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シュレダー演説翻訳です[AML 0312] Fwd: [uketugu]
http://www.asyura2.com/0502/war66/msg/817.html
投稿者 竹中半兵衛 日時 2005 年 1 月 30 日 11:06:39: 0iYhrg5rK5QpI

(回答先: アウシュビッツ――内なる悪魔を忘れまい(朝日新聞) 投稿者 彗星 日時 2005 年 1 月 30 日 06:43:09)

[AML 0312] Fwd: [uketugu] シュレダー演説翻訳です

http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-January/000306.html

寺尾@多治見です。

 ドイツのシュレーダー首相が、1月25日にアウシュヴィッツ強制収収容所解
放60周年記念式典でおこなった演説を、在ベルリンの梶村太一郎さんが翻訳
されました。以下転送です。文節の間の空行を3行から1行に変えました。

 歴史と向かい合う姿勢の、日本との何という違い! 暗澹たる気持ちになり
ます。どうしたら日本も正道に戻せるのでしょう。

 梶村さん翻訳を明記しての転送・転載歓迎です。

 このメールは。ML[2002costarica]、[abolition-japan]、[aml]、
[anti-hkm]、[appeal2005]、[article9nagoya]、[citizens-public]、
[e-forum]、[husen]、[kenpo]、[kinyoubi]、[kokuminrengo]、
[mlsnagoya]、[nagoya-jiyu]、[noforce]、[PeacenetJapan]、[renko]、
[tokai]、[TUP-ML]、[wanet]、[wsfj]、[緑]、に送りました。
重複して受け取られた方には、大変申し訳ありません。
不要の方は削除してくださることで、お許しください。

―――――――― 以下翻訳転送 ―――――――


Subject:[uketugu] シュレダー演説翻訳です
From:Taichiro Kajmura
Date:Thu, 27 Jan 2005 23:18:02 +0100
To:梶村 太一郎

梶村です。

以下は、シュレダードイツ首相が、アウシュヴィッツ解放60年周年にあたっ
ての演説です。

現、ドイツ社会の歴史認識を代表するものとして全文を翻訳しました。ワイツ
ゼッカー演説と比べると、語彙も表現も大変に直裁です。それだけに誤解を許
さない厳しさがあると思います。

どなたでも、梶村訳と明記して転載、あるいは引用をしていただいて結構です。

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アウシュヴィッツ強制収収容所解放60周年にあたって

ドイツ連邦共和国ゲアハルト・シュレーダー首相の演説(訳注1)


ゲアハルト・シュレダー連邦首相は1月25日の演説で、60年前のアウシュ
ヴィッツ強制収容所の解放を回顧した。このベルリンの国立劇場で開催された
国際アウシュヴィッツ委員会(訳注2)による追悼行事には、多くのヨーロッ
パ諸国からの、元囚人と若者たちが参加した。


演説は以下のとおり:

尊敬するアウシュヴィッツ・ビルケナウの生存者のみなさま、淑女、紳士のみ
なさま。

みなさんの前で話すようご招待くださった国際アウシュヴィッツ委員会に感謝
を申し上げます。

私は、このご招待は決して当然のことではないと信じています。現在において
もそうではありません。私たちドイツ人には、人類最大の犯罪を前にして沈黙
するほうがふさわしいのかもしれません。絶対的に反道徳的で無意味な何百万
という殺人を前にしては、政治的言語は役に立たない危険があるからです。

私たちは、いかなる人間の想像力をも超えてしまった把握できないものを把握
しようと望むのです。私たちは最後の答えを無駄に求め続けているのです。

残っているのは、少数の生存者と、その子孫のみなさんであります。

残っているのは、殺人施設の残骸と、歴史資料であります。

その他に残っているのは、殲滅収容所において、悪が示した確証であります。

それ以降、悪はもはや政治的、ないしは学問的な範疇ではないのです。アウ
シュヴィッツ以後に、いったい誰が、悪が存在し、ナチズムの憎しみに駆られ
た民族虐殺に、それが姿を現したことを疑うことが出来るでありましょうか?
このように確定することはしかし、古い「悪魔のヒトラー」の話に逃げ込むこ
とではありません。ナチイデオロギーには前提が無かったのではありません。
人々の思考の粗暴化と道徳的に自制を失ったことが、その前史であったので
す。確実なことは:ナチイデオロギーは人間が望み、そして人間によってつく
られたのです。

淑女、紳士のみなさま、

赤軍によるアウシュヴィッツ解放の60年後の今、私は民主的ドイツの代表者
として、みなさまの前に立っております。私は、虐殺された人々に対して、ま
た特に強制収容所の地獄を生き延びたみなさまに対して、私の恥を表明いたし
ます。

ヘウムノ、ベウジェッツ、ソビブール、トレブリンカ、マイダネック、そして
アウシュヴィッツ・ビルケナウ、(訳注3)これらが、犠牲者たちの歴史に、
しかしまた、ヨーロッパとドイツの歴史に、これからも結びついた名前であり
続けるでしょう。そのことを私たちは知っております。

私たちは哀悼とともに、また深刻な責任とともに、この重荷を背負っておりま
す。

何百万人という子供たち、女性と男性たちが、ドイツの親衛隊隊員と彼らの援
助者たちによって、ガスで窒息死させられ、餓死させられ、銃殺されました。

全ヨーッパのユダヤ人、シンチ・ロマ、ホモセクシャル、政治的敵対者、戦争
捕虜、そして抵抗運動の闘士たちが、冷たい工業的な完璧さによって殲滅さ
れ、または死にいたるまで奴隷化されました。

それまでのヨーロッパの数千年の文化と文明には、これより深い亀裂が起こっ
たことはありませんでした。戦後になってこの歴史的な亀裂の全体的像が把握
されるまでには、かなりの時間がかかりました。私たちはその亀裂を知ってい
ます、しかし私は、私たちがいつかはそれを理解することができるかを疑って
います。過去は、よく言われるように「克服」されようとはしません。それは
過ぎ去ってしまうものです。しかし、その痕跡とその教訓は現在にまで到達し
ております。

強制収容所で起こった悲惨と苦悶と悲嘆は、これからも決して埋め合わせるこ
とはできません。ただ犠牲者の子孫と生存者のみなさまに、一定の償いを実現
することは可能であります。

連邦共和国はこれまでの長いあいだ、男女市民の正義感に依存しながらその政
治と司法においてこの責任に向かい合って来ました。

淑女、紳士のみなさま、

私たちがここで見ているのは、1945年の夏の解放後の囚人たちの(会場に
掲げられた・訳者)写真ですが、若い男女たちがしっかりと抱き合っていま
す。これらのひとたちは、解放後には他の大半の生存者たちと同じく、たいへ
ん異なった道を踏み出しました:イスラエルへ、南北アメリカへ、ヨーロッパ
の近隣諸国へ、かれらの故郷へと。

幾人かはしかし、かつていわゆる「最終解決」が決められた国であるドイツに
残り、またはふたたび、ここへ帰ってきました。

それは、だれにとっても尋常ではない、難しい決心でしたし、ほとんどの人々
にとっては、それは自由裁量ではなくて、完全な希望の欠落の結果だったので
す。しかしながら、彼らの傷ついた人生にも希望が帰って来ました。そして多
く人々がドイツに残ったのです。私たちはそのことに感謝しております。

今日では、ドイツのユダヤ人共同体はヨーロッパで三番目に大きなものです。
そして活気があり、成長しています。新しいシナゴークが建設されています。
いまやユダヤ人共同体は、私たちの社会と文化のかけがえのない一部になって
おり、そうであり続けています。その栄光にあふれ、同時に痛みの多い歴史
は、責務であると同時に約束であり続けています。

学ぶ能力のない反ユダヤ主義者からは、私たちは彼らを国家権力をもって守り
ます。反ユダヤ主義がいまだに存在することを否定してはなりません。それと
闘うことは全社会の課題です。反ユダヤ主義者たちが、私たちの国だけではな
くどこでも、ユダヤ人市民を、圧迫したり、傷つけたりすることに成功して、
私たちの国に恥をもたらすようなことは、二度と許されないのです。

極右勢力と、かれらのうっとうしい標語や落書きに対しては、警察、憲法擁護
局、そして司法が特別な注意を払うに価するものです。しかし、ネオナチスと
古いナチスとの闘いを、私たちすべてが共に政治的に実行しなければなりません。

ネオナチスの不快な挑発と、常に繰り返されるナチスの犯罪を瑣末なものにし
ようとする、新たな試みに向かって断固として対抗することは、すべての民主
主義者の共通の義務であります。

淑女、紳士のみなさま、

アウシュヴィッツの生存者のみなさまは、私たちに、眼をそらすな、耳をこら
せ、注意深くあれと要求しています。彼らは私たちに、人権犯罪をずばりと指
摘して闘うよう要求しています。これらは、例えば今日、アウシュヴィッツの
追悼施設を自分の眼で確かめている若者たちによって聞き届けられるでありま
しょう。彼らはかつての囚人たちと話し合っています。彼らは追悼施設の手入
れをしたり、その保存の手伝いをしています。彼らは、彼らに続く世代に対
し、国家社会主義の犯罪について啓蒙することに力を貸すでありましょう。

淑女、紳士のみなさま、

現在生存しているドイツ人の、圧倒的多数は、ホロコーストに対する罪を負っ
てはいません。しかしながら、彼らは特別な責任を負っています。国家社会主
義の戦争と民族虐殺を心に刻むことは、私たちの生きた状態の一部(訳注4)
となっております。かなりの人々にはこの一部が堪え難いのであります。

しかしながら、この心に刻むことが私たちの国民的アイデンティティーに属し
ていることが変わるものでは全くありません。国家社会主義の時代とその犯罪
を心に刻むことは、ひとつの道徳的義務であります。私たちはこれによって、
犠牲者、生存者、また彼らの係累に対してのみ責任があるのではなく、否、私
たち自身にとっても責任があるのです。

淑女、紳士のみなさま、

忘れてしまおうとすること、記憶を抑圧してしまおうとすることの誘惑が、大
変に大きなものであることは確かです。しかし私たちはそれに負けてしまうこ
とはないでしょう。

ベルリンの中心部のホロコースト警告碑の石柱の広場(訳注4)は犠牲者たち
に生命も尊厳も返すことはできません。生存者と彼らの子孫たちには、たぶん
彼らの苦悩の象徴となりうるでしょう。私たちすべてにとっては、忘却への警
笛として役に立つでしょう。

ここで、私たちに確かなことは:私たちが、かつて国家権力によって、自由と
正義と人間の尊厳が踏みにじられことを忘れるならば、自由も正義も人間の尊
厳もあり得ないということです。ドイツの多くの学校で、企業で、労働組合
で、また教会で私たちの手本になることが行われています。ドイツは自らの過
去に立ち向かっているのです。

ショアー(訳注5)から、ナチスのテロから、私たちすべてにある確信が生ま
れてきました。それは「二度と許さない」という言葉で最も良く表現されてい
ます。この確信を私たちは守ろうと望みます。すべてのドイツ人も、またすべ
てのヨーロッパ人も、国家共同体全体が、敬意を持って人間的に平和のうちに
共生することを、いつも新たに学ばねばなりません。

ジェノサイド禁止条約は、ホロコーストの直接の国際法規の教訓であります。
それは、異なる門戸、文化的特徴、宗教、および皮膚の色のすべての人間に、
生命と人間の尊厳を世界中で尊重し、擁護することを義務づけています。ここ
においても、あなたがた国際アウシュヴィッツ委員会は、すべての人間の利益
のために、みなさまの特徴ある働きをもって闘っておられます。

みなさまとともに、私は殲滅収容所の犠牲者の前に頭を垂れます。もしいつの
日か犠牲者の氏名が人類の記憶から消えしまわねばならないとしても、彼らの
運命は忘れ去られることはありません。なぜなら、それは歴史の中心に安置さ
れているからです。

(演説おわり)

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(訳注1)原文は首相府のホームページにあります:

http://www.bundeskanzler.de/Neues-vom-Kanzler-.7698.778869/Die-Nazi-
Ideologie-war-menschengewollt-und-mensc...htm

(訳注2)ナチドイツの強制収容所の生存者によって、戦後すぐに設立された
全ヨーロッパの組織。

(訳注3)二酸化炭素や青酸ガスで工業的に大量殺人を行なった殺人工場施設
があった地名。

(訳注4)Teil unserer gelebten Verfassung が原文。大変に翻訳が難しい
のであります。

(訳注5)Shoah 「絶滅、破滅」をあらわすヘブライ語。

(訳責は梶村太一郎、Berlinにあります。アウシュヴィッツ解放60周年記念
日に翻訳)


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     中国帰還者連絡会WEBサイト
     http://www.tyuukiren.org
    撫順の奇蹟を受け継ぐMLのサイト
  http://www.egroups.co.jp/group/uketugu/
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