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「A級戦犯」は、日本人にとってもA級国事犯でる。
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投稿者 NOVO 日時 2005 年 4 月 27 日 00:06:38: HZxSGQbJJGXxg

「A級戦犯」は、日本人にとってもA級国事犯でる。

中国がとくに「首相の靖国参拝」に過剰な反応を示す理由は、そこに「A級戦犯」が合祀されたからである。中国から見れば、彼らは、多くの人命の犠牲を含めて中国人に甚大な犠牲を強いた「日本の中国侵略」の責任者だからである。
このことは残念ながら「歴史的事実」として認めざるを得ない。

私も太平洋戦争を全体として見れば、「西欧諸国の植民地であった東南アジアの諸民族を解放し、独立に導いた解放戦争であった」と言う一面を持つことを否定しない。だからこそアメリカが主導する東京裁判が、太平洋戦争全体を「日本による不法な侵略」として断罪し、解放戦争としての側面を含めて、道義的にも全否定する目的を持った政治的ショーであったことも肯定する。

しかし此の政治的報復裁判で「A級戦犯」と断罪され処刑されたことで、彼らの日本国と日本国民に対する「政治家としての結果責任」が不問にされて居るのは納得出来ない。

太平洋戦争全体の経過を見ると、真珠湾攻撃に始まる第二幕は「日本が、成り行きで引きずり込まれた、成算のない戦」である。そしてその「成り行き」の圧倒的に大きな部分が、日本の中国に対する連続的な軍事的侵攻であった。

その発端は1894年に始まる日清戦争であり、これに勝利したことで「軍事的にも自らを守る実力を備えた独立国家」としての日本の国際的立場が確立し、明治維新のきっかけであり、最大の目的でもあった「列強の軍事的侵略から日本を守る」と言う目的が達成された。

そして10年後の日露戦争の勝利の結果とあわせて、日本は南満州に政治的・経済的利権を確保し、後発の帝国主義国家として植民地獲得競争にエントリーした。ここで留意すべきは、この時期までは「周辺の弱小国を軍事的に支配して植民地化する」行為自体は、主権国家の固有の権利として、国際政治のルール・慣行の一部であったことである。つまり「負けた方が悪い」とする、いわゆる「ジャングルの法則」が支配した時代である。

この国際政治のルール・慣行が変わったのは、第一次大戦後のベルサイユ条約(1919)と、それに続く九カ国条約(1922)、ロカルノ条約(1925)、パリ不戦条約(1928)に取り込まれ、順次強化されて行った「不可侵」と「侵略戦争(新しい植民地獲得)否定」の原則である。

他方、昭和にはいってからの日本の政治家の最大の弱点と誤りは、この国際政治の世界で進行して居た「国際政治の基本的なルールの変更」の意義と、その現実政治上の重大さを認識し、政治的な判断に反映させなかったことだと思う。
具体的には、「中国への、軍事力を背景にした経済進出」と言う日本外交の伝統的な基本スキームが、第一次大戦までは国際的にも正当化され得たが、1920年以降はそれが通用しなくなった現実を深刻に受け止めて、自らの政治的判断と行動に生かせなっかったことである。

そうなった最大理由は、国内の経済界の利害(大陸に持つ市場と各種の利権)であり、それを正当化する「新原則は、先進植民諸国の既得権の擁護だ」と言う理屈が国内的には大きな説得力を持って居た。

しかし政治的判断と行動の正否は、「結果」でしか判断できない。この見地に立つと、この「中国への軍事力を背景にした経済進出」と言うスキームを、昭和になっても変更するどころか、逆に強化し過激化したことは、(立場によって異なった答えが出る可能性を排除できない道義的な見地を除いて)純粋に「国の利害」の見地から見ても、「重大な誤り」であったことは疑いない。

今になれば此までの種々な政治的立場を超え、て国民的コンセンサスを形成出来るのではないだろうか。そのためには当然、マスコミを初めとする各種メディアが、その方向で影響力を発揮して呉れる必要はあるが、この前提となる「スポンサーの理解」を得ることも、現在では不可能ではないと思う。

以上に述べた、政治的判断の上での致命的とも言うべき「重大な誤り」の責めを負うべきなのは、正に「A級戦犯」とされた人々と、昭和天皇であるのは疑問の余地がない。

日本人は戦後、この「内外で多くの人命と財産を損ない、日本を破滅の縁に導いた、重大な政治的判断の誤りに対する責任」を、公式には一度も採り上げて議論することもなかった。左翼陣営が採り上げたのは、専ら「アジアの人民と、国内の戦争犠牲者に対する、戦犯としての責任」と言う、東京裁判と同じシナリオに乗った議論だけである。

私はこのことをかねてから不思議に思って居たが、最近気が付いたのは、この問題が「天皇の戦争責任」問題と不可分であり、多くの日本人は此処に踏み込むのを避けたがり、政治家たちはこの問題に触れると「票が逃げる」と考えて尻込みして居たのだとすると納得が行く。当時は「遺族会」が無視できない力をもち、彼らが99%「思い」だけに動かされて居たことは、現代の「拉致被害者の家族の会」の言動を見ていると納得できる。

しかし今は戦後60年、昭和天皇や(戦死者)遺族会のメンバーも含めて、全て過去の人になった。そろそろ日本人もこの問題を正面から採り上げて考え、議論する環境が整ったと考える。

「政治的判断の上で重大な誤を犯し、国の利益を大きく損なった、国家に対するA級の犯罪人」を、先ず重大国事犯として道義的に弾劾することが重要である。そして「彼らを靖国神社に合祀しておくべきでない」と言う世論を喚起するとともに、政治家はこれを公式に表明して、「A級国事犯を合祀したままの靖国神社には参拝出来ない」ことを公式に表明すべきである。

昭和天皇は戦後も何度か靖国神社に参拝して居た。しかし「A級戦犯の合祀」が強行された1975年以降は参拝を止めた。彼の方が、遙かによく事態を理解し賢明に行動して居たと言える。

『「A級戦犯」は、日本人にとっても重大な国事犯でる』ことが国民的コンセンサスとして成立すれば、「宗教的立場」を固執する「宗教法人靖国神社」も、現実的な答えを出すと思う。日本人はときに「原理原則よりムラの平和」をとる賢明さ、も持ち合わせた国民であることに期待したい。

NOVO

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