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アザデガン油田開発 イラン “大敵”“油断” 【東京新聞】
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 31 日 14:22:24: ogcGl0q1DMbpk
 

アザデガン油田開発 イラン
“大敵”“油断”


 原油価格の高騰が続く中、昨年2月に契約されたイラン・アザデガン油田の開発に業界から不安の声が漏れている。核開発問題でイランが強硬姿勢を崩さず、米国が日本に再び事業断念を求めかねない情勢だからだ。それを逆手に、中国は本格稼働する第2段階での事業参入を狙う。肝心の採算性への懸念もぬぐいきれず「仕切り直し」の必要もささやかれ始めた。 (田原 拓治)

 「アザデガン油田開発は第一段階で尻切れトンボになりかねない。中国がトンビだとすれば、試掘データという油揚げをさらわれ、おいしい第二段階は食われてしまう、そんな結末のシナリオを否定できない」

 同油田開発事業の日本側の主体、国際石油開発(本社・東京)の関係者はこう話し、表情をゆがめた。

 同油田の開発は、「日の丸油田」こと日本の自主開発油田の柱だったサウジアラビア、クウェート分割地帯沖合のカフジ油田の権益を二〇〇〇年から〇三年に失った挽回(ばんかい)策として、鳴り物入りで契約された。

 ことし六月発行の同社の有価証券報告書などによると、契約は二段階で期間は六年半と六年。投資額はそれぞれ十億ドル(約千百億円)ずつで、現在は第一段階のみ契約されている。

 契約発効(〇四年三月)後、三年四カ月以内に日量五万バレルを試験生産し、その一年後以内に十五万バレルに生産量を上げる。その後、第二段階に移り、最大生産量は二十六万バレルの予定だ。

 ■『輸出先を変えたい』

 契約の過程では、イランの核開発問題で日本側に交渉中止を求める米国の横やりが入り、一時は合意が危ぶまれた。それは乗り越えたが今春以降、別の懸念が広がり始めた。中国が第二段階への参入を狙い、イラン側と水面下で協議中という情報が広がったためだ。

 発端は昨年十月だった。中国の大手石油会社シノペックが総額七百億ドルから一千億ドルで、イランと同国ヤダバラン・ガス田開発で合意。加えて、二億五千万トンの液化天然ガス(LNG)を向こう二十五年間で購入する契約を交わした。

 同時期、イランのザンガネ石油相は「日本は歴史的経緯から、わが国最大のエネルギー輸出国となってきた。だが、その地位を日本から中国に変えたい」(チャイナ・ビジネス・ウイークリー誌)と表明した。

 十一月には中国の李肇星外相がテヘランを訪れ、核開発問題にからみ「米国が(経済制裁が可能になる)国連安全保障理事会へ付託するように動くなら、中国は拒否権を発動することを検討する」とイラン側に最大限の支援を約束した。

 中国の対イラン関係強化策は、経済面でも日本をしのいでいる。LNG契約では運搬船建造で支援を約束。テヘランの地下鉄建設も中国企業が受注し、中国初の海外生産拠点として奇瑞汽車(チェリー自動車)社が年間三万台の自動車をイラン北部で現地生産している。

 カスピ海油田とイランを結ぶパイプラインの建設も現在交渉中だ。昨年十月に着工されたカザフスタンと中国間のパイプラインと将来、結合させようという構想が浮上している。

 ロシアのプーチン大統領は今月、シベリア原油を極東に運ぶ日中のパイプライン・ルート争奪戦で、中国側に軍配を上げた。何やらその勢いがイランにも及ぼうという様相だ。

 「中国の動きは無視できない。第二段階を日本が獲得するにしても、イラン側は中国の存在をちらつかせて、契約内容を有利に運ぼうとするだろう」

 財団法人・国際開発センター主任研究員の畑中美樹氏はそう指摘する。大阪商業大の中津孝司教授(国際エネルギー経営論)はより厳しい見方を展開する。

 「海外エネルギー資源の確保は中国指導部の至上命令。“油をくれ”と最初からは求めず、イランのインフラ整備や技術協力に地道に取り組んできた。姿勢からして日本とは違う。さらに中国の最大の強みは採算性を度外視できる点だ」

 逆に言えば、採算性が日本側のアキレス腱(けん)だ。国際石油開発の最大株主でもある旧石油公団が一兆円を超える不良債権を生み、廃止された経緯から、今回の事業でも経済産業省と同社は採算に関する透明性を強く求められてきた。だが、不明な点は少なくない。

 「生産量も当初は日量五十万バレルといわれ、カフジ油田(三十五万バレル)の穴埋めが期待されたが、いまの推定値は二十六万バレル。権益は75%なので二十万バレルを割るのでは」(国際石油開発の関係者)。ただ、同社広報担当者は「権益分を掛けた分とは単純計算できず、どれだけ日本側に来るかは現在も未確定だ」と話す。

 ■国際的難所コスト高に

 開発のスピードはどうか。カフジ油田の場合、開発三年目(一九六四年)には日量約十八万バレルが生産されている。関係者は「油には水や砂利など不純分が多いようだ。付近にはイラン・イラク戦争時の地雷原もあり、除去も必要。断層構造が複雑で油井をかなり工夫しなければならないという情報もある」と懸念する。

 同社は昨年十月、テヘランに事務所を開き、プラント建設の地質調査などにあたっているが、地質構造の鑑定に携わった専門家は「イラン側の要請かもしれないが、油田全体のデータは教えてもらえなかった。異例なことだ」と話し、情報は厳しく統制されている。

 当初、開発への参入が期待された国際石油資本ロイヤル・ダッチ・シェル(英・オランダ)が離脱したように、アザデガンは国際的にも「難所」とみられてきた。情報に関する厳しい制限はコスト高の現実を示唆しているようにも映る。

 何より、イランの核開発をめぐる情勢が最大の向かい風だ。米国はイランに「ウラン濃縮の恒久的な放棄」を迫っているが、ハタミ大統領は二十七日、ウラン濃縮につながる転換作業の再開方針を発表。来月就任のアハマディネジャド次期大統領も、この方針を踏襲することは間違いない。

 このため、従来は米国との緩衝材役を買って出ていた英仏独もさじを投げ出す一歩手前だ。そもそも日本の契約をめぐっては、米下院で「ブッシュ政権は再選のため、イラク戦争への国際的支持という演出を施すのに日本に自衛隊派遣を迫った。引き換えに日本の油田開発契約を黙認した」(民主党シャーマン下院議員)という非難が噴出した。

 ただ、これに反論したボルトン国務次官(当時)もシャーマン議員も「われわれは日本の投資を止められる」「イラン・リビア制裁強化法を適用せずとも、米国が強く表明すれば、日本は事業から手を引く」という点では一致していた。

 国内大手石油会社の関係者は、ため息をついた。

 「自衛隊のイラク派遣がアザデガンのためだけとは言わないが、米国からの見返りは結局“カス”だったのではないか。深みにはまる前に、事業の仕切り直しが必要かもしれない」

 <メモ>

 【アザデガン油田】 イラン南西部クゼスタン州にある中東最大級の油田。原油埋蔵量は約260億バレルで、日本の自主開発油田としては最大。旧石油公団の子会社、国際石油開発とイラン国営石油会社の子会社がそれぞれ75%、25%の権益で開発。契約は対価を現物(原油)で支払うバイバック方式を採用している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050731/mng_____tokuho__000.shtml

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