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2人のフランス人記者はなぜ殺されなかったのか?
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投稿者 さすれば 日時 2004 年 12 月 27 日 04:38:16:reQxnNwQ2shuM
 

以下は『フィガロ』が掲載したフランス人記者ジョルジュ・ブリュノの手記をざっと読んだ感想である。

今回フランス人記者2人とシリア人運転手を拉致監禁した犯人は、アメリカの占領に抗して闘っているイラクのレジスタンス勢力とは異なる連中で、恐らくこのグループはブッシュ―ビンラディンとつながっている組織と思われる。

2人の記者はなぜ殺されなかったのか?

身代金と引き替えでなかったならば(仏政府は「決して支払っていないし、要求もなかった」と言っている)2人が解放された理由は、基本的には、『アルジャジーラ』に出た解放時の犯人グループの声明にあるとおりで、フランスがアメリカの戦争政策に反対し、イラクに派兵していないという事実と、イスラム教組織や体制がこぞって2人の解放を求め、それが圧力として働いたという点が挙げられる。

もう一つの大きな理由は、救出運動の広がりによって、2人が“有名人”になったということである。ブリュノ記者の手記の中で、2人は組織の情報担当の若いリーダーとの2度目のインタビューで次のようなやり取りをしている。

《「気分はどうか」
「まあまあだ。ただ、どうも分からない。われわれは丁寧に扱われている。だが解放されない」
「あなた方は政治的なカードだ。なぜなら、あなた方はフランスで“有名”だからだ。たくさんの解放要求運動が起こったが、なぜフランスではイスラム教徒だけが運動をして、キリスト教徒はあなた方のために運動しないのか」》

ブリュノは相手の宗教的二元論に反発する。彼の手記の続き。
《彼らはイスラム教徒の運動が起こったことに満足していた。しかし彼らは分かっていなかった。われわれは説明した。
「それは国家的団結のしるしである。イスラム教徒はわれわれの解放を願っている。イスラム教徒もキリスト教徒と同様、フランス人なのだ」
「あなた方は本当に有名人だ」
私は言った。「オーケー、われわれは有名だ。しかし、もしわれわれが棺に入って帰宅したら、それが何になろう」》

《その時期は、9月26日から19月15日の間で、われわれは小部屋に入れられていた。われわれは彼に尋ねる。
「アメリカの選挙まであと15日だ。おまえはブッシュとケリーとどちらに勝ってもらいたいか」
彼は答える。
「われわれは、われわれはブッシュを望む。私はブッシュを望む。なぜなら、彼ならば米軍兵士はイラクに留まり、こうしてわれわれは闘いを展開できるからだ」まさにこれだ。そこにはブッシュとジハード組織が演じる鏡のゲームがあるように見える。両者とも文明の衝突を望んでいるのだ。彼は言った。
「ブッシュだ。アフガニスタンへの侵略はわれわれにとって好都合だった。それはわれわれを世界中に分散させた。われわれは世界の60カ国に現存している。われわれの目的はアラブ諸国の権力をひっくり返し、アンダルシアから中国の国境まで権力の座(califat)を取り戻すことにある」》

「アラブ諸国の指導者は売国奴だ。誰も真のイスラム教徒ではない」とも言う。
これはイラクの民衆のレジスタンスではない。ビンラディンがビデオで流しているセリフとそっくりである。またテロ組織が世界中に分散し、60カ国で活動していると得意そうに語っているが、これを公表したのは英国の『国際戦略研究所』だ。ブッシュもラムズフェルドも一時その数字を強調していた。まったく同じことを拉致犯もしゃべっているのである。

解放された直後の『フィガロ』紙の記事(12月22日)によれば、フランス政府は、イラク周辺諸国をはじめ、秘密裡に、拉致グループに影響を与える可能性があると思われるイスラム系のあらゆる組織、機構、人脈に働きかけた。いわゆる影の組織まで網を広げて交渉したという。アメリカとは一線を画しているフランスの立場を訴え、生徒のスカーフ着用問題に対するフランス政府の真意を説明し、人質救出へのメッセージを流し続けた。フランスのイスラム教徒団体の使節団がイラクまで出かけたりした。

拉致犯グループは、最初はブリュノ記者たちをアメリカのスパイだと疑ったらしい。彼らの車の中から、米軍司令官キミット准将とシリア人運転手の息子が一緒に写っている写真が見つかったからである。そのため尋問は厳しかった。2人の記者は、「われわれはプロアメリカンではまったくない。フランスのジャーナリストだ」と繰り返し訴えた。「われわれはアメリカの占領に反対する立場だ。これは不法な戦争である」と。すると犯人側は、「シリアの運転手があなた方をスパイしているんだ」などと答えた。が、やがて犯行グループの態度も次第に変わる。2人の記者を信用し始める。記者が奪われた携帯電話について「補償する」といって、財布から100ドル札の束を出したこともある。彼らグループはフランスについて記者にいろいろ質問してきた。フランスについて知りたがったらしい。というよりは、初めからキリスト教文明の国であるからには敵だという観念があったようだ。「フランスはアフガニスタンに出兵してなぜイラクには参戦しないのか」と鋭い質問をしてきた。質問したリーダーは、アフガニスタンで戦ったジハードだという。過去のレバノン紛争、アルジェリア独立戦争まで持ち出してフランスを批判した。記者たちは、「それは古い話だ」と答え、スカーフ着用問題では、「大した問題ではない。もし2人のフランス人記者を殺しても、法律を廃止することにはならない」とかわした。2人の記者の対応ぶりも解放につながった。なるべく相手を怒らせないように配慮して、議論を《あまり遠くまで発展させないようにした》という。

彼らの最後の言葉は「もうイラクへは来るな。ここは戦場だ。われわれに外国の新聞は必要ではない」である。解放の裏にはもっと知られざる秘話もあるだろうが、『フィガロ』の手記を読んだ限りでは、拉致組織は“有名人”になったジャーナリストを処刑することもできず、もてあまして放り出したという感じである。

http://www.lefigaro.fr/international/20041224.FIG0218.html
http://www.lefigaro.fr/international/20041224.FIG0027.html
http://www.lefigaro.fr/international/20041224.FIG0023.html
http://www.lefigaro.fr/international/20041224.FIG0042.html
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