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「No Such Agency(そんな機関はない)」、「Never Say Anything(何も喋るな)」と揶揄される
http://www.asyura2.com/0505/bd40/msg/718.html
投稿者 hou 日時 2005 年 8 月 21 日 17:49:49: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.infovlad.net/underground/asia/japan/dossier/echelon/echelon_oddtwistoffate.html

1. 二つの「三沢」

日本国内には、さまざまな秘密の通信傍受施設があるといわれている。そのうちいくつかには、ある地名が不思議な符丁のように出現する。

偶然だが、まったく異なる二つの場所にあらわれる「三沢」……まずは警察庁の無線通信所の話からはじめよう。

警察庁は国内二ヶ所に、対外的な聴覚ともいえる無線通信所を配備している。

まず、警察庁第一無線通信所。東京都中野区中野4丁目、警視庁警察学校のとなりにあるこの無線通信所は、日本におけるICPO(国際刑事警察機構)送信所として機能し、霞ヶ関通信所、中野送信所、小牧送信所などから編成され、関東管区警察局情報通信部無線通信課の技官が保守にあたっている。

警察庁第一無線通信所は、ICPOの東南アジア地域中央無線局として、ソウル、マニラ、ジャカルタ、バンコク、ニューデリーなど、東南アジア地域の各国の無線局や、パリの国際中央無線局との間で交信を行っている。

一般に信じられていることとは異なり、ICPOの国際通信ネットワークでは衛星通信は使われていない。加盟国に発展途上国をふくむICPOは停電など電力事情の悪い環境にも適応せねばならず、また貧困のゆえに高価な衛星通信機器を売却してしまうケースなどもあるため、いまだに短波による通信を廃止することができないでいる。

警察庁第一無線通信所は、警察大学校附属警察情報通信学校と警察通信研究センタ-を擁している。警察情報通信研究センターでは暗号化技術とその動向、インターネットやデジタル携帯電話の秘匿性に関する研究、画像処理技術などの研究が行われているが、近年では通信技術の研究よりもむしろ、犯罪捜査支援関係の研究が重視されている。

警察庁の無線通信所は、実はもうひとつある。

警察庁警備局外事課「秘密通信所」と呼ばれる施設である。対外的にはICPOの予備通信所という名目しかもたず、組織的にも予算配分上にも存在しない無線通信所……それが警察庁第二無線通信所だ。

「ヤマ」の異名を持つともいわれる、この謎めいた通信所の所在地は東京都日野市三沢3-20-11。高幡不動駅近くの変電所前の交差点を南へ向かったところにある小高い丘という、電波環境には絶好の立地条件を生かし、丘の頂上東側にあるダブレット・アンテナと、西側中腹のワイヤー・アンテナを設置している。どちらのアンテナも短波帯の低周波数域に波長を合わせているため長く、南北の方向へ指向性をもつよう張らされている。

警備局外事課の外事技術調査官をチーフにいただき、警備局採用の通信職員と情報通信局採用の通信職員らが24時間体制で勤務すると言われる、この第二無線通信所では、おもに北朝鮮からのA1(モールス通信)、A2(CQ系モールス通信:個人工作員向け)の各暗号通信と、A3放送(音声による個人工作員向け暗号放送。2000年末で廃止の模様)、そして平壌放送、朝鮮中央放送など、北朝鮮が国内外に発信する公然情報を傍受、分析している。

第二無線通信所の主たる目的は二つ。ひとつは郵政省から免許を受けた、国内のほとんどの無線局の通信を傍受すること。もうひとつは北朝鮮工作員が日本国内へ侵入する兆候を捕捉することと、すでに潜伏している北朝鮮工作員への、本国からの指令を把握することである。また、通信機メーカーとも太いパイプを持っているため、一般の民生用受信機では復号が不可能な、デジタル携帯電話をも傍受していると言われている。

北朝鮮不審船を意味するKB(Korean Boat)情報の伝達はスムーズに行われる。第二無線通信所をはじめとする日本各地の傍受施設が、日本近海へ達する北の不審船の兆候を察知するや否や、警察庁警備局外事調査官統括調査係がただちにこれを分析し、全国の警察本部の警備部の公安課や外事課へ、警戒情報が連絡される。

こうして各警察署の警備課員らが沿岸地域の警戒にあたる。また、海上保安庁にも連絡され、警戒用の航空機が洋上を警戒することとなる。

つねに北の脅威にさらされる日本を守るため、日夜活躍するこの頼もしい「三沢」と対照的なのが、アメリカの完全な管轄下にある、もうひとつの「三沢」だ。

すなわちNSGA(三沢海軍保安群/Naval Security Group Activity Misawa, Japan)が所属する、在日米軍三沢基地である。

 

2: 恋は三沢で


すごくイカしたサイトだね!僕はCTMCM Buffalo BeetzのCTM1として働いていたとき、1971年から1973年にかけて三沢に配属されて、それから何度か(アメリカに)戻ってきてはRCAで民間人として働いたよ。1981年〜82年には、そこでBullseye Upgradeをやった。その後の1983〜85年、僕はGTEとともに、レディラブのために(三沢に)戻ったんだ。基地とすてきな仲間たち、旨い食べ物やビールが懐かしいよ!
Mike Purtymun
アメリカ・カリフォルニア州ネバダ・シティ - 2000年8月20日日曜日13:35:14 (中央部夏時間)

三沢基地ホームページのゲストブックにこのメッセージを残した投稿者は、決して「恋人に会うために」、ネバダから遠路はるばる三沢に舞い戻ったのではない。

レディラブ (ladylove) ……恋人作戦なるこの奇妙なコード名を持つプロジェクトは、在日米軍三沢基地・第6920電子保安群(ESG)による衛星通信傍受活動の名称であった。

米軍基地内でのESGを運営するのは空軍でも海軍でもない。メリーランド州フォート・ミードの米国家安全保障局(NSA)である。

ロシアの通信衛星モルニヤ(Molniya)、軍事静止通信衛星ラドゥガ(Raduga)、静止通信衛星ゴリゾント(Gorizont)の通信傍受が、レディラブ作戦の主な目的と考えられる。

このレディラブ作戦は、NSA(米国家安全保障局)が主導し、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが協調しつつ全地球的規模で行なわれている、通信傍受活動「エシュロン(Echelon)」の一部である。

三沢基地がエシュロンの一部であることは、米政府の公開済み機密文書からも確認されている。

2000年1月21日、ジョージ・ワシントン大学の民間シンクタンクである米国家安全保障公文書館 (National Security Archive) の研究員ジェフリー・ライチェルソンは、情報公開法に基づいて機密扱いを解かれた、米国家安全保障局(NSA)の機密文書を詳細に分析し、その結果 を発表した。

それは、1994年の米空軍情報局(AIA)の文書である。


文書12
「エシュロン部隊の起動」:
空軍情報局の歴史、1994年1月1日〜12月31日、第一巻(テキサス州サン・アントニオ、空軍情報局、1995年)
1994年における空軍情報局の歴史について書かれた部分で、最初の抜粋にはエシュロンネットワークに関する追加情報が記されている。 エシュロン部隊は空軍情報局第544情報部を一部含んでいる。

派遣隊2と3はそれぞれサバナ・セカ、プエルト・リコとウェストヴァージニア州シュガー・グローブに配置されている。 派遣隊3への二番目の言及はあきらかにタイプミスであり、派遣隊4(ワシントン州ヤキマ)と読むべきである。 削除された単語は「民間通信」、「NAVSECGRU」と「NSA」であると思われる。

二番目の抜粋では、機密活動における空軍情報局の参加が、三沢空軍基地でのレディラブ(LADYLOVE)作戦に限定されてきたことが指摘されている。

三沢基地でのレディラブ活動は冷戦時代に開始され、衛星経由で送信されたソビエトの軍事通信を傍受することを目的としていた。この活動はイギリスのメンウィズ・ヒル、ドイツのバッド・アイブリング、ノースキャロライナ州ロズマンにおける、同様な活動と一緒に行なわれた。

この抜粋は、グアムと三沢の両方が、少なくともエシュロン計画の基地であったことを示唆している。

(http://www.gwu.edu/~nsarchiv/NSAEBB/NSAEBB23/index2.htmlより)


筆者は三沢基地のゲストブックに上記のメッセージを投稿したMike Purtymun氏にメールで質問を送ってみた。もはや20年前のプロジェクト名ということで気が緩み、恐らくは「筆を滑らせた」のであろうか。ダメでもともとである。CTMCMやCTM1が何を意味するのか、GTEとはアメリカの大手通信会社GTE社(General Telephone & Electronics Corporation)か、それともGTE Government Systems Corporation社なのか、そしてなにより……ladyloveとはどのような作戦だったのか。

あらかじめ予想された通り、返事は来なかった。


3:二別、三沢、プロジェクト・クレフ

1983年9月1日早朝、ニューヨーク発ソウル行き大韓航空007便が、アラスカ州アンカレッジで給油後、目的地へ向かう途中にサハリン島南西35マイルのモネロン島(海馬島)付近で、ソ連軍迎撃機に撃墜された。

007便が攻撃を受けたのは、日本時間の午前3時26分。

だがこのとき、レディラブ作戦の本拠地三沢基地にある、「象の檻」と呼ばれる「CDAA配列AN/FLR―9円形アンテナ」では、ソ連迎撃機と地上管制官とのロシア語通話を、まったく傍受することができなかった。

電波は波長が短くなる(周波数が高くなる)ほど光の性質に近くなる。見とおし距離か、それに準ずる比較的近距離しか通信できないUHF帯(極超短波帯)の電波で行なわれる通話を傍受するのに、三沢はあまりに遠かったからだ。

これを補うべく、サハリン付近には三沢と密に連携する傍受施設があった。

稚内にある陸上自衛隊の施設……防衛庁陸上幕僚監部二部別室、略して「陸幕第二部:二別 」の稚内基地である。「二別」は陸上自衛隊の司令部の情報部の形をとってはいるものの、指揮系統は内閣調査室が掌握し、二部別室長は内閣調査室を兼務していた。

別班とはいえ、海上自衛隊200人、航空自衛隊250人の専門家を含め約1,500人が従事する組織だ。この「二別 」が配備する通信所ないし分遣隊は全国に九ヶ所。北海道地域には東千歳、東根室、稚内に「二別 」の通信所がある。

稚内基地の「二別」通信所は、ソ連関係の無線傍受の専門基地として活躍していた。ここで受信された電波はテープに記録され、東京の市ヶ谷本部に送られたのち、ロシア語、暗号、電子技術の専門家により翻訳、分析される。

また、この稚内基地は米軍三沢基地・第6920電子保安群と綿密な連絡を取り合う関係でもある。

だが、9月1日の早朝は様子が違った。

いや1日に限らず、いつでもそうだった。のちにNSAが「嘆かわしい」とため息をついたことだが、本来ならば最も確実にソ連防空軍の無線を傍受しているはずの「二別 」稚内基地は、007便撃墜の瞬間、適確に対応することができなかった。職員による傍受作業が午前9時から午後5時まで、それ以外の時間はVOX(自動音声録音システム)による、音声を捕らえて初めて作動するシステムによる傍受しか行なわれていなかったからだ。

さらに悪いことに、この時、サハリン上空を通過したアメリカの衛星はなかった。ハリウッド映画とは異なり、現実のスパイ衛星はつねに、あらかじめプログラムされた軌道とスケジュールの、忠実な下僕である。

つまり、三沢基地はこの007便撃墜事件の瞬間、適切な情報を得る手段がなかったのだ。「連絡してくるはずの」二別稚内基地が、「勤務時間外」だったからだ。

撃墜の数時間前、三沢は第6981電子保安群( 6981st ESS:アラスカ州エルメンドーフ/Elmendorf AFB)からの情報や、短波帯無線通信の傍受により、ソ連防空軍の動きが不穏であることを、それとなく察していた。だがそれが具体的に何を意味するのかを知るには、UHF帯の無線傍受が不可欠であった。

三沢は「なにが起きたのかわからない」ほど混乱に満ちた。

この時、実に的確な情報をアメリカにもたらしたのは、同じ稚内基地に存在しながら、まったく独自の活動を行っていたもうひとつの傍受機関、アメリカの通信情報部隊であった。「二別」稚内が眠っていたとき、この秘密部隊は耳を澄ませていたのだ。

この通信部隊の名は「プロジェクト・クレフ(CLEF)」。米空軍電子保安司令部、海軍保安群、陸軍情報保安司令部の三者によって1982年に開始された、極めて特殊な機関であった。

アメリカ人の稚内駐留は秘中の秘とされ、クレフ要員は民間人を装うように命じられた。

さまざまな政治的な配慮により、プロジェクト・クレフは一般公衆回線を除いて、三沢と直接に交信する手段を持っていなかった。「二別 」稚内基地は三沢第6920電子保安群と完璧な連係を保っていたが、プロジェクト・クレフが直接的に連係していたのは、メリーランド州フォート・ミードだったからだ。

官房長官、後藤田正晴がNSA〜防衛庁経由で詳細な報告を得たのは、撃墜からおよそ9時間後。当時の閣僚のうち、プロジェクト・クレフの存在を知るものは誰もいなかったといわれている。

良くも悪くも、プロジェクト・クレフは冷戦時代における情報戦特有の産物であった。ソ連をターゲットとした極めて優秀なロシア担当要員、組織の完璧な秘匿性、実験的機関であることからくる、比較的位 置付けがあいまいであることと、装備の貧弱さ、無線傍受が主な業務であったこと。インターネットの現代においてもなお、無線などの通信傍受は電子諜報に欠かせない業務だ。そしてなにより特筆すべきなのは、この部隊を掌握するのが事実上は米軍ではなく、当時「No Such Agency(そんな機関はない)」、「Never Say Anything(何も喋るな)」と揶揄されるほどの超極秘機関であった、米国家安全保障局NSAであったことだ。

 

4: C-SigBと通信4課専用回線

陸上自衛隊は、北部方面総監部、東北方面総監部、東部方面総監部、中部方面 総監部、そして長官直轄部隊から構成されている。そのうち長官直轄部隊とは、たとえば東部方面 隊第一師団などとは異なり、文字通り陸幕には所属しない、本庁直属の部隊だ。

長官直轄部隊のひとつである中央通信団(通信団)は、通称C-SigBと呼ばれている。

中央通信団C-SigBは、昭和35年1月、防衛庁の通信・写真を担任する部隊として、当時の東京都新宿区・市ヶ谷駐屯地に誕生した。

防衛庁ウェブサイトの説明によればこうだ。中央通信団は、市ヶ谷に所在する通信団本部及び本部付隊、中央基地通信隊(中基通)、通信保全監査隊、中央システム管理隊、第301映像写 真中隊と、唯一久里浜に所在する中央野外通信群など6つの部隊がある。

だがこのほかに、通信監理隊、多重通信隊、そしてこの系統のなかに、内閣調査室と合同で機能する通信4課(通4)という部署が存在することは、あまり知られていない。

残念ながら、通信4課の実態はさだかでない。

筆者が取材をすすめる上でおぼろげながらに浮かんだその輪郭を示しながら、話をすすめよう。

C-SigBの中央基地通信隊は、各地の自衛隊駐屯地とマイクロ回線(多重SS)で結ばれているのだが、このマイクロ回線のうち5系統は通 4専用回線だ。そしてこの5系統のうち、ひとつの回線が常接される先は、埼玉 県大井町亀久保にある防衛庁情報本部・大井通信所である。

ソ連からの領空侵犯が発生するその都度、ソ連機と基地の通信は通4マイクロ回線を経由し、信務電信中隊監察小隊をはじめとする中央基地通信隊に届けられた。

中基通は多重SS回線で、日本各地の自衛隊駐屯地と接続されている。だがなぜ、「通 4専用回線」なるものが存在するのか?「通4」の活動とは、いったい何か?なぜ大井通信所は、「普通の」多重SS回線ではなく、通4専用回線で接続されているのか?たちどころに疑問符が林立する。

 

5:防衛庁情報本部大井通信所

エシュロンが世界的な反発を買った大きな理由の一つは、アメリカがエシュロンを産業スパイ用途に使用しているらしい、ということだった。アメリカが全世界通信傍受網を主導し、西側諸国がこれに協調し、防衛上必要な情報を共有、交換しあうだけなら、エシュロンのような機構は必要悪かもしれない。だが、日本はアメリカの軍事的同盟国はあるものの、こと経済に関しては完全に敵であるというアメリカ側の認識をも、われわれ日本人は毎日眼にする新聞欄からでさえ、ひしひしと感じることができる。

自国の企業が国際競争に打ち勝つための秘策として、アメリカ政府自らエシュロン情報をアメリカの民間企業に切り売りしているとしたら、これは問題だ。

協調国に対する、これ以上の裏切り行為があるだろうか。

東武東上線の上福岡駅でバスに乗り換え「通信所前」で下車。 そこが防衛庁情報本部大井通信所である。住所は埼玉県大井町亀久保1695。

「大井町に基地交付金も固定資産税も払っていない」といわれるこの謎めいた施設のゲートは、一日2回しか開かず、それ以外の時間は門を閉ざしている。

この警戒厳重な通信所には、陸・海・空の混成担当官と、三沢基地から派遣されてきた米軍人によって運用されているという。

憂慮すべき問題のひとつはここにある。防衛庁の情報機関でありながら、三沢の米軍人が出入りするということが何を意味するのか。いうまでもなく、これら米軍人の出自は第6920電子保安群(6920 ESG)である。

中央基地通信隊に接続する、5本といわれる通4専用回線のうち、一本の終端がこの大井通信所であることは先述のとおりである。取材の過程で接触した、ある防衛庁関係者は証言する。「通4の具体的な活動内容についてはよくわかりません。ただ、通4からの回線モニターから想像するに、通 4は日本国内と他国との通信を常時、監視する機関であると考えられます。おそらく三沢基地の"象の檻"は完全に米軍が掌握しているのに対して、大井通信所の役割はもっぱら国内の監視が目的のようなのです」。

大韓航空機撃墜の第一報をもたらした、稚内の米軍部隊「プロジェクト・クレフ」の系譜が、今に息づいているのは、通信4課なのであろうか。

 

6:「頑丈な兵舎」

中央通信団自体が、IDカードをもっていないと入れない防衛庁市ヶ谷本部のなかでも監理の厳しい部隊であるにもかかわらず、この通 4はさらに厳重な警戒体制が敷かれている。それゆえ、C-SigB隊員ですら通 4に入ることは通常は許されていない。

通4本部は防衛庁本庁にある。それゆえ市ヶ谷が駐屯地であった頃は、そこにあるのは通4分室であった。

防衛庁本庁が市ヶ谷に移転してからは、おそらく通4市ヶ谷分室は通4本部に統合されたのであろう。そしておそらく、国内のいくつかの場所に……通 4専用回線の数から想像して、通4分室はすくなくともあと四ヶ所に、いまだに存在しているのだろう。

東京都港区六本木7-23-17。このNSAの「赤い糸」が結ぶ、もうひとつの「恋人」が棲息する場所である。

都立青山公園に隣接するこの陸軍施設、ハーディー・バラックス(Hardy Barracks, Tokyo, JAPAN, USARPAC)の「ハーディー」が「頑丈な」を意味する英単語なのか、それとも米軍が施設の命名によくやるように、優れた軍人を記念してつけられたその苗字なのかはわからない。旧日本陸軍駐屯地に所在する、「赤坂プレスセンター」として知られるこの施設にはヘリポートあり、一泊12ドルの米軍人用宿泊施設や独身・家族用将校宿舎、自動車修理工場などがあり、軍事施設っぽさが比較的希薄な印象すら与える。

だがハーディー・バラックスには、デュアル・ユーズ・テクノロジー、すなわち軍事転用が可能な、日本における最新の科学技術情報を収集する陸軍研究事務所極東事務所(ARO-FE: Army Research Office - Far East)と海軍研究事務所アジア室(ONRASIA: Office of Naval Research - Asia)、米軍準機関紙「星条旗新聞」(Stars and Stripes)、第500軍事情報群(500th Military Intelligence Group)の「保全連絡分遣隊」(The Security Liaison Detachment)、座間基地第78航空隊などをも擁する、れっきとした米陸軍施設であり、日本の科学技術・経済情報を収集する情報機関でもある。そのためヘリポートには、横田、厚木、座間の各基地からのヘリコプターが頻繁にやってくる。ハーディー・バラックスを活用する情報将校による日本に関する情報分析は、アメリカの国家戦略に生々しく息づいているのだ。

 

7:グリフォンの卵

携帯電話、業務用途の無線通信、衛星国際回線……われわれが生活する空間には、プライバシーてんこ盛りの電波に絶えず満たされている。これらの電波を貪欲に吸収するための、全地球盗聴網エシュロンの最前線にいるもののひとつに諜報衛星がある。

衛星からの、波長の極端に短いSHF帯の電波を受信するためには、中華鍋のような構造のアンテナが最適だ。BS放送でおなじみのパラボラアンテナである。ただ、軍事施設で使われるそれの直径は、一般 家庭用パラボラとは比較にならないほど大きい。そして、あの形状から誰しも容易に想像がつくように、風雪の影響を受けやすい。

それゆえ、アンテナを風雨から保護するために、ドーム状の建造物をパラボラを取り囲むような形で覆う。アルミ材で組み立てられた枠に電波を透過する特殊プラスチックシートを取り付け、巨大ドーム型のカバーを作るのである。

これは名案だ。風の影響を避けることができるばかりでなく、こうるさい市民活動家の眼から、アンテナがどこを向いているのかを悟られなくてもすむ。

この「レーダー用ドーム(radar dome)」は、そのまま縮めて「レドーム(radome)」と呼ばれる。

イギリスにある、エシュロンの「丘」メンウィズ・ヒル、日本の三沢基地、大井通信所……レドームが立ち並ぶ風景は、NSAという現代の怪鳥グリフォンが産み落とした、卵のようでもある。

筆者の話は、これで終わりだ。

最後にひとつ。イギリスと防衛庁とを直接結ぶ「糸」はあるのだろうか。

おぼつかない足どりで今回、日本のシギント(SIGINT)施設について調べているうちに慄然と浮上したのは、C-SigB関係者がふと漏らした、こういう言葉だった。

「本庁調査室のマイクロが、C-SigBの市ヶ谷タワーから、どういうわけかインテルサット経由でアメリカとイギリスに直通 ラインを持っていた……いったい、なぜだろう?」。


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