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Re: 【社会契約説】
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/157.html
投稿者 ジャン 日時 2005 年 5 月 21 日 17:35:35: tV9DFzLB7Zpg6
 

(回答先: 【社会契約説】 投稿者 丸服亭直三 日時 2005 年 5 月 21 日 16:36:52)

ルソーについて触れられていませんが・・

http://www.tabiken.com/history/doc/I/I068C100.HTM

●社会契約説 しゃかいけいやくせつ

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 政治社会または国家の起源を,その社会を構成する諸個人の相互契約に求める学説。これ自身は近代ヨーロッパの思想なのであるが,臣民と主権者,あるいは神とのあいだの服従契約をも含むと考えれば,遠くギリシア時代にさかのぼって原型を求めることもできる。とくに中世ヨーロッパの封建制にあっては,領主と家臣の関係が保護と忠誠の相互給付を基礎とした契約関係になぞらえて理解されていたため,それを君主と人民の関係に拡張して,一種の支配・服従契約とする考えが生まれた。だが,こうした主張がなお多かれ少なかれ身分制的思考の影響を残しているのに対し,社会の形成に先立つ自由・平等の個人とその自然権から出発して,個人相互の社会契約にもとづく国家の成立を説いたのが,17,18世紀の西ヨーロッパにおけるホッブス・ロック・ルソーらであり,彼らの思想こそ字義本来の意味での社会契約説にほかならなかった。そこでは,政治権力の完全な不在である仮定的状態,すなわち自然状態の特性と市民社会または国家の機能を比較することによって,なぜ政治権力が必要であるか,どのような条件のもとでそれが有用であるのかを示そうとした。自発的強制はすべての理性的人間によって受容されるとし,人民と主権者あるいは人民相互のあいだに結ばれる「社会契約」に政治権力の源泉,すなわち国家形成の原理があると説いた。しかし,自然状態をいかにとらえるかで社会契約の質的形態は異なる。ホッブス(『リヴァイアサン』1651年)は,自然状態を〈万人の万人にたいする闘争〉状態ととらえ,この善悪の区別がない戦争状態は人民が自らの自由を一人の主権者の手に委ねることによってのみ終了しうるとした。すなわち,市民生活の安全が保障される条件において主権の力は絶対的であるわけで,事実上絶対王制を正当化する役割を果たした。これに対してロック(『市民政府二論』1690年)は,自然状態でも自然法のもとに個人の自由は存在するとみた。しかし,同時に不安定が宿るので,個人の自由を保つために人民相互間の社会契約が結ばれ,国家が形成されなければならないとした。その場合,人民は国家に服従の義務を負うことになるが,為政者の契約違反に対しては抵抗権を留保するものとしたのである。ルソー(『社会契約論』1762年)は自然状態と社会状態を区別し,前者において人民は闘争を常態化するものではなく,自由・平等を個人による平和な状態が保たれていたとする。だが,その後不平等が発生して個人の自由が脅かせるにおよんで,人民は社会契約を結び社会状態に移行し,人民自身が安全な主権者として自由と平等を回復するとした。以上のように,同じ社会契約説の立場にありながら,ホッブスは絶対王制を擁護し,ロックは名誉革命を正当化したうえでイギリス的な議会政治を擁護し,ルソーはこれらを批判して,社会契約が行われたのちも人民は依然として主権者であるとした。この人民主権国家における最高の決定者は「一般意志」である。それは私的利害に走りがちな,単なる「個別意志」の総和以上のもの,すなわち共同の普遍的利益を追求する意志を意味し,譲渡も分割も不可能な絶対的な存在である。そして,政府・権利などはすべてこの一般意志に根拠を置くと同時に,それによってのみ制限されるとしたのである。いいかえれば,自然権はこの諸個人を真に自由にする共同体に,社会契約を通して吸収されるということであった。こうした契約が歴史的事実とは無関係な抽象的概念にすぎないという指摘はビュームによって行われ,さらに18世紀末以降の近代歴史主義の誕生に伴い,社会契約説はしだいに衰退していった。だがしかし,人民の同意にもとづく政府という考え方が,近代民主制度の発展に果たした意義を見落としてはならないであろう。
〔参考文献〕桑原武夫『ルソー研究』岩波書店

松下圭一『市民政治理論の形成』岩波書店

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