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明らかにされたイラク石油を巡るネオコン派とビッグ・オイルの争い (畑中美樹)
http://www.asyura2.com/0502/hasan39/msg/708.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 23 日 06:17:02: ogcGl0q1DMbpk

(回答先: 最新情報[最近の中東・エネルギー情勢から] 3/22 投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 23 日 06:13:07)

■明らかにされたイラク石油を巡るネオコン派とビッグ・オイルの争い

(2005年3月22日掲載)

 http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei050322.htm

 BBCのニュースナイト(Newsnight)は、今般、ブッシュ政権が9.11事件の発生する遥か前の政権発足直後に、イラク戦争及びイラク石油に関する計画を策定したが、その中でネオコン派とビッグ・オイルとの間で激しい戦いが繰り広げられたことを明らかにした(http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/newsnight/4354269.stm)。
 以下では、主に同サイトで明らかにされた諸点を紹介することとしたい。内部事情に精通した人物の話によれば、ブッシュ政権は2001年1月に政権を発足させた数週間後には、イラク戦争及びイラク石油に関する計画の策定を開始した。イラク生まれのオイル・コンサルタントであるファラハ・アル・ジュブリイ氏は自身がカリフォルニアやワシントン、中東で開かれた秘密協議に参加したし、ブッシュ政権に代わってサダム・フセイン元大統領の後継者と成りうる人物にインタビューしたと述べている。

 関係者の話を総合すれば、当初、国防省のネオコン派の推す計画とビッグ・オイルの経営陣や国務省の実務派の推す計画が対立し、目に見えない政策面での戦いが展開された。米石油産業が後押しする計画は、イラク戦争の直前に作成されたイラク油田の売却を唱える秘密計画により脇に追いやられた。この秘密計画は、イラクの石油を使ってOPEC枠を大幅に超えた生産を行うことでOPECカルテルの破壊を目指すネオコン派が作成した。元CIAのオイル・アナリストであるロバート・エベル氏は「イラク石油の売却は米軍のバグダッド侵攻の直後にロンドンで開催されたアフマド・チャラビ氏が主宰した秘密会談で承認された」と回想する。また現在は戦略国際研究センター(CSIS)の客員研究員を務めるロバート・エベル氏はニュースナイトに「自分も国務省の要請でロンドン会議に馳せ参じた」ことを明らかにしている。

 ロナルド・レーガン大統領とフセイン元大統領との裏ルート役を務めたこともあるアル・ジュブリイ氏は「米国が2003年に後ろ楯となって設置した統治評議会がイラク石油の売却案を進めたことが、武装勢力に米英軍を攻撃する格好の口実を与えた」「武装勢力は『見て見なさい。祖国が、そして祖国の資源類が、貴方の生活を無惨なものにしようとしている富裕者達に奪いさられようとしている』と訴えた」「民営化が行われることへの懸念から、石油施設や石油パイプラインへの攻撃が増加した」と語っている。

 ここで、2003年4月初め時点の本ホームページを振り返って見ると、「戦後イラクの石油政策と米欧メジャーズの役割(2003年4月7日更新)」と題した記事の中で次のように伝えていた。改めて全文を紹介して見よう。

 「米国務省の中に設けられた『将来のイラク・プロジェクト』の石油作業部会(トーマス・S.ウォリック近東担当国務次官特別顧問主宰)の最終会合(第4回)が4月4日、5日の二日間、在外イラク人石油専門家と米国務省高官の参加のもと開催され、主に次のような事項で合意し無事終了した。

 会議終了後に出された声明によれば、第1に確認されたのは、イラクの石油及び天然ガス資源はイラク国民のために開発されるということである。第2に合意されたのは、戦後のイラク石油産業の修復では国際石油企業、即ち米欧メジャーズ等が積極的な役割を果たすべきとのことである。

 第3に意見の一致を見たのは、石油・ガス資源の開発のための外資の導入に相応しいビジネス環境を整備することである。具体的には、石油施設の修復事業の終了後、直ちに外資を引きつけるために生産分与契約(Production-Sharing Agreement、略称PS又はPSA)の適用が開始される模様である。これまで、戦後のイラクでも資源ナショナリズムが強いため容易に油田を外資に開放しないのではないかとの見方が有力であった。なお、同会議に参加したイラク人オイル・コンサルタントのダラ・アタール氏は、「暫定政府の期間が短い方がイラクの利益に適う。全権を委譲されたイラク政府と外国企業との交渉、恐らくPSA交渉は、今後6ヶ月から2年以内で行われることになろう」(www.sky.com/skynews/home 03.04.06)と語っている。

 第4に合意されたのは、新政権に生産枠には縛られない形でのOPEC残留を推薦することである。ちなみに、アタール氏はこの件について、『イラクの石油生産量が350万b/dに達するまでは何ら問題はない』、『その後は復興のための特例であることを訴えて行きたい』としている。また会議当日配布された書類には、『(新生イラクの)石油政策の主要目的は石油収入の極大化に置かれるべきである。イラクの自由生産を許容することでイラクをOPECに留めておくか否かはOPECが決めることである』と刺激的な言い廻しとなっている。そうであるとすれば、2〜3年後にはOPECがイラクの石油生産量を巡って紛糾することも予想される。

 第5に確認されたのは、イラク国営石油公社(SOMO)を早期、恐らく新生イラクの誕生後数ヶ月以内に改編し、30%程度を目途に民営化することである。

 なお、会議の参加者は当面のイラク石油産業の管理候補者については議論しなかったが、米シェル社の元社長のフィリップ・キャロル氏が、イラク人エコノミストのムハンマド・アリ・ザイニイ氏を副総裁として取りしきることになると言われている。このほか、4月下旬で引退することとなっているBP社の元・副CEOで現在はブラウンCEOの特別顧問を務めているロドニー・チェイス(Rodney Chase、60歳)氏も、SOMOの下流部門の責任者候補として名前が挙がっている。ホワイトハウスと米国防総省はイラク石油産業の再建の責任者として、米国及び英国の石油企業の幹部の引きぬきを試みているが、英国は著名なイスラム教徒のオイルマンをイラク石油産業の責任者として据えるべきと主張している。」。

 しかし、イラク石油省の顧問に就いたフィリップ・キャロル氏が民営化計画を止めた。同氏はニュースナイト(Newsnight)に「ポール・ブレマー氏に自分が係わっている限り石油資源の民営化はさせないと告げた」と述べている。ネオコン派のシンクタンクとされるヘリテージ財団のアリエル・コーエン氏はニュースナイト(Newsnight)に「イラク油田の民営化の好機が失われた」と語っている。同氏は米国がOPECを打負かす手段としてイラク石油産業の民営化を唱えていた。

 代わって2004年1月に登場したのが、ジェームズ・ベーカー研究所のアミー・ジャッフェ研究員が指導し完成させた国営石油会社の創設を提唱する新計画である。同計画は米国石油産業の支持を得ている。アミー・ジャッフェ研究員はニュースナイト(Newsnight)の質問に「ロシアの石油産業の民営化の二の舞いを恐れる米石油産業は、イラク石油産業の民営化案よりも国営化案を好んだ」「米石油企業は旧ソ連の崩壊によって入札が出来なくなった経験を有している」と答えている。また同研究員は「米石油企業はOPECを傷つけ現在の高価格を害する如何なる計画も歓迎していない」「自分は自分にとって高価格は有害と思うが」と付け加えている。

 最後に米シェル社の元社長のフィリップ・キャロル氏は「多くのネオコン派の人々は市場や民主主義等々に一定のイデオロギー上の信念を持っている。他方、国際石油企業は例外なく極めて実務的・商業的組織であり、全く神学など持ち合わせていない」と語り、両者は元々肌合いが違うことを明らかにしている。尚、フィリップ・キャロル氏については、「ブッシュ政権がイラク石油産業の管理に元メジャー役員の登用を検討中(2003年4月4日更新)」で同人の経歴等を紹介している。改めて、同記事を紹介すれば以下の通りである。

 「戦後イラクの復興にとって石油収入が肝要と考えているブッシュ政権は、イラクでの石油産業を管理する人物に元メジャーの役員を当てることを検討中である。加えて、イラク石油の販売については在外イラク人を登用する案を進めている。具体的にイラク石油の管理者の候補として挙がっているのは、ロイヤル・ダッチ・シェル社の米国法人の社長経験を持つフィリップ・キャロル(Philip Carroll)氏(65歳)である。

 この件で報道陣の取材を受けた同氏は、4月2日、昨年(2002年)、国防総省がイラク石油産業の再生についての助言を求める形で接触してきたことを認めた上で、『イラク石油を管理する組織やスタッフがどのようなものとなるかは、本来重要な役割を担うべきイラク人職員の今後の姿勢次第である』『現下のところ分からないことが余りにも多すぎる』『仮に、イラク人職員の十分な協力が得られるのであれば、自分の役割は基本的に既存の生産能力の回復や生産能力の拡大に不可欠な業務を彼らが行えるようにすることである』と語り、今後実際に任命された場合の抱負を明らかにしている。なお、フィリップ・キャロル氏の簡単な経歴は以下の通りである。

 

<フィリップ・キャロル氏の経歴>

1961年 石油エンジニアとしてシェルに入社し、主に探鉱・開発及び生産に関する業務に従事。
1980年代 Shell International Gas/International Petroleum Co.,(ロンドン)の役員(Managing Director)に就任。
1993〜   1998年 シェル石油社(Shell Oil Co)で社長兼CEOを務める。
1998年 同社を退社し、Flour Corp.(カリフォルニア)の会長兼CEOに就任。主に、同社がサウジアラビア及びクウェイトで建設の大規模石油化学事業を管理。
2002年 同社を引退。

 なお、同氏は1970年代には米国商務省のエネルギー管理部長や国家産業エネルギー委員会の役員も務めていた。イラク国営石油公社と取引を行った経験はないものの、その他の中東諸国とのビジネス経験は豊富な人物と言われている。同氏を知るかつての同僚は、相反する利害関係者の調整が上手く、仕事振りは手堅くしかも控えめである。加えて、知識が豊富で、勇敢で有能な人物であると言っている。但し、誰がその座に就くにせよ国際テロのターゲットになるのではないかと語り、引き受けることによるリスクの大きさに知人としての懸念を表明している(cnniw.yellowbrix.com 2003.04.04)。

 他方、ブッシュ政権、特に同氏の担ぎ出しに積極的な国防総省は、戦後のイラクにおいて米国主導で石油産業の運営・管理に当ることが国際法的に見て合法性を持つものか否かについての詰めの作業に追われている。イラク戦争が米英等の勝利に終われば、米国は占領者としてイラクの石油をイラク国民の利益のために使用する法的権利があると主張する模様である。但し、これに対して国連や英国政府の高官は、『米国は仮に暫定的であるにせよ国連安保理の承認抜きで石油輸出を開始する法的根拠を持っていない』(www.washingtonpost.com 2003.04.04)と見ている。

 またロシア、フランス、ドイツに加えて、国連安保理のその他諸国の多くも、イラク石油産業については国連の管理とすべきとの考え方をとっている。例えば、安保理の今月の議長国であるメキシコのAdolfo Aguilar Zinser外相は『安保理メンバー国は、イラク石油産業に関する激しい議論を通じて、イラク石油はイラク国民に所属するとの原則の遵守を確認している』『安保理はイラク国民の石油に対する主権の維持に努めなければならない』と報道陣に語っている(同上)。

 米軍がバグダッド近郊に到達したことで、戦局の関心は専ら市街戦の有無や市街戦が行われた場合の市民や兵士の犠牲者数へと移っている。しかし、戦場から目を国際社会に転じれば、統治や復興のあり方を巡る第2戦線での戦いが始まっている。特に、イラクの石油産業については、同国が豊富な埋蔵量を持つこともあって、当面主要国が主導権を巡り火花をちらすことになりそうな雲行きである。」

 

(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹<はたなか・よしき>)
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei050322.htm

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