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体制派の資本理論とアングラ資本理論
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投稿者 姫 日時 2005 年 10 月 06 日 10:37:08: yNQo0naya4Ss.
 

現代のケインズ理論の唱える政策


 ケインズ自身ともケインジアンとも異なり、現代のケインズ理論の結論によれば、政府支出を増やすことによる景気対策の効果はあまりないということになっている。なぜなら政府支出の増加で増えた人々の所得は、流動性のわなのもとではすべて貨幣のまま持たれてしまうので、消費需要の増加として広がっていくことはないからである。金融政策についても、金融引き締めなどして貨幣供給を減らせばますます不況が悪化するという意味では影響があるが、逆に金融緩和で貨幣供給を増やしても、全部人々がそのまま持ってしまい世の中に出回らないので何の効果もない。つまり旧来のケインジアン以上に深刻な不況の存在を説きながら、新古典派をもしのぐ政策無効命題を導きだしているのである。

ではどうすればいいのか。
 現代のケインズ理論の論者がよく唱えているのが、有名なクルーグマンの提唱した「調整インフレ論」である。「インフレターゲット論」というのは、今日の日本の状況におけるこの穏当な呼び名である。これは、中央銀行が何パーセントのインフレを必ず実現するぞと宣言して、それまで金融緩和を続けるというものである。人々にインフレが起こることを確信させることができれば、今安いうちに買った方がトクだということになり、需要が起こってくる。
 これを貨幣供給量のコントロールでやることには、はたしてうまくコントロールできるのかという反対も多い。運転を間違えてとんでもないハイパーインフレになったらどうするのかというわけである。

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writen:
松尾匠:松尾匠のページ
u.ac.jp/~tadasu/yougo_keynes.html

 グルーグマンによれば、日本経済は、人口減少など、何らかの理由によって長期的に縮小してゆく経済である。そのような経済では、貯蓄と投資を均等化する均衡実質金利はマイナスとなる。

 仮にデフレを2パーセントとすれば、日銀の「ゼロ金利政策」によって名目金利がゼロになったとしても、実質金利は2パーセントに留まり、需給ギャップは解消しない。そこで、日銀が意図的にインフレを起こすことによってインフレ率を2パーセント以上にすることができれば、実質金利はマイナスとなって、需給ギャップは解消するはずである。

 よりマイルドな立場として、日銀は物価上昇率の目標を宣言し、それにコミットすべきだという「インフレ・ターゲティング論」がある。

 「調整インフレ論」との違いはわかりにくいが、おおよそ、次のようになる。「調整インフレ論」は、インフレを実現するためには、日銀がドル、債券、株式、土地など、何でも買うべきだと主張する。

 これに対し、「インフレ・ターゲティング論」は、副作用の多い大胆な市場介入を実行することそれ自体より、金融政策が市場参加者の期待に訴えかけることを重視する。日銀が、真剣にインフレ目標実現にコミットしていることを宣言しさえすれば、人々のデフレ期待が消える、と考えているわけだ。

 クルーグマンは、日銀が目標インフレ率を明示した上、それを非伝統的な政策、つまり事実上「何でもあり」の政策を用いて実現することを、「管理インフレーション(managed inflation)」の名で提唱している。このように、調整インフレ的な政策を「インフレ・ターゲティング」の名前で主張している論者も多く、この二つの区別はさほど重要ではない。

これらに対し、日本銀行はおよそ次の二つの理由によって、日銀がインフレ・ターゲティングを採用することはないと表明している。第一に、日銀はベースマネーすらコントロールできないので、意図的にインフレを作り出すことなどできるわけがない。第二に、仮にインフレを発生させることができたとしても、いったん発生したインフレはきわめて悪性のものになる可能性が高い。すなわち、発生したインフレは制御不能なハイパー・インフレーションになるか、実体経済の悪化をともないつつ物価上昇が進行するスタグフレーションになる。

日本銀行は、現在、「デフレ懸念が消えるまで事実上のゼロ金利を続ける」という政策を取っている。ゼロ金利政策の下で、本当にデフレ経済を脱却することができるだろうか。

渡辺努+斎藤誠(1999)は、「ゼロ金利の下ではデフレから抜け出ることはできず、ある程度の名目金利の上昇とともに初めて、インフレが実現する」と論じている。彼らの議論を敷衍(ふえん)してみよう。ここに、金利平価式とフィッシャー方程式を、再掲する。金利平価式: 日本の名目金利+予想円高進行率=米国の名目金利

フィッシャー方程式: 名目金利=実質金利+インフレ率

先に述べたように、自由な資本移動の結果、日米間で実質金利は長期にわたってほぼ均等化している。これを3%としよう。日米のインフレ率をそれぞれ−2%、1%としよう。するとフィッシャー方程式から、日米の名目金利はそれぞれ、1%、4%となる。日米の名目金利格差は4−1=3%ということになるから、金利平価式から、毎年3%づつ円高が進行することがわかる。

これはほぼ、日米経済の現状である。このように、低金利、デフレ、円高期待という組み合わせを、「レジームA」とよぶことにしよう。次に、何らかの方法で日本がデフレを脱却することに成功し、インフレ率が2%にまで高まったとしよう。

すると、フィッシャー方程式から、日本の名目金利は5%にまで上昇する。その結果、日米の名目金利格差は逆転し、日本の方が2%名目金利が高くなって、年平均2%の円安が進行することがわかる。インフレ・ターゲティングが成功し、ある程度のインフレが実現した場合の日本経済の姿は、多分、このようになるであろう。このように、マイルドな金利上昇、インフレと円安期待が共存する状態を、「レジームB」とよぼう。

最後に、日銀当局やインフレ・ターゲティングに反対する論者が主張するように、インフレが制御不可能な水準、例えば10%にまで高まったとしよう。この時、日本の名目金利が13%に跳ね上がり、アメリカの名目金利が4%にとどまるとすれば、年率9%の急速な円安進行となる。

これは、財政赤字が持続不可能と判断され、日本国債が暴落した状態に対応している。このように高金利、高インフレ、大幅円安という組み合わせを、「レジームC」とする。このように整理すると、日銀の現在の政策は、レジームAの現状を肯定するものであり、本当にインフレを実現するレジームBをめざすものではないことがわかる。したがって、低金利を続けていればやがてインフレが起こるというのも誤りで、インフレが実現するときは必ず、ある程度の名目金利の上昇をともなうのである。

多くの「インフレ・ターゲティング」論者は、様々な資産購入を通じて日銀が十分なマネーサプライを供給すれば、日本経済は、いずれレジームAを脱し、レジームBに移行して、そこで安定すると考えている。これに対し、日銀は、「インフレ・ターゲティング」を実施すると、レジームAからいきなりレジームCに経済が飛躍してしまうと考えているのである。

仮にインフレ・ターゲッティングが望ましいとして、日銀にはそれを実行する有効な手段が存在するのだろうか。繰り返しになるが、金融緩和とは、現金とその他の資産の代替性を高めていくことである。言い換えれば、現金と債券の差である名目金利をゼロに近づけていくことだ。金利がゼロになるということは、現金と債券が完全に代替的になるということであり、こうなると、もうこれ以上の金融緩和の効果はない。

とすると、現在のゼロ金利政策の下で、すでに短期金利はゼロ、国債金利も1%台に低下しており、短期金融市場への介入や国債買いオペによって金融緩和する余地はあまりない。

もう一つ理論的に重要なことは、相対価格を変えることなしには、いかなる経済政策も実体経済に対する効果を持たない、ということである。いくらおカネが「じゃぶじゃぶ」とどこかにあっても、それによって何かが買われ、何かが値上がりしない限り、人々の行動は変わらない。

それでは日銀は何を買うべきなのか。まず、あくまでできればの話だが、ドルを買って円安にすべきである。円安になれば、目先の輸出企業の経営状態はよくなる。すでに、浜田宏一(2000)、Bernanke(2001)などは、aggressiveな円安誘導によって、景気回復を計るべきだと主張している。

ところで円安政策が成功するためには、諸外国が、日銀の円安政策を容認し、対抗して自国の通貨を減価させるような政策を取らないことが必要である。しかし、これが非常に難しい。どこでも自国の経済状態が一番大事なのである。さらに、一般ジャーナリズムでも、日銀が「通貨の番人」としての地位を放棄し、通貨価値の下落を容認することは許されない、との声は多い。小宮(2000)は、「これまでのところ、日銀の金融政策は模範的」と評している。

最近、榊原英資は、一回限りの措置として、大量の政府紙幣を発行して、銀行の保有する不良債権のストックをすべて政府が買い取ることを提案している。榊原によれば、インフレ・ターゲティング等の大胆な金融政策は、これまでの経済運営の制度的枠組の破壊と市場に受け取られ、思いがけない信用の失墜によるハイパーインフレ、円の暴落を招きかねない、とされる。とすれば、特別の政府紙幣を発行した方が、既存の枠組の一時的な停止措置であることが市場関係者に明確なメッセージとして伝わるから、制度破壊を起こさずに、意図する一時的なインフレを招くことができるということになる。しかし、この場合、一時発行される政府紙幣は、マネタイズされ、償還されることはないから、日銀券との関係が問題になる。榊原は、政府紙幣の流通は、法的に日銀券との一対一の交換を義務付けることによって担保できる、と言う。しかし、法的強制だけで、人々が積極的に政府紙幣による買い物をするようになるだろうか。

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日銀の金融政策こそ諸悪の根源か?
http://homepage3.nifty.com/ronten/BOJ1.htm
writen:
今井亮一

(考察)

今井氏の論文はそのまま体制派の意見だと思う。これは2002年に書かれたものだが、現在のインタゲとその後の円安政策まで書き示してある。個人的意見として、バブルを引き起こした借りたほうが得政策をまたやっているようにしか思えない。そして、その後の引き締めで、インフレ抑止、貸し出し量規制(自己資本内に収める)そして、円高を抑える為の協調融資(オペ)。これは85年のプラザ合意と性質に違いがあるのか?

運用(資金活用)により、負債を減らし、資産拡大となった資本主義なる社会基盤に暴落の暗い影が付きまとうのは既知だろう。

ケインズの趣旨は消費を喚起させる為、雇用を創出し(公共事業)、商業者の設備投資を促し、雇用を拡大させる為に資金調達のし易い株式社会を創設した。そして、貸し出し金利調整で、需給調整を図ろうとしたのだ。

最近での金利調整はリスクヘッジの要素が濃い。引当金、割引率などで、需給調整を図り、プライマリーバランスを整えることで、暴落回避を行っているが、ケインジアンの経済政策は保護政策に一環している。需要喚起策が莫大な負債となり、際限なく引き出される国債により、紙幣大量発行となり、通貨価値は暴落し、限界レベル(1ドル50円)に迫る勢いにまで達してしまった。それに伴い資産インフレも投資熱を冷ます動きとなり、通貨価値の見直しが本格的に行われなくてはいけないが、この時期にまたもや、増資による需要喚起を行ったのが、竹中金融大臣の金融政策だった。もはや、ケインズの調整策は悪性の要素が濃く、やらない方が安全に思える。

運用の本質はお金がお金を生むことにある。これはインフレを伴うとその対価が上がった分だけ、通貨価値の下落となり、もっと分かりやすくたとえると、次にこの財を買い入れる人からその上がった分の利益を搾取する形になる。つまり、お金を生むのではなく、どっかから引っ張ってくるに過ぎない。そして、最後にその財を売れ切れなかった者が負けになるゲームである。金融発生商品は日銀発行券(紙幣)に価値を創設させることが目的だが、物価高でその価値は相殺される。1億の投資が2億に膨らめば嬉しいが、1億で買えた商品が2億の値上がりが発生してしまうと、通貨価値の減少となる。2倍の負担となって、これの繰り返しが、現在の通貨価値の減少による不況を招いている。早い者勝ちだった資産運用も上がりきってしまった物価はもはや限界値まで達してしまっていると判断していい。

戦後2000円で土地が買えたのに、今は2000万出さないと買えない。1万分の一に日本円の価値が下がっているのである。資産転がし運用は欧米に追いつけとばかりに、官民揚げての資産争奪合戦となった。インフレでその価値が抹殺されていることに気付いた時には既に遅し。めっきり負債漬けとなってしまった資本主義の限界が見える。物価上昇は経済成長の証ではなく、莫大な借入れが引き起こしたに過ぎなかったのだ。戦後、1000億円強だった借入れが今や1400兆円にも及ぶ。預貯金は推定700兆円ほどだろう。運用によって盗まれた分や、諸外国の円保有があるからと、定期で架空に引き上げられた受け取り価格があるからだ。スイス銀行にどれだけプールしてるかも不明確で、マネーロンダリングや、ブラックマネー(闇資金)も計り知れない額かも知れない。脱税策に資金隠しは常套手段だからだ。

株や土地を資産だと勘違いしているから、又借り財政に歯止めがかからない。殆どの内訳が借入れであって、誰かの借入れ資産を誰かの借入れで転売益(含み益)を入手しているのだ。又借りの歴史はテラ銭代を高騰させて終わって欲しいものだ。テラ銭代とは転売ゲームの取引価格である。これが上がると利益率が悪くなるのは明確で、ケインズが言うストックの高騰は雇用を生まないばかりか、負債を返そうとする流れに連結される。ストックの主成分が過剰投資の影響で負債がメインになってしまったのだ。信用取引で2億の赤が出ても、2000億の負債を返済したほうが得なのだ。このまま保有していても、金利分が2億を超えたらこのスモールサイジング(資産整理)は成功となる。金利を上げたときがこのゲームの引き際である。その返済ブームに歯止めをかけようと考案したのが乗っ取り計画である。ストックオプション大放出、キャピタルゲイン減税である。加えて、特殊法人民営化による上場乱発で円高まで付いている。しかし、これらもまた需要喚起の為の増刷(負債水増し)であることは否めない。

スモールサイジング下で、消費の拡大を促すべきだったのだ。物が売れると生産高アップとなり、雇用増となる。手放した株券の資金で雇用を増進させ、生産拡大路線を行えば確実に消費は上がる。

企業の買収がひと段落してから、生産拠点を設けて、消費社会を創設しようとしたのか、金融サイドの政策には未知数が多い。なにしろ、GDP(国内総生産)の民間最終消費支出の部類に株が組み込まれていて、その大部分を占める。所得を上回る消費の謎もこれで解決した。日銀発表の景気動向の消費の伸びは株価に示唆される。役所内会計の「なんでも福祉」に代表される、国民のコンセンサスを得られやすいカテゴリーに株を組み込んでおいたのだろう。これで右肩上がりの会計報告の消費部門も借入れで補える。

何しろ、GDPが株価に与える影響力は絶大で、そのまま、国連の負担費になる。右肩上がりのジレンマとも言える。優良な会計報告書を作るために水増し消費を官僚が作成したのか、株価アップのためなのか、分りかねることが多すぎる。そもそも、大蔵省時代から、予算作成書を政策する官僚は僅かで、二世、三世に受け継がれてきた秘密結社部署だった。明治維新の時から、アメリカの意向はダイレクトに反映されるが、情報機関へは、流して欲しい情報しか漏らさない。完全なる隠蔽組織である。

もはや、真実を明かさない官僚、議会は定説となってしまい、そのままマスコミ不信、政治不信に繋がっている。

(姫)

http://www.geocities.jp/hcyym228/7p.html


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