★阿修羅♪ > 国家破産41 > 933.html
 ★阿修羅♪
世界最大の水企業であるスエズ社は、途上国への投資の削減を伴う企業経営の大きな方向転換を発表した。
http://www.asyura2.com/0505/hasan41/msg/933.html
投稿者 hou 日時 2005 年 8 月 20 日 21:02:47: HWYlsG4gs5FRk
 

http://www.psi-jc.jp/focus/2003_01/06.htm

目次 | PSI-JCのホームページ|刊行物のページ|次のページ

 

貧しい人々への水


NO PROFIT,
NO SERVICE

儲からなければ、サービスは無し


デイヴィッド・ボーイズ
PSI公益事業・年金問題担当オフィサー
水事業民営化の後退は最近の傾向であるが、これは国際的な水政策が新しい方向に向かうことを示す前兆なのだろうか?
最大手の水企業は、貧しい人々が相手では金儲けにならないこと、したがって彼らとしてはそうした人々にはサービスを提供できないことが今になってわかってきたようである。ということは、これらの企業に途上国の水道事業を依存してきた国際金融機関の政策が急速に持ちこたえられなくなっていることを意味する。しかし、いつになったらこの現実が各国の水政策や国際的な水政策に反映されるのか、あるいは実際に反映されることになるのかどうかも、まだ不明である。

 世界最大の水企業であるスエズ社は、途上国への投資の削減を伴う企業経営の大きな方向転換を発表した。同社は、(フィリピンのマニラやおそらくアルゼンチンのブエノスアイレスでも)業績不良のコンセッションから撤退する意志のあることも発表した。将来の投資戦略をおおかた米国とヨーロッパに、しかも最も利潤の大きい活動に焦点を絞ろうとしているのだ。(これについてはPSIRU(公共サービス国際研究所)から新しいリサーチ・ペーパーが出ている。www.psiru.orgのレポートのセクションを参照。)
 またスエズ社は業績不良のために米国のアトランタ市から追い出されたようである。米国最大の水道事業民営化である20年間のコンセッション契約は、わずか4年間でこの1月末に破綻した。アトランタ市長が、市民への水道供給の仕事は市当局のほうがうまくやれることを確信したからだ。
 2002年12月に、スエズ社とフィリピン側のパートナーはマニラ政府に対して、60日以内に長期水道コンセッション(通称メイニラッド)を破棄すること、そして2億2千7百万から3億1千4百万ドルの投資額の返還を求めることを通告した。2月7日にメイニラッドはコンセッションの正式終結を発表した。しかしながら国際商工会議所は、パリの国際仲裁裁判所によって設置される仲裁委員会が決定を下すまでは、メイニラッドの契約終結を保留することを命じた。かくして、メイニラッドは引き続きコンセッションによる操業を続けなければならない状況にある。

世銀はどうするのか?

 しかし、企業の撤退が頭痛の種になっているのはフィリピンだけではない。世界銀行がスエズ社とヴィヴェンディ社に水事業の民営化をやらせることができないとしたらどうなるのだろうか、これらの政策をどのようにして実施することができるのだろうか?企業をこの事業の場に引き戻すために、世銀があらゆる権限を行使するだろうと推測される。
 そこで、数ヵ月後には、水の政策決定者はいくつかの重要な選択をすることになる。
 京都で開催される世界水フォーラムに向けて準備中の水の専門家たちは、民間が管理する水道事業を促すため、そしてそれを押し付けるためのメカニズムを進展させ続けるだろうか? グローバル水パートナーシップと世界水会議が後援するいわゆるカムデシュー水財政委員会は、水部門における企業のリスクを減らし、企業の利潤を保障するための新しいメカニズムを開発するのだろうか? 欧州連合の水イニシャティブ*は、官民パートナーシップを促進するための指針と原則を打ち立てることに成功するだろうか?
 あるいは彼らはこれらの政策に内在する弱点を認め、進路を変更するだろうか? 彼らは挑戦に立ち向かい、財政、技術支援および統治などの面で公営水道システムを制度的に支えるメカニズムを開発するだろうか。
 こうした数多くの疑問に対して解答が求められている。

理屈に合わない

 部分的には、その答えは水企業自身が示している。彼らは高水準のリスク保護と利潤保障を要求しているが、そのことはそもそも民間部門を参加させること(あるいはパートナーシップ)の根拠そのものを損なうものである。
 企業は多くの圧力を受けており、そうした圧力はとりわけ金融アナリストからのものである。彼らは毎月企業の利潤水準を見守っており、予想されている収益に多少でも満たなければ株価を引き下げると脅すのである。
 また、市民社会グループはこれらの企業を従来よりもはるかに注意深く監視している。そして、おそらく初めてのことだが、政府は企業が約束することに対して以前よりも用心深くなってきている。
 組合、役人および市民団体が多国籍水企業に現在与えられているコンセッションの実行可能性を評価すること、そして公営水道事業者という選択肢をもっと積極的に推し進めることを、PSIは勧告し続けている。これは、アルゼンチン、フィリピン、インドネシアおよび米国(アトランタ)の市民にとって、とりわけ差し迫った問題である。

京都と、京都以降

 PSIは、3月16日から23日まで京都で開催される第3回世界水フォーラムに公共部門が提唱するオルタナティブを携えて出席する。フォーラムを主催するのは、世界銀行と水企業によって数年前に設置された世界水会議(WWC)である。
 WWCの要請で、水のインフラを整備するための資金を調達する機構を作る委員会の委員長に国際通貨基金の前専務理事ミシェル・カムデシューが就任した。カムデシュー委員会は、フォーラムで報告を行うことになっている。この報告には、民間の水企業のリスクを減らすための金融機構を創設するための多くの勧告が含まれるだろうと思われる。リスクのうちの主なものは、マニラとブエノス・アイレスでスエズ社を直撃したような通貨価値の下落であろう。しかしIMFの前専務理事であるカムデシューに期待できることと言えば、せいぜいこの程度であろう。
 日本では、PSIは強力な日本の加盟組合に支えられて、民営化にかかわる問題に焦点を当てて適切な解決策を提言することになる。PSIのアジェンダにあるのは、水の民営化と企業との問題である。PSIはWTOのGATS交渉の対象から水を除外することを要求する。PSIが提唱する解決策には、どの改革プロセスにおいても労働者を制度的に参加させることと、有能で十分な訓練を受けた職員はサービス供給の鍵であるということを認識させること、そして特に水事業は公共部門が所有し、運営しなければならないことなどが含まれている。支配的な民営化圧力に代わる有効なオルタナティブがあることを示すために、いくつかの国の公営水道事業者も参加することになっている。■

* 欧州連合水イニシャティブは、EU加盟15ヵ国の水部門における開発活動を調整しようとする欧州委員会の試みである。これまでのところ欧州委員会は、途上国における水問題に対する解答として民間部門を提唱し続けている。どおりで支配的な多国籍水企業はすべてヨーロッパの企業というわけだ。

 


PSIRUの
データは
事実を物語る

潮流は変わりつつある

N O I T A S I T A V I R P

(右から読むと民営化)

 米国のアトランタ市が水道事業者としてのスエズ社を解雇して、公営水道に戻したという話(貧困者のための水の記事を参照)は、決して例外的な事例ではない。多国籍企業が民営化された事業から撤退したり、追い出されたりしている国や部門が次々と出現している。

フィリピンの水事業

 スエズ社の子会社であるメイニラッド・ウォーター社は、フィリピンのマニラ首都圏の西半分のコンセッションを放棄することを正式に発表した。
 この操業権は1995年に授与されたものだが、その2年後に起こったフィリピン通貨暴落による影響を受けた。スエズ社とそのパートナーは、収益を回復するために大幅に料金を引き上げて、しかも業務監督機関に支払うはずの料金の支払いを止めようとした。2002年12月に、メイニラッド社はコンセッションを放棄することを発表し、投資に対する補償金として3億300万ドルを請求した。

オーストラリアの鉄道

 同じく2002年12月に、英国所有の運輸会社ナショナル・エクスプレス社はオーストラリアのヴィクトリア州における鉄道運行契約を破棄したが、事前通告はわずか一週間前であった。撤退後の鉄道会社には5千5百万ドルの未払い債務が残された。州政府は鉄道の運行業務の責任を再び担わざるを得なくなった。

ブラジルのエネルギー

 ブラジルでは約20の電力事業体が民営化されているが、容易に手に入るはずであった利益はあがらなかった。米国系企業のPP&L社はマランハオ州の電力事業セマール社を2000年に3億1千7百万ドルで買収した。
 2002年8月にはセマール社は倒産し、ブラジルの業務監督機関であるアニールが事業を引き継がなければならなくなった。アニールは、同社を競売で売却しようとしたが、マランハオ州の電力事業労組、Sintubaは競売に反対する法廷闘争で勝利した。電力事業は今では再び国営化されている。

イタリアの水道事業

 イタリアのサレルノでは、水道事業はブイーグ・グループの一員であるフランスの多国籍企業SAURが運営していた。過度の儲け主義と質の悪いサービスなどの一連の問題に反対するキャンペーンが効を奏して、水道事業は再び自治体の管理下におかれるようになった。

インドのエネルギー事業

 米国系多国籍企業AES社は、オリッサ州の4つの送電会社のうちのひとつCESCOの経営権を1999年9月に取得した。同社は49パーセントの株を買収し、残りの51パーセントはCESCOが所有する。その後AES社は、州が所有するグリッド公社への支払いを中止、解消するはずであった財政危機を、逆にさらに悪化させてしまった。劣悪なサービスが続いたことが暴動を誘発した。2年も経たないうちに、嵐による被害が続いているさなかに、AES社は撤退し、州政府がCESCOを再び経営することになった。

英国の廃棄物処理

 1999年に、スエズ社所有の多国籍廃棄物処理企業、シータ社が英国南部のブライトン市当局との契約を獲得した。操業振りは恐ろしいほどひどいもので、寄せられた苦情件数は一日に700件という記録的な数字になった。何ヵ月も続く苦情や、労使関係の悪化、座り込み、大量解雇が続いた後に、シータ社は契約を破棄した。シータ社は、市当局に300万ポンドの補償金を支払った。現在ブライトンのゴミは、市当局のチームが収集している。■

 

上記の資料の出典は、公共サービス国際研究所(PSIRU)。PSIも共同出資しているPSIRUは、グリニッジ大学にあって、民営化問題に関する世界的権威。レポートはすべて、www.psiru.orgに掲載されているが、その他にPSI加盟組合だけが入手できる企業に関するデータもある。

 

 

目次 | PSI-JCのホームページ|刊行物のページ|次のページ

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 国家破産41掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。