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核燃料サイクル:試算隠し 「配慮」求めた電力業界 (毎日新聞 2004年7月11日)
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投稿者 外野 日時 2005 年 5 月 12 日 03:43:54: XZP4hFjFHTtWY

(回答先: 「放射性物質がイギリスのセラフィールドの再処理工場で漏れ、、施設が閉鎖された」(河野太郎の国会日記) 投稿者 外野 日時 2005 年 5 月 10 日 22:04:51)

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毎日新聞 2004年7月11日

核燃料サイクル:試算隠し 「配慮」求めた電力業界

 原発の使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルで、旧通産省(現経済産業省)と原子力委員会、電力業界がそれぞれ、再処理と地中に埋めて直接処分する場合とのコスト比較をしていたことが発覚した。いずれも「直接処分は再処理より大幅に割安」との結果だったが、隠されたままに核燃料サイクルは推進された。原子力委は原子力政策の基本を示す国の原子力開発利用長期計画(長計)の見直し作業を始めたが、重要情報の隠匿行為は、論議に大きな影響を及ぼしそうだ。

【足立旬子、小平百恵】

 94年2月。通産省資源エネルギー庁の会議室で総合エネルギー調査会(通産相の諮問機関)のワーキンググループ(WG)が開かれた。通産省、科学技術庁(当時)、電力業界、大学から関係者約20人が顔をそろえた。

 通産省がまとめた「核燃料サイクルの経済性試算について」と題した報告書に論議が集中した。

 使用済み核燃料を国内で再処理・廃棄物処分すると、直接処分した場合に比べ1キロワット時当たりの発電コストは2倍になる。「要回収」の印を押した文書には、驚くべき数字が記されていた。

 「試算が公表され、それが非常に割高だと、サイクル事業が成り立たなくなる」「日本では直接処分について議論されたことはない。話が混乱するのでご配慮願いたい」

 毎日新聞が入手した議事録の要旨によると、電力会社幹部らから、公表の見送りを求める意見が相次いだ。

 結局、通産省の試算は封印され、同年6月に核燃料サイクルの推進を掲げた長計がまとまった。

 94年はOECD(経済協力開発機構)が再処理と直接処分のコスト比較を発表した年だ。「再処理より直接処分が約1割安いが、その差は発電コスト全体から見れば無視できる」と指摘した。

 当時は、核拡散やコスト高の懸念から、核燃料サイクルへの逆風が世界的に吹いていた。サイクル推進派にとっては好都合の内容だった。だが、これを受けて実施された国内の試算はいずれも「再処理は割高」という結果で、推進派の思惑が外れる形になった。

 通産省と同時期に実施した電気事業連合会の試算は、国内再処理は直接処分に比べ3〜4割高になると出た。OECDの試算をもとにした原子力委の計算はかなり幅が出たが、中間的なケースだと再処理は直接処分より約5割高くなった。

 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「93年は青森県六ケ所村で再処理工場の建設が始まり、核燃料サイクルに本格的な資金投入が始まった時期だ。日本は海外に比べ燃料の加工費や工場の建設費が高く、予想以上にコスト高の結果が出たのだろう」と分析する。

 一方、総合エネルギー調査会WGの委員だった太田宏次・中部電力会長は「直接処分は不明な点が多く、公正な積算が困難だったので(公表に)慎重な意見を述べた」と振り返る。電事連も「コスト比較は精度が低く、公表できるものではなかった」としている。

 原子力委の近藤駿介委員長は、8日の長計策定会議で「(審議会などは非公開だった)当時のことを現在の視点で検討するのはどうか」と指摘、事実経過の解明に消極的な姿勢を示した。

 これに対し、同策定会議の委員を務める渡辺光代・日本生活協同組合連合会理事は「原子力村のすべての関係者の姿勢が問われている。開かれた論議とか透明性とか言われても信じられない」と話す。

 使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムは、資源に恵まれない日本にとって「準国産エネルギー」。こう位置付けて、経済産業省や電力業界は核燃料サイクルを推進してきた。

 だが、10年たって事情は変わった。電力自由化時代を迎え、割高な核燃料サイクルを進めることへの疑問が、経産省、電力業界の一部にふくらんでいる。電力市場に新規参入した企業はコストが安い石炭火力発電で価格競争をしかけており、現実的な論議が必要になったためだ。

 原子力委は、長計を05年中に改定するが、最大のテーマは核燃サイクルの是非だ。再処理と直接処分のコストを改めて比較する小委員会を近く設置する。

 電気事業連合会は今年1月、再処理費用の総額を18.8兆円とする試算結果を公表した。青森県六ケ所村に建設中の再処理工場を40年間稼働させた後、さらに40年間かけて廃棄する前提だが、この試算そのものの妥当性も問われそうだ。

 この試算は、2030年ごろまでに発生する使用済み核燃料の半分は再処理するが、残り半分は再処理せずに別の場所で中間貯蔵することになっている。全量再処理する場合は、費用がさらにかさむのは確実だとされる。

 一方で、再処理コストを電力料金に上乗せする議論が進行中だ。再処理工場も06年7月に完成予定で、劣化ウランを使った試運転が近く始まる。

 吉岡斉・九州大大学院教授(科学史)は「直接処分の具体的な研究がされることなく、10年間がいたずらに過ぎてしまった。再処理は凍結し、直接処分についての研究をしたうえで、核燃料サイクルの妥当性を改めて議論すべきだ」と語る。

 【ことば】再処理と直接処分 核燃料サイクルでは、原発から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムやウランを取り出す。これを燃料に加工し、再利用する。日本では再処理で生じた高レベル放射性廃棄物をガラスで固め、300メートルより深い地下に最終処分することになっている。最終処分場の操業開始目標は2035年ごろとされているが、立地先はまだ決まっていない。

 一方、再処理をせずに使用済み核燃料を地下に埋める手法が直接処分だ。再処理は費用がかさむなどの理由から、米国やフィンランド、スウェーデンなどで採用されている。
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日経新聞 2004年10月22日

使用済み核燃料、再処理コスト43兆円・原子力委

 原子力委員会は22日、原子力発電所で生じた使用済み核燃料を全量再処理する場合の核燃料サイクル費用が43兆円になるとの試算結果を公表した。再利用せず地中へ直接埋設処分する場合は30兆―39兆円と見込んだ。これまで1キロワット時当たりの費用しか公表しておらず、総額を明らかにしたのは初めて。再処理費用は経済産業省などの試算結果に比べ、およそ2倍になっている。

 試算は約60年間にかかる総費用として算出した。青森県六ケ所村の再処理工場だけを稼働し、処理しきれない使用済み核燃料を埋設処分する部分再処理の総費用は38兆7000億―45兆円とした。この場合、再処理費用は全量再処理に比べ半額の10兆円だが、埋設費用が膨らむ結果となった。経産省は六ケ所村の再処理工場を使って使用済み核燃料を再処理する費用を40年間に19兆円とはじいているが、処置しきれない使用済み核燃料をどのように扱うか、試算には含めていなかった。原子力委の今回の試算は、核燃料サイクルの全費用を浮き彫りにした格好になっている。 (11:44)
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朝日新聞 2004年11月1日

原発廃棄物の後処理費用、電気料金に上乗せへ

 国の原子力委員会が核燃料サイクル政策の継続方針を固めたことで、原子力発電所から出る廃棄物の処分など「後処理」の費用が、電気利用者の負担になることが確実になった。来年、電気料金に上乗せする新制度が発足する見通しで、経済産業省は1世帯の実質負担は年1660円程度と試算している。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電気事業分科会が6月、後処理費用に関して総額18.8兆円の負担枠組みを決めた。今回の原子力委の方針を受け、経産省は来年の通常国会に関連法案を提出し、秋ごろまでに実施したい考えだ。制度設計では、発生費用のうち、どこまで電力会社に徴収を認めるかがポイントとなる。

 18.8兆円は、原発から出る使用済み核燃料の約半分を40年間再処理する条件で計算したもの。だが、電力業界が青森県六ケ所村に建設中の再処理工場では02年に不正工事が発覚。今後、事故が起きた場合には、高速増殖原型炉「もんじゅ」のように長期停止に追い込まれる可能性が指摘され、操業主体の日本原燃幹部も「多少のトラブルは覚悟している」と話す。 (11/01 22:29)
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東京新聞 2004年6月20日

核燃サイクル揺らぐ国策
原子力長期計画見直し

 原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクル政策が岐路に立たされている。サイクルの要となる使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)でウランを使った性能試験が今夏にも開始する。だが、この“国策”を国の原子力委員会が見直す方針を示したため、先行きが一気に見えにくくなった。19兆円近い巨額の再処理費用への反発も強まっている。 (経済部・鈴木宏征)

■停滞

 青森県下北半島の付け根にある六ケ所村。東京ドームの百五十八倍の広大な敷地(七百四十万平方メートル)に、日本原燃(原燃)の再処理工場の建屋が整然と並ぶ。

 使用済み核燃料を長さ三−四センチに切って硝酸で溶かし、燃料中のウランとプルトニウムを分離、精製して粉末状の製品とする。複雑な工程ごとに建屋が細かく分かれている。四月末の時点で工事進ちょく率は95%と完成間近だが、操業へ向けて足踏み状態が続く。

 使用済み核燃料貯蔵プールの手抜き工事などがたたり、稼働延期は実に六回。稼働への重要なステップとなるウラン試験も遅れに遅れている。

 試験開始の前提として青森県、六ケ所村と原燃が結ぶ安全協定の締結も七月の参院選後にずれ込むとの見方も強く、ウラン試験開始は八月以降となる公算も大きい。二〇〇六年七月の稼働予定がさらに遅れ、電力業界がもくろむ核燃サイクルのスケジュールが狂う可能性もある。

■『再処理』19兆円反発強く

 「十九兆円も使うなら再処理よりウランを買った方が安上がりだ」

 電力会社でつくる電気事業連合会(電事連)が昨年末、再処理を四十年行うことを前提に、費用総額を一八・八兆円と試算したが、原発推進派がそろう自民党からも巨額費用に対する批判が噴出した。さらに、国の原子力委員会は核燃サイクルの基本政策となる原子力開発利用長期計画の改定に伴い、全量再処理と米国などが行っている直接処理のコスト比較を行う方針を決めた。

 危機感を抱いた電事連は五月、「再処理施設の操業に向けて不退転の決意で取り組む」と決議。電力十社は原燃に対し計一兆二千億円に上る債務保証をしている。「運命共同体」の決意表明だ。

 六ケ所村の再処理工場には、すでに八百トン余の使用済み燃料が運び込まれているが、サイクルが止まれば、地元と原燃との覚書により使用済み燃料を原発に戻す必要がある。そうなれば原発内の貯蔵プールが満杯となり、原発停止に追い込まれる恐れもあるのだ。

■先送り

 「再処理工場の建設費が際限なく膨らみ、使用済み核燃料三・四万トンの処理の見通しもない。電気料金に安易に転嫁されるのでは」

 十八日、都内で開かれた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電気事業分科会。委員の吉岡初子主婦連合会長が不安を口にした。

 六ケ所村の再処理工場の建設費は、当初の六千九百億円が三倍の二兆千四百億円に膨れあがった。普通の原発が五−六基は造れる金額だ。これをとらえて「再処理費用も試算の三倍の五十七兆円に増えるのか」とやゆする声もあがった。

 二〇四六年度までに発生する六・六万トンの使用済み核燃料のうち、三・四万トンは「中間貯蔵」するだけで、この分の最終処理方針とコスト負担方法は先送りされた。国民の最終負担額は見えないままだ。

 この日示された中間報告案には「前提となっている核燃料サイクルに関する基本政策が見直された場合などには、それに対応した見直しをすべきだ」との一文がある。原子力委員会の長期計画改定作業は二十一日に始まる。

 ◇メモ 核燃料サイクル

 原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、エネルギーとして再利用する仕組み。発電しながら消費した以上の燃料を生み出す高速増殖炉の「もんじゅ」で1995年にナトリウムが漏れる事故が発生、実用化はとん挫。代わってプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を既存の原発で再利用する「プルサーマル」が主役となった。
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毎日新聞 2004年3月16日

プルサーマル: なぜ今? 本音は使用済み核燃料が満杯だから

 日本の国策である「核燃料サイクル」の主翼となる「プルサーマル計画」が、具体化に向け、再び動き出した。関西電力が高浜原発3、4号機(福井県高浜町)で計画する国内初のプルサーマルについて、同県の西川一誠知事が今週中にも関電の藤洋作社長に再開同意の意向を伝える。電力会社がプルサーマルを急ぐ背景には「核燃料サイクル」を前提にプルサーマルを進めなければ、原発が使用済み核燃料であふれ、発電がストップしてしまうという業界の特殊事情がある。

■電力会社は前向き

 プルサーマルは当初、99年中に東京電力と関西電力の原発各1基で実施する予定だった。ところが99年9月、関電が英国核燃料会社(BNFL)から購入したプルサーマル用のウラン・プルトリウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データに不正が発覚し、関電の計画が頓挫。東電の計画は02年8月の原発のトラブル隠しをきっかけに地元同意が白紙撤回され、暗礁に乗り上げた。

 関電は不正のあったMOX燃料を英国に送り返しており、地元同意が得られれば、月内にも仏のMOX燃料加工会社に新たな燃料を発注する方針。電気事業連合会は10年までに全国の16〜18基の原発で実施する方針で、九州電力などでも具体化の動きがある。

■貯蔵プール満杯に

 電力会社がプルサーマルを急ぐには理由がある。電力会社にとって原発内の貯蔵プールにたまり続ける使用済み核燃料は、悩みの種だ。電力10社の貯蔵プールの保管容量1万6610トンに対して、6割を越す1万740トン(03年9月末現在)が既に埋まっている。とりわけ、原発への依存度が高い東電と関電は余裕が少なく、問題は深刻だ。「原発の貯蔵プールが使用済み核燃料で満杯になれば、原子炉を停めざるを得ない」(大手電力幹部)からだ。

 日本が核燃料サイクルを行わず、欧米並みに使用済み核燃料を使い捨てにするのであれば、原発の外に永久的な貯蔵場所を決め、運び出す選択肢もあるが、今の日本でその議論はない。日本の電力会社が英仏に再処理を委託する使用済み核燃料の搬出は既に終わっており、同燃料は原発内にたまり続ける一方だ。このため電力各社は青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場へ同燃料を運び出すしかない。

■慎重論も

 しかし、プルサーマルを含む核燃料サイクルは欧米では必ずしも主流ではなくなっている。米国、英国は使用済み核燃料を使い捨てにする「ワンス・スルー方式」で、独は自国の再処理計画を中止し、プルサーマルからも撤退方向だ。高速増殖炉の開発を断念した仏は、再処理して取り出したプルトニウムを消化するためプルサーマルを行っているとされる。再処理にはコストがかかり、燃料の利用効果も1.5倍程度に限られるからだ。

 日本は国策として、再処理を含む総額19兆円の核燃料サイクルを進める方針だが、電力自由化の競争時代を迎え、電力業界の内部でも慎重な対応を求める声がある。16日の参院予算委員会では、この問題が国会で初めて取り上げられた。社民党の福島瑞穂党首が「19兆円は多額。電気料金になろうと税金で払おうとも国民負担は大きい」と質問。中川昭一経済産業相は「今後19兆円をどういう形でみんなで出し合っていくか、電力事業者を含めて早急に議論を深めていきたい」と述べた。【川口雅浩】

【ことば】核燃料サイクル

 原発から出た「使用済み核燃料」を再処理して、プルトニウムを取り出し、エネルギーとして再利用すること。プルトニウムをウランと混ぜて、通常の原発で再び発電するのが「プルサーマル」で、独仏など海外で実績がある。プルトニウムを燃料とし、発電しながら消費した以上の燃料を生成するのが「夢の原子炉」と呼ばれる「高速増殖炉」だが、実用化していない。高速増殖炉とプルサーマルは同サイクルの両輪とされる。
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