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「ネオ社会主義」に関する補足説明
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/601.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 8 月 09 日 14:51:36: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 本当に資本増殖が可能な条件なのか? 投稿者 すみちゃん 日時 2005 年 8 月 06 日 13:31:22)

すみちゃん、どうもです。
ちょっと夏風邪で体調を崩していましたのでレスが遅くなり申し訳ありません。

「ネオ社会主義」に関するイメージの概略を説明します。

● 国有化の対象になる産業資本は、“鉄鋼・自動車・電機など巨大な固定資本(設備)を抱えている企業です。


● 国有企業の経営形態は、ソ連など「共産主義国家」のそれとは違い、現在の私的大企業とほとんど変わらないものです。


● 私的企業の存在は認められています。

[すみちゃん]
「金の額面を増加させるだけなら、高利貸しだけをやっていれば良いでしょう。
しかし、財の生産が効率的に進まないと、たとえ額面が増えても、その通貨によって市場で入手できる財の数量や品質かかえって低下することになります。
つまり、財に見合った通貨増殖には失敗していて、かえって通貨は減少しているといえるわけでしょう?

これ以外の方法で、つまり産業資本の育成以外の方法で、本当に通貨を継続的に増殖できる条件が存在するのか、直感的には疑わしく思います。」

産業資本がこれまでの自由主義的「資本の論理」では育成(資本増殖)できない状況に陥るからこそ国有化政策が選択されます。

世界最強の産業力を持ち輸出大国である日本においてさえこの間のデフレ不況でも見えたように、自由主義的「資本の論理」では固定資本形成が思うようにできなくなる状況を国家の負担で乗り越えようとする動きです。


[すみちゃん]
「産業国有化の基礎条件は、その産業資本がマクロ的に見て無価値となること、つまり株券が紙切れになることと、多くの人がそれに気づくことではないですか?
その条件が満たされず、株券に幻想を抱く人が大多数(笑)である限り、産業国有化は国家による民間資本の強奪に見えるために、政治的に実現困難でしょう。
こうい意味での革命は、ソ連崩壊以降の世界では困難ではないかと思われます。」


「ネオ社会主義」は、民間資本の強奪というかたちで産業国有化を行うわけではありません。
自由主義的条件では黒字経営できなくなった産業資本(企業)を、国家(政府)が、国民生活の向上及び国家自存を大義名分として掲げ買収することになります。
それまでの株式所有者は、株式を手離し現金を手にします。
そのお金で国債を買ってもいいわけですから、企業の株式を手離す代わりにその企業を含む産業の支配権を持つ国家に対する債権(国債)を保有することになると考えたほうがわかりやすいでしょう。

金融家側に立って言えば、配当も期待できず値上がり益を得る見通しも立たない株式を国債に変えることで、きちんと利息収入が得られるようになる“改革”です。

「金融システムの安定」を大義名分に、民間銀行に10兆円以上の国庫金を投入したことを考えれば、膨大な設備(供給の物質的条件)を抱えて存続が危ぶまれている企業を国家が買収することがそれほど政治的に困難なこととは思えません。


[すみちゃん]
「国家が産業資本の所有によって利益を得ることはできないという前提下に、国債の返済原資となる税収をどこから得るのか?」

産業資本が利益を出していてもそこからの徴税は減らし、勤労者の所得からの徴税を増やし国債の返済原資としているのが先進各国の政府です。
国家が危機に瀕した企業を買収するために増大させた債務の履行は、勤労者の所得からの徴税を増やすことで行われます。

[すみちゃん]
「税率が限度を超えると、闇(非登録)経済が肥大するだけです。
遵法精神がまだしも高そうな現代日本ですらも、その兆しが至るところに見られるのではないですか?」


欧米諸国や日本などでお金・人の移動に関する管理が強化され、治安強化策が採られているのも「ネオ社会主義」に向けた変化の一つだと思っています。

企業向けの増税であればご指摘のような事態も考えられますが、勤労者個人向けの増税であれば現在を見てもわかるようにそのような事態は起こらないはずです。

[すみちゃん]
「そうしますと、少ない税収で多額の国債を借りるわけですから、その通貨での利率は上昇するはずです。
あるいはもっと安定した外貨建ての借り入れになるでしょう。

この黒字のない条件下で高い国債利息を支払っていくと、インフレーションを免れません。
国債金融資本が、そのインフレーションを国債利率によってカバーできるのか疑問です。」


インフレーションが起きる条件は供給量の増加を上回る需要額の増加ですから、黒字や利払いは直接の関係がありません。

利息の受け手が余剰通貨を持った人たちであれば、それが消費財やサービスの購入に回る比率は極端に低いのですから、国債利払いがインフレーションを引き起こすことはありません。(家計向け赤字財政支出の増大はインフレーションにつながります)


この問題のポイントは、「ネオ社会主義」が供給力を高めるための設備投資を国家が負担することにあります。

国家が負担する設備投資で達成した生産性の上昇と輸出の増加をベースとする供給量の増加と需要額の増加の関数で物価水準は決まるので、勤労者増税が行われている状況ではインフレが起きる可能性はまずありません。
(輸出の減少はデフレ圧力につながります)


いちばんの問題は、勤労者の生活水準が切り下げられる状況が続いたときの“政治危機”だと考えています。
この“政治危機”を回避するためには、勤労者間の“相互扶助”策で「弱者」を救済するとともに、勤労者の公的負担増加率を生産性上昇率の範囲に収めてわずかであっても消費生活が豊かになっているという印象を与える必要があります。
(後者のほうは、国家負担による固定資本形成が重要な役割を担います)

「本当に資本増殖が可能な条件なのか?」という問いは、物価水準の上昇率が国債利率(税引き後)を下回っていれば可能という答えになります。
それは、金融・財政政策で十分に可能ですし、勤労者の公的負担増大政策を採る限りそうなる可能性が高いと言えます。

※ 既に欲しい財は自在に手に入る“彼ら”にとって、資本(貨幣的富)増殖の目的は財の入手量の増大そのものにあるわけではありません。(ここが“成金”とは違うところです)

“彼ら”の目的は貨幣を通じた世界の支配です(笑)。

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