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NY原油70ドルと「オイルピーク」論争 米国経済が石油生産量の減少に適応できるようになるには10年以上かかる
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投稿者 TORA 日時 2005 年 8 月 31 日 13:00:57: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu101.htm
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NY原油70ドルと「オイルピーク」論争 米国経済が石油
生産量の減少に適応できるようになるには10年以上かかる

2005年8月31日 水曜日

◆NY原油一時70・85ドル、最高値更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050830-00000018-yom-bus_all

【ニューヨーク=小山守生】30日午前のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ハリケーンの影響で原油やガソリンが供給不足に陥るとの懸念から急伸している。

 指標となるテキサス産軽質油(WTI)の10月渡し価格は一時、前日比3・65ドル高の1バレル=70・85ドルをつけ、28日に記録した過去最高値(70・80ドル)を更新した。

 午前11時35分(日本時間31日午前0時35分)現在、同3・30ドル高の1バレル=70・50ドルで取引されている。

 米南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」によって、メキシコ湾の原油関連施設などが大きな被害を受けたことが分かり、供給不安に拍車がかかり、買い注文が膨らんでいる。ハリケーンの影響で、米国内の石油精製能力は通常の約1割減に落ちているという。
(読売新聞) - 8月31日1時53分更新

◆石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(上)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20050603104.html

安くて豊富な石油は、長年、アクセルをふかしエアコンを回し、世界経済の原動力になってきた。そんな石油の使い放題の時代は終わりに近づきつつあるかもしれない――少なくとも石油業界に詳しい一部の専門家はそう考えている。そうした専門家の予測によると、1世紀以上にわたって増加の一途をたどってきた世界の石油生産量が、今年、おそらくは来年――ほぼ確実なところでここ10年以内――にはピークを迎え、下り坂に転ずるという。

 そしてその後は、ひたすら減少していくと見込まれている。石油価格は一気に上昇し、主な石油消費国は壊滅的なインフレ、失業者の増加、経済不安に見舞われる。プリンストン大学の地質学者、ケネス・S・ドフェイエス教授は「永久的な石油不足」になると予想している。

 こうした専門家たちによると、省エネ措置と新しい技術によって需要と供給の差が埋められるようになるまでには、10年以上はかかるという。そしてそうなってさえ、状況はきわめて不安定だと見られている。(中略)

こうした悲観的な予測は、石油地質学の歴史における伝説的な逸話に端を発している。1956年、シェル石油社の地質学者、M・キング・ハバートが、米国の石油生産量は1970年がピークになると予言したのだ。これに仰天した同社の上層部は、ハバートにこの予測を公にしないよう説得を試みたほどだった。それまでの数十年間というもの、目覚しい油田発見を当たり前のように見ていた仲間たちは、ハバートの説に懐疑的だった。

 しかしハバートは正しかった。米国の石油生産は1970年に頭打ちとなり、それ以後は着実に減り続けている。アラスカのプルドーベイ油田――利用可能な埋蔵量は130億バレルにのぼるといわれる――などの衝撃的な発見でさえ、この流れを変えることはできなかった。

◆石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(下)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20050606107.html

ハバートの分析は、1901年から1956年の間に米国本土48州の沿岸および沖合で発見、生産された石油量に関する統計を集めることから始まった(50年前はまだ、アラスカは石油地質学者には未知の土地だった)。データによって示されたのは、米国の確認されている石油埋蔵量は1901年から1930年代までは急増していたが、その後は増加の勢いが落ちているということだった。

 ハバートがこのパターンをグラフ化すると、米国の石油供給量がまさに頂点に達しようとしている図が現れた。米国の石油埋蔵量が過去最高になる日も近いように見えた。そして以後、埋蔵量は減少に転じる。石油企業が原油を地中から採掘するスピードの方が、地質学者が新たに発見するより速いからだ。

 これは当然といえる。油田には発見しやすいものとしにくいものがあり、規模の大きいもののほうが発見しやすいことは自明だとハバートは考えた。大規模な油田が先に発見されてしまったので、あとの油田は、だんだんと規模も小さく見つけにくい場所にあるものになっていき、発見されるペースも落ちていったのだ。

 生産量のグラフも埋蔵量と似たようなパターンを示していたが、ピークは数年遅れるように見えた。これも理論的に当然のことだった。なんといっても、原油は見つかったそばから採掘できるわけではない。土地の賃借契約を交渉しなければならないし、油井を掘ったり、パイプラインも引いたりしなければならない。こうした開発には数年かかることもある。

 ハバートが、生産量を示す曲線を未来に伸ばしてみると、1970年ごろがピークになるようだった。そしてそれ以後は、米国の採掘量は、毎年、前年を下回ると予測された。

 こんな予測では驚きたりないとでもいうように、ハバートはさらに数字の手品を披露して見せた。埋蔵量の減少を示すカーブが、増加を示すカーブに対応する形で下降すると仮定するなら、曲線のピーク時点で、アラスカをのぞく米国本土48州の全石油量のうちのちょうど半分が発見されていることになる。ハバートは、この数字を倍にして、米国本土の下に埋まる利用可能な石油の総量を1700億バレルと算出した。

 当初、このハバートの分析に対しては、油田探索と採掘の技術が今後向上すれば、石油の産出量は増えるとの反論が出た。実際そのとおりではあったが、ハバートが予測した最大量を超えるほどの産出拡大にはいたっていない。アラスカ油田という予想外の発見を加味してさえ、米国の石油生産はこれまで、ハバートのほぼ予測どおりに推移してきている。

 ハバートは運がよかっただけだというのが反対派の言い分だ。

 SEER社のリンチ社長は、「非常にきれいな結果が出たので、ハバートは、なるほど、これは釣鐘曲線になるにちがいないと考えたのだろう」と言う。

 しかし、世界的な石油生産をピークに達するまで増加させなければならない理由はないと考える専門家は多い。ある程度安定した生産量が続いたのちに、経済が他のエネルギー形態に移っていくのにともない、ゆっくりと減少していく可能性もあるというのだ。

 「今後30年から40年たっても、中東にはまだ相当な量の石油が残っているだろう」と、カリフォルニア大学デービス校輸送研究所(ITS-Davis)のダニエル・スパーリング所長は話す。

 数年前、地理学者たちがハバートの手法を、世界全体の石油生産量の計算に応用した。この分析結果では、世界の石油生産量は2010年までのどこかの時点でピークを迎えると示された。

 ドフェイエス教授は、そのピークが2005年の終わりか2006年の初めにくると考えている。また、ヒューストンの投資銀行を経営するマシュー・シモンズ氏は2007年から2009年の間になると予測している。一方、カリフォルニア工科大学の物理学者で、昨年には著書『ガス欠――石油時代の終焉』(Out of Gas:The End of the Age of Oil)を発表した、デビッド・グッドスタイン教授は、2010年までには訪れると見ている。

 本当の問題は、正確なピークがいつくるかではないと言うのは、ロバート・ハーシュ氏だ。ハーシュ氏の考えでは、今でもすでに遅すぎるのだ。同氏は今年2月に米エネルギー省に分析レポートを提出し、米国経済が石油生産量の減少に適応できるようになるには10年以上かかると論じた。

 「この問題を片付けるためには、本当に大々的に対処しなければならない。そして、すでに供給曲線を下りはじめているとするなら、駅を出発してしまった列車を追いかけるのも同然なのだ」とハーシュ氏。

 たとえば、米国では1台の自動車が廃車になるまでの年月は、中央値で17年だ。つまり、政府が今すぐ、燃費基準を劇的に上げることを義務づけたとしても、20年ほども後でなければ、そうした節約措置の効果は十分発揮されない。

 たしかに危機の際の節約は必要だが、それでは不十分だ。石油供給量の減少の打撃を最小限にとどめるためには、代替エネルギー源の開発が必要になる――そしてそれは、汚染物質の出ない水素燃料車や、メーターで測定不能なほど安価な太陽エネルギーといったたぐいの、政治家や環境主義者が大騒ぎするようなものではだめなのだ。

 今後数十年のうちに石油供給量が減るのが本当だとすれば、米国がエネルギー面で生き残れるかどうかは、これからの技術ではなく、前世紀の技術にかかっている。ハーシュ氏の報告書は、長期の石油不足を補うためには、石炭や天然ガスといった化石燃料を可燃性の液体に転換する、大規模なインフラを建造する必要があると結論づけている。

 石炭の液化は、水素ガスの中で石炭を加熱して合成油を生成するものだ。これを支持する人々は、この過程をを「クリーンコール」技術と呼ぶ。これがクリーンだというのは、生成される合成油が、石炭を燃やす場合よりもクリーンに燃えるという意味合いでしかない。液化石炭は、生成時も燃焼時も、地球温暖化ガスの主体である二酸化炭素を排出する(こうした汚染物質の一部は、大気中に出さないようにすることができるという論もあるにはあるが)。そして、液化するための石炭を掘り出さなければならないのは変わらないので、結局は、選鉱くずの堆積や酸の流出など、有害な影響が出ることを意味する。

 また、近所に「クリーンコール」工場が建つのを歓迎する人は誰もいないのが現実だ。新しいエネルギー形態へ移行するためには、ほとんどの新規プロジェクトが地元住民の強い反対にあっている中で、新しい精製所、パイプライン、輸送ターミナルなどの設備を建造する必要がある。

 エネルギー分析の専門家によると、石炭液化では1バレル32ドルで合成油を作ることができるという。これは、50ドル前後という、この1年ほどの石油取引価格を大きく下回っている。しかし投資家は、石油の高値が今後も続くという確信がなければ、石炭液化に膨大な投資をしようとはしない。

 また投資家は、カナダやベネズエラのタールサンド[粘度の高い石油を天然に含む砂]や重油の埋蔵量についても同様に警戒している。これらは粘性が強いため、従来の石油と同じ方法で採掘するわけにはいかないが、熱水を注入して液状にするなどの方法がすでに開発されている。現在でも、カナダの石油生産量の約8%はタールサンドを原料としている。

 ただあいにく、タールサンドからエネルギーを取り出すためにはエネルギーが必要になる。カナダの処理施設の大部分では、石油採取に使う水を天然ガスで熱しているが、その天然ガスも石油と同じく、ここ数年、価格が高騰している。

 「現実的には、これはきわめて複雑なのだ」とハーシュ氏は話す。「正直に言って、明確な将来図が見えているという人はおそらく、この問題を理解してはいないのだ」


(私のコメント)
28日にも石油問題を扱いましたが、NY原油先物相場が連日高値を更新している。これはハリケーンなどによる一時的な高値なのでしょうが、ハリケーンが去れば原油相場が元に戻るという話ではない。世界的な石油生産量のピークがやって来ていて、これからの石油生産量は減少して行くとなれば、NY原油先物相場はパニック的な高値に上がってゆくだろう。

中国を始めとする経済発展で石油の消費量は年々増加することはあっても減る事はありえない。それに対して原油生産が頭打ちとなれば原油相場は上がる事はあっても下げる事は傾向としてみればありえない。そうなれば世界中の投機資金が石油相場に殺到するだろう。石油相場を下げさせる要因としては代替エネルギーの開発がありますが、大規模なプラントを建設しなければならず、それがエネルギー源として供給されるには10年近くかかるだろう。

省エネルギーを進めるにも、思い切った自動車の省エネルギー化には、今から始めても効果が出るには10年以上も先の話になる。自動車を省エネ化するには小型化と軽量化が必要ですが、トラックなどの産業用資材の輸送に使われる車はジーゼルエンジンの改良による省エネ化しか手はない。鉄道による輸送が出来る鉄道網が発達している国は日本ぐらいしかなく、ほとんどの国はトラックによる輸送に頼っている。

トラックの輸送に使われる燃料の軽油が二倍三倍と値上がりして行けば輸送コストも二倍三倍と値上がりしていく事になりますが、世界の産業構造はそれに適応していけるのだろうか。輸送コストのみならず絶対量の確保がままならないとなると生活基盤にも影響してくる事になり、代替燃料の開発が急務になりますが、28日にも書いたように石油に代わる代替エネルギーは存在していない。

石炭の液化にしてもオイルシェルにしてもエネルギーとして使えるようにするためのエネルギーが必要であり、EPRが1よりも低くてはエネルギーとしての価値は無い。産業構造的に一番問題なのは自動車にしても飛行機にしても船にしても石油で動いており石油に代わる動力源がないことだ。極端な事を言えば石油がなくなれば輸送は馬や帆船による輸送しか手段はなくなる。

現在はグローバル経済化が進んで、安い人件費を求めて東南アジアや中国などで生産拠点を作って消費地に運んでいますが、輸送コストが何倍にも上がると人件費よりも輸送コストが問題となり、消費地で生産することが有利な商品も増えてくることだろう。すなわちグローバル経済構造も見直さなければならなくなる。

オイルピークの問題は地政学的に見ても海洋国家と大陸国家とでは違いが出てくるだろう。内陸部では輸送手段は陸と空しかありませんが、沿岸部では安いコストの海上輸送が使える。中国などを見ても沿岸部は豊かで人口も増え続けているのに内陸部は貧しく過疎化も進んでいる。アメリカなどでも輸送手段はトラック輸送が主体ですがガソリンなどの燃料の高騰は国家の盛衰にもかかわってくるだろう。

日本の経済界は猫も杓子も生産拠点を中国に移していますがオイルピークの問題は考慮されていない。原材料や部品輸送など工場と工場を輸送するには安い輸送コストが前提だった。農産物も農家では只のように安い農産物でも消費地では輸送コストが大きな割合を占める事になる。今まで安くて豊富な石油が前提の産業構造が高くて限られた石油が前提の産業構造に変化させなければならなくなった。

一般家庭の生活も自家用車がガソリンが高くて使えないとなると鉄道かバスしかなくなるから地方はますます過疎化するだろう。マイカーが前提だったアメリカ的な生活スタイルも変えなければならないだろう。ガソリンを給油するたびに万札を何枚も払うわけにはいかないからだ。今はガソリンはリッター130円ですが200円から300円になるのはそんな先ではないだろう。これは産業革命以来の文明の危機でもあるのだ。


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