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NHK問題 各紙社説 2005/1/21〜/1/29
http://www.asyura2.com/0502/senkyo8/msg/399.html
投稿者 月読 日時 2005 年 2 月 03 日 01:52:56: ydTjEPNqYTX5.

朝雲新聞 2005年1月28日付

政治家による「報道への圧力」をめぐる朝日新聞とNHKとの争いが過熱している。朝日が、NHKの元プロデューサーの内部告発と時期を合わせてNHK幹部を取材し、「自民党の政治家がNHKに圧力をかけ番組内容を修正させた」と報道したのが事の発端だ。
名指しされた政治家は、NHK幹部との面会日時が番組放映の後だったことなどから「圧力」をかけた事実はないと否定。NHKも、朝日の記事は、「圧力は感じなかった」と述べたにもかかわらずそれを歪曲した「意図的誤報」だと言う。対して朝日は、同幹部はあくまで圧力を感じたと述べた、として報道の正当性を主張している。
互いの主張を戦わせることは結構だが、双方とも何が問われているのか理解していない。NHKの言い分は、政治家に番組内容を説明したり内容を修正したことは悪くないという。朝日の言い分は、取材に対して圧力があると言ったのだから記事は正しいという。
NHKは、政治家との関係や放映直前の修正が、果たして「通常の編集作業」かどうか疑われた。朝日は、取材相手が言ったかどうかだけを取り上げ、言ったことが真実かどうかの検証を忘れている。
この騒動の裏に政治的意図があるかどうかはさておき、報道の公正は、李下に冠を正さぬ姿勢と、事実の確かな裏付けによって保証される。両者に問われているのはメンツではなくマスメディアとしての良識だ。
http://www.asagumo-news.com/f_column.html

  

asahi.com 2005年01月26日付
■NHK――橋本新会長で変わるか

 NHKの海老沢会長が辞任し、後任に橋本専務理事が選ばれた。あわせて笠井副会長と関根放送総局長も退いた。

 職員による番組制作費の着服が明るみに出て半年、海老沢氏はようやく一連の不祥事の責任をとった。いま政治との距離があらためて厳しく問われる中での退陣である。

 会長の辞任と同時に経営委員会が後任を決めたのは、受信料不払いの急増などで危機にある経営に、切れ目をつくりたくないと考えたからだ。

 だが、最終的に内部からの昇格となったことには疑問が残る。

 橋本氏は技術畑の出身だ。海老沢氏の報道畑、不祥事を出した制作畑でないことが起用の決め手になったのだろう。副会長になった永井氏はかつて生活番組のキャスターとして知られた女性で、新しい顔選びには工夫の跡も見える。

 しかし、橋本氏は海老沢氏の下で役員になった。これまでの行きがかりを捨ててNHKの体質を問い直し、改革に取り組めるのだろうか。政治の影響力をはねのけながら、強いリーダーシップを発揮できるかどうか。そこが心配だ。

 NHKの会長が任期途中で辞めるのは珍しいことではない。海老沢氏の先々代の島桂次氏、その前の池田芳蔵氏は1期目の途中で辞任に追い込まれた。

 島氏と池田氏はともに、国会での本人の答弁が問題になってのことだった。しかし今回は、本人の失態もあるにせよ、不祥事の続発や幹部の対応のまずさといった組織の問題が引き金となった。

 そのことを考えれば、会長という看板を掛け替えただけでNHKが今の苦境を乗り切れるとは思えない。

 たしかに橋本氏は生え抜きの中では無難な人物かも知れない。とはいえ、もし彼の下に海老沢氏直系の人物を温存するなどして実質的な「院政」を狙うとすれば、失った視聴者の信頼を取り戻すことは難しいだろうし、受信料不払いにも歯止めはかかるまい。職員らの不満も収まらないだろう。

 朝日新聞は社説で、新会長は何より高いジャーナリズム精神を持つ人物でなければならないと主張してきた。

 政府や自民党との距離が常に問われる組織だけに、報道機関としての独立性を守ろうとする意識が重要だと指摘したのだ。番組の改変問題が明らかになって、その思いをいっそう強くする。

 辞任した関根氏は先の記者会見で、放送前の番組の内容を政治家に説明するのは通常業務の範囲であり、「当然のこと」と語った。そうした体質はぜひ改めてもらわなければならない。

 制作費の使い込みなどを見ると、NHKの病巣は根深い。長年にわたって腐敗を育んできた土壌を一掃するには、橋本新会長にも彼を支える経営陣にも、よほどの意志と覚悟が求められる。

 この大改革の先頭に立っていけるかどうか。新会長のこれからを厳しい目で見つめていきたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20050126.html

  

asahi.com 2005年01月29日付
■NHK――この会長で大丈夫か

 海老沢会長が辞任し、橋本新会長のもとでの再出発を視聴者に約束したばかりのNHKが、またも大失態を演じた。

 橋本氏が、海老沢氏ら3人の元幹部を顧問に就けた。「海老沢氏による院政ではないのか」。視聴者からの抗議や批判が殺到し、たった2日で人事を撤回するはめになった。橋本新体制は船出直後に大きくつまずいた。

 NHKの会長を任命するのは経営委員会だが、理事や顧問の任命権は会長にある。この失態の責任はすべて橋本氏にあると言わねばならない。

 職員による番組制作費の着服などの不祥事が相次いで明るみに出て半年。NHKへの批判が一気に高まったのは、会長が呼ばれた国会のやりとりを中継しなかったことなどが、国民の目にはおごりと映ったからだ。

 視聴者の不信はまだ収まっていない。NHKは、受信料の不払いが年度末には45万から50万件弱になると予測しているが、その程度で本当に収まるのだろうか。信頼を取り戻すには、新会長が組織一新をきっぱりと示すしかなかった。

 その貴重なチャンスを、就任したばかりの橋本新会長はつぶしたことになる。残念でならない。

 会長が辞めた後で顧問に就くという決まりはない。過去に不祥事で辞任した島桂次氏ら3会長は顧問に就任していない。権勢をふるった海老沢氏らを組織内に残すようでは、とても刷新などとは言えないではないか。

 海老沢氏は会長辞任を決めた日、職員にメッセージを送っている。「NHKの躍進をねたむ一部マスコミなどのいわれなき誹謗(ひぼう)中傷に屈することはない」などの言葉からは、心からの反省がうかがえない。

 不祥事の責任を取って辞めた幹部を、顧問として厚遇することは、社会常識に反している。

 この顧問人事について、経営委員会の石原委員長は「視聴者に誤解が生じないようきちんと説明してほしい」と橋本新会長に伝え、危惧(きぐ)の念を示していた。NHKの職員でつくる日本放送労働組合も「再生に水を差す」と撤回するよう申し入れていた。

 日本テレビの氏家会長は「NHKは世評に疎い感じがする」と語ったが、アンテナがさびていたとしか思えない。

 NHKにとって大事なことは、はっきりと生まれ変わった姿を視聴者に示すことだ。そのためには、まず人事で海老沢色を一掃するしかない。

 会長の交代後も、海老沢氏の直系と目される理事らが残っている。「人心一新」を経営委員会が求めたのは当然であろう。

 橋本氏は技術系だが、海老沢氏に引き立てられて役員になった。そんな人物が会長になって本当に改革ができるのか。世間は厳しい目で見ている。

 その自覚と危機感がないのであれば、会長人事を一からやり直すしかない。
http://www.asahi.com/paper/editorial20050129.html

  

岩手日報(論説) 2005/01/27
NHKのトップ交代

視聴者の不信は根強い

 職員の不祥事に端を発したNHK騒動は、トップの人事一新で一応終息に向かった。会長を辞任した海老沢勝2氏に代わって専務理事・技師長から新会長に就任した橋本元一氏の責務は重く、何よりも視聴者の信頼回復が緊急の課題となる。

 海老沢氏の辞任は「追い詰められて」の印象が強く、遅きに失した感は否めない。不正支出させた金をキックバックさせたり、カラ出張など公共放送機関の職員として許し難い不祥事が相次いだのに海老沢氏は改善の道筋を明確に示せなかった。

 視聴者の不信が大きく顕在化したのは、不祥事を重視した衆院総務委員会が海老沢氏を参考人招致した際、NHKが生中継しなかったことだ。トップの判断だったという。NHKとしては情報を正しく、スピーディーに伝える義務がある。それを怠ったのだから批判が集中して当然である。

 NHKはその後「NHKに言いたい」という特番を組んだが、ここでも組織改革の具体案はやぶの中。トップ交代の舞台は怒った視聴者によってつくられたような気がする。

 責務が重い橋本体制

 一連の不祥事、経営陣のドタバタ劇は視聴者にNHK不信を植え付けた。橋本体制が信頼を回復するには相当な時間がかかるだろう。

 もっとも、橋本新会長は覚悟の上で引き受けたと思うが、当面は課題の組織改革に全力を挙げてほしい。不正が入り込まないようなチェック態勢の確立が急務だし、NHKが受信料で支えられているという意識を組織全体が再認識し、清廉な運営への努力を惜しんではならない。

 不安材料は続出している受信料の支払い拒否・保留問題だ。窮余の一策だった特番「NHKに言いたい」の放映後も支払い拒否や保留が増加し、3月末には45万−50万件に達するとの見通しがある。受信料が命のNHKにとって手痛い現象である。

 収入減によって予算が窮屈になれば番組制作などへの影響は避けられず、視聴者を引きつけるような重みのある番組がつくれなくなる。これが受信料支払い拒否の連鎖反応を起こし、緊縮予算−番組制作への影響−支払い拒否−緊縮予算の悪循環に陥ることを恐れる。

 国民の代弁者であれ

 NHKは会長の任命、罷免権まで握る「経営委員会」が最高意志決定機関だが、ほとんど機能していなかったと言われる。ただ、NHKにとっては怖い存在であり、かなり前のことだが、委員の1人が私的な海外旅行に出掛けたとき、NHKの海外支局が全面的にお世話した、というような話を聞いた。

 NHKの対応に甘んじ、執行部の方針を追認するだけの委員会では、最高意志決定機関とは言えないだろう。お目付け役としての任務をしっかり遂行してもらいたい。

 メディアは国民の代弁者であるべきで、非民主的な問題や権力には厳しい目を向ける必要がある。ことにも受信料を徴収しているNHKは、その使命が重い。また「公開と参加」を理念とするなら、すべてをガラス張りにし、経営委員会と視聴者との対話の場を設けることも必要ではないか。

 受信料にあぐらをかき、経営委員会をロボットのように操ってきたところにNHKの誤りがあった。トップの一新を機会に公共放送の原点に立ち返ることを願う。

(菊池武利)
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetsu/y2005/m01/r0127.html

  

愛媛新聞
社 説 2005.01.24(月)  NHK番組問題 弁明で見えた 公共放送の内実

 自民党の安倍晋三幹事長代理らがNHKの番組に介入したとされる問題で、これを報じた朝日新聞とNHKが非難の応酬を続けている。
 放送番組が政治家の圧力で変えられたのだとすれば、ジャーナリズムの本質にかかわる問題だ。しかし、双方は「(取材の過程で)言った」「言わなかった」といった主張をぶつけ合っており、なお藪(やぶ)の中の様相だ。
 ただ、これら一連の論争を通しはしなくも見えてきたものがある。それは「公共放送」の危うい体質である。果たしてNHKでは放送の独立が日常的に保たれているのか。そんな疑問が膨らんでくる。
 NHKは「国会議員に予算や事業の説明をする際、放送予定の番組についても説明するのが通常の業務になっている」と弁明した。これにはいささか驚いてしまう。
 予算の国会承認が必要という置かれた事情は分からないでもない。しかし、放送内容まで事前に説明するというのであれば話は別だ。検閲の機会を自ら提供しているに等しかろう。NHKの影響力の大きさを思えば、背筋に寒いものを覚える。
 今回の問題にしても同じことが言える。番組を放送する前日に圧力を加えたと報じられた安倍氏は(1)偏った内容と分かったので公正中立の報道を求めた(2)NHK幹部らを呼びつけたのでない―と主張し、朝日新聞の記事を否定している。一方、NHKもこれに沿った形で「自ら出向いて行った」「圧力は感じなかった」との見解を打ち出している。
 だが、どうみてもおかしい。安倍氏は当時、官房副長官という政府の要職にあった。番組がテーマとする女性国際戦犯法廷にはそもそも批判的であった。そこへ出向いていって放送内容を説明するというのはマスコミの常識では到底考えられない。
 NHKは面談の後、二度にわたって番組の改編を行っている。その結果、四十四分の番組がカットされるなどして四十分に縮められた。これらは、あくまで自主的な改編とするが、一連の経過からして不自然さはぬぐえない。
 安倍氏の注文が具体的にどのようなものだったのか、番組改編に至る内実はどうだったのか、やがてこれらは明白になるだろう。むしろ、それらは今回の論争のなかでは枝葉末節のことのように思われる。
 政治家に予算の理解を得るためとはいえ放送内容に関与されかねない糸口を与える。しかもごく当たり前の「通常業務」と言ってのける。これでは放送への信頼は根底的に揺らぎかねない。問題の深い根っこはこのあたりにある。
 「政治に弱いNHK」―それはNHK元会長の島桂次氏自身が自著の中で告白している。ロッキード五周年の番組を田中派の意向をくむ形でつぶした。自慢めく回顧話のなかでそのように打ち明けている。
 問われているのは古くて新しいジャーナリズムの命題、政治に向かう姿勢である。
http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/shtsu20050124.html

  

沖縄タイムス
<2005年1月27日>

海老沢会長辞任
組織改革を視聴者に示せ
 NHKの海老沢勝二会長が、辞任した。一連の不祥事で受信料不払いが急増したため、責任をとったもので、視聴者の「信頼」を失った結果といえる。

 受信料支払い拒否・留保は昨年十一月末時点で約十一万三千件に達し、三月末には四十五万―五十万件に上るとみられる。

 視聴者からの受信料に支えられているNHKにとっては、深刻な事態に直面している。その結果、二〇〇五年度予算は、史上初めて前年度を割ることになった。

 一連の不祥事は昨年七月に明らかになった元チーフプロデューサーによる番組制作費着服事件が発端。さらにカラ出張や着服、不適切な経理処理、不正支出などが次々と表面化した。

 視聴者はNHKの対応をみていた。だが、不祥事を長く発表しなかったり、海老沢会長が国会に参考人招致された際、生放送せず、視聴者の関心を裏切った。

 また、昨年末の特別番組「NHKに言いたい」でも、組織改革の具体案を示すことはできなかった。

 NHKと政治家とのかかわりの問題もある。朝日新聞と激しく対立している案件とはいえ、NHKは政治家に対し、事業計画に付随して「放送予定の番組を説明することも業務の範囲」としている。

 事前に“検閲”を受けている、と視聴者が疑念を持ってもおかしくない行為だ。そうした体質が報道のNHKに対する信頼を損なうことにつながる一つだ。

 災害報道など、時間の制限なく報道するNHKの役割への評価は高い。公共放送で働く職員は、あらためて報道とそれを支える受信料の意味をかみしめてもらいたい。

 今回、声高に批判しなくても、多くの視聴者は受信料契約を解約することで、公共放送を監視できることを知った。新会長の橋本元一氏は、不祥事に対する抜本的な改革を、視聴者にはっきりと分かるように示す必要がある。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20050127.html#no_2

  

沖縄タイムス
<2005年1月25日>

NHK番組改編 問われる政治と報道

 従軍慰安婦問題を裁く民間法廷を扱ったNHKの特集番組をめぐって、朝日新聞とNHKが激しく対立している。政治的圧力が「あった」「なかった」の水掛け論が続き、日本を代表するメディアの“けんか”は泥沼化の様相さえ見せている。

 番組改編で問われているのは何か。そもそもの問題に立ち返りたい。

 発端は、朝日新聞が十二日付朝刊で報じた「中川昭一・現経産相、安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで『偏った内容だ』などと指摘していたことが分かった」という記事だ。「圧力と感じた」とする幹部のコメントも含まれている。

 これに対しNHKは政治的圧力を全面的に否定、取材を受けた「幹部」本人が、誤報だとして朝日新聞に謝罪を求めた。安倍、中川両氏も報道内容を批判している。

 記事の要件で最も重要なことは、情報が正確であることだ。誤りが一つでもあると、信頼性は失われてしまう。

 今のところ互いに主張の正しさを強調しているが、事実関係をきちんと解明する必要がある。誤りがあれば、それを素直に認めることだ。

 事実関係とともに大きな問題は、放送直前の大幅改編が政治的圧力によるものかどうかだ。

 NHKは「事業計画の説明に付随して、放送予定の番組を説明することも業務範囲」とし、事前に安倍氏と会い説明したことを認めている。

 放送前に説明すること自体が問題なのに、それが「業務」として日常化していることには驚かされる。

 その際、安倍氏は「公正中立な番組を、と言っただけ」という。

 「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の幹部で、同問題に批判的な立場にある人の「中立」が、本来の意味での「中立」であり得るのか。しかも予算に国会の承認が必要なNHKと政権中枢にある人物との関係を考えると、公共放送と向き合う政治家の姿勢も問われよう。

 放送法は「放送番組は何人からも干渉されない」とうたう。

 NHKは政治家への説明は自発的なもので、番組改編は自主的なものとするが、「NHKの体質」という言葉で表される政治との関係について、この際、徹底的に検証してほしい。

 今回の問題では、朝日新聞の取材手法、反論として自らの言い分を一方的に放送したNHKの報道のあり方も批判されている。

 報道・言論の自由が、新聞・放送に対する社会の信頼の上に成り立っていることを忘れてはならない。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20050125.html#no_1

  

京都新聞 2005/01/23
NHK問題 「非常識」に気付かねば

 「みなさまのNHK」が2つの問題で揺れている。海老沢勝二会長の辞任をめぐる問題と、政治家の番組介入疑惑をめぐる朝日新聞との争いだ。

 いずれの問題でも、NHK幹部の認識が世間一般や報道機関の常識とずれている印象が否めない。その点を正さない限り、国民の信頼は取り戻せまい。

 海老沢会長は、今月25日の経営委員会で辞意表明する意向を固めた。昨年7月以降に相次いで発覚した不祥事や、その後の受信料不払い急増の責任を問われ、任期途中の降板を余儀なくされた格好だ。

 しかし事態の経緯を振り返れば、もっと早く決断すべきだった。視聴者の信頼回復は容易でない。

 会長は、職員の不祥事に甘い処分でよしとした、問題発覚後の対応も視聴者の不信感を募った。国会に呼ばれた末に、受信料不払いが急増し身内の労働組合からも退陣要求が出された。遅くともその段階で辞意表明するのが当然だろう。

 内外の批判に耳を貸さなかった海老沢氏を支えてきた取り巻きの幹部たちの責任も大きい。

 その一方、NHKは政治家に対し必要以上に神経過敏ではないか。それを思わせるのが、旧日本軍の慰安婦問題を扱った特集番組に象徴される、政治家の介入疑惑だ。

 番組のチーフプロデューサーの内部告発で一気に広がったこの問題は事実関係を報じた朝日新聞とNHKとの間で、取材内容や経緯をめぐる争いとなっている。

 細かい事実関係はさておき、見過ごせないのはNHKが放送前に政治家に番組内容を「ご説明」するのが習慣化しているらしいことだ。

 これは報道機関として、自殺行為になりかねないことをNHKはどこまで自覚しているか。政治家がどんな反応を見せるにせよ、全く影響がないとは考えにくい。

 ことを新聞に置き換えて考えれば新聞社は報道前に事前検閲的な行為を招くことを厳に戒めている。

 その代わり、報道後は外部の有識者による検討会議を設けるなど、さまざまな手段で検証している。同様にテレビ報道も、番組の批判や検証は放映後に行うのが筋だ。

 NHK幹部は政治家からの圧力を否定しているが、事前説明に疑問を持たないとすれば、その認識こそ報道機関の常識に反するものだ。

 報道機関が権力から一定の距離を置くのは公正な報道に欠かせない。予算の審査や承認を国会にゆだねているNHKは、なおさらだろう。

 内部告発した職員は、自身の不利益を覚悟で事態を公にした。その動機に不純な点は感じられない。

 NHKが視聴者の期待に沿うためには今後多くの改革が必要だろう。だがまずは、経営委員会が自らの責任で調査を行い、政治家との関係を明らかにする必要がある。同時に非常識な慣行は、改めさせることだ。
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/syasetsu/050123.html#2nd

  

京都新聞2005/01/26
NHK新体制 独立と信頼を取り戻せ

 NHKの海老沢勝二会長が辞任した。

 昨年7月以降、相次いで発覚した一連の不祥事と事後処理の不手際で、受信料の支払い拒否・保留が激増。遅きに失した感は強いが、トップとして経営責任を取ったものだ。

 後任の新会長は、抜本改革に向けて外部からの起用が期待されたが、最終的に内部昇格となり、橋本元一専務理事・技師長が就任した。合わせて役員体制も刷新されよう。

 いまNHKは、従軍慰安婦問題を扱った特集番組の改編問題をめぐって混乱の真っただ中でもある。

 受信料制度に支えられた公共放送の根幹である信頼性と独立性は大きく揺らいでいるのだ。まさに未曽有の危機にある。ただ海老沢氏の進退だけで解決するわけではない。

 橋本会長ら新経営陣は失った信頼の回復と再生を急がねばならない。その任は重く、容易ではない。

 NHKは3つの課題を突きつけられている。だが危機感に乏しい。

 1つは職員意識の問題である。NHKは受信料で運営されている公共放送であることを忘れているのではないかということだ。

 視聴者から受信料の徴収を認められているのは、公正、中立をうたう公共放送ならではの権利である。番組制作費などの着服、流用は一部の不心得者の仕業ではなく、特権にあぐらをかいた職員と組織の体質に起因していると言わざるを得ない。

 2つ目は組織の問題である。NHKの最高意思決定機関は経営委員会である。経営方針や予算・決算を決める。会長の任免、業務の監視などの権限を持っている。

 不祥事が表面化して以降、経営委がこうした権限を行使し、問題解決へ存在感を示したとは言い難い。従来のような「追認・諮問機関」ではなく、きちんとシステムとして機能する組織改革が不可欠である。

 3つ目は「報道の自由」の問題である。NHKは公共放送である一方で、れっきとした報道機関である。

 ところが、NHKは放送前、特定の政治家に対して番組内容の説明に回ることに疑問を抱いていない。こうした姿勢は、民主社会の生命線である表現・報道の自由の放棄につながりかねない。

 NHKは特殊法人である。予算・決算は国会の承認がいる。そのために政治家との間で一定の緊張関係を保てないとするならば、公共放送の公正・中立性に疑義が生じる。

 海老沢氏は、デジタル化など積極的に推進し事業を拡大、商業化も進んだ。これに伴い多くの子会社、関連会社・団体を抱え、民業圧迫との批判も少なくない。

 新しい経営陣にとって構造改革が不可欠である。報道や事業のあり方など全般を検証する中で、NHKは特殊法人でなければならないのかどうか。その経営形態の見直しも視野に論議を深めることだ。
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/syasetsu/050126.html

  

高知新聞
2005年01月26日

【NHK会長辞任】改革の一歩にすぎない

 NHKの海老沢勝二会長が一連の不祥事と受信料不払いの急増の責任をとって辞任した。当然であり、むしろ遅きに失したといってよい。

 職員による番組制作費の詐取が発覚して既に半年になる。この間、受信料の支払いを拒否・保留する視聴者は増え続けた。2005年度の受信料収入は04年度より72億円減る見通しだ。このままでは経営基盤が揺らぎかねない。

 昨年末に放映された特集番組「NHKに言いたい」では、視聴者から会長らの経営責任を問う声が相次いだ。国民の怒りは単に不祥事に向けられたのではない。不祥事を生む体質にメスを入れようとしない姿勢に対する厳しい批判だ。

 経営危機を招いた会長の辞任は当然だが、それで国民の不信感が解消されるわけではない。受信料で賄われる公共放送はどうあるべきか、という視点で改革の方向が論議されなければならない。

 NHKは巨大化と商業化の道を歩んできた。事業拡大によって組織が肥大化していけば、内部の風通しは悪くなる。改革の先送りといった無責任体質にも陥りやすい。

 また、番組と連携したイベント活動など関連事業も目立つ。収益事業に力をいれることは、職員の受信料に対する意識を鈍らせることにつながりかねない。

 これらを含めたNHKの在り方については本来、最高意思決定機関である経営委員会がチェックしなければならない。ところが、決議事項の処理に追われ、形がい化しているのが実態だ。

 同じ公共放送である英BBCの経営委は、任務の設定や業績評価、編集管理などに厳しく目を光らせる。視聴者の立場に立った監督機関の役割を果たしている。

 NHKは経営委の改革はむろん、組織や事業のありようもあらためて検討すべきだ。受信料制度についても、現状のままでいいのか議論する必要があるだろう。

 いまNHKは特集番組改編問題でも揺れている。最初に報じた朝日新聞との間で反論合戦の様相を呈しており、取材・報道をめぐる事実関係の解明は不可欠だ。

 ただし、政治家への番組の事前説明を当然視する姿勢はNHKの「政治との距離感」を浮き彫りにする。報道機関としての根本にかかわる。

 公共放送に求められるのは「質の高い番組」の提供だ。それを忘れては国民の信頼を取り戻せない。
http://www.kochinews.co.jp/0501/050126editor.htm

  

神戸新聞
NHK会長辞任/報道機関の原点に返れ
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2005/01/26

 一連の不祥事や番組改編問題で揺れるNHKの海老沢勝二会長が、経営委員会に辞任届を提出し、承認された。

 相次いで発覚した不祥事以降、受信料の不払い・留保が急増し、昨年十一月末で約十億円にまで膨らんでいる。視聴者が不信を突きつけた結果であることは明らかだ。この影響で来年度予算は、受信料収入が初めて前年度割れするまでに追い込まれた。海老沢氏の辞任は遅すぎたぐらいだ。

 会長辞任に併せ、NHKは業務改革案を提出した。役員報酬を減額することと、経営監視機能を強化するための有識者による評価委員会の設置が柱だ。

 しかし、一連の不祥事は会長ひとりが責任を取ってすむ問題ではないだろう。何年にもわたって不正経理が見過ごされてきたことや、甘い処分、事後対応の鈍さは、あきれるほどだ。何が問われているのか、それさえつかみかねているように見えた。巨大組織の目詰まりとしかいいようがない。経営陣総退陣で出直す姿勢を示さなければ信頼を取り戻すのは容易でないだろう。

 NHKはまた、報道機関として根幹を問われる問題に直面している。四年前に教育テレビで放映した番組の改編問題だ。放送直前に自民党議員の圧力を受け、大幅に改編されたとされる。

 昨年末、NHK職員が内部告発したのに続き、年明けに朝日新聞が報道したことによって「政治圧力があった」「取材方法は正しかったか」を争い、互いに訂正と謝罪を求める事態になっている。しかし、事を報道機関の対立だけにしてしまっては、何が問題なのかわからなくしてしまう。

 この一件では放映前日にNHK幹部が予算説明のために自民党幹部と面会、番組内容についても説明したとしている。

 NHKは予算に国会の承認が必要であり「事業の説明に付随し、放送予定の番組を説明することも業務範囲」だという。

 国会承認は予算の適切な執行を審査するのであって、番組内容の承認を得るためではない。放送法は「放送番組は何人からも干渉されない」としているのを知らないわけではあるまい。

 「政治家との緊張関係を失い、日常的に介入を招きかねない不透明な行為」と上智大の田島泰彦教授は指摘する。同感だ。

 政治圧力で番組内容を変えるなどは論外だが、疑われるような行為を業務とする感覚には首をひねる。すべての根は報道機関としての自覚の緩みにあるのではないか。改編問題の再検証を含め、報道機関としての原点に返ることから出直すべきだ。
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/index-title.html

  

佐賀新聞
2005年1月27日付
NHK会長辞任 信頼回復はこれからだ

 NHKの海老沢勝二会長が経営責任を取って辞任した。視聴者の「信頼」なくしてNHKは成り立たないことを痛感させる。わが国唯一の公共放送が生まれ変われるか、改革は一歩を踏み出したにすぎない。視聴者の信頼を取り戻すためには、これからが正念場だ。
 職員による番組制作費の詐取が発覚して半年になる。この間、受信料の不払いは増えるばかり。予算案によると、二〇〇五年度の受信料収入は〇四年度より七十二億円減る見通しだという。
 このままでは経営基盤が揺らぎかねない。剛腕で知られた海老沢氏も来年七月の任期を待たず、後任にNHK再生を託さざるを得なかった。
 しかし、一件落着とはいかない。経営危機を招いた会長の辞任は当然だが、それで視聴者の不信感が解消されるわけではないからだ。
 問われているのは海老沢氏一人ではない。NHKの体質を変えるには改革案では不十分だし、現経営陣が総退陣して内部の空気を一新することが必要だったのではないか。
 後任が海老沢体制を支えてきた専務理事の昇格というのでは、国民の理解を得るのは難しいだろう。外部からの起用案を海老沢氏自身が拒んだとされるが、自らの影響力を残す狙いもありそうだ。
 会見で「対応の失敗はどの辺にあったか」と問われた海老沢氏は、「ほんの一部の職員、不心得者が法令違反というか、受信料を不正に使い込んでしまった」と答えた。
 受信料不払いがここまで急増したのは、経営陣が視聴者の不信感の大きさを見誤った結果といえる。
 視聴者の視線は「ほんの一部の不心得者」でなく、不祥事を生んだ組織そのものに向けられている。発言から浮かぶのは、ここに至っても世論に鈍感な権力者の姿だ。
 国民のメディアを見る目は、今日一段と厳しくなっている。権力を批判し、企業の不正を追及するメディアは、身内の不祥事の情報公開にも積極的でなければ信頼を失う。そこのところを、受信料という「公金」にあぐらをかくNHKの経営陣には見えていないのではないか。
 いまNHKは、番組改変問題でも揺れている。制作費詐取事件とは違った意味で、さらに深刻ともいえる。
 真実はやぶの中だが、朝日新聞が報じたように、戦時性暴力の責任者を裁く四年前の番組で、放送前に政治家から圧力≠ェあったのかどうか。NHK側は政治介入を否定しているが、国民は事実解明を真剣に見守っている。
 圧力があったと「言った」「言っていない」の水掛け論はおいても、政治家への番組の事前説明を当然視する姿勢は、NHKの「政治との近さ」と同時に「視聴者との乖離(かいり)」を浮き彫りにする。
 後任会長が一番に手を付ける仕事は、視聴者の信頼回復だ。不祥事を長く発表しなかったり、海老沢氏が国会に参考人招致された際には番組で生中継せず視聴者を裏切った。先月の特集番組「NHKに言いたい」でも組織改革の具体案を示せず不信感に輪をかける結果となった。
 NHKは「公開と参加」を経営理念にうたい、視聴者一人ひとりの声を吸収し、放送や業務運営に反映させる、と経営ビジョンで述べている。信頼回復の鍵は、その「公開と参加」の実現にあろう。
 聞き置くだけの「NHKに言いたい」や、形式化した番組審議会でなく、視聴者は参加意識を実感できる「対話」の場を求めている。経営委員会自ら先頭に立って具体化に知恵を絞り、視聴者との乖離を埋める努力を進めてほしい。(山田俊明)
http://www.saga-s.co.jp/pub/ronsetu/index.html

  

山陰中央新報 2005/1/26
NHK会長辞任/視聴者の信頼回復を急げ

 NHKの海老沢勝二会長が経営責任を取って辞表を提出、受理された。視聴者の信頼なくしてNHKは成り立たないことを痛感させた辞任劇だった。相次ぐ職員の不祥事に視聴者が受信料不払い・保留で不信を表し、その数は昨年十一月時点で十一万件を超えた。

 「深刻な事態」とNHKが認めた支払い拒否はその後も止まった様子はなく、経営の根幹を揺るがしかねない状況だ。政治記者出身で剛腕で知られた海老沢氏も二〇〇六年七月の任期を待たず、後任に再生を託さざるを得なかった。

 後任の会長が一番に手を付ける仕事は視聴者の信頼回復だ。不祥事を長く発表しなかったり、海老沢氏が国会に参考人招致された際、生中継せず、視聴者の関心を裏切った。昨年十二月の特集番組「NHKに言いたい」でも組織改革の具体案を示せなかった。

 国民はいま、メディアに厳しい目を向けている。権力を批判し、企業の不正を追及するメディアは身内の不祥事の情報公開にも積極的でなければ信頼を失う。NHKは今回その情報公開が遅すぎた。

 お目付け役の経営委員会も機能していたと言えない。組織上は会長を任命、罷免できるNHKの最高意思決定機関なのに、先の特集番組を見ても存在感がなかった。

 NHKは「公開と参加」を経営理念にうたい、視聴者一人ひとりの声を吸収し、放送や業務運営に反映させる、と経営ビジョンで述べている。信頼回復は、その「公開と参加」の実現にあろう。

 視聴者の代表から意見を聞く番組審議会があるが、NHK側の説明だけで終わっていないか。どこで、誰が、どんな論議をしたのか。それが視聴者に伝わっていたか。

 多くの視聴者は参加意識を実感できる「対話」の場を求めている。〇三年度の契約件数は三千六百九十万。数は多いが、対話の場を具体化させる知恵を求めたい。経営委員会を視聴者の意見を代弁する組織にするのも一案ではないか。

 視聴者との対話を実現する組織改革を進めると同時に、NHK職員には公共放送の従事者であることを自覚してほしい。

 視聴者の払う受信料は一種の”税金”で、「公金」だ。それで番組制作も約一万二千人の職員の給与も賄われている。

 視聴者は公金の使われ方に敏感になっている。「紅白歌合戦」の元担当者が番組制作費を着服していた。組織も職員意識も再点検してNHKには視聴者の信頼回復に努めてもらいたいが、一連の報道の過程で、NHKと政治家をめぐる問題が浮上した。

 真実はまだやぶの中だが、朝日新聞が報じたように、戦時性暴力の責任者を裁く四年前のNHK番組で、放送前に政治家から”圧力”があったのかどうか。NHK側は政治介入を否定している。番組は「改変」されたのか、編集上の「改編」だったのか、視聴者は知りたがっている。

 政治介入の有無はなおざりにできない。NHKであれ民放であれ、放送前にどんな形であっても政治家に番組内容を説明したり、”理解”を求めたりすべきではない。政治家が口を挟むと制作現場は委縮し、局内部の議論もおかしくなる。政治家も放送後に視聴者とともに論議すればいい。
http://www.sanin-chuo.co.jp/ronsetu/2005/01/26.html

  

産経新聞 2005/1/26
■【主張】海老沢会長辞任 原点からの出直しを図れ

 NHKの海老沢勝二会長が経営委員会に辞表を提出し受理された。三期目途中での降板だが、相次いだ内部の不祥事やそれらへの対応、姿勢に対する批判の高まりを受けたものだ。海老沢会長の責任はあまりにも大きい。辞任は当然で、むしろ遅きに失したというべきである。公共放送としてのあり方が問われているNHKを今後どう改革するか、後任体制の責務も重大だ。

 元チーフプロデューサーによる番組制作費詐取事件が発覚してから、職員の不祥事が相次ぎ表面化し、視聴者の怒りは受信料の支払い拒否という形で表れた。受信料収入はNHKの全収入の約97%を占める最大の柱だが、来年度予算案では、受信料収入が今年度より七十二億円も減少し、初の前年度割れになる見通しという。このような傾向が続くようでは公共放送の経営基盤を揺るがしかねない。

 NHKの病巣は根深い。八年半も続いた外部制作会社への架空請求、法外な経費の不適切処理、銀行通帳改竄(かいざん)やカラ出張・架空伝票での着服、備品の窃盗など、明るみに出た不祥事の数々は目を覆うばかりだ。

 不祥事をチェックできない管理体制の問題や、発覚後に隠蔽(いんぺい)工作を行うなど組織の不健全さも指摘された。

 さらに深刻なのは、会長など経営陣が不祥事を外部からの指摘で初めて知ったことであろう。都合のよい情報だけが伝えられ、都合の悪い情報は上に上がらないような組織は、とても正常とは言い難い。

 それは衆院総務委員会の放送問題でもうかがえた。生中継しなかったことで視聴者の強い批判を受けたが、参考人として招致された海老沢氏自身の判断だったという。会社やトップにとって都合の悪い問題への対応を間違った結果、さらに厳しい状況に陥るという点では貴重な反面教師といえよう。

 新体制に対する国民の監視の目は厳しい。NHKは受信料という公金で運営される公共放送であることを忘れてはなるまい。番組作りでは視聴率を意識し過ぎた制作姿勢や、特定の価値観・歴史観に偏ることは許されるはずもない。公共放送の使命とは何か、国民がNHKに求めているものは何か。新体制はこの原点に立ち返り、抜本改革に取り組んでほしい。
http://www.sankei.co.jp/news/050126/morning/editoria.htm

  

中国新聞 2005/1/26

 多くの視聴者は、ついにというより、やっと辞めたのかという冷めた受け止め方だろう。職員の不祥事で責任を問われたNHKの海老沢勝二会長が、きのうの経営委員会に辞表を提出し、受理された。「自分の手で改革を軌道に乗せたい」としてきたが、視聴者の強い批判を浴びて追い込まれた形だ。信頼回復がなければ、改革などはできない。思い切った新体制で出直すべきだ。

 NHKをめぐる一連の動きの発端は、相次ぐ職員の不祥事だった。

 番組制作局のチーフプロデューサーが、一九九七年から二〇〇一年にかけイベント企画会社社長に総額四千八百万円を不正支出、このうち二千万円以上を還流させ、飲食費や海外旅行などの遊興費に使った疑いで昨年暮れに逮捕された。ほかにも、ソウル支局長による取材費水増し請求や岡山放送局放送部長の不正経理などが、次々と明るみに出た。

 NHKの経費のほとんどは視聴者の受信料で賄われている。その「公金」が着服、横領されていたのだから、倫理観の欠如だけでなく、本質的な組織のありようについてトップの責任が追及されて当然だろう。多くの職員のルーズな使い方など、意識の問題であるからだ。

 海老沢氏は昨秋、減給処分を受け、衆院総務委に参考人招致された。ところがNHKはその質疑の模様をテレビ中継しなかった。問われたのは、国民の知る権利に答える放送ジャーナリズムとしての根本的な問題である。なぜなのか。信頼回復のため年末に行った特集番組「NHKに言いたい」で、海老沢氏は集中砲火を浴びて初めて「私の判断で生中継しなかった。やっておけばよかった」と答えた。国民の厳しい見方といかに遊離してしまっていたか、この事実だけを取っても明らかだろう。まさに「裸の王様」だ。

 それでも辞めない海老沢氏に視聴者は怒った。受信料の支払い拒否・保留が急増し、昨年十一月末で約十億円にも膨れ上がった。厳しい視聴者の姿勢は、大みそかの紅白歌合戦の過去最低の視聴率にも表れ、40%を割り込んだ。経営も悪化し、きのうの経営委で承認された予算案は、約七十二億円の減収見込みから史上初の前年度割れになった。

 経営悪化の責任を取って、十五人の役員が報酬の大幅カットを決めた。だが、それで済ませられるほど事態は甘くない。経営委は、不正や不適切な経理処理を防ぐチェック機能の強化へ、事務局を新設し、やっと改革へ動きだしたばかりだ。

 報道機関としての姿勢も問われている。政治介入があったかどうか、NHKと朝日新聞が反論の応酬をしている旧日本軍の従軍慰安婦問題の特番のケースだ。予算を認めてもらうため、放映前にわざわざ内容を政治家に説明するのが常態化していたこと自体が異様である。圧力の有無より、政治に弱いNHKの体質に問題の根がありそうだ。

 NHKは、公開性、透明性の確保など業務改革案を示しているが、職員全体の意識を変えない限り実効は上がらないだろう。今も多くの人が、良心的な番組を提供してきたNHKに期待している。そのことを胸にしっかり刻んでおいてほしい。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh05012601.html

  

東奥日報 2005/01/27
視聴者本位の意識徹底こそ

 NHKの海老沢勝二会長が、相次ぐ職員の不祥事と、それを契機に受信料不払いが広がった問題の責任を取ってついに辞任した。副会長と専務理事・放送総局長も辞表を出した。

 NHKの最高意思決定機関である経営委員会は、この人心一新などによって事態を乗り切りたい考えだが、トップを変えたから視聴者の信頼が回復するというほど傷口が浅くはあるまい。

 これまでNHKを支えてきた受信料制度、信頼される公共放送という二つの土台がむしばまれているようにみえる。

 広告放送を禁じられているNHKにとって、受信料は収入の約96%を占める大黒柱。ところが、今年三月末には不払いや支払い保留が全受信契約件数の1%を超え、四十五万−五十万件にまで膨らむ見込みという。

 不払いがさらに増えれば、報道機関としての独立性を保ち、政府の管理下に置かれないよう財政的支えとなってきた受信料制度が揺らぎ、経営が大打撃を受ける。

 不偏不党の立場から全国にニュースや番組を提供する視聴者本位の公共放送というもう一つの土台にも、疑問の目が向けられ始めている。

 従軍慰安婦を扱った特集番組の内容を変えて四年前に放送した問題で、NHKの幹部が放送の前に政治家に予算案の説明に行った際に番組の趣旨も説明した。

 番組は改編された。政治的圧力によるのか、NHKの意思で変えたのかの論争が行われているが、事前説明は問題はないというのがNHKの見解だ。

 そうだろうか。番組は自主的につくるものであり、事前説明は外部の干渉を招く危険をはらんでいる。避けるべきでなかったか。

 報道機関には欠かせない政治との緊張感が、予算案の国会承認を取り付けるために政治家と接触する機会が多いNHKの上層部には薄かったと言われる。

 上層部は政治家に神経を使う。放送現場に対する政治介入は恒常化していると内部告発した幹部職員もいた。

 反対に、視聴者との距離は広がっているのではないか。

 問題が起きたら視聴者にすぐに公表して説明すべき責任を果たしていない。不祥事に絡んで海老沢会長が参考人として呼ばれた国会審議を生中継しなかった問題で、そう指摘された。

 視聴者が必ず払ってくれる受信料という安定した制度にあぐらをかき、公金感覚がマヒしていたことが不祥事の多発の背景にあったともされる。

 納得できる再発防止策が示されない。責任の取り方は不十分だしトップはなかなか辞任しない。業を煮やした視聴者が、これまでに例のない広範な不払いの動きで抗議していると言えないか。

 一度損なわれた信頼を取り戻すのに大変な努力と長い時間がかかることは、不祥事で経営が苦境に追い込まれている多くの例が示している。

 政治との距離をしっかり保つ。これまであまり機能していなかった経営委員会は、きちんと経営をチェックする。公共放送の在り方について内部で活発に議論する。

 安くはない受信料は、視聴者の懐から出された大切な公金という意識の徹底を含めた不祥事防止策も欠かせない。

 トップ辞任で混乱に一区切りはついたかもしれないが、改革・再生に向けた一つ一つの取り組みはこれからが本番だろう。

 正確な報道や優れた番組を期待している思いをしっかり受け止める。信頼の回復は、橋本元一会長ら新経営陣ばかりでなく組織全体がそうした視聴者本位の原点を大切にして全力を尽くすことからしか達成できないのではないか。
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2005/sha20050127.html

  

東京(中日)新聞 2005/01/26
NHK新会長 納得できない内部昇格

 NHK会長を辞任した海老沢勝二氏の後任が内部昇格では国民理解を得られまい。公金意識が希薄化し、報道機関としての自覚を欠いた組織を立て直すため、外部から人材を招くべきだった。

 海老沢氏が問われるべきは、不正経理に関する処理の不手際から受信料支払い拒否の激増を招いたことだけではない。政治に弱いと批判されるNHKにした責任も重い。

 その後任が海老沢体制を支えてきた一人、橋本元一専務理事(技師長)とはどういうことか。これでは海老沢氏の影響力が残り、陰に陽にかかる政治的圧力もはね返せず、報道機関の使命達成はおぼつかない。

 経理不正は組織の一部に公金を扱う緊張感がなかったことを物語る。放送前で編集中の番組について特定政治家に説明に行くことを通常業務とする姿勢は、自立、自律すべき報道機関としての自覚を疑わせる。

 このような体質を変えるには公表された改革案では足りず、現経営陣が総退陣し、内部の空気を一新すべきである。

 新しい会長に求められる条件の第一は、高いジャーナリズム精神の持ち主であることだ。NHKは予算を国会に認めてもらわなければならないため政府や与党との関係が微妙だが、それだけに報道機関としての独立性が決定的に重要となる。

 公共放送の手本として語られる英国のBBCは、客観的であろうと常に心がけ、厳しい政府批判も辞さない姿勢が国民の信頼を得ている。

 第二に、大組織を束ねる権力に酔わず謙虚でいられることである。人選に当たった経営委員会は「政治家と親しい政治部出身者や海老沢氏にすり寄る人ばかり重用された」など職員の声に耳を傾けるべきだった。

 「受信料は公金」という基本認識が徹底していなければならないのは言うまでもない。

 こう考えれば、外部に人材を求めるしかなかったはずだ。

 NHKが抱える課題は多い。自分で選択できる有料放送が増える中で、受信機を設置しただけでNHKの受信料を払わなければならない制度への疑問は強まっている。携帯電話への情報提供など新分野への進出は、「民業圧迫」「肥大化」などと批判されている。

 NHKは国民負担に依存する特殊法人という点では公団や公社と同じだが、国民の方を向かず自己の権益拡大を図る特殊法人の体質を改革する動きの枠外に置かれてきた。

 経営委は最高意思決定機関として主体性を取り戻し、新しい時代の公共放送のあり方を考えてほしい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050126/col_____sha_____001.shtml
http://www.chunichi.co.jp/00/sha/20050126/col_____sha_____000.shtml

  

徳島新聞 2005/01/27
NHK会長辞任 海老沢色を一掃すべきだ

 NHKの海老沢勝二会長が辞任した。相次いだ不祥事が招いた受信料不払いにより、任期途中での引責辞任を余儀なくされたのである。

 遅きに失した辞任だった。会長が責任を明確にしない事態が続いたために、視聴者である国民は、かつてないほど不信や怒りを増幅させた。

 元チーフプロデューサーによる番組制作費着服が明らかになったのは、昨年の七月。続いてカラ出張や着服、不適切な経理処理が次々と表面化した。

 不祥事への対応も不適切だった。昨年九月には、海老沢会長が衆院総務委員会に参考人招致されたが、これを生中継せず、編集して後日放送した。海老沢会長の判断による措置だった。

 昨年末には生放送の特集番組「NHKに言いたい」が放映されたものの、改革案を具体的に打ち出せなかった。この番組で辞任を表明しなかったことを含め、海老沢会長の判断ミスが続いた。海老沢体制で組織が硬直化し、風通しが悪くなって機能不全に陥っていたのだろう。

 報道機関としての姿勢も問題視されている。旧日本軍の従軍慰安婦問題の特集番組への政治介入の有無をめぐり、NHKと朝日新聞は互いに非難をしているが、その中で番組内容の政治家に対する事前説明が常態化していたことが分かった。視聴者の信頼が損なわれて当然だ。

 NHKの収入は、ほとんどが受信料で占められている。予算のずさんな使われ方や不祥事への対応の甘さをみると、巨大化した組織の中で、国民が負担した「公金」を使っているという意識が希薄になっているとしか思えない。

 受信料の支払い拒否・保留は三月末までの見込みで四十五−五十万件に上るという。昨年十一月末の約十一万件から、さらに膨れ上がった。二〇〇五年度予算案では約七十二億円の減収を見込んでおり、初の前年度割れに追い込まれた。事態は深刻さを増している。

 苦境を脱するためには、海老沢体制を抜本的に変革する必要がある。失われた信頼の回復に向け、新執行部は不退転の決意で臨むべきだ。

 新会長には、橋本元一氏が専務理事・技師長から昇格した。しかし、この人選には疑問の声が少なくない。

 抜本的改革のためには、海老沢色を一掃する必要がある。また、政治家に弱い体質を根底から変え、高いジャーナリズム精神を確立しなければ、信頼回復には結び付かない。

 橋本新会長は、海老沢体制を支えてきた一人である。「これでは院政にならないか」と、新体制に海老沢氏の影響力が残ることも懸念されている。

 技術畑出身の会長は初めてだが、海老沢氏の出身の報道局、不祥事を起こした番組制作局を抱える放送総局を避け、消去法で選んだのであれば、あまりにも安易過ぎる。外部に人材を求める方がよかったのではないか。

 会長が交代しても、一件落着とはならない。ようやく抜本改革へのスタートラインに立ったにすぎない。

 国民の視線は厳しく、NHKが抱える問題は重い。公共放送の在り方、受信料制度が適切かどうかも問われている。

 危機打開のため、橋本新会長は役職員の意識改革を徹底し、政府や政治家よりも国民を最優先する組織につくり変えなければならない。
http://www.topics.or.jp/Old_news/s050127.html

  

新潟日報2005年1月26日(水)
会長辞任 NHKは変われるのか

 NHKの海老沢勝二会長が、元チーフプロデューサーの制作費着服事件など一連の不祥事の責任を取って辞任した。
 不祥事の続発に対する視聴者の反発は強い。受信料の不払いや保留は三月末までに五十万件近くに達すると見込まれている。海老沢会長の退陣を求める声は局の内外で噴出していた。
 NHKが改革や信頼回復を目指す上で、会長の辞任は当然であり、むしろ遅きに失した感もある。
 しかし、これでNHKの改革が緒に就くかといえば、はなはだ疑問だ。問われているのは、視聴者や制作現場より政治家や政府に顔を向けているとしか思えないNHK上層部の在り方だ。
 NHKは予算の国会承認が必要なため、かねて「政治家に弱い」体質があると指摘されてきた。朝日新聞との間で論争になっている従軍慰安婦に関する番組の改編問題では、政治家に番組内容を事前に説明していた実態も明るみに出た。
 これが意味するところは重大だ。政治との距離の近さが、政府や政党との緊張感を失わせ、なれ合いを生んではいないだろうか。
 視聴者の受信料で運営されているNHKには、優れたバランス感覚と政治におもねることのない気概が求められている。
 海老沢会長は番組改編問題については沈黙を保ってきた。政治と放送のかかわりが大きな問題となっているのに、なぜ積極的に語ろうとしなかったのだろうか。一連の不祥事や今回の番組改編問題で視聴者は、NHKの説明責任を問うているのだ。
 NHKは人心を一新して出直すという。経営委員会は事務局体制を強化し、改革に乗り出している。外部の有識者による評価委員会の設置も決めた。
 だが、視聴者の信頼を回復するのは容易なことではあるまい。「公平で質の高い放送」と「公平な受信料支払い」というNHKの両輪が揺らいでいるからだ。
 政治家にお伺いを立てるかのように事前に番組内容を説明することが、放送法の精神に照らして妥当なのかどうか。経営委員会にはこうした点にも鋭くメスを入れてもらわなくてはならない。
 受信料支払い拒否の広がりで、二〇〇五年度のNHK収入は〇四年度より七十二億円も減収となる見通しだ。過去に例のない事態である。
 NHKはいま未曾有の危機にあるといっていい。政治と一線を画し、視聴者への説明責任を最優先する組織に脱皮できるかどうか。会長が代わっても中身が変わらなければ意味がない。
http://www.niigata-nippo.co.jp/column/old_search_sya.asp

  

北海道新聞 2005年01月26日
NHK問題*「人心一新」で片付くか

 NHKの海老沢勝二会長が経営委員長に辞表を提出し受理された。二○○五年度予算案を提出し、来年七月までの任期を残して一連の不祥事の責任をとった。

 不祥事に追い打ちをかけるように噴き出した「政治家による番組への圧力問題」の渦中での辞任である。

 不祥事、番組問題いずれにおいても、公共放送としての体質が問われた。人心一新と併せて改革案を打ち出したとはいえ、これで問題が一気に片付くかは疑問だ。専務理事から後任会長になった橋本元一氏には、うみを出し切る改革を断行する覚悟が問われる。

 海老沢氏辞任は、止まらない受信料不払いが引き金になった。不払いは、職員による番組制作費着服など金銭をめぐる不祥事と、説明をなおざりにしたNHKへの視聴者の怒りである。

 昨年十二月の検証番組で海老沢氏自身が試みた釈明は、視聴者には受け入れられなかった。不払いは止まらず、昨年十一月末の十一万三千件が、三月末に五十万件近くに膨らむ見通しだという。辞任はやむを得まい。

 改革は給与削減や、金銭に関する職員のコンプライアンス(法令順守)意識の向上、視聴者の声を聞く機会を増やすなどだ。海老沢氏は改革に道筋がついたことを辞任の理由に挙げたが、これでたちまち不払いが解消するほど、事態は甘くはないだろう。

 一方、圧力疑惑で問われているのは予算、事業計画を政府や国会に握られているNHKと政治の関係である。

 政治家の圧力で番組内容が変えられたと朝日新聞が報じ、番組制作責任者のチーフプロデューサーが、圧力があったと実名で証言した。

 名指しされた安倍晋三氏は圧力を否定し、中川昭一氏は番組放送前にNHK幹部と会ったことを重ねて否定した。朝日新聞が取材したNHK元幹部も、話したことが正反対に報じられたと糾弾した。

 NHKが公開質問状を突きつけたのに対して朝日新聞は司法の場に持ち込む姿勢を示し、争いは泥沼状態だ。両者には、事実関係を整理しきちんと国民に説明する責任がある。

 しかし、一定の立場を鮮明にしている政治家に、問題になりそうな番組の内容を事前に説明していた事実は見過ごしにできない。圧力のあるなしを争う以前に、政治家への番組の事前説明を「通常業務の範囲」とするNHKの姿勢に問題はないか。

 政治を意識せざるを得ない組織であるがゆえに、政治との距離を常に心掛けるべきだろう。政治家への事前説明を日常的に行う報道機関が、公平という点で信頼を得られるか疑問だ。

 会長辞任に至り、改革案を打ち出しても、公共放送として重大な岐路に依然立たされている。その認識を新経営陣が持つことが大事だろう。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20050126&j=0032&k=200501261659

  

毎日新聞 2005年1月26日
社説:NHK会長辞任 改革はこれからが始まりだ

 NHKの海老沢勝二会長が辞任した。NHKをめぐっては、従軍慰安婦問題を取り上げた特集番組について報じた朝日新聞との間の争いが注目を浴びている。しかし、問題の発端は元チーフプロデューサーの詐欺事件であり、その後も他の不祥事が次々に明るみに出たことだった。

 視聴者への説明もまずかった。海老沢会長らが参考人出席した国会での質疑を生中継せず、後で間引いて放送したことや、昨年末に行われた2回目の番組でも、おわびの言葉が繰り返されるばかりで、説得力が乏しかった。経営陣をチェックするはずの経営委員会が、実は名ばかりの組織であることも明らかになった。

 受信料という公的な資金でまかなわれているにもかかわらず、ずさんな運営がまかり通っていること、そして、それを隠そうとする体質に視聴者の怒りが渦巻き、受信料の不払いが急速に拡大していった。

 海老沢会長の辞任は、受信料不払いの拡大という重大な危機を招いたことについて経営責任をとったものと言えるだろう。NHKは役員報酬や職員の給与カットも行うほか、職員研修や視聴者との対話を強化し、金品を伴う懲戒処分はすべて公表するなど改善措置をとるという。

 また、NHKのあり方について検討する有識者懇談会を設けることも発表した。検討対象には公共放送の役割も含まれるそうだ。抜本的な改革が必要であることは明らかで、腰を据えた取り組みが必要だ。

 デジタル化や通信との融合で放送の仕組みと役割が従来と大きく変わっている。その中でNHKは地上波の他に衛星放送を運営し、さらにインターネットを使った情報発信などにも力を注いでいる。衛星を使った24時間ニュース放送も実施すると強調している。

 しかし、受信料収入でまかなう公共放送にはおのずと守備範囲があるはずだ。これも時代に即して改めるべきだが、既成事実を積み重ねる形でNHKは事業範囲を着々と広げてきた。さらに受信料でつくった番組と連動する形で、ファミリー企業を通じて出版事業やイベントを展開し、収益事業を拡大している。

 政治との関係も変だ。国会議員に予算や事業計画などを説明する際に担当役員を同行させ番組の説明をするのは通常業務の範囲なのだという。報道機関としての姿勢に問題があるように思う。

 現在の受信料制度は果たして妥当なのだろうか。放送法が出来たころと時代は大きく違っている。

 作業が進められている地上波のデジタル化が完了すればNHKは受信料未払い世帯に対して視聴をできなくすることが可能となる。テレビを設置すれば自動的に受信料の支払い義務が生じる放送法の規定は改めてもいいのではないだろうか。

 これで一件落着としたら島桂次元会長の辞任騒動の二の舞いになるだけだ。会長辞任はNHK改革の始まりに過ぎない。
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20050126k0000m070134000c.html

  

南日本新聞 【海老沢氏辞任】消えない視聴者の不信 2005/01/26

 NHKの海老沢勝二会長が辞任した。元チーフプロデューサーによる制作費着服事件など一連の職員の不祥事で視聴者の信頼を失い、受信料不払い・保留の急増を招いた経営責任が厳しく問われていた。

 引責辞任は避けられなかった。むしろ遅きに失したという見方もある。

 NHKが経営委員会に提出した予算案によると、受信料不払い・保留は11万件を大きく超え、2005年度の受信料収入見通しは04年度予算比で72億円の大幅減額になっている。

 経費節減のため、NHKは役員報酬の15%カットを予定している。職員の賃金カットも考えられる状況という。

 受信料収入が前年度割れしたことは過去に例がない。不祥事を理由にした視聴者の受信料不払い・保留が経営基盤を直撃していることは間違いない。

 しかし、経営陣からはそうした危機感はうかがえなかった。昨年12月に海老沢氏が生出演して釈明のための特集番組「NHKに言いたい」を放送したが、放送後も批判はやむ気配がなかった。

 海老沢氏自身が会長としてけじめをつけないことには、非常事態に歯止めをかけられないことは明らかだった。

 会長職に恋々としないと言いながら、批判にきちんと向き合おうとしない姿勢は居座りと映った。不誠実ともとれる対応がNHK不信に拍車をかけた。

 不祥事への対応もまずかった。海老沢氏が参考人招致された衆院総務委員会の質疑はテレビ中継しなかった。

 NHKは、専務理事・技師長から会長に昇格する橋本元一氏の下で再生に取り組むことになりそうだが、長い苦難の道が待ちかまえている。

 まず取り組むべきは視聴者の信頼回復である。そのためには公共放送の原点に立ち返り、経営体質の抜本的改善を進めなければならない。受信料の重みをいま一度かみしめてもらいたい。

 海老沢体制は7年半に及んだ。NHKはこの間、巨大組織ゆえの事なかれ主義や無責任体質がはびこっていなかったかという厳格な検証が求められる。

 同時に積極的な情報公開と視聴者との対話が欠かせない。情報公開は、たびたび指摘されてきたNHKと政治とのあるべき距離を維持するためにも必要だ。

 NHKの最高意思決定機関である経営委員会もチェック機関としての機能の不全が指摘されて久しい。徹底した機能の再点検を急ぐべきである。
http://373news.com/2000syasetu/2005/sya050126.htm

  

宮崎日日新聞 2005年01月26日

海老沢会長辞任 国民総力で社会秩序再構築を

 職員らが起こした一連の不祥事を引責し、海老沢勝二NHK会長が辞任した。同じように“天皇”として望むままにさい配を振るった堤義明西武グループ会長、渡辺恒雄プロ野球巨人軍オーナーらも失脚している。個々の理由に違いはあっても、権力が一人に集中する弊害が事業体の活力を欠く、典型例であろう。

 NHKは従軍慰安婦特集番組改編問題でも、朝日新聞と激しい論争を展開している。全事象が報道の信頼性を失わせている現実を指摘する声も高く、早急な対応が待たれる。“顧客”あっての企業活動、という原点を大切にしたいものだ。

絶対権力の落とし穴

 海老沢会長辞任を受けた麻生太郎総務相は「NHKは何となく、信頼感がなくなってきている」と話した。立て直しが急務に違いないが、簡単ではあるまい。相次ぐ不祥事で見切りを付けた視聴者は受信料不払い・保留のお灸 きゅうを据えており、件数は十一万件を超えている。

 企業体のトップが「絶対権力」を握ると周辺は委縮するか、陰でサボタージュに走る事態も生じる。その顔色ばかりをうかがい、積極的な事業展開から身を引くケースは他でも多聞する。

 一線を退いた堤会長は、役員会を欠席することが日常だった。「私の居ない方が意見がいろいろと出る。だから、エスケープするのは“確信犯”だ」と語っている。権力者の孤独といえば聞こえもいいが、経営者が足元を把握できない風通しの悪さ、を招きかねない。

 NHKの受信料収入見通し(二〇〇五年度)は前年度比で七十二億円のマイナスという。国民と信頼関係が破たんした今、存続基盤を揺さぶりかねない危機を実感すべきである。

「公平」の判断は国民

 権力者がさらなる“力”を求めて政界と癒着する構図は、どの業界でも見聞きされる。その延長線上で疑惑を取りざたされるのが、NHKの従軍慰安婦特集番組改編問題といえよう。

 政治的な圧力はかけていないと真っ向から否定する安倍晋三、中川昭一衆院議員、是認するNHKのタッグに対し、それを報道した朝日新聞の反発は水掛け論の様相を呈した。

 取材源の秘匿は報道の根源を支える権利だが、ここは情報を開示するか、司法判断を仰ぐ謙虚さが関係者にあるべきだ。公平・中立な報道か、そうでなかったのかを判断するのは国民側にある。証明する必要があろう。

 NHKが起こした数々の不祥事を海老沢会長が知っていたのか、知らなかったのか。トップが責任を取るのは当然として、了ではない。「公共放送」というぬるま湯的な“親方日の丸”体質は根深い。連続して発覚した不手際に、「すべての事故を公表することにしたからにすぎない」と居直った幹部の発想が典型例である。全職員が覚悟して今後にあたるべきだ。

 テレビ放送の世界はデジタル化が進む。新聞も電子化が近く始まるに違いない。世界情勢は混迷の一途にある。必要に迫られて情報技術(IT)社会に拍車が掛かろうし、一翼を担うマスコミ業界の姿勢はより真摯(しんし)でなくてはならない。

 一握りの人物が世の中を牛耳るさまは、非民主的である。海老沢会長辞任を機に、国民総参加で社会秩序を構築するタイミングである。
http://www.the-miyanichi.co.jp/news/index.php3?PT=4&DT=20050126

  

読売新聞 2005/1/26/
 [海老沢会長辞任]「NHK新体制は信頼回復を急げ」

 NHKの海老沢勝二会長が辞任した。三月末とみられていた時期を二か月前倒ししたのは、増える一方の受信料不払いを食い止めるため、一刻も早く人心一新を世間にアピールする必要に迫られたからだろう。

 昨年夏以降、番組制作費の使い込みなど、不祥事が相次ぎ発覚した。受信料不払いが急増し、十一月末には十一万三千件に達した。

 先月、検証番組で海老沢会長が弁明し謝罪したが不払いの流れは止まらなかった。経営陣は三月末の不払いは四十五万件から五十万件に達すると見ている。

 来年度予算は、受信料収入が今年度よりも72億円少ない初の減額予算となった。会長としての経営責任が厳しく問われるのも、必至の情勢だった。

 海老沢氏が会長にとどまり続けることを理由に、受信料を払わない視聴者もいた。だが、不祥事を生むNHKの体質に抗議の意味で支払い拒否に転じた人も多かった。会長交代で、すぐに不払いが止まることは期待できない。

 後任の橋本元一新会長の責任は、極めて重い。経営、業務改革にリーダーシップを発揮し、視聴者の信頼回復のため、まずは不祥事の再発防止に向けた具体策を提示しなくてはなるまい。

 経営委員会は、受信料体系の在り方や公共放送の役割を検討する有識者懇談会の設置を決めた。“お飾り”にせず、機能的に活用することを望みたい。

 不払い問題に加えて、NHKが四年前に放送した特集番組「問われる戦時性暴力」の改変問題が論議を呼んでいる。

 番組の企画は関連会社から持ち込まれ、採用を決めたNHKは、関連会社に制作を委託した。

 実際には「孫請け」にあたる制作会社が担当し、その編成内容にNHKのディレクターらが編集を加えた。できあがった番組を見て、編集幹部らが内容の変更を求めた。

 この内容変更の過程で、当時の安倍晋三官房副長官、中川昭一・現経産相の圧力があった、と朝日新聞が報じ、これを否定するNHK、両氏と、論争になっている。論点移しをすることなく、事実関係を厳密に検証しなければならない。

 ただ、それとは別に、教養番組とはいえ、放送法上の中立・公平性が問われるテーマだ。NHKのスタッフが、制作過程全般にもっと深くかかわり、当初から責任を持って取材、編集に当たるべきではなかったか。

 会長交代で再生へのスタートを切るNHK。この機に、番組作りの制度全体を検証してみることも必要だ。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050125ig90.htm

  

琉球新報 2005年1月24日(月)
海老沢会長辞任へ・改革こそ視聴者への引責

 NHKの海老沢勝二会長が辞任する意向を固め、新年度予算案が提出される二十五日の経営委員会に辞意を伝えるという。昨夏の不祥事発覚以来、受信料不払いが急増し、引責辞任するほかなくなった。

 だが、これで危機を脱出できるとは限らない。折しも今、NHKは番組制作に対する政治的圧力をめぐり、朝日新聞と“泥仕合”とも言える異例の事態にある。報道機関としての在り方も問われ、会長辞任で信頼を取り戻すことができるかは、なお疑問だ。

 NHKの柱は「公平で質の高い放送」「公平な受信料支払い」だ。後者は不祥事によって視聴者の反撃に遭い、受信料不払いが激増している。昨年十一月未で徴収額は約十億円という。重要なのは「払わなくていいのなら払わない」という不公平感の増幅だ。「公平」が音を立てて崩れている。それを防ぐために、NHKがどう説明しても不払いを決めた視聴者には、理解を得られないからつらい。

 もう一つの「公平で質の高い放送」も怪しくなった。今回、NHKが言うように朝日新聞の報道が虚偽報道であったにしても、NHK自身が語った言葉から、視聴者は大きな疑問を感じている。

 明白な事実は番組放送前日に政治家に会い、番組の内容を説明していた。政治家から「公正・中立な立場で報道を」との意見があり、その後、番組は四十四分から四分短い四十分に編集し直して放送された。この事実は報道機関として驚きだ。しかも、事前の番組内容の説明は、通常業務だという。

 この感覚が視聴者と懸け離れている。公共放送のNHKに視聴者が求めているのは、政治におもねることなく、国民の側に立ち、自らの目で取材し、自らの頭で考えて編集された番組の放送だ。参考人招致された生中継を見送った際、海老沢会長の理由とした「編集権」が、そのことではないのか。

 しかしそうであっても、なお多くの視聴者は、質の高い番組を制作できるNHKに期待している。その期待に応えるには、透明な経営と、政治家ではなく視聴者・国民を意識した「改革」しかない。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/shasetu/sha30/s040124.html#shasetu_2

  

琉球新報 2005年1月31日(月)
NHK3顧問辞任・視聴者向いて体質改善を

 海老沢勝二氏の会長辞任によって一段落、今後は改革に向けて歩み出すと思われたNHKが、またまた混乱した。今度は海老沢前会長ら三氏の顧問就任に対して視聴者が反発したことで、辞退する騒ぎとなった。

 あまりにもNHKは視聴者を知らなすぎる。感覚がかけ離れすぎる。これで、ほんとに改革はできるのだろうか不安だ。

 三顧問の辞任申し出を明らかにした橋本元一会長の記者会見の様子を見ていると、いかに視聴者の心情を知らなすぎるか、よく分かった。顧問就任に対する視聴者から六千五百件もの抗議の電話に、「こんなに大きな波になるとは―」と予想外な顔をしたが、これは「NHK問題」の認識の薄さを物語っている。

 海老沢前会長も昨年九月に不祥事が発生した際、視聴者の反応を見誤り、委員会の生中継をしないなどのまずい対応で、怒りを一層大きくさせた。今回も同様だ。視聴者をまったく意識せず、従来の体質そのままにやった結果が、怒りを増幅させている。

 人事の刷新で、「視聴者の信頼回復」へと踏み出すことを誓った翌日に、三氏を抜き打ちで顧問に就任させたのでは、信頼回復は一歩も進むはずはない。一般の会社なら、容易に予測できる社外の反応を、読めないことに驚く。

 海老沢氏らの「豊富な知識と実績」までは、否定しない。しかし、「円滑な業務運営」を優先させ、視聴者の怒りがどこに向いているかを認識していない。視聴者の海老沢体制への怒りで、人事刷新を迫られたことを忘れている。

 慣例で顧問に就任させ、会長の専権事項だからと経営委員会にも報告しない。「危機」に直面しながら、何ら疑問も持たず前例を踏襲する。改革に危うさを感じる。

 視聴料不払い・保留がやまない。従来の体質をひきずったままだからだ。視聴者に近づき、その意見を基に、改革を目に見せなければ、まだまだ遠のくはずだ。NHKに期待する視聴者が圧倒的に多い今のうちが信頼回復は早い。今度こそ全役職員が一体となり、視聴者を向いた体質改善を急ぐべきだ。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/shasetu/sha30/s040131.html#shasetu_2

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