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JR西日本のような日本型封建組織に入ったら最後、日本人のほとんどが集団帰属型人間になる
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/291.html
投稿者 TORA 日時 2005 年 5 月 05 日 22:17:07: CP1Vgnax47n1s

(回答先: 問題があるのは認めなければならないとして、日本の精神構造が劣っているとは限らない 投稿者 考察者K 日時 2005 年 5 月 05 日 14:32:15)

テックベンチャー2005年5月4日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr161.htm
                           山本尚利

タイトル: JR西日本社員とビロンガー

1.JR西日本の企業体質

 2005年4月25日、兵庫県尼崎市のJR福知山線にて悲惨な転倒脱線事故が起きました。(注1)事故から1週間、マスコミではJR西日本の幹部や社員の体質が注目されています。まず、業務ミスした運転士には、自殺者まで出した悪名高い「日勤教育」(注2)という懲罰的研修が行われたことが判明しました。尼崎事故の事故車両の運転士(本事故にて死亡)も車掌時代に業務ミスの懲罰として恐怖の「日勤教育」を受けた経験があるそうです。事故直前、同運転士(享年23歳、運転経験11ヶ月)は技量未熟のため、またもオーバーラン・ミスをやってしまい、日勤教育の悪夢が脳裏をよぎったのでしょうか、ミスの隠蔽工作までしていたことがわかりました。その後、このミスによる90秒というわずかの時間遅れの挽回のために無理な高速運転を行った。そして尼崎駅手前の魔の急曲線部における速度オーバーが先頭車の転倒脱線を誘発し、歴史に残る悲惨な大事故を招いたといわれています。当該事故箇所は、福知山線車両の東西線(大阪市街地用幹線)への乗り入れのため、1997年の線路付け替え工事で生じた急曲線部(自然に逆らう設計変更)でした。マーフィーの法則どおり、経験豊富な設計者が懸念する箇所で事故が起きる確率は高いのです。したがって、不自然な設計変更は理論的には安全対策をクリヤーしたつもりでも、経験的には常に要注意箇所です。これは設計マンの常識です。ところが、JR西日本は民営化後、勘の働く技術者が枯渇していたのでしょう。不安箇所の安全対策が実に不備であった。そしてマーフィーの法則どおり、事故は起きたのです。ところで、JR西日本は福知山線では秒単位の運行管理を強行していたといわれていますが、それならば、未熟な運転士のあせりは手に取るようにわかります。

 事故直後、JR西日本の幹部は、事故原因を置石や未熟運転士の人的ミスで片付けようとしたのです。そして、国土交通省大臣から軽率だと厳しく批判された経緯があります。しかも、運転士が死亡した今、生き証人となった事故車両の車掌の口封じをやった疑いもあります。絶対にやってはならないことです。さらに、お粗末なことに、運転士の人的ミスがあっても安全走行できるような新型ATSが事故箇所には設置されていなかったのです。もし、当該事故原因がスピードオーバーであるならば、関東地域の通勤車両では完備されている、ありふれた新型ATSが設置されておればこの事故は防げたのです。マーフィーの法則に精通している技術者なら、強引な設計変更箇所には、絶対に新型ATSを設置したはずです。福知山線通勤車両は秒単位の運行管理を必要とするほどの、過密ダイヤとなっているなら、なおさらのこと、万全の安全対策をすべきであったのです。にもかかわらず、安全は二の次にされていたことが判明しました。600人近い乗客を運ぶ過密ダイヤの通勤電車を未熟な運転士ひとりに任せていたのもまったく非常識でした。いかなる公共輸送機器も万全の安全対策あってこそのワンマン・コントロールであることが鉄則です。この基本がJR西日本幹部にわかっていなかった。また最近、停車駅をひとつ増やしたのに、トータルの運行時間を変えなかったそうです。その代わり、直線部の制限速度を100km/hから120km/hに引き上げた。つまり、安全度レベルを下げることで姑息な対応したのです。実に恐ろしいことです。これらの驚愕的新事実の発覚は日本全国の国民に衝撃を与えました。さてJR西日本にとってのドル箱路線である福知山線は事故後の原因調査による全線不通で、1日3000万円の機会損失的な収入減が生じているとのこと。そこで、新型ATS(事故前から6月設置予定)を導入することなく、現状のまま、早期に運行再開することを内部決定しました。この決定についても国交省大臣の怒りを込めた拒否サインで、一転、新型ATS工事に入りました。すぐにできるなら、なぜすぐ工事しないのか?この対応には誰でも怒ります。この場面でも、JR西日本の幹部は、本音ではまったく反省していないことが露呈しました。さらに、JR西日本の体質を雄弁に物語る、きわめつきが発覚しました。それは当該事故車両に、JR西日本の運転士や社員数人が通勤のため乗車していたのに、事故後、被害者救助活動をせず、現場から逃避したことが、事故後に発覚したことです。本件も最初、JR西日本はその事実を認めなかったとのこと。ここまでも、幼稚な対応をされると、もはや開いた口がふさがらなくなります。

2.JR西日本の幼児性とはいったい何だ!

 上記のようにリスクマネジメントが誠にお粗末な日本企業はJR西日本だけではありません。戦前の旧日本軍を源流に、最近、記憶に残るのは、雪印乳業の牛乳食中毒事件、雪印食品の牛肉偽ラベル事件、三菱自動車の自動車部品欠陥隠し事件、(注3)(注4)そして関西電力美浜原子力発電所の冷却水配管破裂事件などが挙げられます。(注5)(注6)

 JR西日本の体質は、過去、リスクマネジメントがあまりにお粗末で、大事故や大事件を起こした有名大企業の閉鎖的、隠蔽的な封建体質と共通点があります。JR西日本も戦前の旧日本軍の封建体質を引きずっているような気がします。これは実に根の深い問題であり、分析し始めればキリがないでしょう。そこで、この問題を一言で表現すれば、戦後の日本思想家第一人者、丸山真男が「抑圧の委譲」(トカゲの尻尾切り)とか「途方もない亡国の無責任体制」と呼んだ日本型封建性(古層)のなせる禍(わざわい)ではないでしょうか。

 2000年の歴史で培われた日本人の性(さが)ともいえます。キムジョンイル万歳を発する北朝鮮国民を、われわれ日本人は決して嘲笑することはできません。

 上記のJR西日本のような企業体質は、日本人のDNAにビルトインされた国民性と無関係ではありません。筆者はそれを「ビロンガー:Belonger」と命名しています。(注8)

3.ビロンガー論で説明できるJR西日本の体質

 ビロンガー:Belonger(造語)とは、筆者の所属したSRI(スタンフォード研究所)で開発されたVALS(Value & Lifestyles)という米国人の国民価値観プログラム(企業のマーケティング戦略に利用される)で定義される米国人のタイポロジーのひとつです。簡単に言えば、集団帰属型人間(寄らば大樹)を意味します。(注9)またベンチャーの反対語でもあります。

 ところで、JR西日本の体質は日本人の国民性に起因するのではないかという指摘はすでに、ネット上で発表されています。(注10)

 JR西日本の社員は、上から下までビロンガー一色、おのれの所属する組織の防衛を最優先し、外界社会との内外ギャップが著しくなります。所属する組織内でのみ精神的安心感を得るビロンガーは往々にして、機械的ロボットのように指示待ちの思考停止に陥ります。JR西日本の幹部も社員もこぞって、お客の安全より所属組織の身内の安全を最優先するようになります。しかもその倒錯心理に気付かないのです。救いがたい病根です。JR西日本のような日本型封建組織に入ったら最後、日本人のほとんどが、上記のようなビロンガーに嵌ります。

 さて筆者と同じ早稲田大学教授である山本武利氏は文芸春秋2003年11月号にて、親日家エド・ライシャワー大使の素顔を暴露しています。ライシャワーは、日本人は「羊のように従順な国民」であると喝破(蔑視)していたそうです。(注11)これこそ、筆者の命名したビロンガーそのものです。

 ライシャワーは日本人の幼児的ビロンガー性を見抜いており、その分析結果は今日まで、米国連邦政府の対日戦略エリートの対日支配政策に連綿と活かされていると思われます。

 話変わって2005年のゴールデンウィーク、ポスト小泉と自他共に認める次期総理候補最有力者、安倍晋三氏はじめ、日本の有力政治家40人以上が、ワシントンDC詣で渡米しているそうです。まるで、日本国家の次期総理候補者は米国連邦政府に指名されるのが当然であるかのように振舞っています。その意味で次期総理候補者とその取り巻き連中も同じく倒錯しています。彼らはディック・アーミテージなど親日政治家と目されている人たちに競ってアポを取っているそうです。しかしながら、筆者に言わせれば、米国人の親日家ほどマユツバものはないでしょう。内心どのように見られているか知れたものではない!

 ところで、戦後の日本人から日本民主化の恩人と尊敬されているダグ・マッカーサー元帥の「米国人が45歳の大人だとすれば、日本人は12歳の少年である」という有名な一言は、(注12)日本文化に精通した米国人エリートの対日本人観を良く表しています。米国の対日戦略エリートにはわれわれ日本人の強み・弱みはすべてお見通しなのです。米国の対日戦略エリートは、マーケティング戦略を立案する感覚で、日本をいかにマーケティングすればよいかを日夜、考えています。そのために日本人ビロンガーとしての価値観も行動パターンも徹底的に研究し、すべてお見通しです。この構図は、テキサス・クロフォード牧場のカウボーイが家畜の子羊をさばくのと同じ感覚です。手馴れたものです。

 彼らから、ビロンガー日本人がなぜ蔑視されるのか、それはビロンガーが思考停止に陥ると、近視眼的となり、リスクに対処するための未来想像、すなわちシナリオ発想ができないからです。米国エリートからみれば、近視眼ビロンガー企業、JR西日本は「安物買いの銭失い」にしか見えないのです。ちなみに90年代、MOT(技術経営)で日本が米国に負かされた原因もここら辺にあります。

注1:ベンチャー革命No.160「JR尼崎事故:MOT的分析」2005年4月29日(改正)

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr160.htm

(改正:当該事故箇所のカーブ半径の計算値を200mから300mに修正した場合のコメント追加)

注2:日勤教育を苦にして自殺したJR西日本(元)社員の服部匡起(まさき)の実父の訴状(平成14年9月、JR西日本に対する訴訟の訴状)

http://www.jr-souren.com/outlaw/sojou.htm

注3:テックベンチャーNo.63「品質大国日本」2000年9月13日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00013.htm

注4:テックベンチャーNo.99「日本のモラル崩壊」2002年2月19日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00034.htm

注5:ベンチャー革命No.103「悪魔の宝くじ:美浜原発事故」2004年8月10日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr103.htm

注6:ベンチャー革命No.106「美浜原発事故その後:寿命設計?」2004年8月13日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr106.htm

注7:ベンチャー革命No.33「丸山真男の遺言」2003年1月2日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr033.htm

注8:テックベンチャーNo.29「ベンチャー精神を妨げるビロンガー根性」1999年7月21日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00004.htm

注9:マルチメディア・インターネット事典:ビロンガー

http://www.jiten.com/dicmi/docs/k27/21596s.htm

注10:株式日記と経済展望「逃げ道にない社会システムに適応した結果であること:

自由の剥奪が日本人の生活の根底にある精神構造」2005年5月4日

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu94.htm

注11:山本武利「親日家ライシャワー本当の顔」文芸春秋2003年11月号

http://www8.ocn.ne.jp/~m20th/backnumber2003.html

注12:ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」岩波書店、2004年、下巻374ページ

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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