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『ロジャー&ミー』マイケル・ムーア
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投稿者 外野 日時 2005 年 3 月 19 日 14:41:07: XZP4hFjFHTtWY

(回答先: アメリカ:個人破産の半数は高額な医療 (暗いニュースリンク) 投稿者 外野 日時 2005 年 3 月 19 日 14:23:49)

マイケル・ムーアのナレーション:
レイオフってのは経営が苦しくてするものだ。ところがGMは、儲かっているのに工場を閉鎖するんだ。…
会長のロジャー・スミスには素晴らしい計画があった。11の工場を閉鎖し、自給70セントのメキシコに同数の工場を建てる。人件費の差額で企業を買収──ハイテク及び軍事企業だ。次に不景気を口実に数十億の賃金カットを組合と協約。その金で海外に工場を建て、失業者のことはお構いなし。天才とは奴のことだ。(『ロジャー&ミー』本編より)


次はマイケル・ムーアが自作の映画『ロジャー&ミー』を自ら解説している”特典映像”から(DVD版)。

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本作の主役、当時のGM会長ロジャー・スミスだ。
彼はコスト削減のためレイオフを促した。経理畑の出身なので車には疎い。そうすれば株価が上がり、会社が儲かる計算だ。
だが実際は失業者が増えれば消費は落ち込み、誰も車など買えなくなる。資本主義の最悪のモデルだ。理解に苦しむよ。
この辺りまでは前置きで、これから本題に入る。
本作で取り上げてるのは主に1980年代、当時でのフリントでの出来事を順不同に収めたので、シーンのよって時間が前後するんだ。だから時間的な説明を加えながら進めたい。90分の映画で、町と会社の10年に渡る変遷を描いた。時間が前後するのは僕の好みだ。

故郷フリントの映像を見ると心が痛む。
たくさんの店がつぶれてしまった。僕はこの映画を数年間観ていない。4、5年前に同郷の妻と一緒に試みたが、悲しくて最後まで見続けることができなかった。今も家族が住んでいる大切な町だ。
映画を作った1980年代、GMは3万人(町の人口は15万人だった)をレイオフし、8万人いた従業員は5万人に激減、現在では多くて1万5千人ほどだろう。この映画の撮影後も人員の削減は続いてるんだ。
1980年に選挙運動中のレーガンが、町を訪れ、失業者を昼食会に招いた。
この昼食会に招待された12人の誰も工場に返り咲いていない。

フリントの住民が今、本作を観たら、”古き良き時代”と懐かしむんじゃないかと思う。当時の失業者は3万人だったが、現在は6万5千人という話だからね。

「自動車の町フリントで急速に犯罪が増えています」
「過去最高の殺人件数で、フリントは全米一の犯罪都市の仲間入り」
「犯罪件数は全米一に。増え続ける犯罪者に対し、刑務所が足りません」(註:本編の当時のニュースのシーン)

こうして80年代は、悲劇が繰り返され、世の中は闇に包まれた。
犯罪や殺人が増え『ボーリング・フォー・コロンバイン』の前兆が。銃で安心を買う時代…。最悪の状況だ。

フリントの住民には、荒れ果てた家の撮影を嫌がる人もいる。よく手入れされた家も沢山あるからね。この映像が町の全容ではないが、映画を作る立場として、僕には目的がある。それは美しい町の映像を撮ることではなく、間違っていることを指摘し改善することだ。事実フリントは荒れたんだ。悲しいことに、今はこのときより悪化している。地域によっては、この頃の5倍は悪くなってる。そんな町を見るのはとてもつらい。

僕がこの映画を作ってから、これらの問題を扱う番組も現れだした。以前はまったく取り上げられなかった。アメリカでは立ち退きなど日常茶飯事で、話題性に欠けるんだ。人が撃たれればニュースになる。だが、人々が路頭にまよってもニュースにならない。ニュースとは何か考えされられるよ。
フリントやNYの現状を報道は正しく伝えているのか?高い視聴率や刺激的な話題を求めてるだけなのか?

僕は長い間、本作を観ることができなかった。
ユーモアのある作品になったと思うし、この闘いの正当性や意欲も盛り込まれてる。
だが、一個人として、人間として、町の出身者として正直に言おう。僕が本作を観れなかったのは、撮影時に描いてた理想のせいだ。映画を観た人々が、連邦議員に訴え、町が救われるはずだと。だが、それどころか状況は悪化した。だから僕は失敗したような気分になる。
本作を誇りに思っているし、アメリカ映画に影響を与えたと自負している。20世紀を代表する傑作とも言われた。とても光栄なことだし、驚いたのはこの作品が、教材になったことだった。主に、経済や政治のクラスで。経済の裏側を見せているんだ。
次世代に伝えるべき内容だし、現在の不況は皮肉にも、14年前によく似ているしね。今観れば”不況は不滅の問題だ”と気づくだろう。だが、これらは予想外の結果だ。
撮影を始めた当時は、ワーナーと契約できると思ってもみなかった。ただ町を救いたかっただけだ。評価は得られたが、町は救えなかった。そう思うと観られない。僕個人にとっては失敗作だからだ。
そして、こう思う。”きっと高望みだったんだろう”、”映画で町を救おうなんてバカげた考えだった”と。だが、どんな行動でも起こさないと、世界は変わらない。

この国では5千万人の住民が、医療を受けられない。
アメリカで自己破産する一番の理由は、医療費を払えないからだそうだ。
医療費のために、自己破産する先進国などほかにない。
ひどい制度だが、僕は国に対する望みを捨てていない。僕らには変える力がある。
こんな世の中だが、他人を気遣う気持ちがあれば、いい国になるだろう。

「クリスマスの2週間前また工場閉鎖が…。組合は大規模なデモを閉鎖の前日に行おうとした。だが集まったのは4人だけだった」(註:本編のシーン)
このビルも壊された。
この数年で、人々は挫折を感じていた。あきらめるしかないと。残ったのは4人と『?』のプラカード。信念のために闘うことの難しさが伝わってくる。
”どうにもならない。相手はGMだぞ”と思うだろう。
僕は一つだけ、国民の考え方を変えるかもしれない信念がある。
それは自由な民主社会が続く限り──いつまでかはわからないが──、民主社会である限り、GMの会長でも入れられる票は一票だ。団体では、国民が有利だ。
そう考えると慰めにもなるし、社会に参加する気にもなってくる。選挙で統括される世の中なのだから。
自分たちが選べるはずなんだ。
これは理想論かもしれない。2000年の大統領選で、やる気をそがれたかもしれない。だが、あきらめたら世の中は悪くなっていく。希望をもって、前に進むことが大事なんだ。
仕事を掛け持ちして、政治に関わる時間もない人もいるだろう。夜中まで子供の宿題を手伝ったり、生活するだけで精一杯の人も。だが、求めなければ何も改善されないんだ。
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この映画では上にあげたように、1980年に大統領選でレーガンがフリントを訪問したシーンが出てきます。実はこの大統領になったレーガンと、日本の総理になった中曽根氏は有名な「かたい握手」をした写真を残しているのですが、その中曽根政権はGMが行ったこととほとんど同じ政策を日本で推進した内閣なのです(さすがに日本ではフリントのようなひどい例はないですが)。企業の多国籍化と国内空洞化、そして、それらの企業の一部の軍需品製造へのシフトです。
マスコミもそれに一役かっていました。曰く「不況なのでリストラは止むを得ない。企業が賃金などの安い外国に工場を移すのも…云々」
この政・官・業・マスコミのやり方は今も続いています。

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