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天木直人・メディア裏読み(1月15日)シオニズム運動の矛盾/米軍撤退が見えてきた ほか
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投稿者 天木ファン 日時 2005 年 1 月 18 日 02:10:40:2nLReFHhGZ7P6

1月15日 05年12号 ◆ シオニズム運動の矛盾 ◆ 米軍撤退が見えてきた ◆ 小泉首相の顔が見えない ◆ 公明党は平和、弱者の政党なのか ◆ エコノミスト紺谷典子の正論
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◆ シオニズム運動の矛盾
◆ 米軍撤退が見えてきた
◆ 小泉首相の顔が見えない
◆ 公明党は平和、弱者の政党なのか
◆ エコノミスト紺谷典子の正論
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◇◆ シオニズム運動の矛盾 ◆◇

 国なき民であったユダヤ人が、迫害から逃れる為には自らの国を持つしかないと主張してパレスチナの住む現在のイスラエルに建国したのが1948年であった。いわゆるシオニズムという政治的運動である。

 しかし世界に住む多くのユダヤ人にとっては、もはやイスラエルは遠い中東の国にすぎず、移り住むには危険すぎると敬遠されているという。1月8日付の朝日新聞は、「シオニズム運動は終焉に向かうのか」と次のように書いている。

 「…ユダヤの若者がなぜ安住の地イスラエルへ行かないのか?…(ロシアからベルリン郊外へ移住してくるユダヤ人の世話役はこう語る)『ユダヤ人といっても欧州育ちの人間にとってイスラエルは遠い中東でしかない。ドイツは旧ソ連に近く、風土、文化が似ていて暮らしやすい』…旧ソ連は80年代末からイスラエルへ最多の移民を送り出してきた。しかし90年の年間19万人をピークに減り続け、04年は1万人弱…その一方でベルリンをはじめブタペスト、プラハ、クラクフ(ポーランド)、ビリニュス(リトアニア)などの旧東欧圏に戦前のユダヤ人街が復活し始めた…パレスチナとの紛争で治安も景気も悪いイスラエルに移住するより地元でのユダヤ人社会づくりが進んでいるのだ…」

 ユダヤ人にとってもっとも快適な国は今や米国である。米国のユダヤ人や世界各地でユダヤ人社会をつくって成功しているユダヤ人が、いまさらイスラエルに移り住むことなど考えられない。それにもかかわらずユダヤ人は自らの国をイスラエルに確保しておきたい。そんな贅沢なユダヤ人とは対照的に、多くのパレスチナ人が暴力で故郷を追われ難民生活を余儀なくされている。

 安住の地を求めて無理矢理に独立国を求めたシオニズムは今でもその正統性を保ちうるのか。先住民であるパレスチナ人の国を認めようとしないイスラエル人と、帰還権さえ認められず難民生活を余儀なくされているパレスチナ人。どう考えても不条理だ。


 ◇◆ 米軍撤退が見えてきた ◆◇

 15日日経新聞の夕刊は、ついにブッシュ大統領が米軍撤退の可能性を口にし始めたことを報じている。すなわち13日に国防総省を訪れたブッシュ大統領は、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官とともに記者団の質問に答えたが、その中で「テロとの戦い」について話した。「常に戦略を見直さなければならない事は理解している」と語ったという。「レビュー(見直し)」という言葉を二度も繰り返したという。

 この発言にさきがけて、ラムズフェルド国防長官は6日、元陸軍大将のゲーリー・ラック統合参謀本部上級顧問を現地入りさせイラク政策の見直しを命じた。パウエル国務長官は11日のラジオインタビューで「2005年内にはイラク兵がより大きな役割を担うようになり、それに伴い米兵の数が逆の方向に向かうとみている」と述べた。12日にテキサス州のライス大学で講演したベーカー元国務長官は、イラク駐留軍を段階的に引き下げるべきだと提言した。

もはや米国は間違いなく撤退体制に入りつつある。それはそうであろう。1月末の選挙も難しく、たとえ無理をして選挙をやらしてみてもその後の治安情勢はますます混沌となるからである。選挙後は間違いなく撤退の動きが加速するであろう。際限ない駐留は政治的にも経済的にも不可能である。

 そのような動きの中で日本の自衛隊だけが取り残される。人道援助の必要は続くからだ。米、英軍などは、イラク軍に治安をゆだねるという理由が立つ。しかし人道援助が目的の日本の自衛隊は、イラク軍に守られて人道援助を続けざるを得ない。イラクの治安はますます危険になるのだから民間ボランテアには任せられない。人道援助の必要性はますます高くなるので中途半端で逃げ出せば批判される。日本政府の矛盾が表面化するのはむしろこれからであるのだ。


◇◆ 小泉首相の顔が見えない ◆◇ 

 今年に入ってからの小泉首相はどんな仕事をしているのかさっぱり見えてこない。年頭からのスケジュールを振り返ってみて、あらためてこの人は中身のない人だと思わずにはいられない。パフォーマンスで支持率を保つというよりもパフォーマンスしかできない人なのだ。日本の置かれている内外の情勢が分からない人なのだ。緊急になすべき政策が理解できない人なのだ。だからこそ国民が求めている年金保険や景気対策、災害復旧には無関心で、ピンとハズレの郵政民営化ばかりを叫んでいるのだ。

財界人の新年会で挨拶にたった小泉首相は郵政改革の事に触れるやサッサと壇上を降りたので、さすがの財界人もこれはダメだとあきらめたという話が新年の新聞に載っていた。
 日刊ゲンダイの1月12日付の記事には思わず苦笑した。幼稚園児に囲まれて植樹をして笑っている小泉首相の写真の横に次のように書いてあった。

 「小泉首相の太平楽ぶりは常軌を逸している・・・スマトラ沖地震で多数の日本人が行方不明になっているのに、三が日は東京・高輪のホテルでのんびり過ごし、ジャカルタのツナミ・サミット(6日)から帰国後の7日に関西方面に飛んだ。京都・祇園の高級料理店『おいと』でノーベル賞の田中耕一さんらと会食。自分の誕生日の8日には、大阪の高級フレンチレストラン『ル・ポンドシェル』で塩川前財務相らと舌鼓を打った。そこで63歳のバースデーケーキを贈られ大ハシャギだから唖然とする。

今年の日本は景気対策をはじめ税制、災害復旧、北朝鮮、イラク、日中関係などまさに内憂外患。年明けにも取り組むべき課題は山積みなのに何をしているのか・・・小渕は『世界の借金王』と自嘲しながらも首相としての責任の重さを感じて脳梗塞でたおれ、森も無能さを自覚する謙虚さがあった。『えひめ丸沈没時のゴルフ』の責任を取って辞めた・・・ところが歌舞伎だ、映画だ、と遊びほうけ、夜は料亭、高級レストラン通いの小泉はそれを恥じ入るどころか06年の任期いっぱいまで政権に居座ろうとするあつかましさだ・・・」

 14日の読売新聞に、大阪市が70歳以上の市民約30万人に配布している市営交通の無料パスを06年度から有料化することを決定した、という記事があった。1月16日号の新聞赤旗日曜版は、「ここまでやるのか、庶民いじめ」として小泉内閣が05,06年度で計画しているあらたな国民負担が約7兆円にのぼるという驚愕の数字をはじいていた。その内訳をみるとあらためて弱いものいじめが分かる。公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、消費税免税点の引き下げ、国民年金保険料の引き上げ、配偶者特別控除の廃止、雇用保険料の引き上げ、厚生年金等保険料の引き上げ、介護保険の施設入所の自己負担引き上げ、定率減税半減・・・

 それにしても弱者の味方を標榜している公明党はこんな小泉自民党と連立政権を組んで弱い者いじめに加担しているのだ。おかしいじゃないのか。


 ◇◆ 公明党は平和、弱者の政党なのか ◆◇

 その公明党に私はかねてから素朴な疑問を持って来た。
断っておくが私は公明党をも含め、特定の政党に肩入れしたり、逆に特定の政党を攻撃したりするつもりはない。私の基本は、権力はそれ自体暴力的であり弱者を切り捨てる危険性があるので監視しなければならないこと、その意味で反権力であること、従って常に野党的に政治を見ている事、更に言えば、政治や政治家が大手を振ってマスコミに登場するような社会は好ましい事ではなく政治家は良質な人間が必要最小限あればいいという考えの持ち主である。

その観点から公明党を眺めると、どうしても理解できないのである。公明党の基本は平和の党であり、社会的、経済的に弱者である国民の味方であるはずの政党ではないのか。その政党が、暴力的で弱い者いじめの小泉政権をこれほど支え続けているとは。公明党の支持者や創価学会の信者はイラク戦争を正しいと思っているの。ブッシュ大統領を称賛する小泉首相を支持することが、平和の党、弱者の党であるというのか。

この問いに、前参議院議員の平野貞夫氏の次の言葉が一つの回答を与えてくれた。しんぶん赤旗日曜版、1月16日号からの引用である。

「・・・公明党が67年に衆議院に進出して以来、私は国会職員として公明党から議会運営について相談を受けてきました。私は戦後において創価学会が『民衆の救済』を掲げた活動を進めたことは評価しています。しかし自公連立は戦後政治の誤りで、日本の政治を大きくゆがめています・・・最もひどいのはイラクへの自衛隊派遣です。非常に危険な戦闘地域に自衛隊を送り込み、憲法違反を重ねなければならないところに追い込んでいる。イラク派遣の一年延長を言い出したのは公明党なんです。半年だと見直し時期が都議選直前にぶつかり選挙に響くから・・・『派兵』推進の見返りとして公明党が自民党に飲ませたものは何か。小渕内閣以来続けられてきた所得税の定率減税の廃止です。サラリーマンに大増税になるものを、なぜ公明党は進めるのでしょうか。創価学会信者には主婦や自営業者などサラリーマン以外の階層も多くあまり影響がでないからです。

反対に地域振興券のばら撒きは、創価学会員を喜ばす自民党の公明党対策でした。これを進めた野中広務官房長官(当時)は、『地域振興券は、公明党を政権に入れるための国会対策費だ』と明言していたほどです。私は宗教団体の政治活動を頭から否定しませんが、創価学会信者を喜ばせる為の政策を進めるというのであれば、これは絶対に許容できない・・・」

この後も平野氏は、ジャーナリスト魚住昭氏の著書「野中広務 差別と権力」の「叩きに叩いたら向こうからすり寄ってきたんや」という野中氏の言葉を引用して、自民党と公明党の不明朗な関係の詳細を述べている。そんな裏話は私にとってどうでもいい事だが、次の平野氏の言葉は見逃せない。これでも公明党は平和の党、弱者の党であると言えるのか。

「・・・今の自民党は、A級戦犯容疑者でアメリカ追随だった岸信介の右翼的流れと、自民党の最もダーティーな部分が一緒になった小泉―青木体制の下にあります。自民党史上最悪の小泉・青木体制と公明党・創価学会の癒着がこのまま続けばファシズムへの道となる恐れがある・・・」


◇◆ エコノミスト紺谷 典子の正論 ◆◇

 テレビや新聞などで盛んに顔を出す有識者は、体制擁護の御用学者、評論家はいざしらず、一見リベラルな物言いをする人も、本当のことを言わない。なぜならばメディアに敬遠されることをおそれるからだ。従ってメディアに頻繁に出演する有識者や評論家はタレントと同じであるとみれば合点がいく。所詮は娯楽なのだ。外交といい、内政といい、経済政策といい、権力に正面から挑んで真実を衝く迫力ある言説は、はじめから彼らには期待できない。

そんな中で紺谷典子というエコノミストは権力のウソをいつも明確に指摘する数少ない有識者の一人だ。15日の朝日新聞「暮らし不安」に述べていた紺谷氏の以下の論評も、その一つである。

「この10数年、政治、行財政、金融、社会保障などの改革が数々行われてきた。それなのに国民の暮らしは一向に良くならず、将来に明るい展望が開けたわけでもない。変だと疑問を持つべきだ・・・昨年の年金改革で露呈した様々な問題は『改革』の中身がいかに真の改革から遠いかを示した・・・保険料の値上げや給付の削減を国民が受け入れた(筆者註:国民は決して受け入れてはいない。改革法案が強行採決で成立しただけだ・・・)のは、年金財政危機の中、高齢社会に対応するためどうしても必要といわれたからである。だが、実は、年金財政が本当に危機かどうかさえ明らかではない。『積立金が足りない』と政府は不安をあおったが、日本の巨額の積立金は他の先進国の標準の何倍もある。国民負担を増やさずとも高齢化に十分対応できるはずなのだ。そもそも本当に危機ならば、なぜ(社会保険庁による)多額の流用が可能だったのか。

 よく見れば『改革』と称するものの多くは、財政支出を国民負担に転嫁する話だ。医療保険・年金保険はその典型だし、金融改革とされるペイオフも、金融行政の失敗を国民の預金で償わせる仕組みである・・・財政危機だからと国民はあきらめるが、危機はきちんと検証されていない・・・財政資金は国民が国民自身の為に拠出した資金であり、国民を支配しようとする財務官僚のものではない。国民生活の健全性を犠牲にしてまで財政の健全化を優先する『見せ掛けの改革』が、財政を更に悪化させてきたのだ・・・」


◇◆ 政治家、政治評論家の勘違い ◆◇

 15日付の新聞に見つけた二つの政治評論から、これからの日本の政治を考えてみたい。一つは朝日新聞の「読み・解く 政治」の中村敦夫氏の「私欲追っている場合か」である。彼は言う。

「・・・過去数回の選挙で私は、私的な動機、つまり特権的な職種に『就職』したい人たちがどんどん議席を占拠するさまを見てきた。一番多いのは家業を継ごうとする政治的家系の人々だ。天下り先に恵まれなかった官僚や、一段上のステータスを狙う県議も多い。業界団体のダミーとして送られてくる人たちもいる。国会は労働組合幹部の勇退先でもある。売れなくなったタレントの収容施設にもなっている。
この種の政治家たちの本音は『まず当選が先』だ。理念や政策は後で考えればいい。当選の為なら有利な政党になびく。当選後のエネルギーは、政権闘争、党内の派閥争い、そして自分の地位確保に費やされる・・・」

全く同感だ。これだけ今の政界の状況が分かっている人が、残念ながら落選するところに今の日本の政治システムの欠陥がある。

もう一つの記事は毎日新聞、岩見隆夫氏の「近聞遠見」である。彼は「今選挙をやれば、必ず民主党政権になる、自民党が勝つ」と話した自民党の二人の首相OBの言葉を引用しつつも、政権の弾みが一向につかない民主党に対し、二人の若手民主党議員に政権とり構想を聞いている。

その中で蓮舫参議院議員(37歳)はこう述べている、「私の事務所に多くの学生が、政治家になりたいと訪ねてくる。勉強していてよく知っている。民主党はそういう夢を与えている政党なのだと思いますね」。

また細野豪志衆議院議員(33歳)はこう語る、「私はさらに年齢を下げて中高生とデベートしている。彼らの中で政治家になりたいのが出てきて、今いろんな活動をしてくれているのはすごくうれしい。我々は有権者の代表ではなく国民の代表、国家の代表という意識が大切だ。未成年者も、まだ生まれてこない世代も当然対象に入る・・・」
若いだけでは不十分だ。これでは政権は取れない。

思うに政治の根源は、人生の矛盾を知ったうえでこれに妥協し現実的に対応していこうとする強者の考え方(保守)と、社会の不条理に怒りあくまでも理想を求めようとする考え方(革新)のせめぎあいである。その渦中に身を置いて、国民の相対立する利害を代表して政策論争をし、全体としてよりよい政策を作っていく事こそ政治家の仕事である。そんな政治家に不可欠な事は社会で働き、苦渋を舐めた体験である。それは年齢には関係がない。若くて苦労をしているものもいれば、人生の苦しみを知らずにいたずらに馬齢を重ねてきた者もいる。社会生活の実体験が政治家には必要なのだ。はじめから政治家を目指す理論優先の政治家や、生まれながらにして政治家になれることを当然視しているような世襲議員が国民の為に政治ができない理由はそこにある。政治家という職業は、それぞれの人生で本業を持っている人が、ボランティアの精神で人の為に奉仕するものであることが理想だと私は思う。有効策については私にとっても今後の検討課題だ。

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