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職場から:小泉首相が進める三位一体改革 こうなりゃ地方分権でやるしかない!(SENKI)
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 07 日 12:25:28: ogcGl0q1DMbpk

職場から  小泉首相が進める三位一体改革

こうなりゃ地方分権でやるしかない!


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平成の大合併は自治体が変わるチャンス

伏見一徹

 平成の大合併でわが埼玉県上福岡市も大井町との合併に進みつつある。  私が住んでいる地域は、上福岡でも比較的大井町に近いこともあり、大井の人たちと合併について話す機会が多い。「町から市になるのでいい」「複雑な市町境が解消できる」(賛成派)、「上福岡市の借金の肩代わりは御免こうむる」(反対派)など、意見はいろいろだ。住民にとって合併は、生活を左右するほどの問題ではないというのが実感だろう。  

 しかし合併は、巨額の財政赤字、「三位一体」の財政改革、外部委託化、地方分権など地方行政の構造的な変化や将来の少子高齢化社会の到来と連動しており、様々なところで影響が出てくるのは必至だ。  

 そこで私は、今回の合併を賛成反対という立場ではなく、変化する時代に対応する自治体改革のきっかけとして考えてみたい。

国の通達に従うだけの時代は終わった

 今回の合併は自治体の規模からみて比較的妥当だと思われる。合併後の人口は約10万人で面積は14・5ku。行政学者の佐々木信夫中央大学大学院教授は、概ね10万〜30万人を適正規模としている(『地方は変われるか』筑摩書房)。職員問題に絞って考えると、上福岡市の職員定数は538人(平成14年4月1日現在)、大井町は384人、合計で922人となり、人口10万人―職員数1000人という、全国平均にかなり近いところとなる。  

 2000年4月の地方分権一括法の成立により、国・県・市町村は対等な関係になった。今までの国が企画したものを市町村が実施するという関係ではなく、市町村が独自に企画立案し、実施していくことが問われるようになった。国の通達に従ってやっていればいい時代は終わったのである。  

 市町村の職員は実務能力だけではなく、環境・福祉・IT・教育・まちづくりなどについて課題を設定し、解決策を立案できる政策能力が求められてきている。こうした能力を合併による組織力でいかに発揮していくのかが大きな課題だ。  

 合併を機に人事政策も改革することが望ましい。能力主義の徹底である。従来踏襲型、大過なく仕事をするだけの職員と、仕事をバリバリやり、住民の評価も高い職員とはボーナスの査定に差別があってもよい。終身雇用制から10年ごとの契約制、専門職パート制、民間企業経験者の採用を増やすなど、将来の人材育成を射程に入れた改革が必要だと思う。  

 私の勤務している図書館は、人口割では専門職(司書)の数が日本一で誇るべきものだが、内実は「蛸壺の専門性」とでも言うべきものだ。一部の職員をのぞき、自らが積極的に課題をみつけ政策を実施していく気概に欠けている。分館の日曜日を開館しようとすると反対する。市民のための図書館としてサービスしなければいけないのに、「私のための図書館」になってしまっている。責任のすべてが彼らにあるわけではないが、このスタンスでは市民の共感は得られない。これでは民間企業が委託した場合と、公務員がやる場合とどちらが市民にとっていいのだろうか疑問になってくる。現に、公務を民間と行政とを競争入札させて住民にとってどちらがよいのか比較すべし、という考え方も出てきている。

 将来的には公務の範囲も大幅に減っていくことも考えられる。のんべんだらりと仕事をやっていると、気がついたときには「公務員はいらない」なんてことにもなりかねない。自治体サービスは人の要素が大きい。住民にとってよりよいサービスがなされていくためには、人材経営の改革は自治体改革の要となってくる。残念ながら、今回の合併には人材経営の議論はされてないようだ。  

 杉並区は2003年「杉並区自治基本条例」を制定した。この条例は、まちづくりの基本指針、執行機関や議決機関、財政運営、住民との関係など自治体運営のルールを定めた「自治体の憲法」にあたるものだ。区に説明責任の努力義務があること、区民の参画の拡充や協働にあたり情報の共有や相互理解と区民の自主性の尊重、住民投票や住民発議の権利、個人情報の保護と議会を含めた情報公開などが掲げられている。  

 こうした条例を合併時に制定することができれば、財政が苦しいから合併するなどという、その場しのぎの合併などはありえなくなるのではないだろうか。  

 合併は、自己決定・自己責任時代を住民と行政があらたな協働関係で地域を豊かに作り上げていく一つの手段である。住民と議会と行政の関係を明確化して自治の力をより高めていく方向に進むことができるのであれば、合併することの意味は十分あると思う。    

(市立図書館職員)


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教育財政の都道府県負担を増やすべきだ

蘇我畦太郎

 昨年6月、小泉政権は「三位一体改革」を進めるために「骨太方針二〇〇四」を閣議決定し、2006年までに3・2兆円を国から地方に税源委譲を行なうことを決めた。これに伴い、文科省の管轄下にある義務教育国庫負担金の削減が検討されている。メンツを潰された文科省は「義務教育負担金は日本の義務教育の根幹を成すもの」として、あくまでも義務教育負担金の堅持を主張している。

学力低下を招いた「ゆとり」教育

 私は公立の工業高校で教員をしている。別に構造改革に際して教育財源を「聖域」などと考えてはいないが、義務教育費国庫負担の全面的削減にはいろいろ問題もある。同負担金は主に義務教育を担当する教職員の給与の一部に充てられてきた。これがカットされれば、教育機会の地域間格差が広がってしまう恐れがある。学力低下の対策として進められている小人数指導や30人学級展開を行うための財源が確保できない自治体がでてくるといった見通しは、けして根拠がないことではない。  

 昨年暮に、OECDが2003年に実施した学習到達度調査(PISA)の結果、日本の子供の読解力や数学的活用力が著しく低下していることが明らかとなった。埼玉大学経済学部の岡部恒治教授は「計算などの『量』分野は本来得意分野だったので深刻な状態。読解力の低下は(数学の)文章題が解けない子供の増大にも影響を与えている」とコメントしている。

 このような現実を前にして、義務教育の財源切り崩しになりかねない政策がはたして妥当なのかどうか、多いに議論になるところだ。  

 私が勤務する学校でも、数年前から独自に行なっている生徒対象のアンケート調査で低学力化の実態把握を進めている。「学校の授業について来れなくなったのはいつ頃からですか?」という設問に対して、約1割の生徒が「小学校低学年」と回答している。分数の計算が出来なかったり、アルファベットが読めないで義務教育過程を「卒業」してくる子供たちが少なくない。  

 現場にいると低学力問題の深刻さがよくわかる。だがここで考えてしまうのは、学力低下や学力格差増大の根拠はある程度文科省の推進してきた「ゆとり」教育改革の結果でもあるということだ。  

 低学力問題が世間の常識になった2003年、文科省は急きょ「学力向上アクションプラン」を立ち上げたが十分な成果を上げていない。「ゆとり」改革の功罪についての十分な検討もないままに上から下ろされてくる「プラン」は、教育現場に混乱しかもたらしていないのである。  

 一番問題なのは「プラン」を乱発するだけで、結果に対する検証も行わなければ、それを材料にして政策の修正を行うこともないことだ。文科省には日本の教育行政を推進しようとする意欲もなければ能力もない。このような現状をみると、小泉政権が構造改革を本気で進めようとするとき、文科省が槍玉にあがるのも一定仕方がないのかなという気もしてしまう。  

 東京大学の神野直彦教授(財政学)によれば、現在の義務教育費の負担割りふりは、国:28・9%、都道府県:40・2%、市町村:30・9%である。この割り振りを今後どうするのかが問題になる。国庫負担をゼロにしたり、市町村の負担を増やすのには反対だが、都道府県負担の割り振りを増やすのであれば、懸念されている教育財政の地域格差の問題にもある程度対応できるのではないか。この議論が道州制導入の呼び水になるならば、それもよいことだと思う。  

 もともと「ゆとり」教育は、国をあげた義務教育による弊害――単能型人間の大量生産ともいうべき教育システムからの脱却を進めるために導入されたものだ。個性化や多様化をキーワードにする「ゆとり」教育改革の積極的な意義は、教育行政の積極的な地域移管と密接な関係がある。  

 「ゆとり」教育改革がランディング先を見出すことが出来なかった最大の理由は、地域社会とのリンケージを実現できなかったからに他ならない。学校の完全週休2日制は地域社会の諸活動に子供たちを参加させることによってはじめて意味をもつ。総合的学習の時間もしかりだ。クラブ活動の学校からの切り離しも、地域スポーツへの移管のなかで現実味をもつプランだ。  

 しかし実際には、自由になった時間に家計の豊かな家庭の子供は塾へ行き、そうでない子供はテレビゲームにはまることになって、ゲームメーカーに大きなマーケットを提供しただけである。その結果進行した学力格差の増大が、今日の低学力問題のありていの姿であり、OECDのPISAはそれを反映したものといえるだろう。  

 その意味で私は、教育財政の地方移管で教育に関する権限が国から地方に分散されることに期待している。学校教育改革は各自治体の財政政策とより密接な関係をもつことによって、ようやく地に足のついたものになりうるのではないか。       

(高校教員)


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支援費制度の場合 国の税源委譲がいいとはいえない

佐久間芳雄

 支援費制度がスタートして1年にも満たない一昨年、国の在宅サービス予算が初年度から約100億円も不足する財政問題が取りざたされた。これを契機に厚生労働省が障害者支援費制度と介護保険の統合について本格検討に入ることが報じられた。税金と保険料で給付費をまかなう介護保険と一緒になれば、財政が安定し、サービスも拡大できるからだという。議論の末に当面は留保されることになったが、統合を訴える声は根強く残っている。

 人材不足で支援費を使いこなせない  介護保険と支援費制度の統合問題は、閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」、いわゆる「三位一体改革」に関する論議と深くつながっている。地方分権と国・地方の行財政改革のために、@国の自治体への補助金の削減、A地方交付税の縮減、B国から地方への税源の委譲の3つを同時に進めるというものだ。  

 これに伴い、全国市長会の「緊急提言」及び全国知事会の「三位一体の改革に関する提言」において、支援費(障害者福祉)に係る補助金及び負担金を税源委譲して廃止することが盛り込まれた。  

 提言をうけた麻生総務大臣は、経済財政諮問会議で「地方の声を十分に踏まえ、要望の強いものの廃止に取り組む」として、廃止すべき国庫補助負担金の一つに障害者福祉関係の予算をあげた。こうして三位一体改革を推進するための「介護保険と支援費の統合」問題が急遽浮上したわけである。  

 しかしこの議論には、支援費制度を運用する現場サイドの現実が捨象され、制度のあり方が財源問題に一面化されているように私には思える。  

 支援費制度にボランティア・ワーカーとして係るものからみて、現実に起きている支援費制度の大問題はヘルパー不足であり、有資格条項にある。障害当事者が一番困っているのは、支援費は認められた(財源はある)が人材不足で支援費を使いこなせないという現実なのだ。  

 宮城県知事の浅野史郎氏などは、介護保険と障害者福祉が統合されれば「財源は安定して制度の充実が図れる」と主張している。しかし、高齢者と若い障害者では必要とするサービスの中身は異なる。介護保険のサービスの支給限度額は一番重い要介護5でも1日3、4時間程度なのに、私が介助している全身性障害者の支援費支給時間は1日23時間に及ぶ。こういった介護保険と支援費制度の乖離をいかに埋め合わせるのか、私にははなはだ疑問だ。  

 統合論議の根拠に「在宅支援の予算が不足している」といわれるが、まず施設偏重の予算配分から変更することによってしか、障害者自身がサービスを選ぶ支援費制度の理念の実現はありえないだろう。  

 予算配分が施設偏重になっているため、有資格ヘルパーを抱える施設では予算を消化できるが、在宅支援の場合は予算が少ないうえに、ヘルパー不足で支援費を使いこなせない問題ははるかに深刻である。  

 現行の支援費制度は理念とは裏腹に、とても安定した地域生活を送るための制度にはなりえていない。財源問題とは切り離した将来の在り方がもっと論議される必要があると思う。

(ボランティア・ワーカー)


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(2005年4月15日発行 『SENKI』 1175号3面から)

http://www.bund.org/culture/20050415-1.htm

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