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中国石油会社が米石油大手ユノカル買収攻勢のワケ  【東京新聞】
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 03 日 19:02:12: ogcGl0q1DMbpk
 

中国石油会社が米石油大手ユノカル買収攻勢のワケ


 中国の石油大手、中国海洋石油(CNOOC)が、米石油大手ユノカルの買収を猛然と仕掛けてきたことに波紋が広がっている。この買収劇、一度はCNOOCが敗退したのだが、常識外れともいえる高額買収金額を再提示して逆転を狙う。なりふり構わぬ買収工作には、エネルギー開発をテコに影響力を拡大したい中国政府の国家戦略が色濃く反映されている。 (浅井正智)

■メジャー相手 計185億ドル提案

 ユノカルの買収をめぐっては、今年一月にCNOOCが名乗りを上げたものの、百六十億ドル超を付けた米国際石油資本(メジャー)のシェブロンに競り負け、四月にはシェブロンによる買収が決まった。ところがCNOOCは先月下旬になって、総額百八十五億ドルに価格をつり上げ、発行済みの株式すべてを買い取ると提案。買収合戦を一気にエスカレートさせてきた。

 いったんはあきらめかけたユノカル買収を執拗(しつよう)に追い求める理由はどこにあるのか。中国問題に詳しい評論家の宮崎正弘氏は指摘する。

 「米メジャーがメキシコ湾や中東に関心を集中させてきたのに対し、ユノカルは中国に近接するアジア各国での鉱区開発に力を注いできた。中国はユノカル買収を通じ、アジアの石油、天然ガスをごっそり手中にすることをもくろんでいる」

 ユノカルはタイの沖合やインドネシアの東カリマンタン、ミャンマーなどで石油、天然ガスの開発を行うほか、トルクメニスタンからアフガニスタンを経由しパキスタンに至る天然ガスのパイプライン敷設権を持っている。同社の鉱区の三分の二がアジアに集中しており、買収が成功すれば、CNOOCはアジアのエネルギー市場で指導的地位に躍り出ることになる。

 猛烈な勢いで経済成長の道を突き進んでいく中国では、エネルギー不足が深刻な問題になっている。日本エネルギー経済研究所の郭四志主任研究員は、「昨年、中国の石油消費量三億一千万トンのうち、国内で生産されたのは一億七千四百万トン。需給逼迫(ひっぱく)の深刻化がユノカル買収に動いた要因だ」と指摘する。

 技術的に遅れた中国の石油会社にとっては、ユノカルがもつ技術ものどから手が出るほど欲しい。ユノカルは海洋、とりわけ浅海での資源開発を安価かつ効率的に行う技術をもっており、中国で海洋資源開発の中心的存在であるCNOOCには魅力的に映るはずだ。

 今回の買収騒動は金額がケタ外れのためにたまたま注目されているが、中国の石油会社による外国企業の買収・提携は近年、大きなうねりとなっている。

 CNOOCが今年五月、カナダのオイルサンド(砂とタールの混合資源)開発企業のMEGエナジーの株式17%を獲得したのをはじめ、CNOOCとともに中国の石油大手三社をなす中国石油(ペトロチャイナ)と中国石油化工(シノペック)も同時期にオイルサンド事業に参入を決めた。

 また昨年十月にはシノペックがイランから天然ガスの供給を受けることで合意。ペトロチャイナはスーダンに利権をもつ石油パイプラインの敷設に参加しているほか、CNOOCはミャンマーでも石油・天然ガスの開発に着手している。

 二〇〇四年に中国企業が行った対外投資は三十六億ドル。そのうち半分以上がエネルギー開発に振り向けられており、まさに金の力で資源を買いあさっているというにふさわしい。

 激しく買収を仕掛ける背景にはオイルマネーの上昇で中国企業の資金が潤沢になったという事情がある。

 東京三菱銀行調査室の萩原陽子調査役は「中国では一九九〇年代、自主開発で鉱区を探す方式が主流だった。だが有望な鉱区に当たる確率は高いとはいえず、投下資本の回収も容易ではなかった」と話す。転機は九九年から二〇〇〇年にかけての原油価格の高騰だった。萩原氏は続ける。

 「中国企業に莫大(ばくだい)な収益がもたらされたうえ、ニューヨークや香港での上場によって大型資金の調達が可能になった。そこで中国は自主開発から、確実な収益が見込め、安全性が高い既存の権益を買収するやり方に転換した」

 中国企業による買収といえば、昨年十二月の中国パソコン最大手の聯想(レノボ)グループによるIBM買収が記憶に新しい。中国企業による買収攻勢は、一見、業種の垣根を越え、手を携えて行われているようにも見える。しかし「製造業の買収の場合は、中国企業に欠けているブランド力が技術力を強化し、国際市場での競争力をつけるという市場経済の論理で動いている。これに対しエネルギー産業の買収は、世界の中で影響力を高めるという中国の国家戦略と不可分であり、必ずしも経済合理性に基づいているわけではない。商業ベースの買収とは意味合いが全く異なる」と桜美林大学の井上隆一郎名誉教授(国際経営)は指摘する。

 中国の石油会社がとる特異な行動様式について、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の石井彰首席エコノミストはこんな例を挙げる。

 「通常、欧米メジャーは収益が投資額の15%を上回る見込みがなければ、その事業には手を出さない。ところが中国企業は投資収益率5%、あるいは収支トントンでも乗り出してくる。中国のやり方に対しては、欧米メジャーからは、『あれをやられたら商売にならない』という声もある」

 経済合理性を無視するかのような資源獲得戦略の先に見えてくるものは何か。

■米の制裁国で相次いで参入

 中国が買収・提携を仕掛けているイラン、スーダン、ミャンマーなどは米国が制裁対象とし、欧米メジャーが進出しにくい地域だ。また先月、反米姿勢を示すベネズエラから日量三万バレルの原油を輸入することで合意している。影響力を高めようとするほど、米国との衝突は不可避となる。

 ユノカルは今夏ごろまでに売却先を決めるとみられるが、かつてない規模の買収工作は既に米国内で反発を招いている。買収が成立するには、省庁間横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)の承認が必要だが、米下院は買収の可否を調査するための費用の支出を禁じる予算修正条項を可決、買収阻止に動きだした。

 CNOOCはホームページの中で「買収価格の百八十五億ドルはすべて現金で支払う」と仰天提案している。世間の耳目を集めるやり方は反発も買うが、中国はそれも計算ずくのようだ。

 財団法人国際開発センターの畑中美樹(よしき)主任研究員は言う。

 「金の力で資源を次々に獲得していくやり方は、メジャーによって世界の主要な資源が押さえられていた既存の秩序に対する挑戦と受け取られている。しかし中国のユノカル買収は、たとえ米国の反発を招いても、中国が不退転の決意でエネルギーを確保する意思があることを明確にするものであり、将来起こり得る資源獲得をめぐる米中間の軋轢(あつれき)を見越し、その機先を制するのが狙いだろう」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050703/mng_____tokuho__000.shtml



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