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シリーズ、『市民政治』の再生を考える[2]
http://www.asyura2.com/0505/bd40/msg/440.html
投稿者 鷹眼乃見物 日時 2005 年 7 月 28 日 10:04:43: YqqS.BdzuYk56
 

【画像】ドラクロワ『民衆を率いる自由の女神』
Liberty Leading the People (28th July 1830) Oil on Canvas
Completed in 1830  325.0cm x 260.0cm (128.0in x 102.4in)
Original Painting held in Louvre , Paris France
<注>この絵の画像は、下記のURLをクリックしてください。
http://www.abcgallery.com/D/delacroix/delacroix10.html

(画像解説)

 フランスが生んだ最も偉大な芸術家の一人とされるウジェーヌ・ドラクロワはロマン主義絵画を代表する画家です。ロマン主義は、18世紀後半から19世紀前半にかけてヨーロッパを風靡した芸術・文学運動であり、丁度、この時はフランス革命からナポレオン帝政にかかる頃の時代です。しかし、この時代のフランスにおける公式の絵画はダヴィッド(J.L.David/1748-1825)が代表する新古典主義でした。そこではギリシア・ローマの古典・古代彫刻に範をとって純粋な線で理想美の造形を描くことが目的とされ、それは英雄精神や崇高美のような理念的な美の表象が追求される時代でした。また、このような理想主義的な美意識は革命精神を支えた啓蒙思想の理性主義と共鳴したのです。

 しかし、フランス革命の精神は理性主義だけが支えたのではなく“情熱”こそが大きな役割を果たした側面があったのです。その“情熱”こそが、自然・社会・人間性などが人間に対して隠し持つ恐るべき深淵(矛盾に満ちた世界の現実)を覗き見る勇気を与えたのです。このようなフランス革命における、もう一つの人間性の現れである“情熱”を「均整に対置する破格や動のデッサン」と「鮮やかな色彩」の配置で個性的に表現したのがドラクロワです。

 ブルボン朝シャルル10世の反動政治に対してパリのブルジョア市民や学生が中心となって起こした市民革命が「七月革命」(1830)です。この市民革命は、時代錯誤的な王・シャルル10世に対する「市民の自由」の勝利ですが、この時の「自由の理念」はロマン主義運動の思想的バックボーンでもありました。別に言えば、それは「権力に対する批判精神」を発動する自由ということです。ドラクロワの傑作絵画『民衆を率いる自由の女神』は、きわめてリアルな市民戦争のシーンに「寓意的な自由の女神像」を描き入れており、一見すると場違いのような幻惑感の中で「市民精神の自由」(批判精神の輝き)を見事に開花させています。

2  日本国内に漂う暗雲のルーツを探る試み

 アメリカ・ブッシュ政権の「特殊な強い意志」(新自由主義思想)が暗雲となり、21世紀のグローバル世界を被いつつあることは確かに一つの不幸な現実ですが、そのことと日本国内の政治・経済状況の甚だしい混迷が同じ一つの現実であるかのように見なすことは間違いだと思われます。日本国内では、このような世界を被いつつある黒い潮流とは明らかに異なる水源から溢れ出した「特別な暗黒の潮流」が連綿と脈打っています。しかも、その「特別な暗黒の潮流」は日本の近・現代史を貫きとおす形で日本の社会システムと日本人の精神構造に根深く張りついているのです。

 現在、日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事談合事件が連日のトップニュースを飾っています。しかし、我々一般国民は、この事件を単なる勧善懲悪劇的な興味と関心だけで見過ごすことは許されません。なぜなら、この談合事件の背後には日本道路公団・労働福祉事業団など、つまり得体の知れぬ鵺(ヌエ)の如き暗黒組織かと見紛うばかりの「手強い業病」(悪性腫瘍化した財政構造の一部)が取り憑いており、この鋼鉄製橋梁工事談合事件は、その病巣の醜悪な実像のごく一部が垣間見えたに過ぎないからです。さらに、その暗く閉ざされた組織を腑分けしてみると「特別会計」と「特殊法人等」という二つの特徴的な病巣がハッキリ見えてきます。

 一方、現代における民主主義国家の本質を考えると、次のような二つの矛盾した性質が見えて来るはずです。これはアンドロジナス(Angrogynous/雌雄同体)かローマ神話のヤヌス神(Janus/頭の前後に反対向きの顔を持つ姿がイメージされる門の守護神、または物事の始まりの神)に喩えることができるという意味での相矛盾した性質です。しかも、生身で生きる無数の国民(人間)を統治する国家は、このように特異な性質があるからこそ生き長らえることが可能だと言えるのです。それが活力ある民主主義国家の生存条件でさえあるのです。

A 多数決原理に従う民主主義国家には、ある階級の他の階級に対する支配の手段と化す性質が絶えずつき纏っている(この性質は、立場が変われば逆に作用する)。そして、この性質が一方的に強く出過ぎるとある階級の利益だけが追求されるようになり、国家のバランスが崩壊する。

B 多数決原理に従う民主主義国家には、ある理想に基づく社会秩序を確立して、すべての国民にとって公平な公共の福祉を目指すという役割が求められている。

 必然的に、国家がこのように相反する二つの性質を伴はざるを得ないことは、恰も“絶えざる生と死の葛藤”の中から新しい生命と新たな活力が次々ともたらされる「生命誕生・生命維持の原理」に似た性質だと見なすことができるかも知れません。従って、そのように相反する矛盾した性質の存在が問題なのではなく、この(A)と(B)の二つの矛盾した性質が国民一般の視野(または意識)から消え去ること、つまり国民一般が、これらの性質の並存の意味を自覚しなくなる(自覚できなくなる)ことが国家にとっての危機なのです。それこそが、まさに国民一般の批判精神の欠如ということであり、健全なジャーナリズム精神の喪失(不在状態)ということでもあり、そのような時こそ国民一般の「自由」が失われたことになるのです。

 かつて、ドイツの社会学者マックス・ウエバー(Max Weber/1864-1920/ドイツの社会学者)は、国家統治権力の本質について下記のよう(・・・『〜〜〜』・・・の部分)に述べています。マックス・ウエバーは権力による「支配の正当性」を「伝統的支配」(家父長的支配)、「カリスマ的支配」(超人的英雄による支配)、「合法的支配」(法に基づく実務的な支配)の三つのパターンに分類しました。そして、「法の支配の原則」に従うべき現代の民主主義国家に求められるのが「合法的支配」であることは言うまでもありません。

・・・『権力とは、広義には権力者個人(または権力集団)が自らの意図を貫徹する力のことであり、それは人的・物的な組織を通して実行される。その権力の行使とは、他者の行動を支配することである。このため、特に国家権力の場合には、被治者(被統治者)によって、その正当性の承認を受ける必要がある(正当性受容の原理)。』・・・

 現代日本における国家財政に関する「合法的支配」の原則(すべてが一般会計に一元化された会計システムによる国家財政の運営=国会中心財政主義)を無視し続ける「特別会計」のような「手強い病巣」の成因を理解するためには、その発祥の歴史を辿り遡る一方で、普段は余り目に付かぬ、あるいは入手が困難な内部情報や特殊資料等を広く深く手繰る必要があるようです。しかし、平凡な一市民は、このような調査についてはあまりにも無力です。従って、ここで論ずることは“群盲が象を評する”ようなことになるかも知れませんが、今後の更なる探索の糸口にでもできればと願っています。

・・・・この後は「シリーズ、『市民政治』の再生を考える[3]」へ続く・・・・

(参考)当シリーズ[2]以降で参照する主な資料、URL

松浦武志著『特別会計への道案内-387兆円のカラクリ-』(創芸出版)
石井紘基著『だれも知らない日本の裏帳簿』(道出版)
特殊法人監視機構
http://www.nomuralaw.com/tokushu/
特別会計
http://www.mis.ne.jp/~yosh/nakusukai/page294.html
財務省HP、財政制度等審議会
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm
財務省HP、予算・決算
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/syukei.htm
財政制度の改革について(財政改革委員会)
http://www.jimin.jp/jimin/saishin97/gyoukaku-11-2.html
財政投融資(金融用語辞典)
http://www.findai.com/yogo/0070.htm

(参考URL)
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/

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