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「官僚」とは目障りだが、大きな組織には不可欠な存在
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投稿者 NOVO 日時 2005 年 8 月 13 日 19:10:41: HZxSGQbJJGXxg
 

(回答先: 行政を行政担当者だけに任せてはおけない 投稿者 たかす 日時 2005 年 8 月 13 日 11:00:08)

たかす さんは、「手弁当の行政官と直接民主制」がお望みのようですね。しかし残念だが、日本を含む近代国家では不可能な話です。

歴史的にはアテネと、ルネッサンス期のベネチャの統治形態がこれに近いのですが、先ず国のサイズが違います。アテネ「市民」の数は数万程度、そして市民である「自由人」は、自分の農園で大勢の奴隷を働かせて、自分は働かなかった。市民の主な仕事は、いざと言う時には重武装歩兵として出陣する以外は、スポーツと政治でした。だから行政官は手弁当で回り持ちでした。

ベネチャの場合は参政権を持つ「市民」は、大富豪である外国貿易商人をトップにした、商人や職人の親方達でした。財産の規模に応じて負担すべき費用と、持ち回りの行政官としてのランクがほぼ決まって居て居ました。

現代の例として貴方の理想に近いのは、スイスの一部の州の政府ですが、今では山間の小さな州にしか残って居ず、これも次々普通の「代議制と職業行政官」に移行してしまいました。

現代で貴方の言われる「手弁当の行政官と直接民主制」がそのまま残っているのは、アメリカの人口数千単位の、地方の town の政治と行政です。ここでの財政をまかなって居るのは、殆ど所有地にかかる固定資産税です。

そのアメリカでも州とか国のレベルになると、昔の公務員のポストは「仕事は殆どしなくても、給料と袖の下がはいる、おいしいポスト」でした。だから誰でもなりたい。これを制度として整備したのがジャクソン大統領の「猟官制」 spoilaers system です。考え方の基本は「全ての国民は、(この美味しい)役人のポストにつく権利がある」と言うモノで、全ての役人の任免権は大統領が持ち、流石に今は違いますが、遠くない昔まで、4年ごとに町の郵便局長を含む30万人程度の役人が入れ替わりました。

マックス・ウエーバーは「職業と政治」の中で、「アメリカの政党は思想を持たない。単に自分たちにポストを呉れる大統領を実現するための徒党だ」とこきおろし、その結果できあがる非効率で腐敗に満ちた行政組織を、「アメリカのように若くて豊かな国でないと維持できない制度」とあきれて居ます。

実は日本にも、この猟官制がはびこった時期があります。維新で太政官政府が成立した直後は、「体を張って幕府を倒した薩長の士族は、誰でも役人のポストにつく権利がある」とでも言うように、役人のポストをバラマキました。あの大西郷はとくに郷党に甘く、彼を訪ねてくる人々を片端から気軽に役所に推薦して居たと言われます。

現在の問題が多い「上級公務員試験(昔の高等文官試験)を合格しないと、役所の幹部になれない」と言う制度は、この藩閥による官職の独占を、文句を言えない形で押さえ込む手段として考えられ、定着・整備されたものです。

マックス・ウエーバーも言うように、「官僚制」というのは大きな組織を運用するには不可欠な仕組みです。これは別に政府機関に限らず、上場する程度の企業になると、その運営には「官僚ライクな組織」が不可欠です。

売り上げが兆円単位の大企業を運営するには、少なくとも千人単位の人手が必要で、これはどうしても「官僚ライクな組織と運営」にならざるを得ない。世界中には10万単位の人員を抱える多くの巨大企業が立派に運営されているのだから、「官僚機構を非効率と腐敗をさけて運用するノウハウ」は既に確立して居ると考えられ、これからも洗練されて行くだろうと期待できます。

日本の官庁にも、これを持ち込めば済むはなしです。

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