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【マレーシア/政治】


　タイのタクシン首相が１７日、マレーシアがタイ南部で分離独立運動を展開する組織のメンバーを匿い、タイと国境を接するケランタン州のジャングルの中にこれらメンバーの訓練基地があると発言したことが、マレーシア国内で与野党問わず反発を呼び起こしている。
　アブドラー・バダウィ首相はすでに、タクシン首相の発言に根拠がないと反論し、具体的な証拠を提示するようタイ側に要求した。
　これを受けて与党・マレーシア華人協会（ＭＣＡ）のオン・カティン総裁は、「マレーシアは反政府組織の訓練基地になっていないとのアブドラー首相の立場を全面的に支持する。タクシン首相が証拠を示さずにこうした発言をおこなったことは不公平であり、マレーシアにはこの発言に強く抗議する権利がある」と語り、抗議の姿勢を示した。
　また与党・統一マレー国民組織（ＵＭＮＯ）のアリ・ルスタム副総裁（マラッカ州首相）は、タクシン首相は根拠のない発言をしたことに謝罪をすべきだと主張。
　野党・イスラム党のアワン・ハディ総裁は、ケランタン州にゲリラ訓練施設が存在するとの主張を否定し、東ティモールで実施されたのと同様の住民投票をイスラム教徒が多数を占めるタイ南部各県で実施するよう国連に要請した。
　また野党院内総務のリム・キットシャン国会議員（民主行動党）は、タクシン首相の発言の目的は２月６日に実施される総選挙で票を集めることにあると指摘。マレーシアの議会が１１月２３日に全会一致でタイ南部のナラティワート県で起こった治安部隊によるイスラム系住民８７人の殺害事件を非難する決議を採択したことを、タクシン首相が国内問題への干渉ととらえ、マレーシアに「しっぺ返し」をしようとしたこともタクシン首相の発言の背景にあるのではないか、とリム議員は指摘している。
　一方、タクシン首相は１９日、「具体的な位置は特定できていないが、マレーシアにゲリラの訓練基地があるとの情報をすでにマレーシア政府に伝えていた。マレーシア政府がこの件について何も知らなかったはずはない」と再反論している。
　タイ南部の分離独立派の動きとタイ政府の対応をめぐる両国のぎくしゃくした関係はしばらく続きそうだ。

(2004年12月20日Ｓｔａｒ)

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