★阿修羅♪ > 国家破産42 > 828.html
 ★阿修羅♪
航空大手が、原油高を理由に倒産する中、伸びているサウスウエスト航空   15.52 0.73 (↑4.94%)  
http://www.asyura2.com/0505/hasan42/msg/828.html
投稿者 hou 日時 2005 年 10 月 16 日 14:33:36: HWYlsG4gs5FRk
 

サウスウエスト航空ホームページ
http://www.southwest.com/
サウスウエスト航空 株価
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=LUV&t=my

http://www.dsp-net.com/member/herb_main.html

『このマーケターに学べ−世界を変えた12人の天才たち−』ダイヤモンド社 からハーブ・ケレハーの部分を引用要約。マーシャ・ターナー著 小高尚子訳


ハーブ・ケレハー=サウスウエスト航空を飛躍させた徹底した「小企業精神」= ■
「ぼくたちはいつも人と違うことをしてきた。たとえば、座席指定はしない。昔は人しか乗客がいないフライトがあって、座席指定っていう考え方自体が冗談みたいなものだった。いまは、ゲートでの地上待機時間を短くするというのが理由だ。飛行機の地上待機時間が短ければ、 日にそれだけ他のルートを飛ばせるということになる。そうすると、売上げが上がるからもっと安い運賃になるんだ」
Herb Kelleher(サウスウエスト航空CE0)

はじめに
◆同じ型で抜いたかのように似通ったサービスを提供する同業者が多い中、サウスウエストのチェアマン、プレジデント兼CEOであるハーブ・ケレハーは、顧客が空の旅に本当に求めているものを提供する努力を重ねることで、サウスウエストをまったく他に類を見ない航空会社にした。

◆顧客が本当に求めているもの、それは「安全に、時間どおりに、感じのいい人たちと一緒に目的地に着くことだ」と彼はいう。この顧客に対する見識が、サウスウエストのビジネススタイルの根底にある。
 安くて楽しい旅というサウスウェストのマーケティング・イメージを裏切らないケレハーの経営スタイルが、航空業界を変革した。サウスウエストの登場によって、空の旅に関して新しい市場がつくり出され、これまでまったく飛行機に乗らなかった人も、頻繁にサウスウエストを利用するようになったのだ。

◆1971年に創業されたときには地方の小さな航空会社だったが、いまやサウスウエストは全米でも四番目に大きい航空会社になっている。しかも、27年間連続して突出した収益性を誇り、カスタマーサービスの質の高さには誰もが一目置く会社になった。現在の売上げ、47億ドル従業員数、29,000人を超える。
 97年には、主要航空会社の中で手荷物取り扱いのよさ、定刻どおりの運行、顧客からのクレーム数の少なさの三点で、アメリカ政府から五年連続五回目の「トリプルクラウン(三冠)」を獲得。その後も、テクノロジーの先進的活用でコンピュータ・ワールド誌/スミソニアン賞、99年にはチーフエグゼクティブ誌のチーフエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤーを受賞、それにフォーチュン誌の最優秀エアラインとアメリカでいちばん働きたい会社にも選ばれている。


設立当時
◆1978年にはケレハーはチェアマンに就任する。前任者のラマー・ミューズは、何かにつけ目立つマーケター兼資本家で、サウスウエスト航空が誇る独白の企業文化を植えつけた人物だ。ミューズがチェアマンだった時代に、サウスウエスト航空の顧客に受け入れてもらうためなら、常識はずれなことをしてもOK、と従業員たちは教え込まれた。彼はまた、収益性にフォーカスした組織体をつくり上げた。サウスウエスト航空は、現在、スピードと生産性を重視しているが、それは草創期にミューズが従業員たちに突きつけた挑戦の成果だといえる。

◆顧客のニーズに応えるために必要なだけ責任、権限、インセンティブを従業員に与える彼のやり方は、魔法の呪文のようにうまくいっている。サウスウエストは、従業員全員が利益を受けられるプロフイット・シェアリング・プログラムを導入した最初の航空会社の一つだ。

◆何年もかけてサウスウエストは成長し、大成功を収めたが、その間、唯一しなかったことがあるとすれば、それは分不相応な成長だ。ケレハーは、自社がいちばん得意なこと、つまり短い距離を低運賃で飛ぶことに組織を集中させられる数少ない経営者の一人だ。どんなときでもサウスウエストの目標は、やみくもに組織を大きくするよりも収益性を確保しつづけることなのだ。


サウスウエスト航空のビジネスモデル
◆サウスウエスト航空は、主要航空会社が採用していたハブ&スポーク戦略はとらず、ダイレクトに都市間を結ぶ短めの路線にフォーカスしてきた。これこそが、マーケティング的にサウスウエストに優位性をもたらした重要な決定である。

◆ニューハンプシャー州マンチェスターやニューヨーク州オルバニーのような小さな都市間にシャトル便を飛ばすことで、ハブ路線につきものの高コストを排除できる。航空会社は、飛行機が飛んでいるときにしか金を稼げない。だから、地上で待機している時間が少なければ少ないほど、会社の収益が上がる。ハブ&スポーク方式だと、どうしても乗り継ぎ便を待たなければならず、そのぶん地上で待機している時間が相当長くなる。他の航空会社は自社の飛行機を一日8.6時間しか飛ばせないが、ハブ路線を避けたサウスウエストは一日11.5時間飛ばせる。

◆サウスウエスト航空の企業ミッションは、収益性をできるだけ向上させることで従業員に雇用の安定をもたらし、より多くの人に空の旅を楽しんでもらうというものだ。したがって高コスト体質になると、このミッションが有名無実になってしまう。
 低コストの航空会社というポジショニングをすることで、贅沢な食事のような余分なものに金をかけたくない顧客に支持されている。食事の代わりに乗客たちにはピーナッツがふるまわれる。一年問に、なんと6000万袋のピーナッツが出るとされているが、この場合、乗客一人あたりの平均コストはたったの20セント。それにひきかえ、他のいわゆるちゃんとした航空会社で出される食事の一人あたりの平均コストは5ドルだ。

◆サウスウエストが就航している路線の平均飛行距離は441マイル、片道の運賃は平均78ドル。きちんと調理された食事や事前の座席指定といった手間のかかるサービスをなくすと、離陸準備の時間が短縮されるメリットがある。そのおかげで、同程度の飛行距離の路線中、1シートあたりの料金を最も安く提供することができる。彼らの名誉のためにいっておくと、他のどこのエアラインよりもキャンセルした便数は少ないし、定刻どおりの到着に関しても信頼性がいちばん高い部類のエアラインだ。
他社とくらべてサウスウェストは、これ以上ないというほど自社のミッションにフォーカスできている点がとても優れている。低運賃の短めのフライトを追求する姿勢に揺らぎが見えたことはない。この事実もまた、サウスウエストが大成功を収めた一因である。


ニッチにはりつけ
◆自社のビジネス領域は短距離路線のみと決めてから、サウスウェストはまったく新しい顧客層の開拓に成功した。それは、運賃がもっと高ければ他の交通手段で旅行をしていたはずの人たちだ。フライバーグ夫妻が『破天荒!サウスウエスト航空脅威の経営』日経BP社刊 という本で触れているように、それまでの大手航空会社は、市場を飛行機に乗る金がある人とない人との二つに分けていた。彼らは、飛行機に乗るお金がある人たちだけをターゲットとして考えていた。他方、サウスウエストは、誰でも飛行機に乗れるような運賃設定をすべく努力することにし、そのことによって潜在的な市場規模は何倍にも広がった。

◆だが、それで満足することなく、サウスウエストはさらに一歩進めて航空会社の運賃モデルの変革に乗り出した。それまでもある程度、運賃設定に柔軟さがないわけではなかったが、サウスウエストは需要と供給の法則に従い、ピーク時には運賃を高めに、オフピーク時には運賃を安めに、という運賃設定を徹底した。飛行機のシートを効率よく埋められるので、いまはこのやり方が業界全体に浸透している。

◆他社はこぞってサウスウエストのやり方を真似るが、サウスウエスト社白身はもともと見つけたニッチに忠実でありつづけている。大きな飛行機を買うことも、大きな市場に参入することも、2ドルから3ドルという少額の値上げであっても、サウスウエストは拒否する。賢い選択をしているおかげで、他の航空会社の経営が破綻しても、利益を生みつづける経営を行っている。

小さく考えよ
◆セス・ゴーディンは市場での柔軟性という点で小さな企業の優位性を主張するが、ケレハーもやはりサウスウエストの出発点にある"小企業精神"を大事にしている。小さな企業のように考えつづけ、行動しつづけられれば、リスクヘの挑戦も恐れることはないし、常識では考えられないようなこともでき、また、いちばん熾烈な競争を繰り広げている市場でも大成功を収められる。フォーチュン誌のインタビューによれば、ケレハーは従業員たちに常に「小さく考えて、小さく行動する。それで自分たちは大きくなる。大きく考えて、現状に満足してうぬぼれる。そうすると自分たちは小さくなる」と伝えているそうだ。

◆挑戦者魂を忘れない姿勢があったから、さまざまな課題に対して独自のソリューションを提示できただけでなく、常に競争に一歩先んじてきた。彼らのイノベーションの多くは、技術を効果的に使っていちばん低価格なコスト構造を保つことに寄与してきた。
サウスウエストの事業展開の迅速性と柔軟性を端的に示すそんなイノベーションの一つに、チケットレス・トラベルがある。いまや業界のスタンダードとなっているチケットレスだが、もともと1994年にユナイテッド、コンチネンタル、デルタの各社と競合する低コストの短距離路線に進出したため、大規模なエアライン予約システムから追い出されたところに端を発する。その結果、旅行代理店でサウスウエストのチケットが自動的に発券されなくなり、いちいち手書きで発券する羽目に陥った。旅行代理店に余計な手間をかけさせると売上げが大幅に落ちるとわかっていたので、サウスウェストはチケットレスのコンセプトとシステムをたったの四か月で開発したのだ。

◆乗客が直接航空会社を相手に予約をし、その際にフライトの出発前に空港で提示する予約番号をもらう。チケットレスを導入することで、オンライン予約も可能になった。
多分チケットレス・トラベルというイノベーションを他社に先駆けて実施したからだろうが、サウスウェストは、ウェブサイトを立ち上げた最初のエアラインだった。外注などせず、まずはやる気のある従業員がサイトをデザインしたのだが、それは気さくで居心地がいいというエアラインのキャラクターを反映しつつ、顧客にとって予約が簡単になるようにすばらしい工夫がされていた。最近、トランスポート・ワールド誌がサウスウエストのサイトを業界ベストと評価している。

◆もう一つのイノベーションは、"ニューレス"という名前のまったく新しい予約システムだ。自社独自のシステムを導入することで、これまでサウスウエストにとって不利なことが多い他のホストシステムに対する依存度を減らせた。そのおかげで、サウスウエストは運賃設定、マーケティング、シーティング、そして予約の分野でも柔軟性を発揮できるのだ。

まずはスピードありき
◆飛行機が着陸してから離陸するまでの時間がわずか10分というのは前代未聞のことだった。だが、サウスウエスト航空は、ゲート係員に地上待機時間を10分にするという挑戦を課した。1970年代初期に直面した経営危機のときに、飛行機が一機足りない状態でオペレーションをしなくてはいけなくなり、それに対応するための策だった。ゲートでの待機時間を短縮した結果、オペレーション・コストの約25%をカットすることに成功。今日でも、サウスウェストは20分以内に飛行機を離陸できる態勢にもっていけるが、これは同業他社にくらべて約半分の時問だ。

◆地上待機時間が15分とか20分で済むと、必要とされる飛行機の数を減らすことにもつながる。地上待機時間が40分から55分ある他のエアラインにくらべると、35機程度少なくて済む。新しいボーイング737型機で試算すると、約10億円の経費が浮くことになり、サウスウエストの低料金を可能にしている大きな要素だといえる。
機内ではなく、搭乗ゲートで乗客にコンチネンタル・ブレックファーストを出しているのも飛行機をできるだけ長い時間飛ばすための工夫だ。機内清掃に時間をかける必要がなく、空港のスタッフが飛行機の離陸後にゲートエリアを清掃すればいい。時間短縮=コスト削減=会社にとって高収益。それに、他のエアラインと違うことをするという評判も高まる。

◆サウスウエストは、これまでにも何度もチャンスを活かすためにすばやく動ける能力を発揮してきた。他のエアラインが撤退を決めたスペースに乗り込むとき、あっという間にチェックインカウンターや壁を設畳して、いちばん早いタイミングで発着できる態勢を整えてしまう。サウスウエストは絶対に時間を無駄にしない。


すべてをシンプルに
◆オペレーションをできるだけシンプルにしようというケレハーの努力は、経営戦略のいたるところに見られるが、特に標準化という点に強く現れている。ボーイング737という一種類の飛行機しか使わないのも、メンテナンス、トレーニング、それに備品の在庫を必要最小限のレベルにとどめるためだ。コンピュータ設備も同じ理由で標準化し、オペレーションをシンプルにしているので、金も時問もかけずにすんでいる。

◆パイロットが全員機長の資格を取るのも、オペレーションをシンプルにし、人員のローテーションでも迅速性と柔軟性を確保できるメリットがあるからだ。パイロット全員が機長を務められるので、クロストレーニングがほとんど必要なくなる。トレーニングの段階や資格についてややこしいことを考えなくても、フライトクルーのシフトができあがる仕組みだ。

◆搭乗券もシンプルにできる。サウスウエストは航空業界が標準的に採用しているマルチパートの搭乗券は使わず、プラスチック製の再利用可能なものを使っている。典型的な搭乗券に記載された大して必要ない情報を省けば搭乗時問を短縮できるばかりか、コストも削減できる。


従業員第一主義
◆ケレハーは、自社の社風を「謙虚さ」「節度」「利他精神」の三点であるという。
普通の会社であれば経験のある人をまず探すが、サウスウエストはまず社風に合った人材を採用し、それからその人に求められる役割を果たすための研修を行うとケレハーは説明する。

◆「目に見えないもの」とケレハーが呼ぶサウスウエストの企業文化は、他の大手競合と比較した場合、明らかに競争優位の源泉になっている。大手なら同じ飛行機が買えるし、手荷物取り扱い施設やチケットカウンターに投資することもできるが、サウスウエストらしい振る舞いを真似するのは難しい。「会社が従業員にどう接するかということは、従業員が顧客にどう接するかということと同じだ」とケレハーは述べ、従業員が自分たちは大事な存在なんだと感じられる環境をつくることの大切さを強調する。

◆この企業文化は、他社が考えられる手段すべてを使ってサウスウエスト航空をつぶしにかかった創立当初の時代に生まれた、とケレハーは考えている。4機の飛行機と70名の従業員しかいない状況では、従業員一人ひとりが100%の力を出して働いてくれなければ、会社が倒産していたかもしれなかった。「一人はみんなのために、みんなは一人のためにさもなければ全員散るしかない」というような、何としても生き残ろうという意識が芽生え、それがずっと会社の経営に影響を与えているのだ。

◆徐々に形成されてきた独自の価値観は、サウスウエストの精神とプライオリティを反映するものになっている。高収益というすべての根幹にある企業ミッションと同じように、彼らの基本的な価値観はサウスウエストの企業文化を明確に調っている。『破天荒!』の著者たちは、サウスウエスト文化を形作る13の主な価値観があるという。
●収益性
●低コスト
●家族
●楽しさ
●愛
●勤勉
●個性
●オーナーシップ
●伝説的サービス
●平等主義
●常識
●単純性
●利他精神
 上に挙げた13の価値観のうち、収益性と低コストの二つだけが経済的価値である。企業が成功するのに必要なのは経済面だけを考えることではなく、従業員に対する気遣いも大事なのだ。

◆だから、他のエアラインと違ってサウスウエストには労働組合があって、しかも労働組合があることにハッピーだというのは驚くことでもなんでもない。実に従業員の87%が労働組合に加入している。もしかすると、労働組合との交渉に対するケレハーの態度が、労働組合に加入している従業員も加入していない従業員も仲よく協働できる理由の一つを示しているかもしれない。

◆「雇用の安定と収益性を脅かすことなく従業員にどれだけ与えることができるか」を彼は自らに問い掛ける。給与の据え置きや減額をしなくてはいけないときには、同じ期間ケレハー自身の給与やボーナスも据え置きすることでも彼は知られている。

社内ブランディングは、社外ブランディングと同じくらい重要である
◆ブランディングというという言葉は、通常、ある会社の製品やサービスの機能や便益の特徴を明確化して、ターゲット市場の消費者にマーケティングプフロセスを指す。ブランディングやマーケティングは基本的に外部向けに行うコミュニケーションであって、セールスにつながるような長期的関係を顧客と結ぶことが第一目的だ。

◆だが、サウスウエスト航空では従業員が企業ミッションを理解し、内面化することのほうが重要だと考えられている。このような「社内ブランディング」のプロセスには、従業員満足を実現し、逆にそれと同水準の満足を従業員が顧客に伝えられるようにということも含まれている。

◆他社は顧客満足、株主満足をミッション・ステートメントに盛り込むが、サウスウエストは従業員満足にフォーカスしている。1999年のチーフエグゼクティブ誌のインタビューにケレハーが答えたところによると、「もし、自社の従業員が自分のしていることに満足していて、幸せで、一所懸命打ち込んでいて、やる気があったら、彼らは顧客を幸せにすることができる。そうすると顧客は何度でも戻ってきてくれるし、そうすることで自社の株主も幸せにする」のだそうだ。従業員第一という姿勢を示すことで、サウスウエストはまず内部のターゲットにマーケティングを行っているが、それがひいては従業員と顧客との問でブランド・プロミスの共有につながる。

◆「利益は顧客サービスの副産物」というケレハーの信念は、最近、ハーバード・ビジネススクールが行った調査によって実証された。従業員満足と顧客満足、それに収益性との間にはいま挙げた順に明確な関連性が見られた。

◆従業員満足を強化するためにサウスウエストがとっている方法の一つに、きめ細かいコミュニケーションが挙げられる。ケレハー自身も、自らの右腕で顧客担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのコリーン・バレットの助けを借りて、毎年従業員全員に誕生日カードを送り、必要とあれば結婚祝い、赤ちゃんの誕生祝い、お悔やみの手紙などを送る。「ラブラインズ」という自社のニュースレターに掲載されている「で、ハーブは最近何をしてたわけ?」というコラムを通して、ケレハーの最近の動きについて従業員に知らせる努力を怠らない。それだけではない。ときどき現場にも出てみんなの手伝いもする。手荷物係員と一緒に荷物を運びフライト中は客室乗務員を手伝うことでも知られている。

◆盛大なお祝い事というのもサウスウエスト文化の重要な位置を占める。パーティを通して従業員同士が知り合いになれるし、楽しいことを大事にする企業文化とも合っている。本社ビルの廊下には、パーティの様子からある賞の授賞式の様子まで、1500枚以上にも及ぶ従業員の写真が飾られている。サウスウエストが行っていることを見ていると、自社の成功に従業員の存在が欠かせないと経営陣が考えているとはっきりと見てとれる。
他の会社ではCEOが誰かもわからない従業員がいるかもしれないが、サウスウエストの従業員は、ケレハーから何らかのカタチで年平均5回はコミュニケーションがある。

破天荒であれ
◆元秘書のシェリー・フェルプスが『破天荒!』で述べているように、創立一年目に計上されていた広告費70万ドルを立ち上げ後一か月で使いきってしまったため、プロモーションは通常の広告以外の手段に頼らざるを得なかった。会社の乏しい財政状態の中でロコミというのは利用できる数少ない手段の一つだった。コストをかけず、人びとに自社のことを話題にしてもらうにはどうすればよいか。
「みんなに話題にしてもらえる価値をつくり出すために、この会社では常識では考えられないことをしなくては、とわたしたちは考えました」と彼女はいう。

◆客室乗務員の服装規定(最初のころはホットパンツをはいていた)から、飛行機の塗装に変わった色やテーマを使ったり(シーワールド・オブニアキサスのスポンサーをしていたときにシャチを機体にペイントした「シャム・ワン」とか)、祝日にはドレスアップしたり(たとえばケレハーはエルヴィス・プレスリーの恰好でイベントに登場する)など、ともかくあらゆる分野で常識では考えられないことを実現してきた。

◆サウスウェスト航空という会社の個性を伝えることが、プレスリリースや有料広告などを出すときの宣伝広報戦略の目標にされている。よく使われるのは、自社の従業員や顧客がサウスウエストはどこが違うのかを物語るという形式だ。サウスウエストを特別な存在にしている「何か」をきちんと伝えること、そしてその特別な経験を顧客にしてもらうことが同社のマーケティング・コミュニケーション活動の課題だ。

◆自社を茶化しているにせよ、競合他社を茶化しているにせよ、サウスウエストは必ずどこかユーモアのある広告を打っている。ユーモアの要素は効果的なマーケティング・ツールだと誰しも思っているが、サウスウエストほどユーモアを重視している会社は他にはない。

従業員もオーナーになれ
◆かなり高額な給与を得ているだけでなく、サウスウエスト社の従業員は株式の所有も含めた最高のプロフイット・シェアリング・プログラムにも参加できる。従業員が所有している株式は全体の約11%にもなる。ここから生まれる、自分たちもビジネスを所有しているという意識は、経済的効用よりはるかに重要なものだ。

◆サウスウエストの一部のオーナーとなることで、従業員は仕事にもっと熱心になり、会社が常に動いていて収益をあげるために必要なことは何でもしようと思うようになる。会社の業績に直接的な利害関係を持っているので、業績改善のために白分の通常の業務範囲を超えてでも頑張ろうとするのだ。会社のオーナーだという誇りは、顧客にも伝わる。


サウスウエスト社の将来
◆航空運賃の安さとカスタマーサービスに対する高い評価は、多くの都市でサウスウエスト便の就航が望まれる理由だ。その結果、全米の空港がサウスウエスト社を誘致するようになったが、年に一つか二つくらいの新規路線しか就航せず、今後も大幅な拡大路線をとるつもりはないとしており、厳しい誘致合戦が繰り広げられている。

◆ペンシルベニア州アレンタウンのリーハイバレー国際空港にサウスウエストが乗り入れないとわかったとき、空港のスタッフが冗談でグリンチというドクター・スースの絵本のキャラクター人形を一箱、サウスウエストに送った。そうしたらリーハイバレーに威勢のいい詩とドクター・スースの(緑のタマゴとハム)という絵本が一冊届けられた。

・ここからそこへは行かない
・挑発に乗ってそこへは行かない
・ボートでそこへは行かない
・山羊と一緒にそこへは行かない
・電車を運転していたらそこへは行かない
・わたしたちの飛行機は手に入らない
・わたしたちと空で会えることはない
・わたしたちの安い運賃もない

訳注/ちなみに、ドクター・スースの絵本シリーズは韻をふんだ親しみやすい文章でつづられているという特徴がある。
サウスウエストがユーモアたっぷりの個性を変えることはなさそうだ。だから、彼らがもっと大きくなって、もっともっと成功するところがこれからも見られるはずだ。

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 国家破産42掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。