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マンドコントロールを考える
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投稿者 デラシネ 日時 2005 年 10 月 19 日 12:56:22: uiUTTMWMO8Vq6
 

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ネットワークビジネスリスク研究会
http://www.d1.dion.ne.jp/~lpldrt/mlmmind.htm
マンドコントロールを考える

はじめに

掲示板などで、MLMにはまりこんだ人の状態を「人が変わったような」「変な宗教にはまった様な」と表現される場合があります。
一部のMLMについて「心理操作技術」の悪用としての「マインドコントロール(MC)状態」を作り出すものがあるようです。
このレポートでは、「私なりに理解した『マインドコントロール状態』について」まとめて報告して見たいと思います。

マインドコントロールについては、統一協会やオウムなどで知られる様に成りましたが、社会心理学の研究から明らかになってきたものです。
まだ新しい概念なので、マスコミ等での扱い方には、過大・過小評価の両面がありそうです。

全ての人が本質的に持っている性質を利用して、人の心理を一定の方向に向ける技術(心理操作技術)は社会の随所に見られます。
MCがそういった「心理操作技術」の延長線上にあることは事実ですが、心理操作された状態を全てMC状態と考えるのは間違いです。
うまく作られた観光地のTVCMを見て「今度、遊びに行こう」と思うことは「心理操作の影響」かも知れません。
しかし、普通は他に用事が入ったりすれば、「また今度にしよう」となる事も多いですね。
もしも、「何があっても行かなくては」と思い、他の事は全て「どうでも良い」と成ったら問題ですね。

もちろん、TVCMの「心理操作能力」では、人をこんな状態にすることはできません。
しかし、幾つかの心理操作を組み合わせて用い、時間をかけて人の心理を強力に一定の方向に押し続ける事で「物事を社会的な軽重に照らして比較(社会的比較)する能力」に影響を与えるところまで行くと「何があっても行く」状態に出来るわけです。
MCの識別のためのキーポイントは「社会的に比較する能力を長期に支配できるかどうか」にあるわけです。

1.予備知識として

まず、「洗脳」と「MC状態」は違うという事です。
「洗脳」は暴力や薬物などの物理的な影響を利用します。
どちらかというと「条件反射的」な行動の方向付けです。
影響下にある人の心理には「抑圧されて発動できなくなった自我」があります。
一方「MC状態」は一般的に用いられている「心理操作技術」を特定の方向付けに強く継続的に利用したものです。
それゆえ、本人の中では「比較に必要な価値観のすり替え」が起こっているだけで、「抑圧された自我」はありません。
価値判断に必要な比較は歪んでいますが、自発的判断は常にしている訳で少なくとも本人はそう感じています。

次に「誰でも成り得る状態」だと言うことです。
人に共通する性質を利用していますので、条件さへ揃えば成り得るのです。

何かの時に「これが絶対に欲しい」と思い込んで買い、後から「なんで買ったのだろう?」と思う事が人間1度や2度はあるものです。
その状態を思い出してみて下さい。
その時には「比較する力」が歪んでいたのでは無いでしょうか?
「便利そうだ、良さそうだ」と思える部分が頭の大半を占め、「無駄になるかも、使わないのかも」なんて思う部分は、「まず無さそう」と思えたのでは無いでしょうか?
そういった心理状態には、常にそうなった条件付けがあります。
そのような条件付けを、より強め、さらに長時間かけて人に与えると、あるレベルを越えた所から、その状態が当たり前になります。
これがMC状態です。

誰であっても条件さへ整えばそうなるのですが、幸いな事にそこまでの「心理操作」の実施に当たっては、継続的な長期的な条件付けが必要です。
一般的心理操作技術の応用である宣伝技術や交渉技術では、そこまで人の心理を操作しません。
やってもメリットが無く、ディメリットが大きくなるからです。
「カルト」と呼ばれる集団だけがそこにメリットを見いだそうとして社会問題を起こす訳です。

2.人間の性質について

まず「心理操作技術について説明しましょう。
「心理操作」技術は人間の性質を利用します。
これからの説明をお読みの皆さんは「日常的に使われている技術」であることを理解して頂けるでしょう。
使われる性質としては「希少性、好意、返報性、社会的証明・権威、一貫性、集団への同調」などがあります。

(1)好意(善意)と返報性

人と言うのは、「好意(善意)に対して好意的に対応したがる」性質があります。
人が善意で勧めているものは断り難いですね。
宗教カルトの勧誘なんかでも、MC状態の人が他の人を勧誘するのに「好意・善意」を強く感じることは多いですね。
何せ本人が「あなたのために良かれ」と本気で思っていますから。
むき出しの「好意(善意)」というのは「心理操作」上の強力な武器です。
普通の営業や交渉でも、まずお相手に好かれるためには、お相手を好きに成った方が良いですよ。
それは伝わるものですからね。

「好意で勧めているのだから、ちょっと使って見ようか? ちょっと詳しい話を聞きに言って見ようか? 何度も断るのも悪いから。」
ここには好意(善意)に対して好意的に対応したがる」性質が見事に反映しています。
商品を買うなり、試供品を使うなり、ミーティングに行くなりしたとします。
そこでも「好意(善意)と返報性」はついて回ります。
商品は「特別に分けてくれた」かもしれないし、試供品は好意で貰ったものだし、よほど気に入らない場合以外には、そう悪くも言えないでしょう。
自分の口から悪く言わない、あるいは相手の「良い」という話に相づちを打つという行動は、後に述べる「一貫性」という人間の性質を発動させます。

ミーティングに行くと「大量のむき出しの好意」に直面する事になります。
その場に居る人たちの多くが「善意で勧誘」をしていますので、当然新規に参加された方「好意的返報性」は大量に喚起されますね。
さらに、後に述べる「集団への同調」の性質も発動しますね。

(2)「一貫性」の罠
 
人間は一度自らが一度とった行動を一貫して行おうとする性質があります。まず「寸借詐欺」の話でもしましょうか。

道で突然知らない人から「財布を落としたので交通費を貸してくれ」なんて言われても、まあ大抵の方はお断りに成りますよね。
でも、道を聞かれたらどうします。
そして、財布を落として困っているから、行きたい家に電話する10円を貸してくれと言われたらどうします。
そして、相手が留守で家にも帰れない、本当に困りましたと泣きつかれたらどうします。
突然泣きつくより成功の確率は上がりますね。

一度、小さな親切をすると最後まで親切にしたくなるのですね。
「良い製品だね」と口に出した時に、その半分は勧誘者への遠慮やお世辞が混じっているかも知れません。
しかし、口に出して様々な勧誘のトークを聞いている時に「一貫性」という性質は、あなたの心理を口に出したことの肯定の方向に持っていこうとします。
普通の営業(交渉)でも「良い製品(話)だと思う」とお世辞でも何でもお相手の口から出れば成功の可能性が上がります。
また営業などでは、仲間内の時でもお客様の事は丁寧に言う習慣をおつけなさい。
常に丁寧に言うことで「相手を大事に思う」感覚が「一貫性」の性質によって身に付きますからね。
ましてや、MLM企業と契約も済んで「勧誘者」となると、「一貫性」はあらゆるシーンであなたの心理を押し進めます。
「気に入った製品を自分が使えれば良い」と思って始めたのだけどミーティングの成り行き(集団同調性)で「人に勧める」と口に出したら、その発言の「一貫性」はあなたを勧誘者として駆り立てますし、何人かダウンでもついたなら、ダウンに言ったトークに対する「一貫性」はあなたを引き返し難くする訳です。

(3)「集団への同調」ということ
 
ある実験があります。
8人の被験者に、まず間違えそうにない問題を与えます。
8人の内、真の被験者は1人だけです。被験者は回答を順番に発表します。
6人の偽被験者は同一の「誤った解答」を答えて行きます。
さて7番目に回答した真被験者は正答を答えたでしょうか?

米国の男子学生を対象とした実験では、正答を答えた真被験者は全体の2/3だったそうです。
1/3の被験者は集団の嘘解答に引きずられた訳です。

これはよく使う技術なのですよ。
バーゲンのワゴンなんかは、人が群がる事でワゴンの中の商品がとても「良くて、安く見える」なんてね。
一般の店舗で「閑古鳥」が鳴くことはとても怖いのです。
「誰も寄らない=悪く見える」という逆の集団同調性が発揮される恐れがありますのでね。
この技術も単独で使う限りは、バーゲンのワゴンを掃かせるくらいしかできないのですが、先に述べた「むきだしの好意(善意)に対する好意的返報性」が喚起された状態で「発言」なり「決意」なりを引き出して「一貫性の性質」との組み合わされると強力な心理操作技術となります。
それ以外にも勧誘トークに見られる「希少性」「社会的証明・権威」など人間の性質に働きかける要素と組合わさって効果を発揮します。
この「心理操作技術」は、MLMのミーティング等で発揮される訳です。
とは言え、MLMをお始めになる方に「法律知識」等をきちんと伝えるべき役目はミーティングにあるので、参加される方がミーティングに行く事を毛嫌いするわけにも行かないのです。
「法律知識などの説明が付け足し的で、『心理操作』的な色あいの強いミーティングの場合は特に気を付けて下さい」くらいしか言えないですね。

(4)「希少性」「社会的証明・権威」など
 
手にはいり難いもの、希に思える機会というのは、その実際的価値よりも高く評価してしまう傾向もまた、人間が固有にもっている性質です。
一般の交渉でも「何時までにお返事を頂かないと、このお話は無かった事にさせていただきます」なんて使うことが多いのです。
お相手が「良い話かも知れない」と思い始めた頃を見切らないと「かまわんよ」って言われますけどね。
スーパーや薬局で気軽に買えない、DTを通じてしか買えない商品というのはそれだけで、価値の錯覚を起こさせる要素があります。
そこにもってきて「ビジネスチャンス」の提供ですからね。
社会で比較的誘惑の多い仕事をしている中堅の人でもなかなかそういう機会は少ないものです。

気を付けるべきは、冷静に判断したつもりでも、この「希少性による価値錯誤」は必ず影響しているという事ですね。
ましてや「好意的返報性」や「集団への同調」と組合わさった状態での「自分の冷静な判断」なんてのは信じない方が良いくらいのものです。

もう一つ、人間というのは「社会的証明・権威」というものに自分が思っているより弱いと言うことです。
ここで一つずつあげつらう気はありませんが、セールストーク・勧誘トークの中には、まあ沢山ありますね。
「権威に弱い」のも事実なのですが、「世の中は諸説入り乱れているもの」という考えも一般常識としてある訳です。
そういう常識がタイミング良く発動してくれると良いのですが、「好意的返報性」や「集団同調性」「希少性」なんてのが組合わさると、この常識はすぐに休眠してしまいます。
 
3.調和の性質
 
今まで述べた事、これから述べる事をもう少し良く理解して頂くためには人間の性質に「行動、思想、感情、情報選択」の4項目の調和を求める性質がある事を説明する必要があります。

例えば、考え方も異なり、感情的にも良く思えない人のための行動というのは極めて取りにくい訳です。
逆に考え方も一致し、好きな人のためになる行動は取りやすく、それが自分に不利だという情報があっても選択する気にはならないのです。

一般的に「心理操作技術」は「感情の操作」でもあります。
「良い、善い、好き」という感情を相手から引き出すことで、自分が提供する情報を受け入れて貰い易くし、考え方の一致を求め易くし、望みの行動を取っていただくと言うことです。

会社で営業の方が「お客に好印象を持って貰うこと」をまず第一に叩き込まれる理由もそこにあります。
しかし「感情」のみを操作されると他の3項目との間の調和が乱れます。
一般の営業や交渉では豊富な話題の提供で「思想の一致(好きな球団や酒の種類とかね)」を捜したり、相手のためになるという情報をひたすら説明して、相手の中で「感情」が変わらずに他の項目が調和することを願う訳です。
しかし「感情」を変え難いほど強く操作すると「行動、思想、情報選択」の方がさほど努力もせず勝手に変わってしまいます。
考え方の一致も起こりやすくなり、「感情」に合う情報しか選択しなくなる訳です。

そして循環が始まります。最初に感じた「善い人たち、良い話」を補強する情報のみが選択され、「意見の良く合う仲間」が形成され、一貫した行動が始まって、それがまた「感情」を強めていく様に調和するのです。

4.感情の制御としての「救済と不安」

宗教などで、一般の信仰心とMC的信仰心の境目はどこでしょう。
社会心理学者は「行動、思想、感情、情報の制御」のための「社会的比較の制限と言うことを言っています。

宗教カルトでは「社会的比較の制限」を加えるために「敵と救済」を刷り込みます。
「世の中は悪魔によって支配され居ている、救えるのは教祖だ」といった概念です。
そして刷り込みには「教団=救済=喜び」と「社会=悪魔=恐怖」という「喜びと恐怖」の「感情操作」が有効です。
心理操作技術を組み合わせて感情の操作をする訳です。

MC状態を引き起こすMLMシステムの場合、精密な解析情報が見あたらないのですが、掲示板等の発言から考察すると、やはり「喜びと恐怖」の構築がありそうです。
「喜び」の部分として「継続的利益」「成功」「成功を分かち合う仲間」「環境の救済」「健康的生活」などが浮かびますし「恐怖」として「会社組織の奴隷」「時間的束縛」「環境汚染」そして最近は「失業」などですね。
いずれにしても、「MLM=成功=喜び」「既存社会=破滅・奴隷=恐怖」です。

心理操作により「喜びと恐怖」という「感情」が強く操作されると上で述べた「調和の性質」が「社会的比較」を制限し始めます。
「利益が出ないのは努力が足りないからだ、努力は報われるシステムなのだから努力しなくては」「こんな事を考えては、利益優先の会社で破滅する」「ポジティブに考えなければ、既存企業の奴隷なる」「これは利益優先の既存企業と政府が自分を奴隷にするための情報だ」となっていきます。
「社会的に比較」を失うと行動、思想、感情、情報の4項目は互いに調和をとろうと特定の方向への動きを強め合う循環を始めます。

5.MC化プログラムの自然発生

これまで、述べて来たような「○○=悪=恐怖」「××=善=喜び」という概念の刷り込み方法は自然発生し強化されると言うことを述べてみたいと思います。

宗教カルトなどで「勉強のサークル」と偽って人を引き込み「ラブシャワー」などと言われる様な「むき出しの好意」を浴びせ「好意返報性」を引き出す。
「一貫性」の取りかかりとなる何らかの「発言」なり「行為」をさせる。
「集団への同調」「希少性」「社会的権威」なども加え作り上げた高揚感の中で「世間=悪魔=恐怖」「教団=救済=幸福」のすりこみを行う、という、心理学的にみてうまくできているシステムは、有能な心理学者が意図的に作ったものではありません。
カルト教団が信者獲得を目指して試行錯誤する内自然発生したものです。

だから、MC状態を引き起こしている様に見える集団に参加されている方が、「MCなんて、そんなことされてもいないし、してもいない」と言われるのは当前です。
特別な事をされた記憶もしたつもりも無いのです。
経験的にできあがった勧誘方法でしかない訳です。
ミーティングなどで集団心理で盛り上がっている状態で、「普通の企業では・・・」という発言が出る。
高揚状態で考え方は加速していきます。
「既存企業の陰謀史観」の様なものもでるでしょう。
そして「既存社会=奴隷・破滅=恐怖」の情緒的概念が発生します。

集団心理の高揚状態というのは、こういった感情が深く刷り込まれやすい状態です。
同様にして「MLM=自由・成功=喜び」の情緒的概念も発生します。
そして一旦発生してしまうと、そこにおられた方が別なミーティングに参加するだけで簡単に伝搬します。
そして、自己の内面において行動、思想、感情、情報の4項目の調和のための特定の方向への「強化」が起こると同時に「仲間に合うたびに強化」されることにもなります。

おわりに

私が、このようなレポートを書いた目的は、まだMC状態で無い方にとって「心理操作」や「MC」についての知識を持つことが「MCへの抑止力」となるからであり、既にMC状態の方をなんとかするつもりはありません。
友人やご家族がMC状態になり、なんとかしたい方にとっては「冷たい」と思われるかも知れませんが、脱MCは私の能力では手にあまるのです。
なんらかの組織に参加を誘われた時、私の拙文を思い出して頂き、その組織への参加がMC状態を引き起こす可能性についてお考え頂ければ幸いです。

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