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戦後60年と日本経済の現状  鎌倉孝夫 【長周新聞50周年 経済講演会】
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投稿者 愚民党 日時 2005 年 10 月 13 日 00:26:30: ogcGl0q1DMbpk
 

日本経済の現状解明に感動

 鎌倉孝夫氏の経済講演会
              いまや後がない資本主義    2005年9月27日付


http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonkeizainogennjyoukeimainikanndopu.htm

  
 長周新聞50周年記念事業  各界から400人参加

 経済学者・鎌倉孝夫氏(東日本国際大学学長)を講師に招いて、長周新聞社創刊50周年記念・経済講演会が24日午後6時半から、下関市民会館一階ロビーで開催された。講演会には、地元下関・山口県下を中心に中小企業関係者、労働者、農・漁民など生産者をはじめ、被爆者・戦争体験者、婦人、教師、文化・知識人、学生・高校生など各界各分野から400人が参加した。鎌倉氏は「戦後60年と日本経済の現状」と題して、今日の日本社会の荒れはてた現実を歴史的構造的にとらえ、新しい時代意識に立って現状変革の方向を提起。明快な熱をこめた講演は、参加者の高い問題意識にこたえ展望を示すものとなり、参加者は終始熱心に聞き入った。 講演する鎌倉孝夫氏(24日、下関)
 
 労働する者が未来を代表

 はじめに、長周新聞社・森谷浩章編集長が、長周新聞50周年の事業としてのとりくみに、鎌倉氏が力をこめてこたえたことに感謝。「わたしたちをとりまく社会状況は、政治、経済、文化の各面にわたって変化している。戦後60年たった日本経済がどうなっているのか。これは多くの人人の死活の問題だ。みなさんとともに、本日の講演を糧にして新聞活動をがんばりたい」とあいさつした。

 鎌倉孝夫氏は、@戦後60年の日本の社会、経済、政治・文化の状況をどう見るのか、A悲惨な現実をもたらしている原因、要因はなにか、Bこの危機をどう解決し、展望をもって生活していくのか――の3つの大きな柱で講演した。

 まず、戦後60年の日本社会の全般的状況について、自殺の増大、殺人事件、JRなどの大事故のひん発などを例に、「子どもたちから政治家にいたるまで、自己中心、社会性喪失、弱肉強食の社会となっている」ことなどをあげ、「人間関係の解体化の危機といわざるをえない」と指摘した。

 また、経済面での財政破たん、「金融の証券化・ギャンブル化」がすすんでいること、小泉改革のもとで、医療、教育、福祉など人間生活に直結する分野が私企業によって利潤追求する場にされようとしており、日本の巨大金融資本が膨大な利益を得る一方、格差の拡大で国民経済全体は伸びない状況も明らかにした。

 さらに政治面では、アメリカと一体となって、アジアでの帝国主義戦争を起こす道をすすんでおり、朝鮮半島、中国、アジアの人人の感情を逆なでし、「核兵器の先制使用」を叫ぶアメリカと一体になってアジアを敵視、ふたたび戦争をひき起こす方向にすすんでいることを批判した。

 鎌倉氏はつぎに、こうした「悲惨な現実」をもたらした原因について、「アメリカ“帝国主義”こそすべての元凶である」と指摘。とくに冷戦構造後のアメリカの自己中心の単独行動主義を批判し、それにつき従っている小泉・竹中らの「構造改革」「金融改革」が、日本の現状、労働者や地域の生活をまったく無視して、株の売買を中心とするアメリカのやり方を持ちこもうとするものであることを暴露。国鉄からJRへの体験からも、「民営化」なるものは、巨大企業のためであり、「民衆には抑圧でしかない」とのべた。

 また、「ホリエモン」などを例に、そこに貫かれているのは、アメリカの投機集団のえじきにする弱肉強食の資本の論理であり、「人間と人間の関係をモノとモノとの交換関係に」する、徹頭徹尾の人間性の破壊であること、今日のギャンブル的な株の売買は富を生み出せずに、収奪だけ求めて動き回る寄生的で腐朽した「最後の資本形態」であり、「あとのない資本主義」であることを強調した。

 鎌倉氏は最後に、以上の分析に立って、今日の時代は労働者が主人公となった革命の時期に来ていることを、その現実的な根拠にもとづいて論理的に指摘。世界的にも中南米・ベネズエラなどで地域共同体の確立をめざし、「アメリカ帝国主義反対、新自由主義反対」を鮮明にして、社会主義の道を明確に志向する動きがあることを紹介した。そして、そのような動きと連帯しながら、「労働者がはっきりした目標をかかげて連帯しあうなら展望が開けてくると確信する」と力強く結んだ。

 鎌倉氏の講演は、戦後六〇年をへた今日の大衆の体験と結びつけてアメリカにつき従う小泉政府の構造改革、戦争政治の本質を生活の全分野にわたって体系的に明らかにし、労働者、人民と根本的に利害が反する非和解的な関係にあることをわかりやすく展開。今日の時代が生産に従事する労働者によってしか打開できないことを明確にし、参加者の認識の発展を助けるものとなった。

 講演は、ときには会場から相づちが打たれるなど厳粛なうちに、共鳴・共感の渦を広げて進行。講演が終わると、会場からは熱烈な拍手が送られた。参加者は、「わかりやすかった」「展望がわいてきた」「もっと勉強したい」など、口口に感動を語りあい、鎌倉氏の著作を買い求める姿もめだった。

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  戦後60年と日本経済の現状
                            東日本国際大学学長   鎌倉孝夫

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 長周新聞50周年記念の講演会に出席することができ、うれしく思っている。きょうの話は、大きく3つの部分からなっている。

 最初は、戦後60年の日本の社会、経済、政治・文化の状況を話していきたい。これはみなさんが、痛感しておられると思う。

 2番目は、この悲惨な現実をもたらして
いる原因、あるいは要因はなにかということを、明確にえぐり出したいと思う。第一の要因が、現代の「帝国主義」、とくにアメリカ「帝国主義」だととらえている。第二は、市場経済と資本。市場経済は、現在、全世界的な規模でもどんどん拡大している。ともすると、わたしたちは市場経済をあたりまえのように、空気の存在のように考えている人も多いと思うが、そうではない。基本的な人間関係と、市場をとおした人間関係は決定的に違う。このことを、それを動かしている資本の問題をえぐり出したい。第三の要因は、最近ひじょうに重要な役割をはたしていると思われる、株式の問題である。郵政の民営化ということは、基本的には郵政事業の株式会社化だ。株式は、とらえにくいところがある。擬制資本というむずかしい言葉を使っているが、擬制ということの意味を話したい。資本主義の発展からいうと、最後の最後の資本形態だ。それが、いろいろと悪さをしている。わたしたちの生活、全世界の民衆の生活をかき回している。なぜそうなるのかを話したい。

 最後は、この危機を克服する――新しい社会の創造をめざして、展望を持ってたたかっていかなければならない。その基本を提起したい。みなさんも、どうしたらいいのかという思いがあると思うが、わたしなりにまとめて提起したい。
 
  一、戦後60年・人間解体化の現況−社会、経済、政治・文化の危機

 まず現状の分析、状況を話したい。ここでは、社会と経済と政治・文化の問題をふくめて大きく三つの領域で、いまの日本の現状がどうなっているかをとらえたい。

  「社会」−人間・人間関係の解体化の危機 

 まず社会だが、「人間・人間関係の解体化の危機」とほんとうにそういわざるをえないような現状になっている。自殺が、1998年からすでに8年間も連続して3万5000人。しかも、自殺者は50代の働きざかりと若者が圧倒的に多い。1日100人をこえる自殺者が出る社会は、社会が崩壊しつつあることの証拠ではないかと思う。

 そして、いままで考えることができなかったような悲惨な殺人事件がひん発している。親が実の子を殺してしまう。その子どもがまた実の親を殺してしまう。小学生が同級生の小学生を殺してしまう。しかも理由なき殺人。むしゃくしゃするから殺してしまうというような状況になってしまっている。

 つい先だっては、尼崎でJRの大事故が起こった。アメリカでは、ハリケーン・カトリーナによって、とくにニューオーリンズの貧しい人人、黒人を中心とする人人がたくさん殺された。これは、人災といっていいと思う。こういう事故が起きるたびに、この社会が腐っている、ほんとうにおかしい社会になっていると思う。とくに、貧しいものにたいへん悲惨な状況が集中していることが、あらわれ出ているといっていい。

  自己中心・社会性喪失

 そのような状況のなかで、一人一人の政治家から子どもたちにいたるまで、自己中心、社会性の喪失した人がものすごく多くなっている。ホリエモンこと堀江貴文などは、堂堂と「自分は自己中(ジコチュー)である」と誇りに思っているようなことをいっている。自分しか考えない、社会がどうなれ、ほかの人がどうなれ、自分のことだけを、あるいは、自分の考えをとことん押しとおしてしまう。一国を代表する日本の首相がそうだから、それでいいのかとなってしまうのはある意味で当然だと思う。

 そういう自己中心的、社会性喪失の個個人が激増している。そのなかで、基本的に連帯しなければならない市民、働く人人、労働者が連帯関係を解体されつつある。労働組合のなかにも、弱肉強食、成績主義が入りこんでくる。自分の首を守るためにほかの人が首を切られた方がいいというような、悲惨な対応が出てきている。連帯関係どころの話ではない。

 吉田秀和という音楽評論家が、『千年の文化 百年の文明』という評論集を書いているが、そのなかに“砂の粒”という言葉が出てくる。民衆が乾いた砂のように、掬(すく)おうとしても、さらさらとどこかへすっ飛んでしまう、連帯関係がまったくないということをいっている。強い風が吹けば、あっというまに吹き飛ばされてしまう。劇場のようなこのたびの衆議院議員選挙も、多くの民衆が小泉自民党の方へ吹き飛ばされてしまった。その一人一人が連帯すべき働く労働者・勤労者が、連帯関係が失われると、結局、強い方向に押し流される状況と思う。

  教育破綻

 その一番根底にあるのが、教育破たん、今日の教育問題だといっていい。昨日、小学生の校内暴力についての文部科学省の統計が出ていた。これまで校内暴力は中学・高校で、むしゃくしゃすると物を壊すガラスを割るという状況が起きていたが、最近の校内暴力は、人間にたいして教師にたいして暴力が振るわれている。また、子ども同士が暴力を振るいあう。相手が人間だ。人間にむかってモノを壊すように殺してしまうという悲惨な現実が激増している。それは、社会の弱肉強食、自己中心的な社会関係が教育の場にまで浸透していることを示している。

 それだけでなく、現状を批判的にとらえる教育の消滅化がすすんでいる。わたしはつねに現状を批判的に見るように強調している。学校教育法は、社会にたいする健全な批判力を養うとなっている。中学校の教育目標も高校の教育目標も社会にたいして批判的な目を養うとはっきりと書いてある。ところが、この社会にたいして批判的な目を養う教育がいったいどこまでやられているだろうか。

 わたしは、大学でずっと教師として教育をしてきたが、最近の現状、とくに文部科学省の教育政策は、産業・企業に、あるいは現在の社会にどう貢献するか、どう役立つかという教育だといえる。学生にたいする教育も、いかに就職率を高めるかということに集中している。文部科学省の特別研究費などは、全部IT技術関係と「地域貢献」という名の企業への貢献のプログラムを出して、文科省に出すと補助金が出る。ところが、きちっとこの現状を科学的に解明し、このおかしな社会はどこに原因があるかを追究しようとする研究には、金を出してくれない。

 教師も残念ながら、そういう教育に流されている。現状を批判したって、学生が就職できなれけばどうしようもないじゃないかという考え方が圧倒的に支配している。現状を批判的にとらえる教育がほんとうに死んでしまいつつある。この現状を批判的にとらえ、どこが原因なのか、そういうことをきちんととらえる子どもたち・学生が出てこないかぎり社会はよくならない。大元から社会がダメになりつつある状況だと思う。
   
  「経済」−財政破綻、弱肉強食と格差拡大

 つぎに、日本の経済状況をかいつまんで、問題を指摘したい。まず財政破たん。経済のなかでは弱肉強食で、ものすごい格差になっている。

 800兆円の国の借金、戦時破綻財政並み

 財政破たんの状況は、「800兆円の国の借金」がある。これは国家の債務で、国債という。これに、国家が出している短期証券、短期の債務を加えると国の借金だけで880兆円になる。そのうえに、地方財政の借金、地方債が発行されている。それが、205兆円。国の借金と地方の借金の重複分を除くと、10903兆円になる。1000兆円をこえている。これは財務省の資料だ。いま、日本のGDP(国内総生産)は505兆円だから、国、地方の借金はGDPの二倍におよぶ借金づけだ。このたびの選挙のなかで、こういうことはぜんぜん話されなかった。なぜこれだけの借金が激増したのかということについては、国民大衆にわからせようとしていない。

 日本が太平洋戦争に突っこんでいき、悲惨な状況を呈した1940年代初頭、とくに43年から44年の財政状況を見ると、ほとんどいまの財政状況と同じだ。戦時財政なみになっている。ほとんど国家の破たんといってもいい状況になっている。

  金融の証券化ギャンブル化

 この国家の破たんの反面、日本の巨大金融資本がぼう大な利益を上げている。しかも金余りでどうしようもない。『エコノミスト』を読むと、金が余って運用に困っている。でありながら、日本経団連は、小泉自民党の圧倒的勝利の直後、2007年度から消費税を二倍に上げる、さらに段階的に上げていくといった。いま、年間消費税は12兆円とっている。その12兆円がほとんど、法人税減税に使われている。このたびの、日本経団連の提言は、法人税減税分の元を消費税でとりたててやれと、開きなおって提起をしている。なれば、ますます金がじゃぶついてどこに運用していいのか頭を悩ませている大法人は、さらに過剰な資金づけになるわけだ。それが現在の金融財政の状況である。

 1997、8年から日本は金融危機、金融がピンチだということが叫ばれてきた。北海道拓殖銀行が倒産する、山一証券が倒産する。長期信用銀行が倒産する。そして地域の銀行も倒産してしまうような金融危機に見舞われた。そこで、金融危機を克服しようということで、金融改革がはじまっている。とくに小泉内閣になってからだが、竹中平蔵はほとんど、ブッシュ大統領の経済諮問委員会の若い連中とぐるだが、かれの考え方は、日本の企業や、日本の労働者がどうなるかという頭はまったくない。ブッシュ大統領がなにを考えているか、ブッシュ大統領が日本の金融になにを期待しているのか、それを聞いてきて、それを日本の現状、やり方をまったく無視して、アメリカ方式をいきなり導入するわけだ。

 その方向は、去年の12月24日に金融庁が出した今後の金融改革の方向についての提起があるが、金融コングロマリット改革というものだ。

 いままで金融の中心は銀行で、銀行は貸付・返済中心だった。そういう金融方式から、証券金融――株を発行して資金を調達する、そういう直接投資型の金融へと転換する。お金を借りて経営をやるのでなくて、企業自身が株を発行して資金を調達する、自己責任の方向の金融に大きく転換しようという方向がうち出されてきているわけだ。融資、貸付を中心とした銀行と証券投資を中心とした証券、生命保険や損害保険の保険を中心としたお金をあつかうすべての業者を一つに融合させよう、固まらせようということだ。コングロマリットとは礫(れき)岩の意味で、いろいろな種類の違う石が一つに固まったものだが、これを金融部面で、証券・銀行・保険を統合する方向をめざしている。その中心になるのが、証券だ。株の売買になる。株の売買は決定的にギャンブルだ。

 たとえばホリエモンは、800億円を2カ月で稼いだ。あっという間に稼ぐが、稼いだって大元は、価値も富も生み出しているわけではない。だから、だれかの懐からお金を、富を収奪している。もうかるものがいれば、反面損失を招くものもいるという、ギャンブル合戦の状況だ。そういうギャンブル経済、ギャンブル的金融に日本の金融を持っていこうというわけだ。しかも、庶民の金融機関である郵便貯金、あるいは簡易保険も株式会社化して、大金融資本に資金を供給する場にしてしまおう、ということになる。大きな金融資本はそのお金を、全世界的規模で金融ギャンブル、株の売買でもうけをあさる方向に使うのは目に見えている。

  教育・医療・福祉の市場経済化、私企業化

 小泉改革は、いまどんどん推進しているが、そこではなにをやってもいいという構造改革特区をつくっている。たとえば、教育部面に株式会社をどんどん導入する。医療もそうだ。福祉では介護保険などを使って、民間企業がどんどん参入してきたが、教育・医療・福祉という、わたしたちの人間生活に直結する分野を、私企業、利潤追求の場にしようという方向へどんどんすすんでいる。

 それを、「官から民へ」などといっているが、基本的には、公的な事業を解体して私企業化する。民間巨大資本の利潤追求の場にしようということが、「官から民へ」という中身である。「民」といっても、民衆という意味はまったく頭にない。大資本が利益を追求する場にしようというのが、いまの小泉改革における「民」の意味だ。そのへんをわたしたちは明確にしなければならないと思う。

  格差拡大、生活基盤喪失

 そういう状況のなかで、みなさんも痛感していると思うが、格差がほんとうに広がっている。この格差の拡大は、ジニ係数という統計上の所得格差を調べた数値があるが、これが0.5で、ほとんどアメリカと同じになっている。いま、日本では急速に格差が拡大している。0.5というのは、所得の上位20%の人人が、全所得の約八割の分配を得ているというたいへんな格差だ。

 ほんとうにごくひとにぎりの大金持ち、人口の1%が、いま資産1億円以上を持っているといわれている。日本の億万長者は、世界の億万長者の6人に1人を占めるという状況になっている。金をもうけている連中は、ますますもうけている。統計を見ると、大資本の収益回復、拡大はものすごいものがある。大資本の収益の拡大については、いま売上はほとんど伸びていない。わたしたちの所得、賃金は97年がピークで、それからずっと下がりつづけに下がっている。賃金が下がるだけではなく、いま、25%の世帯が貯蓄ゼロだ。貯金を持とうにも、貯金がつくれない状態である。貯蓄するだけの余裕もない。したがって、消費需要はかならず下がる。減少しっぱなしだ。

 だから、生活に直結する零細企業の売上が伸びない。経営がひじょうにきびしい困難な状況におちいっているが、売上が伸びないなかで、大資本の利益は急激にふえている。年間、二〇%、三〇%もの増益だ。こういう大資本の利益の拡大は、結局徹底したコストの切り下げ、リストラによっている。労働者の首を切る、あるいは、正規の労働者を非正規のパートタイマーやフリーターという名の不安定な雇用の労働者に置きかえていることに原因がある。雇用削減、パートの増大、派遣労働者の拡大などは結局、賃金の切り下げによって、コストを下げて、それが大資本の利益の回復をもたらしているということだ。したがって、大資本の利益は拡大するが国民経済全体は伸び悩み、労働者の生活はたいへんな格差のなかにたたきこまれている状況である。

  「政治」−米軍事戦略下の軍事国家化

 最後の政治だが、現在日本の政治は国連安全保障理事会の常任理事国入りをめざして町村外務大臣が画策していたが、アフリカ諸国からの賛成は得られない。アジアでは、朝鮮も韓国も、中国も、とんでもない話だと、こぞってみんな反対だ。頼りにしていたアメリカからも、日本は入ってもいいけれど、ドイツ、インド、ブラジルもいっしょのG4というのでは、ダメといわれた。アメリカからもダメといわれて、安保理事国入りはほとんど絶望となった。

 それだけではない。ASEANの外務大臣の会議がおこなわれているときに、町村外務大臣はロンドンに行き、アフリカ諸国にお金を出すから安保理事会入りに賛成してくれといって回り、アメリカに渡りワシントンに行って、ライスと会ってなんとかしてくれといったが、ライスは、「アフリカ諸国は賛成していないと連絡があった」といった。それでもう終わった。

 結局、ASEANの会議にかれは欠席をした。みんな怒っている。日本の外交はなにをやっているんだ。日本はこれから生きていこうとすれば、アジアと連帯する以外ないではないか。小泉内閣は口ではそういっているが、実際はまったくそれをやっていないじゃないか。朝鮮半島の人人や中国やアジアの人人の感情を逆なでするような言動を、つまり「侵略戦争、侵略というものはなかった。解放戦争だった」というようなことを平気でいうし、いま、さらにアメリカと一体になってアジアを敵視して、ふたたび戦争をひき起こすような方向をめざしているではないか。

 過去をきちっと反省するどころか、過去を美化し、現状を肯定し、アメリカと一体になって、ふたたびアジアに戦争を起こすつもりで、そういう方向が確実にすすんでいる。そういう日本の政治の仕方は、アジアから信頼を受けるどころの話ではない。

  間隔・感情、断片思考、論理喪失

 小泉さんは感覚・感情、断片思考だ。ブッシュさんもそうだが、ワンフレーズで民衆をひきつけておく。でも論理的思考をするとなるとできない。きちんと話をまとめていくことができない。人が質問しても全部はぐらかす。「イラクにおける非戦斗地帯はどこですか」「自衛隊が行っているところが非戦斗地帯だ」など、こんなのはすごい。靖国神社でも侵略を賛美している神社なのにそこに参拝することによって平和を祈っていると、とんでもない話だ。このあいだは、自分はガリレオのように「それでも地球は回っている」みたいな話をしていた。ガリレオは権力に弾圧を受けながら、それでも自分の考えを断固として維持しようとした。でもいい切れなかった。権力に弾圧を受けている側だ。ところが小泉さんはガリレオどころの話ではない。権力を持っている側の人だ。どうしてそんなことをいうのだろう。憲法前文を出しながら、「ほかの国のことを考えなきゃいけない、一国だけの利益を考えてはいけない」と、ブッシュ大統領と協調してイラク侵略をやる。憲法前文を根拠にしてやるんだから、憲法学者はびっくりして批判もできない状況だ。

 いずれにしても今回の選挙でも明確にあらわれたように、自分の感覚・感情、それだけだ。そしてターゲットにしたのは、ものを考える民衆ではなかった。アメリカ的な選挙屋を参謀につけて、あまりものを考えない断片思考の民衆がたくさんふえてきたから、それをターゲットに据えようとやったらしい。竹中平蔵の兄弟の会社があるが、そこを選挙参謀みたいに使っていた。ものを考えない民衆を活用して、ほんとうに考えない断片思考でひきつけた。

 マスコミもそういう意味では悪い。もちろん真剣に批判しようとする部分もいたが、しかし、断片思考を劇場的にあらわして民衆をひきつけてしまった。とにかくなにが原因で、なにが結果で、一番悪い根拠がどこにあるのかなどは、まったくみんなに知らせようとしていない。自分の感情・感覚だけでものをしゃべる。そういう断片思考、デジタル思考がまんえんしている。ああ、それでいいのか、楽だなあという感覚になってしまう。

 論理喪失、ものを考えないというのは恐ろしいことになると思う。そのうえ、「強者に卑屈、弱者にゴーマン」というように、権力を持った自分より強いものにはほんとうに卑屈だ。東京都知事・石原さんもそうだ。弱いと思ったものには徹底的にごう慢だ。虫けらのようにとらえている。だから朝鮮や中国などにたいしては、人間としてとらえようとしていない。決定的なべっ視観がある。「強者に卑屈、弱者にゴーマン」そういう態度がほんとうに見え見えだ。アジアの民衆が信頼するはずがない。ますますアジアから孤立してしまう。

  アメリカ「帝国主義」追従の帝国主義野望

 アメリカと一体になりながら、アジアの民衆を敵視しているというのは、いったいなにをしようとしているのか。やはり、基本的に戦前と同じように日本も帝国主義になりたい、自分の利益、一国の利益基盤にある日本独占資本の利益、それを追求していこう、アジアを日本独占資本の市場にしよう、資源もうまいこととろうという帝国主義願望だ。しかし、いま日本一国だけではとてもできない。アメリカと一体となってアメリカの軍隊に忠実に従いながらやるしかない。やればやるほど、アジアの民衆から反発を受ける。その反発にたいしては、結局お金で解決する。ごう慢だ。ホリエモンじゃないが、「金を出せば人の心を買える」「女性はお金についてくる」なんて平気でいっている。そういうこととまったく同じだ。金で解決できると思っている。ところがバカにするんじゃないよと、反発を受ける。そしたら結局は軍隊、軍事力でやつけてやるぞという方向しか出てこない。みっともない。いよいよ絶望になってしまうという状況だ。

  マスメディアの腐敗

 もう一つ、マスメディアの腐敗について。アメリカのテレビなどのマスメディアは、湾岸戦争を契機にしてほとんど権力にたいする批判をしなくなったという状況がある。メディアの「愛国心」中心の報道と権力を批判しないという、悪いところを見せないで、肯定的にいいところばかり見せるという方向が出てきた。それが民衆の受けがいいということで、メディアが企業化、ビジネス化しているので、もうける方向に走っていく。そうして、権力批判をやると権力が介入して思うように売れないので、マスメディアの腐敗といっていい状況が出てきている。これは日本のなかにもずいぶん入りこみつつある。

 国際的にはイラク報道をやっていたアルジャジーラが、イラクの悲惨な現状ばかり報道しているということで、アメリカの政府が弾圧してイラクに入れないようにした。それだけでなく、アメリカの資本が買収したということのようだ。最近のアルジャジーラは、戦争批判はあまりしなくなった。むしろ肯定的にとらえるようになったといわれている。全世界のマスメディアがほんとうに危なくなっている。お金で買収されて、権力側を批判するのでなく、権力側を賛美、肯定するような報道を集中しつつある。

  地域文化破壊

 地域文化の破壊もとんでもないところにきている。スーパー、コンビニが全国いたるところに拡大していくなかで、どこでつくったのかわからないようなものを全国的に売りまくった。いまコンビニでもコンビニ弁当とか、おでんとかやたらに売られている。全国チェーンで安く売って、ほとんど臨時の人を雇っているので、人件費もかからない。安上がりだ。そういうなかで地場の商店がバタバタとつぶれていっている状況だ。それは地域文化の破壊だと思う。

 要するに売れればいい、どこから仕入れて売ったって、大量に売れて自分がもうけさえすればいい。地域には地域に根ざした民衆を基盤にした中小商店が、ずっと歴史的に存在し形成されてきている。それがでっかいスーパーが入ることによってつぶれてしまう。つぶれるということは地域文化そのものの破壊だ。こういう現状が全国いたるところにあらわれている。だから今回、地域に根ざした議員ではないものが、落下傘でおりてきてそれが結構な票を獲得する。政治の分野にまで、地域基盤というのが失われてきたという状況を示すものだととらえなければいけないと思う。

 文化の崩壊だといえる。文化というのは地域の住民の生活の地域基盤のなかから形成されてくるものだ。庶民の生存、生活を基盤にする以外に文化というものは根づかない。それが、いま破壊されつつあるという現状だと思う。

 こういう危機的現状をわたしたちははっきり直視しなければならない。しかし絶望してはならない。絶望したらもっと悲惨になる。このために悲惨な現状を生み出した原因を明確に認識しなければならない。そしてこの現状をいかにして克服、変革するか。小泉改革ではない、わたしたち自身の改革、革命といった方がよいかもしれない。それをやっていかなければいけないと思う。原因の究明をやりたい。それが二番目の課題だ。

(つづく)

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