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[NJさんへの回答1]の補足:
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/836.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 9 月 03 日 03:25:51: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: [NJさんへの回答1]:「ところで、なんで、デフレになるんですか?」 投稿者 あっしら 日時 2005 年 9 月 03 日 02:19:46)


【NJさん】
「現在は、需要を大きく上回る供給力があるため、政府が毎年20兆円にも上る財政支出を行なっても、供給側が得られた資金をどんどん使って、物、財を生産し、その結果、国内需要を上回って製品が余っても、余った財を、高い国際競争力で海外でどんどん売りさばけるため、国内に余剰資金は余らないため、ハイパーインフレにならない。依然として、日本国内の物の値段が下がり続けるデフレであり続ける、ということでしょうか。その結果、海外で得られた収益が企業の再生産や固定資産形成や賃金に回らず、内部保留されて、金融市場に向かうのは(20兆円もの財政支出を懸けているにもかかわらず、投入額の殆どが生産に関与しない、金融投機市場に向かってしまうのですね。)、物の値段が経時的に下がるため、富をお金で持っていたほうが、生産活動をして付加価値をつけるより、企業にとって、儲かるから、ですね?」


[あっしら]

「国内需要を上回って製品が余っても、余った財を、高い国際競争力で海外でどんどん売りさばけるため、国内に余剰資金は余らないため、ハイパーインフレにならない」の部分:

1) 輸出の増加は、同じ供給力であれば、国内の総供給量の減少を意味するので、インフレ要因となります。輸出向け供給活動に従事した人たちの給与に相当する財が国外に出て行ってしまっているわけですから、総需要金額の増加と総供給量の減少というダブル効果でインフレ要因が高まります。
但し、それは輸出の絶対量ではなく、輸出の増加率が問題になりますから、この間はそれほどのインフレ要因にはなっていません。


2) 輸出は、「輸出受け取り代金−輸出コスト」に相当する日本円の増加要因になりますから、「国内に余剰資金は余らない」という理解は誤りです。輸出で稼いだ利益が固定資本形成や給与アップに使われれば、さらに大きなインフレ要因になります。
日本はデフレ不況下でも貿易収支及び経常収支で膨大な黒字を計上し続けています。
それでもデフレを克服できないのは、輸出優良企業が稼いだ利益を内部留保にとどめて使っていないからです。

同じ供給力で輸出が減少すれば、デフレ圧力がかかってきます。

【NJさん】
「政府が財政投融資を使って資金を注入したり、巨額の赤字国債を発行したりしても、一向にデフレ不況がインフレに好転しないのは、それだけ、日本経済、国民経済が危機的だからですか、それとも、デフレも政策なのですか?余力のあるうちは、インフレでも、デフレでも、政策的にコントロールできる、という意味で経済危機、というのとは別なのですよね?」


[あっしら]

デフレが続いているのは、輸出や財政支出から得た利益が内部留保や債務返済に使われるだけで“余剰通貨”(使われないお金)になってしまっているからです。

そうなっている最大の要因はデフレにあるという「鶏と卵」の話にもなってしまいますが、総需要金額が増加すれば、利益を追求するという「資本の論理」から“余剰通貨”が使われるようになります。

国債発行による赤字財政支出は、そのような“余剰通貨”を政府が借り入れて代わりに使っているとも言えます。

そして、財政支出は“余剰通貨”をそのままの価額で使うだけになります。(1兆円を政府が借りて1兆円の財政支出をしたら、1兆円の総需要増加)
しかし、それが貸し出し=「信用創造」で使われるようになると、貸し出した金額が新たな預金となり、その預金をもとに貸し出し=「信用創造」がされるので、1兆円の“余剰通貨”が5兆円の総需要につながっていく可能性があります。

デフレがインフレに転換しないのは、そのような“余剰通貨”があることがベースであり、それを政府部門が借り入れて使うだけで「信用創造」の拡大につながっていないことが主たる要因です。


【NJさん】
「また、銀行や投資機関がこぞって国債を購入するのは、金利の大小で低金利に政策上抑えられた融資事業より国債の金利の方が勝り、国債で運用した方が貸し出すより銀行の利益になる、だけでなく、殆どを占める中小民間企業の高率の倒産が収まらない、という国民経済の悪化が根本にある、ということですか。
日本経済の現状は、そんなに薄氷を踏むような、状況なんですか。」


[あっしら]
銀行や投資機関がこぞって国債を購入するのは、

1) 前述したように、デフレ下では債務履行が厳しいわけですから、なかなか貸す気にならない(貸しても安全と思える相手が少ない)。

2) 銀行は、BIS規制(自己資本比率)でリスク資産である貸し出し債権を増加したくない。(国債はノーリスク資産だからいくらでも積み増しができる)

ということが主たる理由です。


日本経済の現状は、対米・対中を中心とした輸出が増加すれば一息つけるという薄氷を踏むような状況だと考えています。

【NJさん】
「お金の行き場がない。
行き場を失ったお金を循環させるために、替わりに政府が借り入れをして=民間の余剰金で国債を買ってもらって=余剰金をお金の循環経路に乗せて=そのお金を動かして、財政支出しているんですね。
でも、それでも、「デフレ不況」下での強引とも言えるほどの財政支出をしても、インフレに転換しない、のは、日本の経済が強いから。強さで、ハイパーインフレにならずにやり過ごしている、ということですね?デフレを深める政策、とは何をさしますか。」


[あっしら]

日本企業の供給力が強いことと政府部門が需要の下支えを行ってきたことが、貿易収支の黒字と相俟って、この間の日本経済を維持してきた主たる力です。

供給力の強さはデフレ要因ですが、それこそが根源的な日本経済の強さです。
(政府部門が赤字財政支出で需要の下支えをしなければ、供給力は一気に劣化します)


「デフレを深める政策、とは何をさしますか」については、冒頭のスレッドで書きましたが、

1) 今後予測される所得税増税や消費税アップはデフレをさらに悪化させる要因です。それらの増税のタイミングと輸出停滞が重なれば98年や02年のような深刻な不況に見舞われることになります。

2) 正規社員から派遣社員へのシフトもデフレ圧力になります。そのような動きは、同じ供給活動の人件費を減らすことを意味しますから、総需要金額を減らします。(派遣会社の利益も込みで受け入れ企業の人件費が減るわけですから、けっこう大きな総需要金額の減少につながります)


3) 少子化による人口の減少もデフレ要因です。子どもは供給活動に関わらず消費するだけの存在ですから、その子どもが減るということは「総需要金額増加率<総供給量増加率」を意味し、デフレを促進します。


【NJさん】
「強いんだったら、次の発展のために、設備投資して、固定資産の形成に資金を投入したら良いのに―需要がない、ということですか?需要がない、わけではなくて、デフレのため、皆が、生産活動に対する投資を手控えている、ということですか。
設備投資を新規にしなくても、他国の製品と太刀打ちできるだけの品質価格、数量の輸出品を製造できている、ということがあって、それをさして、最強の産業国家、とおっしゃってるんですか?」


[あっしら]
デフレは、供給量の増加に見合うだけの需要の増加がないことを意味しています。

需要の増加を実現してデフレを克服していけば、供給量の増加を実現するために固定資本形成(設備投資)も行われるようになり、固定資本形成の増加はインフレ要因ですから、インフレ状況が安定化するようになります。

国際優良企業は、供給量の増加を目指す設備増強の投資はそれほど行っていませんが、設備の更新のための投資は積極的に行っています。
(供給量の増加は、人件費や工場用地が安い中国や北米・欧州などの市場に近い国で行っています)

デフレで活力を失っているのは、国内専業メーカーや地方の地場産業です。
それらは、国内の総需要が増加しなければ活力を取り戻すことはありません。

※ 残りは明日以降に持ち越しとさせていただきます。


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