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予算編成、残る火種 歳出減に省庁から反発 骨太の方針
政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針２００５」で積み残された医療費の抑制策、ＯＤＡ（政府の途上国援助）増額などの課題は、０６年度予算編成に議論の舞台を移す。財務省は７月末にも骨格となる概算要求基準（シーリング）を示すが、「歳出削減へ手綱は緩めない」方針で、関係省庁や族議員との対立は確実。年末の予算案決定時まで難航が予想される。（日浦統）
最大の焦点は、高齢化のため、一般会計ベースで毎年１兆円規模のペースで増え続ける社会保障関係費だ。０６年度予算編成では、特に医療費を巡る議論が中心となる。
財務省は、過去３年のシーリングで、社会保障関係の自然増分で２２００億円程度の削減を求めている。今回のシーリングでの抑制幅は今秋にもまとめる医療制度改革案の内容に影響するだけに厚生労働省は一層神経をとがらせる。
医療費総額を経済指標に基づき抑制する手法に関し、骨太方針は「適正化の実質的な成果を目指す政策目標を設定する」とのあいまいな表現にとどまった。厚労省が各分野での積み上げ方式による中長期的な医療費抑制を目指すのに対し、谷垣財務相は「即効性のある抑制策も、併せて考えなくてはならない」と牽制（けんせい）。有効な指標の導入を引き続き目指す構えだ。
「事業量の戦略的拡充」との文言が盛り込まれたＯＤＡ予算はこれまでシーリングで特別扱いせず、「裁量的経費」に含め減額してきた。裁量的経費では科学技術振興費を特別に確保しており、今後ＯＤＡも同様の扱いに「格上げ」するかどうか注目される。
国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す外務省は一般会計での増額を求めるが、財務省は財政投融資による円借款や債務削減などを組み合わせて「実績額」で増額する考えだ。
公務員の総人件費は、０５年度予算と地方財政計画では２６兆７千億円に達し、一般歳出の２割以上を占める。この秋に定める定員の「純減目標」で、どれだけ人件費削減に道筋をつけられるかは、人事院が８月に勧告する国家公務員の給与改革案や、労組の動向ともからみ不透明だ。
公共投資関係費も財務省は７年連続で削減する方針を固めたが、国土交通省は「防災や都市再生などの取り組みが必要」と反論している。
０６年度が最終年度にあたる三位一体の改革（国と地方の税・財政改革）も終着点が見えない。
補助金削減では義務教育費と生活保護費を巡り、文部科学省や厚労省と地方との対立が続く。地方財政を左右する地方交付税では、骨太方針は「地方の安定的な財政運営に必要な総額を確保する」と明記したが、あくまで抑制を主張する財務省と総務省・地方自治体の隔たりは大きい。
政府系金融機関の統廃合も焦点。財政投融資の出口である同機関の見直しは小泉政権の一貫した目標で、郵政民営化法案成立後の目玉に据える狙いもある。骨太方針は「秋に向けて議論を行い、あるべき姿の実現に関する基本方針を取りまとめる」としたが、財務省などには抵抗がある。
◇ ◇
◆０６年度予算編成に関連する今後の見通し
＜６月＞
骨太の方針２００５を閣議決定
＜７月＞
主要国首脳会議（Ｇ８サミット）
０６年度予算の概算要求基準を閣議了解
＜８月＞
人事院が国家公務員の給与改革案を勧告
概算要求と税制改正要望の締め切り
＜９〜１１月＞
公務員の総人件費改革の基本指針を策定
政府系金融機関改革の集中論議
安保理拡大などをテーマに国連サミット
三位一体改革で、「中央教育審議会」と「生活保護費・児童扶養手当に関する関係者協議会」が補助金削減のあり方を決定
医療制度改革の厚生労働省案とりまとめ
医療費の伸びを抑制する政策目標を決定
＜１２月＞
０６年度与党税制改正大綱決定
０６年度予算財務省原案、同政府案決定
http://www.asahi.com/paper/politics.html
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