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【資料】なぜNHKを提訴するのか―「女性国際戦犯法廷」番組改ざんの責任を問う NHK提訴シンポジウム 2001年7月24
http://www.asyura2.com/0411/war65/msg/1017.html
投稿者 木田貴常 日時 2005 年 1 月 14 日 10:29:15:RlhpPT16qKgB2
 

以下によると、
秦郁彦へのインタビューを収録したのは1月28日
安倍にNHKの政界担当者が会ったのが1月29日
「インタビューを撮りました」は、安倍への手みやげであった
と思われる。

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http://www.asyura2.com/0411/up.cgi?ban=war65&up=1
なぜNHKを提訴するのか
―「女性国際戦犯法廷」番組改ざんの責任を問う
裁判の目的と意味
NHK提訴シンポジウム 2001年7月24日
VAWW−NETジャパン 代表 松井やより

1)なぜNHKを提訴するのか

2)「女性国際戦犯法廷」とは何か

3)番組はどのように改ざんされたか

4)抗議行動はどのように行われたか

5)BROへの申し立てとは何か

6)支援体制はどうつくるか

1)なぜNHKを提訴するのか
NHKが「女性国際戦犯法廷」番組を改ざんして放送し、日本軍性奴隷制(「慰安婦」 制度)という戦争犯罪を隠す結果になったことは、被害女性たちの名誉を傷つけ、視聴者に誤解を与えて市民の知る権利と表現の自由を侵害し、報道機関としての報道の自由と責任を放棄したものです。しかし、NHKは内外からの抗議を無視し、説明責任を果たすことを拒否し続けています。このまま私たちが沈黙すれば、暴力による言論弾圧や権力に迎合する報道自主規制を許すことになってしまいます。「公共放送NHKの最大の問題は、視聴者ではなく,時の権力に顔を向けていることである」(NHK元職員の著書から)という状況を受け入れることはできません。

このため、法的手段に訴えて、「法廷」の意義を矮小化、歪曲した番組改ざんの真相を究明し、損害の回復を求めることにしました。VAWW−NETジャパンと代表の松井やよりが原告になり、NHKの企画内容に合意して取材協力したのに全く別の内容に変えて放送されて信頼(期待)利益を侵害されたこと、NHKがそのような番組内容改編の説明義務に違反したために損害を受けたこと、の2点を東京地裁に訴えます。その裁判の過程で、市民社会で保障されるべき知る権利や表現・言論の自由、メディアの報道の自由、それには、取材・編集・放送の自由も含まれますが、それらをどう守るかが明らかにされることを望んでいます。 急速に拡大する右翼・国家主義勢力がメディアに影響力を強め、また、国家がメディア規制を強めようとしている中で起こったNHKの番組改ざんの責任を問うことは、そのようなメディアの危険な状況に歯止めをかけることにもつながると思います。

侵略戦争や植民地支配の加害の歴史を歪曲、隠ぺい、 抹殺する勢力が「つくる会」教科書刊行など教育にも浸透し始めているときに、メディアもその勢力に屈するならば、かつて、軍国主義教育と言論統制が国民を戦争にかりたてた歴史を繰り返すことになります。それを防ぐために、メディアは権力批判の姿勢を貫いて歴史の事実を知らせ、市民が歴史に向き合い未来を創ることに資する責任があります。NHKにその責任をとらせるための裁判が広く支持されることを願っています。

2)「女性国際戦犯法廷」とは何か
「女性国際戦犯法廷」は昨年12月8―12 日東京で、加害国日本、被害6カ国、武力紛争に取り組む女性人権活動家などで構成する国際実行委員会によって開廷されました。 20世紀最大規模の戦時性暴力といわれ る日本軍性奴隷制(「慰安婦」制度)を裁く民衆法廷で、被害女性の名誉を回復するために、国境を越えた女性たちの力で実現したのでした。8カ国64人の被害女性を含め 、海外、国内延べ5000人近くが参加し、 被害女性、加害兵士、専門家の証言と各国検事団提出の証拠に基づき、2人の首席検事の起訴を受けて、国際的に著名な法律専 門家である4人の裁判官が、当時の国際法に照らして、天皇有罪と国家の責任を認定する判決を下したのでした。

その瞬間、 年老いた被害女性たちは喜びの涙を流し会場は感動の拍手に包まれました。戦争直後裁かれるべきだった大日本帝国と皇軍の最高責任者昭和天皇が国際市民社会によって初めて人道に対する罪で有罪とされた歴史的判決は、海外で大きく報道されました。 しかし、国内メディアは天皇と「慰安婦」という二つのタブーに挑んだこの「法廷」を恐れたのか、ほとんど黙殺したのでした。その報道の内外格差は、たとえば、南京虐殺について海外では広く報じられ、国内では全く知らされなかった戦時の言論状況を思わせます。

3) 番組はどのように改ざんされたか
そんな国内メディアの中で、NHKが「法廷」を記録する番組を制作したいという意向を評価したVAWW−NETジャパンは「法廷」の準備段階から開廷中まで取材に全面的に協力しました。ところが、ETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」(1月29 日―2月1日)の第2夜の1月30日に「問われる戦時性暴力」というタイトルで放送 された番組は「女性国際戦犯法廷の過程をつぶさに追い、半世紀前の戦時性暴力が世界の専門家によってどのように裁かれたるのかを見届ける」という企画案とは似ても 似つかぬ内容になっていました。

「法廷」についての部分は異常に短く、「法廷」のフルネームも、「日本軍」や「性奴隷制」などのキーワードも、「法廷」会場内の光景も、主催団体も、主催者の発言も一切ないばかりか、「法廷」の「法廷」たるゆえんであり、シリーズ全体のテーマ「戦争をどう裁くか」の核心でもある判決についても、一言もふれなかったのです。そして、出演者たちの「法廷」を少しでも評価する発言は全部削られていました。

被害者証言も あまりにも短く、加害兵士の証言は全面カットでした。その一方で、司会者が「法廷」についてわざわざ懐疑的なコメントをし、さらに、右翼学者に「法廷」批判と「慰安婦」 についての暴言(売春婦だとか、証言に裏づけがないとか)を延々としゃべらせたのです。 番組の中で「法廷」に対する批判的見解を紹介するのは自由ですが、批判の対象である「法廷」についてまともに紹介もせず、主催者の松井やよりの長時間のインタビューも全面カットで一言も発言させないという一方的な番組は、公正中立には程遠いものです。そして、「慰安婦の強制連行はなく、売春婦である」という右翼学者の発言に反論もさせないのでは、NHKがその見解を支持していることになり、国連など国際社会の「慰安婦」制度についての共通見解を無視していることになります。

番組は「法廷」についてカットした分を、「慰安婦」制度の責任者処罰という「法廷」 の趣旨とは関係ない「慰安婦」損害賠償請求訴訟やアジア国民基金の紹介や前日放送した画面を繰り返して流すことで時間を費やし、それでも埋め合わせられなくて、予 定の44分番組を4分間短くするというまさに前代未聞の異様な改ざん番組でした。

その後明らかになったのは、12月27日に制作された番組を1月19日に見た担当部長が「法廷に距離が近すぎる」と修正を命じ、その結果24日にできた完成納品版をさらに修正した台本で28日出演者の一人にコメントの取り直しをさせ、同日わざわざ右翼学者のインタビューを急遽追加して、「法廷」たたき、「慰安婦」たたき発言をさせたのです。それを番組にいれたものを試写で見たNHK上層部は、さらに、修正を命じたため、30日放送ギリギリまで、番組は切り刻まれ、「法廷」を記録するのではなく、批判する番組に変わっていたのです。まさにNHK上層部の製作現場への直接介入で 改ざんされた番組が放送されのです。

「法廷」直後から番組中止を要求し続けていた右翼団体の関係者約30人が放映直前の 1月27・28日に、NHKの建物に乱入し、放映された番組を見て「われわれの行動が成功した」と評価しているのです。NHK上層部の前代未聞の番組への介入の背後に政治権力の圧力もあったといわれています。

もし、NHKが主張しているように、外部の圧力もなく、あってもそれに関係なく、NHKの独自の自主的な判断であのような番組を制作したとしたら、NHKが「慰安婦」制度などの戦争責任を認めない立場であることを表しており、かつて大本営発表機関であったNHKの戦争協力の過去へ の反省がないのかと怒りを憶えます。  

4)どのような抗議行動が行われたか
NHKの番組改ざんに対して、VAWW−NETジャパンは、2月2日に見解と公開質問状を送って、NHKに責任ある説明を求めました。その回答は、「一貫して企画意図,編集方針に基づいて番組制作をした。判決にふれなかったのはアジアとの和解のためだ。特定の団体等の圧力で放送内容を変更したことはない」というものでした。 このため、VAWW−NETジャパンは「番組改ざんの真相を明らかにするという公共放送としての責任を果たすまで抗議の意思を表明し続ける」という抗議文を3月2日に送りました。

「法廷」を主催した国際実行委員会は2月24日のソウルでの会合で「性奴隷制が人道への罪であり、昭和天皇と日本国家の責任であるという判決を意図的に隠し、慰安婦が商行為であるという暴言を流して被害女性の名誉と尊厳を再度踏みにじっている」という抗議声明を出しました。また、高橋哲哉氏らシリーズ番組への4人の出演者が「番組が法廷の内容と意義を正確に知ることが困難なものになったのは 制作スタッフにも不本意な何らかの圧力があったのではないか。そのような圧力があったとしたら報道の自由にも関わる由々しき問題で見過ごすことはできない。納得のいく説明を」という申し入れ書を2月16日NHKに送りました。

また、出演者の一人、 米山リサ・カリフォルニア大学助教授は、海外の著名な学者ら360人の署名を集め、「NHKが法廷の重要性を日本社会にきちんと伝えなかったことを大変遺憾に思う。法廷は、戦時性暴力は奴隷制を裁こうという、国際社会で急速に共有されることになった法的倫理的基準に沿うものであり、公共放送としてのNHKには法廷を正しく伝える責務がある」という抗議文をNHKに送りました。

さらに、日本国内の学者たちも、作家やアーティストなども含め2878人の署名を集めて、5月9日NHKに「見解と要望」を手渡しました。その要点は「法廷の核心部分を意図的に削除したのは視聴者に対する重大な背信行為であり、知る権利の侵害である。取材協力者や出演者の期待権や人格権を侵害しとおり、編集権を盾にとって彼らの抗議の一切をはねつけているのはマスメディアの自殺行為だ。番組大幅改編は言論が暴力にさらされる暗い時代を予感させる。右翼に対して腰砕けになったことは歴史の汚点として記憶されるかも知れない」とNHKに毅然とした行動を求めています。

5)BROへの申し立てとは何か
このような各方面からの抗議に対して、NHKは一貫して「番組は企画通りにつくった。 右翼の圧力には右されなかった」と、番組改ざんの事実さえ認めない態度をとり続けているのです。これでは、法的手段をとる以外ないと判断して、東京地裁に提訴することにしました。それと同時に「放送と人権等権利に関する委員会機構」(BRO) にも申し立てることにしました。BROは97年にNHKと民間放送が設立した自主的な番組苦情処理機関で、番組による人権侵害の苦情申し立てを受け付け、8人の委員が 審理して「見解」や「勧告」をまとめ、「公表」します。

今回のNHK番組改ざんについては、「法廷」の主催団体である国際実行委員会の3人の共同代表、尹貞玉(韓国)、インダイ・サホール〈フィリピン〉、松井やより〈日本〉が申立て人になります。

申し立ての内容は、NHKは、正確に報道する義務違反、公平原則違反、説明義務違 反という三つの放送倫理違反を犯し、法廷の主催者である申立て人の名誉権を侵害したというものです。「法廷」を主催したのは日本の団体だけでなく、多くの海外の団体です。BROが誠実に審査して、報道による人権侵害に対して国際的にも納得される見解や勧告を出すことを期待しています。

6)支援体制をどうつくるか
NHK の責任を提訴と申し立てという方法で追及することになったわけですが、意義のある結果を得るためには、何よりも広く支援されることです。VAWW−NETは原告で 当事者ですので、その外に支援体制がつくられることを期待しています。

「法廷」参加者など「慰安婦」問題や戦争責任の問題に関心のある人々、NHKに抗議した人々な どメディアに関心のある人々、そして、女性の人権に関心のある人々・・・さまざまな立場で、この裁判を見守り、支えていただきたいと思います。

このNHK裁判の原点は、あくまでも「法廷」を開いた目的である被害女性の正義と人権の回復、そのための加害責任の明確化に役立てることだと思います。それは、かつての戦争責任を否定し、いま戦争国家化を進めようとしている右翼・国家主義勢力や国家権力に抵抗して、言論・表現・報道の自由や知る権利が保障される民主的な市民社会を形成することにつながると思います。それによって、アジアの人々と和解し、共に生きる未来を創ることができるでしょう。

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