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「そごう倒産」その時 銀行、問題ゼネコンの首脳はあわて走り回った   【毎日新聞】全文
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投稿者 てんさい(い) 日時 2005 年 5 月 28 日 18:54:06: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 「そごう倒産」その時 銀行、問題ゼネコンの首脳はあわて走り回った   【毎日新聞】 投稿者 hou 日時 2005 年 5 月 28 日 15:05:24)

<特集>ゼネコン最終局面 


事情通対談
「そごう倒産」その時 銀行、問題ゼネコンの首脳はあわて走り回った
 

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追い詰められる熊谷組、ハザマ

―― そごう倒産は、ゼネコンにどのような影響を及ぼすのか。

A そごうの場合、本来は死に体企業に対する民―民の延命策という、よくあるケースだったのが、新生銀行がからんだことによって、預金保険機構が債権放棄を行う、つまり税金によって一私企業を救済するという図式になってしまった。経営の放漫ぶりもきわめてわかりやすいものだったので、世論が猛反発し、最終的には政治介入で倒産となった。

 税金による企業救済は確かにけしからんが、悲しいかな、倒産処理(法的整理)の方が国民負担は大きい。それでも、道理が通らないことがずっと続いてきたあげくの、あまりにわかりやすい私企業救済に国民の怒りが爆発した。

 これでもう、国による債権放棄はできない。新生銀行も債権放棄はしない。しかも、瑕疵担保特約(新生銀行は、譲渡後三年以内に債権価格が二割以上下落した場合、国に簿価での買い取りを請求できる)について、野党や自民党の加藤紘一氏は解消せよと言っているが、一度決めたことを変えることができるはずがない。

 そこで最初にクローズアップされるのが、新生銀行がらみのゼネコン。つまり熊谷組とハザマだ。

 すでに債権放棄を要請していたハザマについては、そごう倒産翌日の七月一三日、第一勧業銀行とハザマの間で、新生銀行分の肩代わり放棄の話が、水面下でほぼ決着したようだ。ただ、債権放棄はすべて悪という風潮の中で、すぐには言い出しにくいだろうが、計一〇五〇億円の債権放棄は合意できる確率が高いと思う。一〇五〇億円では足りず、ハザマの経営問題はなお続くだろうが、すぐにどうこうという話ではない。

 熊谷組については、確認は取れていないが、そごう倒産当日の七月一二日深夜、住友銀行が緊急役員会を開き、熊谷組経営陣も呼ばれて、善後策を話しあったらしい。噂では、熊谷組は七月一五日に三〇〇億円規模の決済を控え、その前日の一四日に債権放棄を要請する予定だったという。そうではなく、民事再生法を申請する予定だったという噂もあるが、いずれにしろ、そごうの民事再生法申請で、スケジュールが狂ったことは間違いない。

―― 熊谷組はそこまで追いつめられていたのか。

B 経営状況から言っても、ハザマより熊谷組の方がずっと深刻だ。生きていくためには、営業利益でどれだけ金利負担を賄えるかがポイントになる。営業利益と受取利息配当金を足した金額を支払利息で除した数字をインタレストカバレッジレシオというが、二〇〇〇年三月期末の連結ベースでの数字は、ハザマが一・七倍であるのに対し、熊谷組は〇・九倍だ。熊谷組は、早晩債権放棄なり民事再生法なりに踏み切らないと、金利負担で自壊してしまいかねない。

 ただ、熊谷組が民事再生法を申請するのは難しいかもしれない。そごうが民事再生法を申請できたのは、おそらくメーンバンクの日本興業銀行が融資残高約三〇〇〇億円のうち二〇〇〇億円程度を引き当て済みで、追加負担が一〇〇〇億円程度だったからではないか。債権放棄より負担額が大きくなるとしても、それほど大きな違いではなかったのだろう。

 熊谷組の場合、メーンの住友銀は、総額三〇〇〇億円の引当金を用意しているが、この中にはゼネコンから何から全部入っている。ところが、熊谷組向けの住友銀の融資残高は四〇〇〇億円以上はあるとされる。このうちどの程度を引き当てているのか。仮に三〇〇〇億円の三分の一が熊谷組としても一〇〇〇億円で、残り三〇〇〇億円という話になると、追加負担があまりに大きい。

 もう一つ、そごうと熊谷組の大きな違いは、小売り企業の場合、税金を使うことに対する国民の反発がまともにその企業の売り上げに響くが、ゼネコンの場合、国民の反発で受注が減ることはほとんどないということだ。

 青木建設が危機に陥った時も、興銀は自らの取引先に、青木建設への発注を依頼した。債権放棄を受けたゼネコンはバランスシートの状態が良くなるから、建設省の経営事項審査の点数が上がり、公共事業も受注しやすくなる。


過剰反応で潰れる危険も

A プロが見ればその通りだが、現実はプロが見る通りには動かない。

 そごうの場合も、プロの損得勘定に基づけば、そしてけじめ問題を別にすれば、明らかに債権放棄の方が良かった。債権放棄をしても二〜三年後には潰れただろうが、その間に金融機関や取引先が徐々に退いていけば、損失が少なくなる。税金による救済を避けるため、新生銀行分ははずして債権放棄する方法もあっただろう。だが現実には、感情論が先行して――それは正論なのだが――損失の大きい倒産処理になった。

 ゼネコンも、まったく同じ。確かに受注減などの問題はないが、いったん政治問題になってしまうと、そんなことは関係なくなる。とりわけ今は、扇千景氏という“素人”が建設大臣のイスに座っている。この大臣が問題をよくわかっていないまま、「潰せ」という指示を出してしまうかもしれない。

 冷静な分析など、こうした局面では役に立たない。そごう倒産の流れがそのままゼネコンにくるか、何らかの理由でいったん途切れ、今年の秋以降、展開が変わるかのどちらかだ。

B ハザマの場合、第一勧銀が新生銀行分を引き受ければ、完全に民―民の関係になる。第一勧銀に対する批判は出るだろうが、そごうの場合とは明らかに違う。熊谷組に関しても、新生銀行分を住友銀が肩代わりし、総額六〇〇〇億円のうちたとえば三〇〇〇億円を住友が債権放棄すればいいのではないか。

A そうはいかないだろう。少なくとも当分の間は、債権放棄はすべて悪。銀行がそれほどの債権放棄をできるのも、銀行に公的資金が入っているからだという論理になる。少なくとも野党はそれで押す。

 怖いのは、そうした流れの中で、問題が次々と連鎖していくことだ。もし熊谷組がアウトになれば、銀行にゼネコンを潰す大義名分ができ、すでに債権放棄を受けたゼネコンも危なくなる。とりわけ、気になるのはフジタだ。

B ゼネコンを見る上でのロジックが、従来とはまったく変わってしまったわけだ。

A 私の認識では、熊谷組は本来、七月中に債権放棄を申請しなければならないような状態ではなかったと思う。住友銀が少々の追加負担をすれば、中間決算期の九〜一〇月までもたせることはできただろう。だが、そごうの件で、そのシナリオが崩れた。熊谷組の取引先が急速に引き始めており、すでに商社などで、熊谷組との取引を中止したところがあるらしい。放置すれば、資金繰りは大丈夫だとしても、資材が入らなくなる。ビルを作ってもサッシが来ないとかエレベーターが来ないとか、という状況になると、何らかの決断をせざるを得なくなる。

―― 通常なら、住友銀が出て行って説得する場面だろう。

A 従来は住友銀を信用して取引してきたわけだが、もう住友銀だけで決められない局面になってきたという判断だろう。過剰反応だと思うが、信用第一のゼネコンにとっては、その過剰反応が一番怖い。


フジタ、長谷工、佐藤工業‥‥ 既債権放棄組も苦しい

B すでに債権放棄を受けたゼネコンは、青木建設が興銀の全面支援でそこそこ回っているほかは、相変わらず厳しい経営環境に置かれている。さくら銀行メーンのフジタは特に厳しいが、大和銀行メーンの長谷工コーポレーション、第一勧銀メーンの佐藤工業なども、厳しいことに変わりはない。

A いわゆる問題ゼネコンの一社について、Xデーが八月四日だというまことしやかな噂も、そごう倒産の翌々日くらいから流れた。この会社は確かに非常に厳しい。この九月中間決算は、本気で監査したら債務超過の可能性が高いということは、多くの関係者が考えていることだ。そうした問題点が、そごう問題をきっかけに一気に表面化しつつある。

B 公表ベースで一番借金が多いのがフジタ。一九九九年三月期に一二〇〇億円の債権放棄を受けたが、その後、連結対象子会社が急増したことで借金が膨れ上がり、さらに債権放棄をしてもらわないと厳しい状況になっている。そごう問題の結果、二度目の債権放棄はないとなると、周囲の目も急激に厳しくなる。さくら銀との関係も、それほど強いものではない。

A さくら銀は、三井建設で手一杯だ。さくら銀だけでなく、それぞれの銀行が、ゼネコンの選別を行わざるを得なくなるかもしれない。たとえば、住友銀がもし熊谷組を支えるなら、同じ住友銀メーンで規模の小さい古久根建設や松村組は苦しくなる。第一勧銀が、ハザマと佐藤工業を天秤にかけても不思議ではない。


金融再々編という事態も

―― 銀行への公的資金注入の目的の一つは、ゼネコン救済だったのでは。

A 土建国家日本において、ゼネコン問題とは政治問題だった。当然政治は、ゼネコンを救うために動いてきた。その政治の論理が、そごうの一件で大きく変わってしまった。ゼネコンとつながりの薄い若手政治家の力が増しているという、政治構造の変化もある。

B だが今回、日銀がゼロ金利解除を見送ったのは、明らかにゼネコン延命を図る政治の圧力によるものだろう。それに、仮に熊谷組がアウトになれば、一段落を見せている金融再編もやり直しということになりかねない。

A そうなれば、銀行への公的資金再投入は間違いなくあるだろう。四つのメガバンク・グループの中で、ゼネコンと無縁なところは一つもない。問題が少ないと言われる東京三菱銀行でさえ、東急建設を抱えている。

B 特に、住友銀にとっての熊谷組は大きい。この両者は、運命共同体と言ってもいい。熊谷組の連結ベースの保証債務は約二〇〇〇億円。有利子負債は一兆円近くあり、計一兆二〇〇〇億円。うち四〇〇〇億円以上が住友銀だ。

A それが一気に来たら、下手をすると致命傷になりかねない。これまで、熊谷組が民事再生法または会社更生法を申請する確率は二割以下だと思っていたが、今回の件で四割くらいになったかもしれない。

―― 新生銀行と当局の間の瑕疵担保特約が問題だったとの見方については。

B 瑕疵担保特約がなければ、そごうなどは国有化時代にすでに潰されていた可能性が高い。金融不安のただ中で、それは難しかっただろう。

A 旧日本長期信用銀行の売却先がなぜ米リップルウッドだったのかという疑問は残る。新生銀行は、これで取引先が逃げ出せば、再破綻する可能性がなくはない。だが、それでもリップルウッドには、それなりに利益が出るだろう。引き当てをかなり積んでいるし、株価も上がる。再売却や再上場も可能だ。それが、たった一〇億円の投資でできるというのは、やはりおかしな話だ。


政治の力で合併を強行せよ

B ゼネコンにとっての最大の問題は、何社かが倒産しても、真の淘汰につながらないことだ。会社更生法でも民事再生法でも、会社が消滅するわけではない。悪い会社の財務内容が良くなってよみがえることで、競争が激化し、良い会社が悪くなってしまう。

A ゼネコンの場合、破産は影響が大きすぎてできないからね。多田建設が更生法を申請した時(九七年)も、日雇い労働者たちが破産と誤解して会社に押し寄せ、互いに血を流しながら資材を持ち去る騒ぎがあった。

B 合併などを含めた業界の抜本改革は、スーパーゼネコンが本気でやるしかない。逆説的だが、竹中工務店や大林組が一部でやっているような赤字受注を大規模にやってはどうか。

―― そして、スーパーゼネコンが破綻したゼネコンを引き取るのか。

B ただ、スーパーゼネコンにとっては、問題会社を吸収合併するインセンティブはない。

A 政治が、「合併しないと潰すぞ」と脅すしかないのではないか。実際、銀行はそれでようやく再編した。たとえば熊谷組を解体し、部分ごとにいくつかのスーパーゼネコンに引き取らせるようなことも考えられるだろう。

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