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レオ・シュトラウスと宗教:翻訳と論考(1)
http://www.asyura2.com/0505/cult2/msg/385.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 10 月 21 日 07:59:44: SO0fHq1bYvRzo
 

レオ・シュトラウスと宗教:翻訳と論考(1)


先日、「超巨大カルト、バチカン」シリーズの第10回として、オプス・デイとネオコンの微妙な関係について書きました。
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http://www.asyura2.com/0505/cult2/msg/157.html
超巨大カルト、バチカン研究:(10)オプス・デイの正体とネオコン
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ここまで来ると、ネオコンが思想的に基盤を置いている(あるいは思想の一部を共有している)といわれるレオ・シュトラウスについても触れざるをえないでしょう。

とはいっても、なにせ哲学と来た日にはほとんど「オンチ」に等しい私ですので、直接に彼の哲学に触れたりするとノーミソが爆発しかねません。そこで、他の人が宗教に関連するレオ・シュトラウスの哲学について解説してくれている文章を相手にしてみることにします。彼の思想自体というよりは彼の思想の評価の方に注目してみたいわけです。

ただ、少なくともインターネットで探す限りでは、日本語での解説にはどうももう一つピンと来る、というかその特徴と考えられるものをズバリと指摘しているものが見当たらないため、英語資料の中から見つけた文章を取り上げ、日本語に翻訳し、それに対する私の方からの論考を加えておきます。

あまり簡単でもなく長すぎもせず、比較的理解しやすくてなおかつ論点がしっかりしているものを探して、とりあえず3つほど適当な資料を見つけました。

一つは
http://www.alternet.org/story/15935/
Leo Strauss' Philosophy of Deception
で、これはAlter Netという名前からも分かるとおり、反戦系のサイトからのものです。
次は
http://www.frontpagemag.com/Articles/ReadArticle.asp?ID=1233
Leo Strauss, Conservative Mastermind
で、これは米国の右翼系サイトに載せられたものです。(ついでですが、このサイトでは「左翼の億万長者チョムスキー」とか「国賊ジェーン・フォンダ」とかの面白い記事もあります。)
そして3つ目に、
http://www.swans.com/library/art11/mdolin10.html
Killing Democracy The Straussian Way
で、米国の民主党(リベラル)系と思われるサイトから採りました。

といっても全部を一度に翻訳して載せることも出来ませんので、何回かに分けて投稿したいと思います。最初はAlter Netに寄せられた『レオ・シュトラウスのペテンの哲学』と題される文章です。ただし和訳の分からない政治・哲学用語や政府機関、書籍名などはそのまま英語を使っています。


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【引用、翻訳開始】

http://www.alternet.org/story/15935/

レオ・シュトラウスのペテンの哲学

Jim Lobe著 Alter Net 2003年5月19日投稿


ポール・ウォルフォヴッツのような多くのネオコンたちは、エリートは無知な群集を統制するためにペテンと宗教の熱狂と永久に続く戦争を用いるべきである、と信じたある哲学者の弟子である。


もしもあなたがサダム・フセインの打倒を望み、かつあなたの諜報員が戦争を正当化する証拠を見つけることが出来なかった、としたら、あなたは何をするだろうか。

レオ・シュトラウスの信奉者たちは、その作業が為されるように「適切な」種類の人間を雇うのみだろう。彼らは知性と鋭敏さ、そして、もし必要なら、政治的実行力、議論の技術、そして何よりも、経験を積んだ諜報機関員たちが調査することの出来ないような証拠を発見するイマジネーションを兼ね備えた人間である。

'Selective Intelligence'と題された最近のニューヨーカーの記事でセイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)が示唆していることだが、国防副長官【訳注:この文章が書かれたのは2003年】ポール・ウォルフォヴッツにとっての「適切な」人間は特殊計画局(the Office of Special Plans:OSP)長官のアブラム・シュルスキィ(Abram Shulsky)であった。その部局は、大量破壊兵器の証拠および/またはアルカイダとの関連を探し、それをワンセットにして、そしてイラク侵略へと結び付けるために創設されたものだった。

ウォルフォヴッツ同様にシュルスキィも、1938年に米国にやってきたレオ・シュトラウスというドイツ系ユダヤ人の奇怪な政治哲学者の弟子である。シュトラウスは多くの有名大学で教え、その中にはウォルフォヴッツとシュルスキィの母校であるシカゴ大学も含まれるが、1973年に死んだ。

シュトラウスはネオコンたちの間で人気の高い人物である。彼の思想の追随者には米国政府の内外の重要な人物たちがいる。その中に 'Weekly Standard'の編集者ウイリアム・クリストル(William Kristol)、その父親でネオコン運動のゴッドファーザーであるアーヴィング・クリストル(Irving Kristol)、新しい国防情報次官のスティーファン・カンボーン(Stephen Cambone)、the American Enterprise Institute (AEI)(防衛政策局Defense Policy Board前議長リチャード・パールRichard Perleとライニィ・チェイニィLynne Cheneyの出身部局)にいる数多くの高官たち、そして、息子のクリストルが議長を務める米国新世紀計画(American Century:PNAC)の委員長グレイ・シュミット(Gary Schmitt)などがいる。

シュトラウスの哲学はこれらの人物たちによって採用される戦術や見解にとって二次的な付属物などではない。これは1999年のシャルスキィの論文『レオ・シュトラウスと知性の世界(この知性はNousを意味しない)』【訳注:原文では"Leo Strauss and the World of Intelligence (By Which We Do Not Mean Nous)"】(ギリシャ哲学でnousという用語は理性の最高形態を示す)の中で明らかにされていることである。ハーシュが彼の記事に欠いているように、シュルスキィと共著者のシュミットは「米国の知識人集団を非難する。それが関与する政治体制が持つ二枚舌の体質を評価するという欠陥に対してであり、社会科学の実証の概念に影響されやすいことに対してであり、そして意図的な隠蔽作業に対処する能力のなさに対してである。」彼らは次のように主張する。隠された意味についてのシュトラウスの思想は「政治的な生き方がペテンと密接に結び付いている可能性を人間に気付かせてくれる。実際にそれは、ペテンが政治生活の基準であるということを、そしてそれを排除することが出来る政治を確立させる見通し――それは期待を意味しないが――は例外的なものであるということを、示唆しているのだ。」

第1法則:ペテン

したがって、どうしてシュトラウスが機密事項に取り付かれた政府の中で、とりわけそれが外交政策に関わる場合に、人気があるのかというのは、別に驚くようなことではない。シュトラウスは政治でペテンを用いることについてほとんど何のためらいも無いばかりではなくそれが必要であるとすら見なした。アメリカの民主主義に対する深い尊重を教えながらも、シュトラウスは社会というものは階級秩序が整っているべきだと信じていた。それは社会をリードするべきエリートと従うべき大衆に分かれた社会の秩序である。しかしプラトン流のエリート主義の徒に似つかわしくなく、彼はこれらのリーダーの道徳的な性格にはあまり関心を持たなかった。カルガリー大学で政治学を教えるシャディア・ドゥルーリィ(Shadia Drury)によれば、シュトラウスは「統治者となるべき者はそこに道徳など何も無いことに、またそこにはたった一つの自然法則――優れた者が劣った者を支配する――だけがあることに、気付いている人間なのである」と信じていた。

ドゥルーリィによれば、この二分法は支配者と被支配者との間に「永久に続くペテン」を要求するのである。もう一人のシュトラウスのアナリストであるロバート・ロック(Robert Locke)は「人々は自分たちが知る必要のあることだけを教えられそれ以上は教えられない」と語る。選ばれた少数者があらゆる道徳的な真実など存在しない事実を受け入れる能力を持つのだが大衆はそれに対処することが出来ない、とシュトラウスは考えた。「レオ・シュトラウスとアメリカ右翼」(St. Martin出版、1999)の著者であるドゥルーリィによると、もし絶対の真実などは無いという事実に直面したならば、大衆はすぐさま虚無主義か無政府主義に陥ってしまうのである。

第2法則:宗教の力

ドゥルーリィによると、シュトラウスは非宗教的な民主主義に対する「巨大な侮蔑感」を持っていた。彼は次のように信じた。ナチズムはワイマール共和国の非宗教的でリベラルな本性に対するニヒリスティックな反動である、と。他のネオコンの中でも、アーヴィング・クリストルは公的な面での宗教のずっと大きな役割について長い間主張し続けている。彼はアメリカの共和制の創設者たちが教会と国家との分離にこだわったという大きな過ちを犯した、とさえ言う。そしてそれはなぜなのか? それはシュトラウスが宗教を大衆に道徳律を押し付けるために絶対に必要なものであると見ていたからだ。大衆はそれ無しではコントロールできないだろうからである。

同時にまた、彼は、宗教が大衆のためだけのものであることを強調した。支配者はそれに縛られる必要は無いのである。もしそうならば、それは実に馬鹿げたことだ。宗教が主張する真実が「敬虔なる詐欺」であるからだ。雑誌Reasonの科学部門を担当するロナルド・ベイリー(Ronald Bailey)は次のように指摘する。「ネオコンは、自分たち自身ではそうとは信じていないにもかかわらず、ほとんど宗教的であるる。」

「彼らの見方によると非宗教的な社会は可能な限りの最悪のものなのだ。」とドゥルーリィは言う。なぜなら、その社会は個人主義、自由主義、そして相対主義に率いられるからである。詳しく言うとそれらのものは社会の外的な脅威に対処する能力を危険なほどに弱める結果となる不和をもたらすだろう諸特徴なのである。ベイリィは次のように主張する。『大衆の麻薬』としての宗教の政治的な利用に対するこの固い信念が、クリストルのような非宗教的ユダヤ人がどうして雑誌'Commentary'や他のネオコンの雑誌でキリスト教右派と手を組んだりダーウィンの進化論を問題にすることさえしているのか、ということの説明の柱になる。

第3法則:攻撃的なナショナリズム

トーマス・ホッブスのように、シュトラウスは、人類の生まれ持った攻撃的な性質は強いナショナリズムを持った国家によってのみ統制できる、と信じた。「人間が本質的に邪悪なものであるため、統治されなければならないのだ。」と彼はかつて書いた。「しかしながら、人々がまとめられるときにのみ――彼らは他の人々に対抗するときにのみまとまることができるのだが――そのような統治は安定することが出来るのである。」

驚くようなことではないが、シュトラウスの外交政策に対する態度は厳密にマキャベリ主義的であった。「シュトラウスは、政治的な秩序はそれが外的な脅威と結び付く場合にのみ安定できる、と考える。」このようにドゥルーリィは彼女の本に書いている。「マキャベリに習って、彼は、もし外的な脅威が存在しないならばそれは創り上げられなければならない、と主張し続けた。」

「恒久の平和ではなく、永遠に続く戦争がシュトラウスの信じたものである」とドゥルーリィは言う。この思想は、彼女の言葉によれば、「攻撃的、戦闘的な外交政策」というように簡単に翻訳できるのである。これは、米国の軍事力によって支配される世界秩序を求めてきたウォルフォヴィッツやその他の政府のタカ派どもについては言うまでもなく、PNACやAEIの学者のようなネオコン・グループによって提唱されてきた種類の外交政策である。シュトラウスのネオコンの弟子たちは、外交政策を「国家的な運命」を満たす手段である、と見なしている。それは、アーヴィン・クリストルはすでに1983年に定義したところによると、「近視眼的な国家安全保障」の限界をはるかに超えるものである。

シュトラウス主義の世界秩序がどのようなものであるのか、については、この哲学者自身と彼の学生の一人であるアレン・ブルーム(Allen Bloom)の取り上げた、ガリバー旅行記の中の多くの隠喩の一つによって、最もよく捕らえられることが出来た。ドゥルーリィの言葉ではつぎのようなものである。「リリパットが火に包まれたときに、ガリバーは街の上に、王宮にまで、尿をかけた。そうすることによって彼はリリパット人全員を破局から救ったのだが、リリパット人たちはそのような侮辱的な出来事に屈辱を受け恐れおののいた。」

このイメージはネオコンたちの持つ米国と世界の他の地域との関係についての見方を凝縮するものである。また同時にエリート支配者と大衆との関係でも同様である。「彼らは実際には自由と民主主義の必要性を持たないが、彼らは自由と民主主義の名で世界を征服しているのだ。」とドゥルーリィは語るのだ。


【引用、訳出、終り】

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これを読む限りでは、特に驚くようなことは書かれていません。何千年も昔から支配者にとっては当たり前であるようなことがまとめられてあるだけのように思えます。要するに近代の哲学者と呼ばれる人たちが、少々遠慮してここまであからさまには言えなかったような支配者の論理を、筋を通してズバリと指摘しただけ、という気がします。

『ペテンが政治生活の基準である』とか『永久に続くペテン』など、1898年のメイン号事件=米西戦争以来の米合衆国の歴史を見ていると、まさにそのまんま、という感じで、別にあらためてシュトラウス先生に教えていただくようなことでもありません。米国の「自由と民主主義」など、人間未満の原住民をぶっ殺し動物の代わりに過ぎないアフリカ人をこき使い、中南米の資源と労働力を好きなように絞り取り、情報媒体を使って大量のデマを本当のように流してアホな大衆を扇動しながら、維持・発展してきたものですから。

(参照)
http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/286.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 10 月 01 日 09:35:49:
スペインは米国の謀略テロ被害者第1号だった:メイン号事件から9.11へ


『シュトラウスは社会というものは階級秩序が整っているべきだと信じていた。それは社会をリードするべきエリートと従うべき大衆に分かれた社会の秩序である。』『統治者となるべき者はそこに道徳など何も無いことに、またそこにはたった一つの自然法則――優れた者が劣った者を支配する――だけがあることに、気付いている人間なのである』なども、各時代の支配者にとっては当たり前のことであり、実際にそのように振舞ってきたはずです。どの時代でもどの国や地域でも、ほとんど例外は無いでしょう。

『彼はこれらのリーダーの道徳的な性格にはあまり関心を持たなかった』というか、歴史上、神話中の人物を除いて、道徳的な見地から優れたリーダーなど、どれほどいたのでしょうか。

『シュトラウスが宗教を大衆に道徳律を押し付けるために絶対に必要なものであると見ていたからだ』『宗教が主張する真実が「敬虔なる詐欺」であるからだ』『「彼らの見方によると非宗教的な社会は可能な限りの最悪のものなのだ。」とドゥルーリィは言う』などにしても、中世以来ローマ教会がそのまんまのお手本を見せてくれています。『非宗教的な社会は可能な限りの最悪のものなのだ』なんて、今のバチカンとオプス・デイの主張そのままです。

『シュトラウスの外交政策に対する態度は厳密にマキャベリ主義的であった。「シュトラウスは、政治的な秩序はそれが外的な脅威と結び付く場合にのみ安定できる、と考える。」』『「恒久の平和ではなく、永遠に続く戦争がシュトラウスの信じたものである」とドゥルーリィは言う。この思想は、彼女の言葉によれば、「攻撃的、戦闘的な外交政策」というように簡単に翻訳できるのである。』などは、規模の大小はともかくとしても、各時代の支配者の本音を実にうまく表現したものなのでしょう。


日本でも450年ほども前に明智光秀が「武士の嘘を武略と言い、仏の嘘を方便と言う。土民百姓はかわゆきことなり。」という名言を残しています。「武士の嘘」は、現代風に言えば「為政者の嘘を政策と言う」とでも言い換えたら良いでしょうし、「仏の嘘」を世界基準にしたら「神の嘘をプロパガンダと言う」とでもすれば良いでしょう。

実際に、プロパガンダという言葉は、本来はローマカトリックの伝道と布教の方法論に関する言葉で、ローマには布教聖省(英語でthe Sacred Congregation of Propaganda)とかプロパガンダ大学(the Sacred Congregation of Propaganda)なんてのもあります。

要するに世界中の支配者が、「武士の嘘」と「仏(神)の嘘」を上手に使いながら国々は地域を支配してきたその方法論を、レオ・シュトラウスがギリシャ哲学まで引き合いに出して「こんなもんだよ」と上手に取り上げて見せた、とまあ、今回翻訳した文章を読む限りでは、そんなところでしょう。

別にこの程度なら、シュトラウスに言われなくても、ネオコンでなくても、米国の支配者は大して変わらないような事をやっていることでしょう。メイン号事件のころから、あるいはもっと前の「アラモの砦」のころからそうでしたから。


しかし、これはあくまでもこの文章の作者の頭脳に映る限られた範囲のシュトラウス先生の姿かもしれません。「哲学」と言うからには、もっと「ムムッ」とうならせる奥の深いものがあるはずです。ということで、次回には、今回の投稿をきっかけにして、もう少し別の角度から解説してくれている文章を翻訳し、それに対する考察を行ってみることにしましょう。(数日後の投稿になると思いますが。)

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