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Re: テスト
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投稿者 クエスチョン 日時 2005 年 9 月 22 日 01:09:04: WmYnAkBebEg4M

(回答先: Re: テスト 投稿者 クエスチョン 日時 2005 年 9 月 20 日 20:08:35)

朝日の欺瞞。投票日3日前から、投票日、投票日翌日と朝日の社説ウォッチング。


 もっともらしい事を主張しているように見せながら、流れとしては、

9月8日 公務員削減 分権なしには進まないの主題を「郵政民営化」とからめて論じている。いわば小泉の「郵政民営化、是か非か」限定誘導を側面援助している。

9月9日 小さな政府 国の将来像を競い合えと言うことで、「「市場の失敗」にも目配りした中型か、やや大きめの政府である。」と言うも、「郵政民営化、是か非か」限定誘導の枠内の感じがチラホラ。

9月10日投票日前日 総選挙あす投票 忘れてはいけないこととあり、「郵政公社の民営化に表れた「官から民へ」という小泉首相の方向感覚は正しい。」と小泉を一旦ヨイショ、その後、「そう考えたときに、選挙戦ではあまり語られなかったが、忘れてはいけない課題がいくつもあることに気づく。」「●素通りの憲法論議」「自民、民主両党が選挙で憲法改正の具体案を示さないということは、次の選挙までは改正に手をつけないということなのか。選挙後に突然改正作業を始めては、有権者をだましたことになる。」が来る。オイオイ、投票日前日だぞ。もっと前から言わんかい。「一応書いてましたからね」と言うアリバイ狙いの意図が透けて見えそう。

9月11日投票日 きょう投票 どんな4年を選ぼうかと言ったあと、「向こう4年の政権を選ぶ機会なのだ。」「たとえば靖国神社参拝、憲法改正、中国や韓国との関係、米軍基地の再編、自衛隊のイラク派遣。財政再建や景気の問題はもちろんだし、福祉や年金、教育など暮らしに直結する話もある。」だって。投票日当日に書いてどうする。それが社会の木鐸か。

9月12日 小泉自民党圧勝 「改革」選挙の弾みと怖さと書き、「空前の事態である。」だと。そして「しかし、この圧勝で小泉政治のすべてが信認されたと考えるのは間違いだ。なぜなら、首相は郵政以外の政策課題はほとんど語らなかったからだ。たとえば憲法改正や八方ふさがりの外交について、首相は争点からはずし続けた。白紙一任でお任せというわけにはいかない。」で絶句。確かに小泉はほとんど語らなかったが、それについて警鐘乱打もせず、書こうとしなかったのは朝日オマエもだろう。

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http://www.asyura2.com/0505/hihyo1/msg/202.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 9 月 01 日 00:04:23: Mo7ApAlflbQ6s


【社説】
2005年09月08日(木曜日)付

公務員削減 分権なしには進まない
http://www.asahi.com/paper/editorial20050908.html

 「これ以上、公務員を減らす改革はない」。小泉首相は郵政公社の職員26万人を民間人にすることをこう訴えている。

 自民党の政権公約(マニフェスト)には「郵政公社が抱えているのは国家公務員全体の約3割」「郵政民営化=小さな政府で、脱・役人天国」とある。

 まるで郵政民営化が、公務員改革の切り札のようだ。しかし、郵政公社は独立採算制で、職員給与に税金は使われていない。民間会社になれば税金を納めるし、効率化も期待できるが、当面の政府の歳出は1円も減らない。

 政府は「国の行政機関の公務員の定員は01年の84万人から約30万人に減らした」と説明してきた。郵政公社の設立や国立大学の法人化などで「看板」を掛け替えて、公務員の定員の枠外に置いたからだ。首相の演説は、こんな経緯をあえて無視しているように聞こえる。

 そもそも首相が唱える「官から民へ」という作業には、政府と民間の役割分担の見直しが欠かせない。見直しによって政府の仕事を減らすのが行政改革であり、それを進めればおのずと公務員の数も減る。しかし、中央省庁の再編後も、仕事の内容や範囲の見直しは進まなかった。「官から民へ」といっても、「官」の内実に大きな変化はない。

 公明党が国の事業全体を廃止も含めて見直すといい、民主党が「3年間で国家公務員の人件費2割、1兆円削減」などと訴えるなか、公務員削減の数を競うような首相の主張は何とも乱暴だ。

 「官」の領域を見直す行政改革には、政府と自治体の役割分担のやり直し、つまり地方分権が欠かせない。

 小泉政権ができた4年あまり前には、3200を超す市町村があった。それが来春には約1800に減る。「平成の大合併」で、自治体側にはより多くの仕事を引き受ける素地ができつつある。

 だから、もっと権限も税源も自治体へ渡していくべきなのだ。

 だが、そのための三位一体改革は、この年末までの決着を前に迷走している。全国知事会などの補助金廃止要求を、霞が関の中央官僚が自民党の族議員と二人三脚で跳ね返す構図が続く。焦点の義務教育費の国庫負担金をはじめ、打開策はなかなか見えてこない。

 こうした霞が関の抵抗の背景には、中央政府としての責任感もあるだろう。同時に補助金を手放せば、それに伴う権限を失い、仕事も組織もなくなることへの警戒感があるように見える。

 権限や仕事を分権していけば、いずれは「国から地方へ」の職員の移動も視野に入ってくる。でも、地方の行政を肥大化させるわけにはいかない。そのためには自治体とNPOとの協調といった、「公」の仕事を官と民で分担する新しいあり方を考える必要がある。

 首相が公務員削減を強調するなら、ここまで踏み込んだ議論が要る。


台風被害 お年寄りの命を救うには

 九州を縦断した台風14号は各地に深いつめ跡を残した。九州では死者・行方不明者が21人になった。その半数以上は65歳以上のお年寄りだった。

 鹿児島県垂水市では、一人暮らしの70代の女性3人が、1人の自宅を避難場所と決めて、身を寄せていたところを濁流にのみ込まれた。なんとも痛ましいというほかない。

 垂水市には、気象台と鹿児島県から「土砂災害警戒情報」が出されていた。市は防災無線などで自主的な避難を呼びかけ、住民の一部は公民館に移った。

 しかし、犠牲者が出た集落は、公民館から2キロ以上も離れている。車の運転もままならないお年寄りが、自力で避難場所に向かうのはむずかしい。せめて一緒に夜を過ごし、心細さをまぎらわそうとしたのだろう。

 おまけに、垂水市内全域に避難勧告が出されたのは、3人が犠牲になった土砂崩れが起きた後だった。

 65歳以上の人が国の人口に占める割合は、04年10月で19・5%に達した。そのうち、14%が一人暮らしだ。

 足腰の弱っているお年寄りにとっては、たとえ避難命令が出ても、なかなか逃げられないというのが実情だろう。

 昨年7月の新潟、福島、福井3県の豪雨でも、多くのお年寄りが亡くなった。こうした支援の必要な人たちをどう助けるのか。内閣府が防災専門家や市町村の担当者を集めて論議し、今年3月、「避難支援ガイドライン」をまとめた。

 助けを必要としているかどうかを事前に面接して確かめる。その上で、助けに行く人を決めておく。その場合、助けが必要な人1人に対し、少なくても2人ずつ配置する。地域ボランティアで避難誘導チームをつくる。そんな市町村の具体例が並んでいる。

 それぞれの自治体が、地域の実情に合わせて、自前の仕組みをつくってもらいたい。それが今後、災害時にお年寄りの命を救えるかどうかのカギとなる。

 今回の台風で改めて痛感したのは、自治体が素早く避難を勧告したり命じたりすることの大切さである。

 宮崎県内では15万5千人に避難の勧告や指示が出され、自主的な避難も1万3千人に達した。宮崎市や延岡市などでは、川からあふれだした濁流が街をのみ込んだが、犠牲者は出なかった。

 突然発生する地震とは異なり、台風の危険は予測できる。川の水位などをきちんとつかんでいれば、被害を最小限に抑えることができる。

 台風が接近し、被害の恐れがあると判断すれば、自治体は早い段階で住民を避難させた方がいい。お年寄りを安全なところに移すにも、自治体が早め早めに決断することが必要だ。

【社説】
2005年09月09日(金曜日)付

小さな政府 国の将来像を競い合え
http://www.asahi.com/paper/editorial20050909.html

 争点がかみ合わない自民、民主両党の政権公約(マニフェスト)も、政府部門のリストラでは一致している。自民の「小さな政府」に対し、民主は「効率的な政府」だ。

 自民は国民負担を減らし、小さな政府をつくる突破口は郵政民営化だと説く。実現すれば公務員は減り、民営化された会社からの税収も上がる。ひいては財政を再建する道につながるというのだ。

 民主の歳出カット戦略には、具体的な数値が躍る。「コンクリートからヒトへ」資源を移し、子育てや年金対策を充実させる。一方、公共事業や公務員給与を減らし、財政をたて直す。

 税と社会保険料を合わせた国民負担が所得に占める比率は、欧州諸国に比べれば低い。だが、いずれ穴埋めを迫られる財政赤字や今後の高齢化を勘定に入れると、実質的な負担は跳ね上がる。

 戦後、官主導で高度成長したものの、その後は大きな官僚組織のもとで無駄遣いが膨らみ、民間の手足を縛る規制も目につく。最近の景気回復にしても民間の血のにじむリストラによるもので、官は何をしているのか。こんな国民の思いに両党ともこたえようとする。

 そこは理解できるが、公務員減らしや歳出カットによる目先の数字の競い合いに終わらせず、どんな経済社会システムを築くのかを示してもらいたい。

 まず負担と受益の帳尻がきちんと合い、透明でなければならない。税金や社会保険料が途中で消えることなく生活を支える。そのうえで、政府の役割を広くとるのか、国民の自助努力を求めるのか。それを問うべきだ。

 郵政改革への反対派を切り捨てたことで、小泉改革が目指すこの国のかたちはおぼろげながら焦点を結んできた。

 成長の成果を地方や低所得者にまんべんなく配ることで一律の平等を達成しようとするシステムとは一線を画し、ある程度の格差は認め、競争を重んずることで成長力を取り戻す路線だ。

 批判する側は、これに対抗できる政策の理念を示さなければならない。

 所得の再分配や教育への公費の投入を増やすことなどで、だれもが機会の平等を得る。失敗した人や老後、病気の際の安全網づくりは政府が担う。「市場の失敗」にも目配りした中型か、やや大きめの政府である。

 こうした方向性は共産党や社民党が掲げてきた。それを現実に即して鍛え上げる役割は民主党が担ってはどうか。改革ばやりのなかで難しい役回りかもしれないが、本当の選択肢を示したいのなら避けて通ってはならない。

 政府の肥大化を抑えることは世界の潮流だ。経済のグローバル化と技術革新の時代に、競争を封じては取り残される。選択の幅はおのずと狭まるが、それでも二大政党制を確かなものにする骨太の対立軸がここにある。


米国の哀しみ 人びとを励ます歌を

 米国を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」の被害がどれほどのものになるのか、まだ予測がつかない。

 被害がひどいルイジアナ州ニューオーリンズ周辺では、水が引くにつれて遺体が次々に発見されている。洪水のなかに取り残された人々の移送もはかどっていない。孤立したり、無人になったりした地域の商店や住宅を、武装した強盗が闊歩(かっぽ)している。

 逃げる手だても、逃げる先もない人たちの多くが黒人だという。貧困と人種とが重なり合う現実が、まだあるのだろう。米国が抱える社会問題の深刻さと哀(かな)しみを、世界中があらためて見ることになった。

 そんななかで、3千人の命が奪われた「9・11テロ」の4周年を迎える。4年前のあの日、旅客機を乗っ取った国際的なテロ組織の実行犯が突っ込んだ標的の一つは、米国の繁栄を象徴するニューヨークの世界貿易センタービルだった。

 テロと天災。原因が全く異なる二つの出来事が、繁栄と貧困という、米国が持つ現実を浮かび上がらせた。

 米国が自他ともに誇ってきたのは、自由な国という理念だ。だれにも成功の可能性が開かれた機会の平等を大事にし、成功から見放された者には博愛の精神で社会が助けの手を差し伸べる。

 そんな米国像は、世界からあこがれの目で見られていたが、いまは、その理念が揺らいでいるように見える。

 米軍の進駐が続くイラクでは、いまだに混乱は収まらない。マドリードやロンドンなどにも爆弾テロは広がっている。米国が掲げる「中東の民主化」も「テロとの戦い」も、成果が見えないままだ。

 国内では、対テロ戦に物心を集中した結果、国内の警備を主とする州兵がイラクに派遣された。災害の救援に当たる連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、9・11テロのあと設けられた国土安全保障省に組み込まれた。その結果、今回の水害では、当初、ともに機動的な活動ができなかったと批判にさらされている。

 テロを育む土壌のひとつは、豊かな国と貧しい国との「南北問題」である。この水害は、米国が「南北問題」を自らの内側に抱え込んでいることを証明した。

 国際的な世論に反してイラク戦争に向かった米国は、9・11テロで世界から得た同情の多くを失った。米国が自由な国としての尊敬を取り戻すには、内外の「南北問題」解決に積極的に取り組む必要があるだろう。

 ジャズの聖地として親しまれてきた被災地ニューオーリンズには、米国内はもとより約100カ国にのぼる国からの支援が届き始めている。

 どんな国も、この地球上では助け合わなければ生きてはいけない。

 ブッシュ米大統領には、内外の社会問題に思いやりの精神で立ち向かってもらいたい。

 聴きたいのは生き残った者たちを励ます「聖者の行進」だ。

【社説】
2005年09月10日(土曜日)付

総選挙あす投票 忘れてはいけないこと
http://www.asahi.com/paper/editorial20050910.html

 小泉首相は総選挙で争点を郵政民営化一本に絞って押し通した。その作戦と気迫が受けたのだろう。情勢調査によると、自民党が優勢なまま、投票日を迎えることになりそうだ。

 政権交代を訴える民主党の岡田代表は年金改革や子育て支援を掲げて切り返したが、いまのところ劣勢は否めない。

 郵政改革はもちろん、年金改革も子育て支援も重要なことである。しかし、それだけなら、ほかの大切なことが置き忘れられてしまう。

●目の前に危機がある

 選挙の熱気や興奮が終われば、待ったなしで待ちかまえているのは、日本の危機的な状況である。

 日本の人口は06年をピークに減り始める。「団塊の世代」の定年は07年から始まる。私たちの社会は人口が減るなかで高齢者が増えるという時代を迎える。

 それなのに、国と地方の借金は合わせて770兆円もある。気の遠くなる数字だ。いままで国や自治体から受けていたサービスや給付を我慢しなければならなくなる。それどころか、税金や保険料をもっと払わされるだろう。

 郵政公社の民営化に表れた「官から民へ」という小泉首相の方向感覚は正しい。しかし、すべての問題が市場経済化で解決できるわけではない。

 目を外に転じれば、イラクの泥沼に加えて、北朝鮮の核問題に国際社会が手を焼く中、小泉首相の靖国神社参拝などで中国や韓国との関係はぎくしゃくしたままである。

 深刻な危機をどうやって克服するのか。どんな社会をつくっていくのか。本来は、そうしたことをきちんと見据えて、日本のありようを選択するのが総選挙であるはずだ。

 そう考えたときに、選挙戦ではあまり語られなかったが、忘れてはいけない課題がいくつもあることに気づく。

 たとえば、国民にいっそうの負担が求められる問題である。特に税金や年金の行方とともに気になるのが医療費だ。高齢化が進むにつれ、医療費もふえる。04年度の32兆円が2025年度には69兆円になると試算されている。これをどうやってまかなっていくのか。

 自民党は「医療制度改革の断行」を掲げる。民主党も「安心し納得できる医療を実現するための改革」という。知りたいのは、その具体的な中身だが、いずれもはっきりしない。

 結局は、医療のむだを削りつつ、患者や国民が負担増を引き受けるしかない。それを政党が言わないまま選挙戦が終わるなら残念だ。

●全国一律か地方に委ねるか

 少子化もさることながら、生まれた子どものことが気がかりだ。学校では学力が下がり、不登校が減らない。学校を出ても職に就かない若者がふえる。

 自民党は「教育基本法の改正」を掲げ、「郷土や国を愛する心」や「伝統文化の尊重」を加えることをねらう。理念を見直すことで、改革を全国一律に進めようというのだ。

 民主党は教職員の人事や予算、教育内容にかかわる権限を市町村や学校に移すことを主張する。

 全国一律型の教育を進めるのか。多少の混乱は覚悟してでも、地域に教育を委ねるのか。ここは二つの党で大きな違いがある。

 国と地方の関係をどうするか。小泉首相も「三位一体改革」では、分権を掲げている。政府の補助金を減らし、その分、税源を自治体に渡す。交付金を見直す。それが改革の内容だ。

 だが、具体論になると心もとない。選挙後すぐに決着を迫られるのは、自治体に3兆円の税源を移せるかどうかである。自民、公明両党の重点政策には、そのために、どんな補助金を廃止するかの説明はない。民主党は補助金18兆円の廃止と5兆5千億円の税源移譲などを唱える。分権への意欲は買えるが、具体的な道筋は描けていない。

素通りの憲法論議

 国際環境の中で目を離せないのは、小泉首相が自衛隊を派遣したイラクで、テロがやまないことだ。民主党は12月の期限切れまでに自衛隊を撤退させると主張するが、首相ははっきり語らない。

 どんなときに自衛隊を海外に出すのか。出せないのはどういうときなのか。いまの憲法ではどこまで許されているのか。憲法の改正論議をするのに、いい機会だった。

 しかし、そうした論議は盛り上がらなかった。自民党は11月に憲法草案をまとめる予定だが、選挙戦ではふれようとしない。一方の民主党もまだ「憲法提言を国民に示す」とぼんやりしている。共産党と社民党の護憲の叫びだけが響く。奇妙な構図だ。

 自民、民主両党が選挙で憲法改正の具体案を示さないということは、次の選挙までは改正に手をつけないということなのか。選挙後に突然改正作業を始めては、有権者をだましたことになる。

 選挙戦でかすんではいるが、有権者がそれぞれ大切だと思う問題は、もっともっとあるだろう。

 どの党に未来を託すべきか。あと1日、じっくりと考えたい。

【社説】
2005年09月11日(日曜日)付

きょう投票 どんな4年を選ぼうか
http://www.asahi.com/paper/editorial20050911.html

 面白いといえば、こんなに面白い選挙があったろうか。政策の激突あり、党首の個性あり、「刺客」なんていう流行語までできた。そして、曲がりかどにある日本の針路を決める絶好の機会だ。

 有権者はいま、1億300万人余りいる。総選挙の歴史で最大の有権者数だ。人口は1億2千万ほどだから、じつに8割以上が選挙権を持つ。

 子どもが少なくなったことがこんなところにも見える。間もなく人口減少の時代に入り、有権者が減り始め、さらに高齢化していく。大変な時代が待ち受けている。

 それにしても、小泉首相はこれまで見たこともない型の指導者だ。「郵便局は公務員でなければできないのか」「民間にできることは民間に」。単純だが響きのいいフレーズの繰り返しは、音楽のように、聴く人の気分を高揚させる。

 民主党の岡田代表は「郵政選挙と言うが本当にそうか」と異を唱え、年金をはじめ社会の様々な仕組みを変えるため「私たちに一度まかせてもらいたい」と訴えた。政権交代選挙というのだ。

 「小泉政権を百%支持」の公明党の神崎代表。「たしかな野党」の共産党の志位委員長。「社民党が議席を増やさなければ憲法9条はなくなる」という福島党首。郵政民営化法案には反対だが「中身は自民党」の国民新党の綿貫代表。「地方の現場から」の新党日本の田中代表。それぞれが様々な問題を論じた。

 みんなが行き詰まりを感じている。

 ――ここは一番、気迫と覚悟の小泉首相にかけたい。これまでの4年で連立政権が何をしてくれたかはさておき、この先に期待しよう。「あと1年」という首相がやめた後も、流れは受け継がれる。

 ――いや、小泉マジックにかかるものか。これまで何度そんな期待が裏切られたことか。不安はあってもここは土台から変える政権交代にかけたい。

 ――どっちにしても政治は悪くなるばかり。少しでも歯止めをかけるには2大政党以外を大事にしたい。

 どれも一理ある選択だろう。ただ、忘れちゃいけないことがある。

 衆議院をいっきに入れ替える総選挙は、向こう4年の政権を選ぶ機会なのだ。ここで勝った政党は、郵政に限らずあらゆる政策と課題を担う。

 たとえば靖国神社参拝、憲法改正、中国や韓国との関係、米軍基地の再編、自衛隊のイラク派遣。財政再建や景気の問題はもちろんだし、福祉や年金、教育など暮らしに直結する話もある。

 そんな政策のあれこれを思い浮かべ、それがこの先4年でどうなっていくかを考えてみよう。

 無党派の人は、実は一番の多数派だ。あなたがどこに入れるかで大きな違いがでる。ひとつの政党に任せるのが嫌なら、小選挙区と比例区で別の党に入れ、政党を考え込ませる手もある。


国連首脳会議 日本の熱意を語れ

 国連の誕生から今年で60年を迎える。この間に時代は大きく変わり、テロや核拡散の防止、環境と開発の両立など多様な問題が世界を揺り動かしている。

 地球規模の変化に合わせて国連をどう改革し、対応力を高めていくか。それを話し合う首脳会議が14日から3日間、ニューヨークで開かれる。

 191カ国に膨らんだ加盟国の間で、利害が衝突するのは避けられない。巨大組織ならではの非効率さが目立つし、不正さえ起きている。とはいえ、対話を通じて紛争を解決する場として、国連を超えるものを私たちは持たない。首脳会議で問題点を洗い直し、「頼れる国連」の再構築に踏み出さなければならない。

 加盟国の多くは開発途上にあり、貧困や飢餓、疫病などに苦しむ。00年に開かれたミレニアム首脳会議は開発目標を示した。15年を達成期限として、「1日1ドル未満で暮らす最貧層や飢餓人口を半減させる」「乳幼児の死亡率を3分の1に減らす」「安全な飲料水を利用できない人を半分にする」などだ。

 だが、5年たった今も目標を達成する見通しは開けない。

 支援の柱となる政府の途上国援助(ODA)では、各国とも国内総生産の0・7%を振り向けることが国際的な目標値になっている。

 北欧諸国などはすでに達成し、英仏などもあと数年で達成する。日本は0・19%にとどまっている。財政事情は苦しくとも、目標に近づく道筋だけでも内外に示すべきだろう。

 平和と安全を脅かす問題で強制力を持つ安保理の見直しも、国連改革の重要な柱だ。より幅広い考えを反映するために構成国の枠組みを拡大する必要があるし、機能も高めなければならない。

 拒否権を持つ国が対立して立ち往生することが少なくない。そこが安保理の弱点だ。イラク攻撃で表面化したように、武力行使を容認する基準が主要国の間で隔たっている現状を放置できない。

 アナン事務総長も今年3月の提言で、武力行使の基準を示す安保理決議を採択するよう促した。首脳会議を契機に論議を深めるべきだ。

 残念なのは、米国が国連改革に消極的なことだ。首脳会議で採択が予定される文書から開発目標を削るように求め、安保理の拡大に水を差す逆提案をしている。国連にはほかにも改善すべき点が多いのは事実だ。だが、米国の言うように重要な柱をはずしては、改革の機運そのものが損なわれかねない。

 日本は安保理の常任理事国入りを目指して、国連改革の旗を振ってきた。ドイツなどと共闘して今回の首脳会議までに安保理拡大に目鼻をつける作戦は頓挫したが、だからといって改革全体への熱意をしぼませてはならない。

 総選挙の結果がどうあれ、首脳会議の時期には小泉氏が首相の座にいるはずだ。ぜひとも出席し、日本の国連改革への意欲を訴えてもらいたい。

【社説】
2005年09月12日(月曜日)付

小泉自民党圧勝 「改革」選挙の弾みと怖さ
http://www.asahi.com/paper/editorial20050912.html

 ものすごい結果である。小泉首相の自民党が歴史に残る大勝を収めた。公明党と合わせて、与党の勢力は衆院の3分の2にあたる320議席を超えた。

 衆院に限って言えば、憲法改正案を可決できる。普通の法案なら、参院で否決されても再可決して成立させることが可能になった。空前の事態である。

 これにより与党は、幅広い政策を実現できる絶大な力を得た。同時に、少数意見に配慮し、健全な民主主義を維持していく重い責任を負ったことを忘れてもらっては困る。これまで以上に自制とバランス感覚が求められる。フリーハンドを得たと勘違いしてはならない。

●首相がガスに火をつけた

 半世紀にわたってほぼ一貫して政権を担ってきた自民党だが、郵政民営化にかける首相の気迫が保守政党のイメージを打ち破り、改革を望む民意を圧倒的につかんだ。

 政権交代による抜本的な変化を訴えた民主党は、大幅に議席を減らす惨敗を喫した。岡田代表は辞任を表明したが、根本からの出直しを迫られる。

 民主党が強かった都市部で自民党はつぎつぎと議席を獲得した。農村部出身の議員たちが力を持ってきた党の体質が変わることを予感させる。

 民意が「変化」を求めていたのは間違いない。朝日新聞社の連続世論調査では「今回の総選挙をきっかけに日本の政治が大きく変わってほしい」と答えた人が8割近くに達した。

 人口減少社会が目前に迫り、その一方で国と地方あわせて770兆円にのぼる借金を抱える。急速に少子高齢化が進むこの国の将来への不安が、その根底に横たわっている。

 この国民の不安、さらにいっこうに変わろうとしない政治への不満。有権者の間に充満していたガスに火をつけたのは岡田民主党の「政権交代」ではなく、「政治を変える」という首相のメッセージだった。

●「新しい政治」の旗つかむ

 民主党は無残なまでに出遅れた。選挙戦が進むほどに「政権交代」の掛け声もうつろに響くばかりだった。自民党内の争いを傍観し、郵政改革で対案を出し遅れたことが、最後まで災いした。自民党の反対派もろとも、「古い政治」と片づけられてしまったかのようだ。

 90年代からの政治改革の流れは、2大政党による政権交代を可能にし、政治に緊張感を与えることに眼目があった。その一方の旗頭に成長した民主党には、こうした機運に安住する気分がなかったか。「新しい政治」を切り開くという旗を小泉首相に奪われてしまった。

 それにしても、参院本会議で民営化法案が否決されたとき、この自民党の圧勝をだれが予想しただろうか。

 党内の反対を押し切っての衆院解散、反対派の切り捨て、「刺客」擁立、女性や公募候補の登用……。こうした思い切った行動が変化への強烈なメッセージを送り続け、当初の自民党劣勢の予想を軽々と吹き飛ばしてしまった。

 今回の選挙には、リーダーの個性が有権者の選択を左右する大統領選挙のような側面も色濃くあった。指導者の語り口から経験の厚み、ファッションまでがテレビなどで生々しく伝わり、党の印象を形作っていった。

 しかし、一つのテーマが起爆剤となったこのダイナミックな展開には、民主主義の可能性とともに、ある種の怖さや危うさも感じられる。わずかな票差でも議席数の差が大きくなりやすいのが小選挙区制の特徴とはいえ、ムードや風で選挙結果がここまで劇的に動くことには驚くほかない。

 首相は最後まで郵政民営化一本やりを貫き、「国民に聞きたい」と問い続けた。その意味でこの選挙は、まぎれもなく民営化の是非を問う国民投票だった。それが圧倒的に信認された以上、郵政法案をすみやかに成立させるべきなのはいうまでもない。

●白紙一任ではない

 さらに、郵政改革が「すべての改革の入り口」だと言ってきた以上、財政再建や年金や医療費など社会保障の立て直しといった課題でも、首相には「古い自民党をぶっ壊す」責任がある。任期延長論がどうなるにせよ、その道筋をつけることが有権者の期待だろう。

 しかし、この圧勝で小泉政治のすべてが信認されたと考えるのは間違いだ。なぜなら、首相は郵政以外の政策課題はほとんど語らなかったからだ。たとえば憲法改正や八方ふさがりの外交について、首相は争点からはずし続けた。白紙一任でお任せというわけにはいかない。

 靖国神社参拝や中国や韓国との関係をどうするのか。この問題を抜きに、地域としてのアジアにどんな外交の絵を描いていくか、戦略を語ることは難しい。イラクにいる自衛隊をこのまま残すのかどうかの決断も迫られている。

 一方、民主党は人事刷新にとどまらず、体質から見直していく必要がある。この党には、寄り合い所帯のもろさを見せまいと、亀裂を必要以上に恐れるきらいがあった。不一致をさらし、党内で真剣に議論する勇気を持たなければ、再生への道は開けない。

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