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人民元切り上げ? 暮らしは…  (東京新聞)
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 09 日 23:38:58: ogcGl0q1DMbpk
 

人民元切り上げ? 暮らしは… 

 中国の通貨・人民元の切り上げが、現実味を帯びてきている。日本では百円ショップをはじめ、中国製の安価な商品が日常生活に不可欠となっているが、切り上げによって、どのような影響があるのか。中国との経済関係をどうとらえればいいのか。手探りが続いているようにもみえる現状を考えてみた。

 台所用品、眼鏡、衣類に日曜大工用品…。商品がすべて百円。庶民の味方としてすっかり認知された百円ショップ。百円ショップの構造を検証したアジア太平洋資料センターの猿田由貴江さんは、百円という価格について「人民元が実態より安いということはあるが、労働力が安い中国にある工場で、通常よりずっと多い数量の商品を造らせているから」と解説する。

 猿田さんらは二〇〇三年三月、中国浙江省義烏市で調査した。同市は周辺に軽工業製品の生産拠点を多く抱え、市内の卸売市場に製品が集中する。老眼鏡三十五円、ドアの取っ手三十六円、筆箱十一円…。

 日本の百円ショップ企業は、義烏市や周辺の都市の工場に百万個単位の大型発注を行い、さらに単価を下げて納入させ、利幅をさらに広くしているとみられるという。とはいえ、人民元が切り上げとなれば、中国から日本へ輸入する際、商品の値段が現在より高くなることは間違いない。

 今年三月期の売上高が三千二百億円で業界首位の大創産業(広島県東広島市)は「元切り上げが実施されてみなければ影響は分からない。第一、当社には経営計画とかノルマとかいったものがない」と話す。ある商品の原価が八十円だとして、切り上げで九十円になっても、百十円で販売することは「ない」という。

 「一つ一つの商品は一回一回買い切り。もし同様商品の需要があれば、新たに購入することになる。そのとき単価が十円値上がったら、もっと発注の数量を増やすとか商談によって元の水準に戻すことは可能だ」

 また、何が何でも百円にこだわっているわけでもない。国内二千四百店を展開しているが、百円商品とともに数百−千円の商品を扱う店舗がほとんどだ。

 業界二位キャンドゥ(東京都板橋区)は「今のところ百円均一を崩す考えはない」とするが、人民元切り上げの影響について「今は検討中としか言えない」と言葉少な。最新決算でも人民元問題に触れていない。

 猿田さんによると、昨年一月、大創産業の都内店舗で実態調査した際、46%が中国製だった。発売元しか表示がなく製造国の表示がない商品もあったため、実際には中国製の割合がもっと高い可能性もある。

 自社開発商品を国内外の協力工場で生産、両社に商品を卸すスルガ(静岡県吉田町)の広報担当者は「この業界はもともと、流通革命、生産革命という形で次々と新しい手を打ってここまで大きくなった。元切り上げもその流れの中では吸収されてしまうのでは」と自信を見せる。

 先月、東京都練馬区に百円コンビニ一号店を出店したローソンは「主力商品は国内産の野菜などで、元切り上げの影響が直接あるとは思っていない」とし「むしろ、原材料や加工賃の値上がりという形でローソン本体に影響を受けることになるだろう」と続けた。

 百円ショップにとどまらず、今や身の回りには中国製商品が満ちている。例えば、食料品の対中依存は全体では4・7%にすぎないが、ニンニクや生姜(しょうが)の六割以上は中国産、輸入緑茶の94%は中国から。繊維製品は75%、家具の46%も中国製だ(〇四年度の財務省「貿易統計」より)。

 第一生命経済研究所の熊野英生主任研究員は、人民元が10%切り上げられた場合、家計は月五百五十七円の支出増と試算する。額はそれほどでもないが「野菜の冷凍食品では中国産の比重が大きく、心理的な圧迫は見過ごせない」と言う。

 人民元の切り上げは昨年来、米国が圧力を加速しており、スノー財務長官は先月十七日、報復措置をちらつかせながら「十一月初めまでの実施」を迫った。米国の要求の根拠は、対中貿易赤字の削減につながるということだ。

 切り上げ実施は確実な情勢だが、時期や上げ幅について、城西大の張紀潯助教授(アジア経済論)は「年内から来年初めにかけ、10−15%」と予測する。

 「中国政府は面子(めんつ)を重んじる。米国の要求に屈したように映る時期は避けるだろう。上げ幅も一九七一年の(対ドル)円切り上げが約15%だったことを重視しており、この辺が妥協点」

 もっとも、米国の対中貿易赤字削減につながるかどうかについて、専門家は一様に否定的だ。日中経済協会の藤原弘調査部長は「中国に生産拠点を持つ台湾、韓国、日本の企業からの対米輸出も統計上は『対中』でくくられる。米国企業も中国進出しており、米国企業に与えるマイナスも小さくないのでは」と言う。

 熊野氏も、グローバル化を無視して二国間貿易でくくるのは過去の遺物とした上で「世界の生産拠点としての中国、世界の消費市場としての米国ととらえるべきだ。米国のいら立ちはむしろ、対中輸出が伸びない点にある。中国の購買力を高めなくてはならないが、急激な人民元切り上げによる成長率鈍化は逆効果。緩やかで段階的な切り上げが望ましい」と注文する。

 中国に進出している日本の産業界はどうか。

 中国で生産、世界に輸出する繊維業界、日本向けに現地生産した部品を送る中小企業などは、切り上げに困惑を隠せない。こうした中、中国からインド、ベトナムに生産拠点を移す機運もみられるが、張氏は「労働力が安い中国という見方は単純すぎる。中国の製造業は、資本、技術集約型に移行しつつある。十年前、台湾が(中国外に)生産拠点を移そうとしたが、結果的にその比重は六倍に伸びた」と指摘する。

 一方、原材料を中国に持ち込み、中国を販売市場とする自動車、建設機械業界などは歓迎している。市場としての中国だ。「全体として日本の中国向け輸出は確実に増える。現地生産ラインや部品に占める日本製品の需要が高い」と張氏。

 「反日デモも、経済の実体ベースへの影響はなかった」(藤原氏)というように、経済の日中一体化が進んでいる。熊野氏は「WIN−WIN(双方が勝つ)ゲームが経済関係の基本」と強調する。「中国を単なる労働力市場ではなく、消費市場とみれば、その成長率との整合を図らなくてならない。中国に外需をてこに内需を押し上げる構造を定着させること。それが最終的に両国の利益になる」

 十日からロンドンで開かれるG8財務相会合でも、人民元切り上げ問題が焦点となるのは必至。日本の役割について、藤原氏は「急激な変化を求める米国へのブレーキ役を演じるべきだろう」と提起する。

 従来のように生産拠点として、将来は消費市場として期待される中国。熊野氏もこう提言する。

 「中国が『金の卵を生むニワトリ』であることは皆が知っている。そうであれば、『角を矯(た)めて牛を殺さない』ことが大切だ」

■現状、対ドル実質固定

 人民元は管理変動相場制で、変動幅は前日比上下0・3%以内とされているが、ドル買い介入で1ドル=8・277元にほぼ固定、事実上、ドルと連動してきた。巨額の対中貿易赤字を抱える米国には「中国は元安を維持しアンフェアだ」との批判が強く、議会では中国を対象にした通商や為替に関する法案が提出されている。一方、中国は大量の資金流入、景気過熱による物価上昇が懸念され、政府は外資導入、輸出競争力への影響などを考慮しつつ、為替制度改革には前向き。先進各国のような変動相場制への移行措置としては(1)変動幅をしだいに拡大する(2)ドルなど複数の通貨を一定の比率で束ねて計算した指標に連動させる(通貨バスケット制)−などが検討されているという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050609/mng_____tokuho__000.shtml

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