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「年収300万円時代を生き抜く経済学」 土地担保主義の金融システムは、世界最強と言ってもよいメリツトがある。
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投稿者 TORA 日時 2005 年 6 月 02 日 14:39:25: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu96.htm
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「年収300万円時代を生き抜く経済学」土地担保主義の
金融システムは、世界最強と言ってもよいメリツトがある。

2005年6月2日 木曜日

◆森永 卓郎 (著) 新版 年収300万円時代を生き抜く経済学
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334783554/qid=1117682404/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/249-9568424-6694736

◆戦略Aデフレで企業を追い込む

いま日本を襲っているデフレには、モノやサービスの価格が下落していく普通の意味での「デフレ」と、株価や地価が下がっていく「資産デフレ」の二つがある。私は日本経済不振の大半の原因は、資産デフレ、特に地価の下落だと思っている。その理由は、大都市商業地の地価がバブル崩壊後の10年で6分の1に落ち込むという激烈な下がり方をしたことと、「土地」が日本の金融システムと深く結び付いてきたことである。

日本の金融システムというのは、世界でも稀な「土地担保主義」をとってきた。銀行が企業に融資をするときには土地を担保に取る。融資先企業が返済に行き詰まった場合に、処分して資金回収を図るためだ。この土地担保主義の金融システムは、世界最強と言ってもよいメリツトをいくつも持っている。

第一は、銀行のリスクが小さくなるということだ。土地担保があれば、融資先の企業の経営に万が一の事態が発生しても、担保処分で資金が回収できるからである。

第二は、銀行の抱えるリスクが小さくなることの結果として、銀行は自己資本に比べてより大きな融資をできるということだ。・もし担保によるカバーができないと、銀行は融資の焦げ付きに備えて十分な資金(自己資本)を用意しておかなければならない。

それに対して土地担保融資の場合は、大きな焦げ付きが出る可能性が少ないから、十分な自已資本を持たなくても融資を拡大できるのである。それは、中小企業に、より潤沢な資金を供給できるようになることを意味する。

第三は、融資先の審査が緩やかでよくなるということである。もし、担保で融資がカバーできていないと、銀行は融資先を厳密に審査しなければならないし、それを日常的に繰り返さなければならないことになる。それは銀行にとっても融資先にとっても大きな負担となるのだ。第四は、リスクが小さいことが低金利に結び付いたということである。。金利が低ければ低いほど、事業を継続できる中小企業の数は増えていく。

日本の中小企業が生きながらえることができた原因の一つは、銀行から低利の資金が供給されたことなのだ。もし担保でカバーができなければ、融資金利はリスクを織り込んで高くならざるをえない。消費者金融や商エローンの金利が高い最大の原因はそれだ。

担保で融資を十分にカバーできないアメリカの銀行は、日本の2倍の利ざやを取っている。このような土地担保の問接金融システムがあったために、日本の企業経営は高い安定性を保ってきた。

銀行から融資を受けて本杜や工場、店舗などを取得しておけば、やがて地価が上昇して「合み益」が生まれる。企業はそれを使って新たな融資を受け、設備投資をすることもできるし、経営に不測の事態が発生した場合は、担保処分で債務を返済することもできた。要は、企業経営の安定と発展を土地担保主義の金融システムが支えてきたのである。

ところが、この金融システムにはたった一つだけ弱点がある。それは地価が下落すると、土地担保主義の間接金融システムがうまく回らなくなってしまうということだ。もちろん、少しくらい地価が下落しても問題はない。担保の掛け目は7割とか8割だからだ。ところが今回の資産デフレはそんな生やさしいものではない。土地担保主義の金融システムを破壊するのに十分なほど、地価は激烈な値下がりをしたのである。

「バブルが崩壊したのだから当然ではないか」と思われるだろう。確かにバブルの清算する水準までの地価下落で企業経営が追い込まれたのなら仕方がない。バブルに踊った責任を取る必要があるからだ。しかし、いま起きている地価下落は、バブルの清算を通り越しているのだ。27ぺージの図は、2002年11月に発表された『経済財政白書』に掲載された理論地価と現実の地価の比較グラフである。

収益還元法で決まる理論地価は、現実の地価を実によく説明している。図でも分かるように1981年から87年、93年から96年については、理論値と現実の地価がほぼ同じと一言ってよいだろう。ところが、現実の地価と理論地価が乖離している期問が二つある。88年から92年と、97年から2001年である。

88年から92年の期問は、現実の地価が理論地価を大幅に上回っている。ご存じのとおり、バブルが発生した期問である。一方、97年以降現在までの期問は、現実の地価が理論地価を大幅に下回っているのだ。

特に2001年は理論地価が現実の地価の2・3倍という大幅な乖離が生じているのだ。91年のバブルの最盛期のとき、現実の地価は理論地価の1・8倍だった。いま起きている地価下落の異常さは、10年前のバブルのときよりも、はるかに大きいのである。

なぜそんなことが起ているのか。そのメカニズムはバブルの発生時と完全に同じである。よく、バブルのときには、人々は集団的熱狂状態だったと言われる。しかし、それは人々が狂っていたということでは決してない。

バブル期には、一般のサラリーマンまでが6000万円とか8000万円といった、いまにして思えばとんでもなく高い価格のマンションを買った。しかし、そうしたマンションを買ったサラリーマンも当時から「高いな」とは感じていたのだ。

それでも買ったのは、「来年になったら、もっと上がる」と思ったからだ。特に不動産投資で儲けようとしたのではない。単に「来年になったらもう買えなくなってしまう」という恐怖があったから、無理してでも買ったのである。

いま起きていることはちょうどその裏返しだ。土地の値段がまだ下がると皆が思うので、買い手がつかない。だから地価が下がりつづけてしまう。完全な「逆バブル」の発生である。いちじる逆バブルが著しいのは、商業地である。それが端的に分かるのが、不動産投資の利回りだ。現在の大都市の商業ビルを買った場合の利回りは6%〜12%にも及んでいる。

例えば利回りが10%とすれば、1億円でビルを買うと、毎年1000万円の家賃収入が入ってくる計算になる。いま銀行の普通預金金利はO・001%だから、1億円を銀行に預けてー年で得られる金利はたった1000円だ。もちろん不動産投資にはリスクがあるから、銀行預金金利より利回りが高いのは当然だ。ただ、いくらなんでも、1000万円と1000円というほど大きな差がつくはずがない。明らかに異常な地価下落が起きているのだ。(P22〜P28)

◆戦略B不良債権処理を強行して、放出された不動産を二束一二文で買い占める

いくら逆バブルを仕掛けて本来の価格よりもずっと安い価格で不動産を買える状況に持ち込んだとしても、破綻が起きなければ、買い占めはできない。ところが、日本の銀行は、買い占めをしたい投機家たちから見たら、信じられない行動に出てきたのだ。債権を放棄して、過剰債務企業を次々に救済していったのである。それは、銀行の側からすれば、必ずしも不合理な行動ではなかった。

これを先のサラリーマンの例で考えよう。4000万円の融資を受けてサラリーマンが取得したマンションの担保価値が2000万円になってしまったサラリーマンを破産させて、マンションを競売で売っても銀行は1000万円しか回収できない。そこで銀行が借金を2000万円分棒引ぎにして、2000万円に減額してやる。

給料が減り気味とはいえ、2000万円くらいの借金ならこのサラリーマンは十分支払える。銀行は債権放棄で2000万円をドブに捨てることになるが、2000万円回収できるのだから、競売で1000万円しか回収できないよりずっとましだ。これが銀行による債権放棄の構造である。

ところが、これだとハゲタカは何も手を出せない。「エサ」が市場に出てこないのだ。なんとか銀行が過剰債務企業を守ることをやめさせたい。そこで出てきた手段が、不良債権処理の加速策、すなわち金融再生プログラムなのである。

先に、金融再生プログラムが、大銀行に対して、不良債権を減らせと言いながら、同時に中小企業融資を維持しろという不良債権拡大命令をしている矛盾を指摘した。しかし、金融再生プログラムが、ハゲタカのために不動産を安値で放出させるためのものだとしたら、矛盾はまったくないのだ。

投資家にとって一番おいしいエサは、流通、建設、不動産業に属する過剰債務の大企業である。彼らは、一等地に良質の不動産を大量に抱えているからだ。しかも、過剰債務企業とはいえ、本業は基本的に黒字だから、破綻させて買収すれば、本業の方でもカネを稼いでくれる。

銀行がこうした「問題企業」の経営を支援しつづけないようにするためには、銀行に債権の厳格な引き当てをさせて、体力を奪ってやればよいのだ。それが大手銀行に対する特別検査とディスカウント・キャッシュ・フローによる貸出資産査定なのである。

それでは、なぜ金融再生プログラムは、中小企業融資を継続するように求めているのか。それは、そもそも投資家、すなわち金持ちたちは、中小企業が持っている不動産などには、ほとんど興味がないからであろう。郊外の商店街の店舖が売りに出たところで、彼らは欲しいとは思わないのだ。

また、中小企業に手をつけないのは、全企業の99%以上が中小企業であり、彼らの反感を買う金融政策を採ると、政治的にもたないという理由もあるのだろう。さらに、金融再生プログラムが主として大銀行を想定しているのも同じ理由による。地方銀行が融資している地方都市の不動産には、ハゲタカはやはり興味を示さないのだ。もちろん、金融再生プログラムにしたがって、不良債権処理と新たな不良債権の拡大を続けてい」くと、しわ寄せは銀行経営にくる。

デフレが続いている限り、大銀行の自己資本は減少していき、その経営は確実に追いっめられていくのだ。思い切って単純化すると、現在メガバンク全体の売上は10兆円で、そのうち4兆円が利益になっている。ところがデフレによる新規の不良債権発生と株式の評価損が年問7兆5000億円出ている。だから、差引毎年3兆5000億円ずつ沈んでいくのだ。

デフレのなかで大銀行が生きながらえようと思えば、大銀行自身が毎年その規模の増資を続けなければならない。それは不可能だから、デフレが続いていれば、必ず公的資金の注入を受けざるをえなくなる。しかし、その公的資金にしたところで、毎年3兆5000億円もの財政資金を注入しつづけることなど、不可能だろう。結局、大銀行もハゲタカの手に落ちざるをえなくなるのだ。

ただ、直接ハゲタカファンドに売り渡すと、新生銀行のときと同じ批判にさらされかねないので、大銀行はおそらく国内の勝ち組企業に売り渡されることになるのだと思う。ハゲタカファンドの資金の過半を出しているのは、日本人と日本の勝ち組企業だから、実際にはハゲタカファンドに売り渡すのと大差はないのだが、国民からみたイメiジは随分違うだろう。

現在、政府の各種審議会の民間委員というのは、ほとんどが勝ち組企業の代表者である。勝ち組企業に有利な施策が採られて当然なのだ。また、勝ち組企業が最終的に大銀行を買収するのだとすれば、税制改革で一般庶民に増税して、勝ち組企業を減税した訳も分かる。勝ち組企業は、減税で手に入れた豊富なキャッシュを使って、棚からぼた餅のようにして、大銀行を手に入れることができるのだ。

こうして金持ちはますます金持ちになっていくのである。それは、特殊なことではない。本格的なデフレが訪れると、必ず弱い企業の淘汰が進み、強い企業による買い占めが横行する。その結果、勝ち組企業による市場の寡占化が進むというのが歴史の教訓なのだ。世界恐慌期のアメリカで、自動車産業の吸収合併が相次ぎ、ビッグ3と呼ばれる寡占体制が確立したのが典型である。デフレは最も強力な金持ち独り勝ちの道具なのである。(P32〜P36)


(私のコメント)
森永卓郎氏のベストセラーが文庫本になっていたので買って読んだのですが、バブルの発生と崩壊の原因を簡潔に説明している。私自身もバブルの発生と崩壊を当事者として体験してきたから、株式日記でも何度も書いてきましたが、不動産に対する税の優遇制度からバブルは生まれ、地価税などのバブル潰しの税制でバブルは潰された。

銀行などの不動産への総量規制も効果的であった。このように税制で経済政策をコントロールしようとすると効き目は効果的ですが、下手をすると今回のような何十年にも及ぶデフレで悩まされることになる。地価税も総量規制も撤廃されたのに地価は下がり続け、森永氏が指摘するように逆バブルが起きている。

今なら1億円の資金で小さなビルを買って1000万円の家賃を稼ぐことは可能だ。つまり10%の利回りになるのですが、金余りにもかかわらず不動産価格は低迷したままだ。しかも0,001%の利回りしかならない預貯金に回ったままで、その預貯金を不動産に投資する人がほとんどいない。

不動産業者は盛んにマンションを建てて都内はマンションラッシュですが、土地は安いしたくさん売りものがあり建築コストも安いから、私もマンションを建てたいと思っても銀行は金を貸してくれない。一流の信用ある大手不動産会社にしか貸さない。金融庁から不良債権早期処理や担保の厳格査定などガンガンやられては銀行も金を貸せないのだ。

森永氏が言うように日本の土地担保主義は欧米のビジネスに馴染んだ人にとっては批判の対象になりましたが、銀行にベンチャービジネスが分かるわけはないのだから、土地を担保に金を貸すという制度は世界に誇る優れた制度なのだ。私自身も銀行員だったから、客から新しい商売を始めるから金を貸してほしいといわれても、評価することは無理だ。

新商売や新商品が当たるかどうかは当人ですら分からないのに銀行員が分かるわけがない。結局は不動産を担保に低利で金を貸して万が一上手くいかなかったときは担保を処分して貸し金を回収してきた。銀行は質屋みたいなものといわれれば確かにそうなのですが、直接金融が出来る大企業ならともかく中小企業は銀行から金を借りるしかない。

このような中小企業金融は金額も小さく件数も多いから、一件一件リスクを計算して金利を決めたりは無理だろう。いろいろ総合的に考えれば土地担保主義はメリットがある。金融庁や財務省は金融制度の抜本改革とか言いながら、大企業は間接金融から直接金融に変えられても、中小企業金融は以前の状態に戻るだろう。

長引くデフレは土地や株の下落が収まった時点で終了するだろうが、この十数年間土地と株は下がりっぱなしで、小泉内閣は梃入れ策を講じようとしない。メガバンクを始めとして金融が麻痺状態では逆バブルも解消しないだろう。だから土地も株も日本は大安売りでハゲタカファンドが日本を買い漁っている。

正常な形での経済進出ならグローバル経済で歓迎すべきことですが、長期的な戦略を組んで日本を安く買い叩く行為は歓迎できない。先週のNHK特集でも長銀の社員が言っていましたが、強引な貸し剥がしや取立ては日本社会では馴染めないだろう。そごうにしても新生銀行によって潰されたようなもので、ハゲタカはハゲタカなのだ。

構造改革といっても欧米のシステムが優れたものなら取り入れるべきでしょうが、日本のほうが優れているのに欧米に合わせる必要があるのだろうか。BIS規制にしても日本のような土地担保主義なら銀行の自己資本を欧米並みする必要はない。ところがバカな大蔵省は受け入れてしまった。日本が狙い撃ちにされていることに気がつかなかったのだ。

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