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02/28 16:20 衝突絶えず選挙実施に不安 暗雲漂うハイチ国家再建
武装勢力の蜂起でほぼ全土が無政府状態に陥り、アリスティド前
大統領が事実上の亡命に追い込まれた昨年二月末のハイチの政変か
ら丸一年を迎えた。
同国には昨年六月から国連平和維持活動（ＰＫＯ）部隊が展開、
総勢約七千四百人が治安の回復に当たるが、今も市中におびただし
い武器が出回り、国家警察と前大統領派民兵、旧武装勢力らとの武
力衝突が絶えない。十月から十一月に予定される大統領選など各種
選挙の実施を危ぶむ声も出始め、国家再建には暗雲が漂っている。
「昨年の政変のころに比べると状況はかなり良くなった」。国連
ＰＫＯ「国連ハイチ安定化派遣団」のオンセスカルドナ広報官は力
説する。しかし、昨年九月末以降、首都を中心に前大統領派による
抗議行動が激化。国家警察と衝突を繰り返し、これまでに二百五十
人以上が死亡した。
武装勢力の中核を担った多数の元軍人は、アリスティド政権下で
解体された国軍の復活を要求し武装解除を拒否。各地の警察署を占
拠して「治安部隊」を名乗り、権力の空白地域がなお残る。
ラトルチュ暫定首相は対話による解決を模索していたが、バルデ
ス国連事務総長特別代表は「（前大統領派や元軍人らが）武器を放
棄しなければ、国連部隊として武力行使の用意がある」と警告、新
たな対立も予想される。地元通信社記者は「最低限の治安確保もで
きないのに、選挙を実施できるのか」と話す。
さらに、前大統領が創設した最有力政党ラバラス・ファミリーは
政変後に拘束された同党幹部の釈放が先決として、十一月十三日の
大統領選など一連の選挙への不参加を表明。選挙が行われたとして
も「同党が選挙結果を認めない可能性もある」（ハイチの外交関係
者）といい、政界でも火種がくすぶっている。（ポルトープランス
共同＝小西大輔）
20050228 1620
[2005-02-28-16:20]
02/28 16:24 「この国に人権はない」 統制欠く警察、記者殺害か
ハイチ再生の鍵を握る総勢約四千五百人の国家警察。昨年二月末
の政変では、武装勢力の攻勢を前に警官の任務放棄が続出した。一
年後、治安回復を担う警察が関与したとみられる記者殺害事件が起
きるなど、組織の立て直しにはほど遠い。関係者は「この国に人権
はない」と非難している。
「他人とトラブルを起こすことなどない優しい子だったのに…」
。今年一月十四日に殺害された地元ラジオ局のアドビアス・ジャン
記者（２８）の母ロスモンドさん（５１）は悲嘆に暮れる。
関係者の証言を総合すると、同日朝、アリスティド前大統領の支
持者が多い首都ポルトープランスの貧困地区ビラージュドデューを
警察が一斉捜索。取材中のジャン記者は、警官が数人の若者を銃殺
するのを目撃した。
「あいつを逃がすと厄介なことになる」。警官四、五人がジャン
記者を追跡し捕まえた。「私はジャーナリストだ」と身分証を提示
したが、警官らは頭部や右肩などに計七発の銃弾を撃ち込んだとい
う。
事件が報道されると、同じ地区内にあるジャン記者の自宅には警
官が押し掛け、玄関ドアを壊し屋内を徹底的に荒らした。ロスモン
ドさんは現在、五人の子供と身を隠して生活。関係者の訴追などを
要求しているが、警察側は「調査中」と述べるにとどまっている。
国家警察は「国連ハイチ安定化派遣団」の監督下で組織の抜本的
見直しを進めるが、両組織間の連携が不十分なことなどもあって、
警察内部の統制は末端にまで徹底されていないのが実情だ。
非政府組織（ＮＧＯ）のハイチ国民権利擁護委員会によると、ジ
ャン記者の例は氷山の一角にすぎず、昨年九月にアリスティド前大
統領派の抗議行動が活発化して以来、警察の行き過ぎた取り締まり
が続いている。
最近も首都で国連部隊に逮捕された前大統領派の男性が、警察に
引き渡された後、病院の遺体安置所で銃殺体で見つかる事件があっ
た。同委員会のロナル・サンジャン代表は「ハイチに人権はない。
アリスティド政権下も良くなかったが、今は地獄のようだ」と厳し
く批判した。（ポルトープランス共同＝小西大輔）
20050228 1624
[2005-02-28-16:24]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。