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食料自給率40% 日本農業に未来はあるか 【SENKI】
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/654.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 9 月 19 日 05:09:43: ogcGl0q1DMbpk

食料自給率40%

日本農業に未来はあるか

http://www.bund.org/culture/20050925-1.htm


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水牛・鶏・アヒルに豚

人と家畜が共存するベトナム農村

久保田誠


泥の中の水牛  

8月上旬、仕事の出張でベトナム北部を訪れた。わずか5日間のショートステイではあったが、喧噪と排ガスに包まれたハノイなどの大都市だけでなくベトナム農村の姿をかいま見ることができた。  

 ベトナムはアジアではタイに次ぐコメ輸出国だというのは知っていたが、この国はまさに「田んぼのための国」だ。デルタ地帯の水豊かな平野部では稲の青が地平線まで続く。広大なデルタを車で2〜3時間走って起伏のあるところまで来れば、こんどは「となりのトトロ」に出てくるような日本の里山風景とそっくりの田園風景が広がる。違うのは、家屋の造りが煉瓦造りということぐらいか。さらに山間部では一面の棚田風景。とにかく人の生活するところ、どこまでいっても田んぼなのだ。  

 代かきなどの農作業は水牛が主役。日本で″豆トラ≠ニ呼ばれる人が押して扱う小型トラクターも少しは見かけたが、ほとんど普及はしていない。かわりにどこの農家も必ず牛は飼っている。  

 水牛というと、田んぼの中で泥だらけになりながら重厚な鋤鍬(すきぐわ)を引かされ、こき使われているイメージだった。だが実際は、農耕や荷役を終えた水牛が、のんびりと畦を歩きながら草を食べている姿をあちこちで見かけた。水牛からすれば腹を満たすための食事なのだが、人間にとっては草取りをしてくれていることになる。道路沿いや河川の堤防のまわりも水牛にとっては「食堂」。だからベトナムの農村には、雑草が全然茂っていない。当然、草を食べた水牛は、後ろの方からボトンボトン「落とし物」をする。これがみな田んぼに肥料として鋤き込まれていく。  

 刈り取りの終わった田んぼでは、牛と違い体温調節の苦手な水牛が、炎天下の日差しから逃れて水(泥)浴びをしていた。水牛が泥田を歩き回れば回るほど、刈り取り後の稲の株は踏みつぶされ、表土もかき回されて空気が鋤き込まれていく。水牛の水浴びが「田おこし」になっている。なんて上手く共生しているんだろうと感心した。  

 農村部の家々では、水牛以外の家畜もいっぱい飼っていた。ニワトリ、アヒルや鴨などの水鳥、豚、赤犬(ペットではないことは、地元のおばちゃんの手料理で理解させられた)などが、放し飼い一歩手前の状態で生活している。

 
 ある農家の玄関先では、脱穀を終えたあとの籾殻をたたき一面に拡げてニワトリを放していた。ニワトリたちは籾殻の中に残った屑米を、器用にくちばしで探し出してついばみ、糞をしている。鶏糞も入り交じった籾殻が、あちこちで人の背丈くらいの高さに積まれていた。夕涼みの散歩道ですれ違った豚の群は、挨拶代わりに私の足に鼻先をこすりつけてきた。食事の帰り道だったようで、その鼻には米糠がびっしりとくっついていた。  

 以前、堆肥作りを勉強した際に、日本の先進的な有機農家が「これからは有畜複合」とか「有機農業から循環農場への転換」と訴えていることを知った。ベトナムの農村では、そうした農畜複合農業が、あたりまえのように実践されていた。だが、よく考えてみればそれは、日本では「農業の近代化・機械化」によって、とうの昔に失われてしまった東アジア伝統の農村のあり方が、ベトナムにはまだまだ残っているだけのことなのだ。  

 ただしベトナムの農村では、意識的に有機農業をやっているわけではないから、農薬もそれなりに使っているようだ。ベトナム語が話せない私には、どんな薬がどの程度使われているのかといった詳しい話を聞くことはできなかったが。  

 ベトナムの農村で働いているのは若者が多いし、田植えとなると若い女性たちが主役で、なんとも華やかだ。日本の農村が、高齢者ばかりになってしまっているのとはえらく違う。少なくとも農村については、日本よりベトナムの方が活気もあり豊かな生活を送っているように私の眼には映った。        

(設備工)


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石油なしでトラクターも潅漑設備も動かない

北朝鮮・ソ連型近代農業の破産

佐久間芳雄

 2003年末、私は実践社主催のツアーで北朝鮮を訪れた。北朝鮮では、ソ連崩壊による石油などの援助の中断によって、工業生産だけでなく農業生産も壊滅的な打撃を受けていた。石油不足でトラクターなどの農業機械が動かなくなり、農薬や化学肥料も生産できなくなってしまったからだという。だが、北朝鮮には、キューバのような有機農業への転換といった発想はなかった。石油輸入が途絶えたとき「石油漬け」の近代農業は崩壊する。その実例をまさに北朝鮮の今に見ることができる。  

 1953年の朝鮮戦争後、北朝鮮は、ソ連からの膨大な戦略援助を背景に、コルホーズ(国営農場)を中核とするソ連型近代農業への転換を進めた。北朝鮮の農村でも、それ以前は、日本の昔の農村と同じような伝統的な有機農業が行われていたのだが、そうしたものは「前近代的」と否定された。  

 その結果、北朝鮮では、すでに70年の時点で全農地の7割以上に灌漑施設が整えられ、7万5000台のトラクターをはじめ田植機・脱穀機・トラック等の農業機械が全土に配備された。さらに農村全域で大量の農薬や化学肥料の散布が実施され、北朝鮮は農業生産を飛躍的に増大させることに成功する。  

 だが1991年のソ連崩壊により経済援助がなくなり石油輸入が途絶すると、北朝鮮のソ連型の近代農業は完全に崩壊してしまう。98年10月、FAO(国連食糧農業機関)の現地調査団は、「水田では刈りとったイネが3週間以上も山積みのままにおかれ、田植機、トラクター、トラックその他の農機具の多くが使用されないまま放置されている」と、農業機械類の8割が燃料不足で動かなくなっていたと報告している。また灌漑設備も燃料不足で動かなくなり、水田のほぼ100%に灌漑施設が完備されている北朝鮮では、水の送れなくなった広大な水田が休耕田として放棄された。  

 かくして北朝鮮の農業生産は激減。トウモロコシでは89年の420万トンが96年には235万トン、99年には123万トンと減少を続けている。コメも玄米換算で89年に390万トン生産されていたものが99年には234万トンに激減してしまった。  

 99年、韓国に亡命したフアン・ジャンヨプ元労働党国際関係書記は、「食糧危機により、これまで約300万人が死んだ」という北朝鮮の公式推計値を発表した。北朝鮮の全人口約2250万人の14%が餓死したことになる。石油漬け農業という点では、北朝鮮も日本もかわりはない。北朝鮮の現状は、決して人ごとではない。   

(環境保全会社経営)


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輸入石油の21%を農業が消費

化学肥料・農薬漬けの日本農業

田端久志

 私は農協職員として、噴火後の三宅島の緑化事業や都市緑化にかかわってきた。政府・農林水産省や自治体は、「緑化」だとか、最近は「食育」(子どもたちに食べ物の大切さ、農業や環境を守ることの重要性を教える教育)だとかとさかんに言うが、化学肥料と農薬漬けという日本農業の現実は何もかわっていない。こうした状況を放置したまま、よく緑化だとか食育だとかと言えるものだとあきれてしまう。私が勤める農協でも、日々大量の化学肥料や農薬が販売されている。  

 日本の全石油消費量の1・6%、産業部門の石油消費の7%が直接の農業生産に使われている。さらに化学肥料、農薬、農機具などには、カロリー計算で農業生産投入分の約2倍の石油が消費されている。ここから推計すると農業分の石油消費量は7%+14%の合計で21%ということになる。まさに、日本農業は石油漬け農業だ。  

 環境保護だとか「食の安全」といった言葉がブームのようになっているけれども、実際有機農業を実践している農家はまだまだ多くない。化学肥料も農薬も使わない農業は、手間と労力がかかる上に、消費者が望むようなきれいな(虫も食わない!)作物をつくるのは簡単ではないからだ。  

 だが、化学肥料や農薬を使わなければ農作物ができないわけではない。昔の農村では、化学肥料も農薬も使わずに農業をやっていた。問題はどうやって土地の栄養分を増やし、害虫を退治するかだ。別項で江東さんがオルガノポニコやカンテロといったキューバ独自の有機農法を紹介しているが、キューバでは最先端のバイオテクノロジーと伝統農法を組み合わせたバイテク肥料やバイオ農薬も効果を発揮しているという。  

 容易に輸入できない化学肥料にかわってキューバでは、バイテク(バイオテクノロジー)を活用した微生物肥料が普及している。マメ科作物は一般的にリゾビウム根粒菌という窒素の固定化機能を持つ。それを利用して食用作物の輪作が行われている。さらにアゾトバクターと呼ばれるバクテリアを散布して作物にビタミンやホルモン、アミノ酸などを供給し、作物の生育を早めている。  

 害虫防除も、化学農薬にかわってバイオ農薬が使われている。人体に無害な微生物を、もみ殻等の培地で培養したり、害虫に対応した天敵(ヤドリバエやタマゴヤドリコバチなど)を育て、畑に放している。  

 インド原産のニーム(和名インドセンダン、学名アザディラクタ・インディカ)という植物は、「万能の自然農薬」としてキューバでは早くから注目されてきた。ニームは、成長が大変早く、半年で1m以上にも伸びる。その実を集めて乾かし、種子を取り出し、皮のまま細かく砕けば、それがそのまま農薬となる。畑のすみに一本植えておけば、自家製の農薬がいつでも手に入るというわけだ。  

 こうした有機農業技術によってキューバは、ほぼ100%の食料自給を実現した。石油も特別な物資も必要としないキューバの有機農業は、貧しい国にとっては非常に魅力的だ。バイテク肥料やバイオ農薬の技術を学ぶため、南米各地からは多くの研修生がキューバを訪れているという。私も、日本農業にかかわる者の一人として、有機農業を学びにキューバを訪れてみたいと思う。

(農協職員)


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キューバ式オルガノポニコに挑戦してみたい

江東拓実

 私が給食調理の仕事をしている小学校には、生ゴミ処理機が設置されている。子供たちが食べ残した給食の残りを投入し、発酵させて堆肥化するというもので、環境教育の一環だという。堆肥化はいいことだと思うが、給食を作る側としては「堆肥として再生するのだから、食べ物を残したっていいんだ」と子供たちが思ってしまうのではないかと不安な気がする。  

 環境教育というのなら、生ゴミ処理機といったハコモノ的な発想ではなくて、授業のなかで子供たちと一緒に給食の食べ残しで堆肥をつくり有機農業を実践する方がずっといい環境教育になるのではないかと私は思う。だけどそんなことは、農村の学校ならともかく畑も田んぼもない都市の小学校ではなかなか難しい。「都市で有機農業なんて、やっぱり無理か」とあきらめかけていた時、『200万都市が有機農業で自給できるわけ』というキューバ農業研究者・吉田太郎氏の本を読んだ。キューバ方式の有機農業なら、都市でも荒れ地でも、ちょっとした空間があれば有機農業ができる。これはいいとちょっと調べてみた。  

 カリブ海に浮かぶ島国キューバは人口1100万人、面積は日本の約3分の1。カストロ、ゲバラの「革命の国」として有名だったこの国は今、有機農業による食料自給(ほぼ100%)に成功した「有機農業革命」の国として世界中の注目を集めている。  

 別にキューバは、環境問題や「食の安全」といったエコロジー的な問題意識から有機農業をはじめたわけではない。キューバは、1991年のソ連崩壊と米国による経済封鎖で、石油も化学肥料も農薬も輸入できなくなってしまった。当時のキューバの食料自給率は4割程度(今の日本と同じ)。カストロ政権は「一人も飢えさせないこと」を最優先課題に、キューバ独自の有機農業への転換を選択していく。ここらへんは、さすが自力で米国の傀儡政権を打ち破り革命を成功させた国だけのことはある。  

 キューバの土壌は、ラトソル(ラテライト)と呼ばれる熱帯性のやせた土で、農業に向いている土質ではない。また、キューバ国民の約8割が首都ハバナをはじめとする都市に住んでいる。農村での農業生産だけではとても都市住民の食料をまかないきれない。そこで登場したのがオルガノポニコやカンテロなどのキューバ独自の有機農業技術だ。  

 オルガノポニコとは、ブロックや石、ベニヤ板や金属片で囲いを作り、その囲いの中に堆肥などを混ぜた土をいれ、「カンテロ」と呼ばれる苗床の中で集中的に生鮮野菜などの作付けを行う生産技術だ。カンテロというのは、ミミズを使った腐植土、いわゆる「ミミズ堆肥」による苗床のことだ。カンテロを開発するにあたっては、世界中にいる数千種のミミズの中からキューバの土壌に適した種が選ばれた。今やキューバでは、毎年10万トンものミミズ堆肥が生産されている。  

 オルガノポニコとカンテロによってキューバでは、ラトソルのやせた土地も、アスファルトやコンクリートなど土が全くない所も農地にすることが可能になった。カストロ政権は、都市の空き地、住宅のバルコニーや中庭、はたまた「コンデンスミルクの空き缶」に至るまで、どんなに小さな面積でも良いから作物を育てることを奨励している。  

 こうした努力の結果、97年にはキューバの農業総生産量でソ連崩壊以前の水準まで回復、その後も伸び続けている。作業労力は半分で済むようになる一方、産出量は2割以上アップし、投入エネルギー効率では、以前の倍以上となった。キューバは一人の餓死者も出すことなく食料危機を乗り切るとともに、「有機農業は非効率」という偏見を打ち破ることにも成功したわけだ。  

 『200万都市が有機農業で自給できるわけ』によると、有機農業への転換に際して一番たいへんだったのは、「ソ連が援助してくれる」「カストロが何とかしてくれるはずだ」といった「他人まかせの発想」を克服し「自分たちで何とかするしかない」とキューバ人自身が決意することだったという。これは私たち日本人にも「耳の痛い話」なのではないか。現在の日本では、キューバのように国をあげて有機農業への転換を目指すのは無理だとしても、今から少しずつでも有機農業に親しんでいきたいと思う。  

 そうした思いから先日、所沢の有機農家・荻野さんの家で、大学生たちに混じって茶畑の雑草とりを体験させてもらった。最初畑に案内された時は、「どこにお茶があるの?」と思うくらい雑草が鬱蒼と生い茂っていたのを、十数人で夢中になって抜いた。やがて姿を現したお茶の葉は、農薬をつかった周辺の茶畑に比べると不ぞろいではあったが、とても力強く見えた。作業の合間に飲ませてもらった冷茶のおいしさは格別だった。  

 だが、いいことばかりではない。有機茶畑では「茶毒蛾」という害虫に苦しめられる。触ると体中が痒くなったり、クシャミが止まらなくなったりする。5分ガマンすれば痒みは引いていくから、決して掻いてはいけない。「有機農業をやるからには、自然のいい面だけでなく、いやな面も受け入れていく心の広さがないとできません」と荻野さん。  

 よし次は、私自身がオルガノポニコに挑戦してみよう。    

(学校給食調理員)


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(2005年9月25日発行 『SENKI』 1190号5面から)

http://www.bund.org/culture/20050925-1.htm

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