州での「暫定票」を数え直すようケリーが裁判に訴えたならば、ケリーは勝っていたかもしれない。
なのに、ケリーはそれをしなかったのだ。

「暫定票」とは、投票に行った有権者が有権者名簿に登録されていないことが判明した場合、とりあえずその場で投票してもらい、正規の投票とは別に集計する票のことである。投票所に行ったけれども有権者として認められない、などということは日本では考えられない。しかし、アメリカでは事前に自分の居住する自治体の投票所で有権者登録をする必要があり、英語が苦手な移民層や、教育水準の低い低所得者層は登録しなかったり、誤った投票所で登録してしまうことがある。それが投票当日に発覚すると「暫定票」となり、万が一投票結果が接戦になった場合には、この票が正規の票に加えられて当落を決する。
その「暫定票」が、オハイオ州の場合二五万票もあった。ブッシュとケリーの得票差がわずか一三万六〇〇〇票であったことを考えると、ケリーには十分に勝つ可能性があったのだ。そしてそうなれば、オハイオ州の選挙人二〇人をケリーが獲得することになり、大統領選そのものに勝利したはずである(各州代表の「選挙人」の合計は、ブッシュ二八六人対ケリー二五二人だったから、オハイオ州の二〇人がケリー側につけば勝敗は逆転した)。

投開票システムの公平性、透明性への疑問も尽きない。アメリカのマスコミでは、選挙前から「共和党が強い選挙区で、非白人に対する選挙妨害が行われているのではないか」「電子投票機に不具合が生じているのは意図的なものではないか」といった疑惑が度々報道されていた。そして、オハイオ州では開票後、ブッシュへの票が異常に多く算出されていることが問題となった。
オハイオ州は有権者登録のルールが特に厳しく、黒人や低所得者層には絶対的に不利と言われる。そのため、あまりに厳しい有権者登録は、オハイオ州を牛耳る共和党が仕掛けた選挙妨害ではないか、という疑惑が持ち上がったのである。

これら一連の「状況証拠」を総合して、「ケリーはもともと保守陣営とのつながりが深く、ブッシュ以上の白人至上主義者である。政策的にもブッシュと大差ない。やはり今回の大統領選は出来レースだったのではないか」とする見方が説得力を持つ選挙結果となった。


▼緊迫を強める中東とアジア
 ところで、ブッシュが再選された後のアメリカと世界はどうなるであろうか。一言で言えば、「テロとの戦争」が世界を覆い、人々はますます不安と対立と混沌へと駆り立てられていくであろう。
ブッシュは再選後すぐに中東和平に言及した。この発言には、ネオコンとは一線を画し、アメリカ保守本流を中心として「強いアメリカ」を再構築したいとするブッシュの胸の内が伺える。だが皮肉なことに、それから一〇日も経たないうちに、パレスチナ解放運動のカリスマ的指導者であったアラファトが死去し、中東和平はますます遠のこうとしている。そのため、アラファトは急進的シオニストたちによって毒殺された、とする説も根強い。大統領選の前には、これまでブッシュを全面的に支持してきたキリスト原理主義のカリスマ伝道師パット・ロバートソンが、ブッシュ批判を展開した。
その発言の裏には、今後も自分たちがブッシュを操らんとするネオコンたちの意図が見え隠れする。たとえブッシュが米国保守本流による「強いアメリカ」を目指したとしても、政権が今後もネオコンの圧力を受け続けることは避けられそうもない。

混沌とする世界情勢を受けて、アジア諸国も緊迫の度を深めている。アメリカが「テロとの戦争」を旗印に「力の道」をまい進すればするほど、中国はそれをけん制するように、ロシアやヨーロッパとの連携を強めている。一〇月には故錦涛(こきんとう)主席とロシアのプーチン大統領が共同声明を発表し、今後両国は軍事的、政治的関係を強化すると宣言した。また、同じ一〇月には、シラク仏大統領が中国での「フランス文化年」のイベントに合わせて訪中し、故錦涛主席と両国の関係強化を表明した。一二月には、シュレーダー独首相も訪中を予定しており、中国はユーラシア大陸での地盤固めを着々と進めている。

その一方で、中国は周辺諸国への関与を深め、次々と対立を生み出している。たとえば、北朝鮮との関係について言えば、同国に関して最近「金正日体制批判のビラがまかれた」とか、「実は地下核施設を保有している」といったニュースが流れたが、リークしているのは中国だと言われる。中国はこれまで北朝鮮を支援し、六ヶ国協議のホスト役として北朝鮮に協議への参加を促すなど、大国としての存在感を国際社会にアピーアルしてきた。だが、北朝鮮が協議への参加を拒否したり、核開発を否定するなど、中国の面子をつぶすような態度を取り続けることに業を煮やし、金正日体制の揺さぶりに出たと見られる。

日中間の対立も深刻化している。一一月一〇日、石垣島と宮古島の間の日本領海内を潜水艦が航行しているのが発見され、大野防衛庁長官が自衛隊に海上警備行動を緊急発令するという騒ぎがあったが、その潜水艦が中国籍であることが後に発覚した。
日中関係は、東シナ海の資源開発や領土問題をめぐって最近急速に悪化している。
こうした対立は、日本がアメリカ寄りの政策を進めれば進めるほど緊迫化するであろう。
   

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