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講演会(2004年11月実施)のレジメより引用
「携帯・電磁波の影響について」荻野晃也(電磁波環境研究所)
【電磁波の種類と強度】
★電磁波とは何か:電場(界)と磁場(界)とが関連して伝播してくる電気の波のことで、粒子の性質も合わせ持っている、目に見えない、重さのない、太陽光線の仲間の総称。
★携帯電話・基地局や放送タワーのアンテナからの電磁波は高周波と低周波が変調(混ぜ合わせ)されるか圧縮されたアナログまたはデジタル(パルス)電磁波:高周波と低周波の両方の悪影響あり。第3世代の携帯電話の登場(FOMA,IMT2000):20億サイクルのマイクロ波を使用。電子レンジは24.5億サイクルのマイクロ波で水の分子を振動加熱。一般的な第2世代携帯電話は10億サイクル前後。
★電磁波の強度単位:高周波(電子レンジ・携帯電話など)では、W(ワット)/ cu、mW/cu、エネルギー吸収比(全身、局所SAR値):1g(米)または10g(日)当たりのW/sで示す(米が約2倍厳しい)。
★規制の根拠:「短期間の影響のみ」「熱効果(温度上昇の危険性)のみ」:それで大丈夫か?電子レンジは電気用品取締法で規制していた(70年より)のも熱効果を考慮:表面から5cmで1mW/cu以下。
【携帯電話の伸びと電磁波障害】
★2009年には世界で約25億台、02年中に電話台数(約10億4500万台)を越える。IP接続も急増し、インターネット人口は約5億人で日本は約1200満人。日本の携帯電話(PHSを含む)は04年9月末で8864万台、普及率69.8%:携帯電話IP接続も約7233万台。中国が米国を抜き2億5000万台(03.10)で世界一。
★レーダー殺人事件、TVや電話にノイズ、オートマ車の暴走、国電のドアが走行中に全開、ロボット殺人事件、飛行機落下事件、ペースメーカーへの影響、病院機器の誤動作など。携帯電話使用中の交通事故の増加(飲酒運転より危険:マレーシア、オーストラリア、日本も法律で禁止)。
【生物と電磁波】
★生命は大昔の誕生を記憶している?「個体発生は系統発生を繰り返す」。脳細胞からカルシウム・イオンが漏洩(1975):変調高周波の16サイクルで顕著(窓効果の例):97年のポケモン事件(赤青画面が15サイクルで点滅:700人以上がてんかん症状):50や60サイクルでも起きる。TV脳やTVゲームによる脳への悪影響も「電磁波問題」:前頭葉のベータ波が低減するようだ(日大・森02)。
★カルシウム・イオンは神経や卵子・精子に極めて重要なイオン:骨はカルシウムの貯蔵庫(体内カルシウム濃度を常に一定に保持する為:骨そしょう症との関係は?ガン・成人病・アルツハイマー病・ストレス、神経信号伝達・生殖機能に関連する?ラットの学習能力低下(ライ論文)などもある。
★松果体(脳の奥にある)のホルモン(メラトニン)やセロトニン、ドーパミンなどが電磁波に敏感。特にメラトニン(生体リズムのホルモン:夜間に多く分泌)が話題。ドーパミン:ノイローゼに関連?セロトニン(メラトニンの前駆体):頭痛・自殺?電磁波頭痛の原因か?
★メラトニン:電磁波でメラトニンが減少(73):0.0001mW/cuでラットのメラトニンを抑制(83)、1mGの低周波で影響(北大の研究93)。影響なしもある。時差ボケ薬、生物の体内時計やエストロゲン(乳ガンの原因?)と関連。ガン抑制・若返り効果・エイズ抑制・酸化抑制、ストレス解消?ガン抑制効果の阻害(01.10.28朝日新聞)。夜間勤務女性に乳ガン多い(メラトニンが減少:01.11.11朝日新聞)。不登校児童にメラトニン投与で改善(熊本大学01.12)、アルツハイマーの治療にも。
【高周波の危険性】
★携帯電話の電磁波:睡眠障害(94)、記憶損失(97)など。エイディ博士(モトローラ社顧問)の指摘(94):「携帯電話は日に30分以下」「パルス波の方が心配」「0.01μW/cuで脳に影響」。携帯電話による頭痛の増加(3〜6倍も、スウェーデン・ノルウェー98.6、ウクライナでも01)。世界保健機関WHOが携帯電話と脳腫瘍の疫学研究を開始(98.9から):日本も参加を発表(00.5):世界の14ケ国7000人脳腫瘍患者を調査。高周波の「WHO環境健康基準」は2008年に発表予定。
★鶏卵に弱いマイクロ波を照射:ふ化率の低下や奇形の発生(日95)、その後バスチデ論文(仏01)でも確認される(携帯電話の電磁波を照射)。亜熱効果(極めて微弱な熱の作用)の可能性もある。マイクロ波照射マウスの精子が減少・染色体異常も(米84)、ラットの小脳・網膜が変質(米88)、脳細胞に突然変異(米95)、動物の行動異常などの報告。男性精子が影響受け不妊の原因?(04.6)。
★脳血液関門(BBB):BBBとは脳を冷却するための血液を精製する器官。BBBの機能が電磁波被曝でくずれる効果の報告が相次ぐ:マイルド論文96、フライ論文97、サルフォード論文03など:アナログよりデジタル(パルス)が危険。郵政省が「BBBに影響なし」と発表(98.9).
★高周波(マイクロ波)疫学影響報告例:レーダ殺人事件(米国57)、モスクワ・シグナル事件(76)、レーダ操作員の精子が低減(ルーマニア75)、マイクロ波被曝労働者の脳腫瘍が2.15倍(米85)、アマチュア無線者に白血病多し(英85)、5年間以上のマイクロ波被爆者で脳腫瘍死亡率が増加(米87)、脳腫瘍死亡率が2.86倍(米88)。マイクロ波被曝軍人に悪性腫瘍が3倍・リンパ腫瘍が7倍(ポーランド88)、マイクロ波・ラジオ波被曝者には睾丸腫瘍が多い(米90)、10年間以上のマイクロ波被曝者の脳腫瘍が10.3倍にも(米91)、カナダの電力社員の調査(94):パルス電磁波被曝で肺ガンが16.6倍:死亡率が1.62倍に増加。携帯使用している側の脳腫瘍が2.45倍に増加(ハーデル論文99、00、01、02)。00.12から01.2にかけて「脳腫瘍の増加はない」との3件の論文:使用期間が短い、調査人数が少ない、業界の支援研究などの疑問。聴神経に異常が増加、目の腫瘍が約4倍に増加(ドイツ01)。サンティニ論文:基地局周辺の調査から「民家から300mは離すべき」。カロリンスカ研究所も10年以上の使用で聴神経腫瘍増加を報告(04.10):片側のみで携帯使用では3.9倍にも増加。
★空港レーダによる住民のガン多発(米84)、ハワイの放送タワー周辺にガン多し(米86)、レーダ基地周辺には乳児突然死が多い(米89)、ストラ・タワー(サンフランシスコ)周辺での小児白血病などの多発。ホッキング論文(オーストラリア96)で「7.5マイル」以遠と比較。欧米の基準値の約1000分の1の被曝(8〜0.2μW/cu)で小児白血病が約2倍に。批判を受けて再調査したが3.3倍に増加結果(00)。英国で2件の報告(ドルク97):影響アリとナシ;その後の再評価論文で、「電波パターンの相違が原因」(ニュージーランド01)。バチカン放送塔周辺に小児白血病が多発:バチカン放送事件(01.4)が話題になり、塔の移転をローマ法王庁が発表。韓国の研究(04年8月)でもラジオ塔の2q以内で小児白血病死が2.29倍に増加していた:日本では疫学研究が軽視されている。
【低周波の危険性】
★携帯電話と低周波・電磁波:携帯電話は8〜20億サイクルの高周波に何らかの低周波の変調を混入した電磁波を放射、更に圧縮技術が使われているので、低周波成分が必ず混入する。01年9月にヘルシンキで開催された国際会議で発表された論文では、ノキアやエリクソンの携帯電話から放射される磁場強度は、実に10〜100ミリガウスにも達している。
★小児影響:「配電線と小児ガン」を指摘したワルトハイマー論文(米79)以降、「影響あり」の疫学論文が多い。「影響なし」論文もあり、100%証明されたわけではない。米国・国立環境健康研究所(NIEHS)のWG報告書(98):危険性を認める内容。夜被曝(4才以下4mG以上で)小児白血病が14.9倍に増加(独01)。英国放射線防護局(NRPB)委員会の報告(01.3)、オランダ保健審議会報告(01.5)、世界保健機関WHOの報告(01.10)、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の報告(01.12)が相次ぎ、いずれも「4mG以上の被曝で小児白血病が2倍に増加」、発ガンの可能性を認めている。筋萎縮性側索硬化症(ALS症)についても「可能性がある」指摘(英01.11)。アルツハイマー病も「可能性あり」との報告も。カリフォルニア州健康局電磁場プロジェクト・報告書(93年より行われ02.10に発表):「可能性あり〜原因となる」には「小児白血病・大人白血病」,「可能性あり」には「大人脳腫瘍・ALS症・大人脳腫瘍・流産」が指定。16mG以上の随時定期的被曝で早期流産が5.7倍も増加(米02):カリフォルニア州の委託研究結果。日本で実施されていた大がかりな疫学研究でも、「4mG以上で小児急性リンパ性白血病が4.73倍(白血病では2.63倍)、小児脳腫瘍は10.6倍に有意に増加」「送電線に近づくほど小児白血病が増加:50m以内で3.08倍」(サンデー毎日03.7.20など)。
★職業人疫学影響報告例:電気工、電気技師、溶接工、電力会社電話会社従業員、メッキ工など低周波電磁波被曝の職業人を対象とした疫学研究も100件近くある。親の低周波被曝で女子の誕生が増加。
【電磁波過敏症】
★電磁波過敏症の発見(米:レイ医師90):最近では国際会議が開催されている。世界で2000人以上の患者(米で700人以上):心臓圧迫・ストレス・精神不安・頭痛・睡眠不足など。家の中では寝れない患者の報告も(スウェーデン95)。ポケモン事件(97.12:テレビを見ていた子供800人が倒れる)も電磁波(光)過敏症。携帯電話で「アトピー湿疹が悪化する」「アレルギー鼻炎は無関係」という研究(木俣論文:02、03)。ブルントランドWHO前事務局長(元ノルウェー首相で小児科医)が記者会見で「電磁波過敏症である」ことを告白。04.10にWHOなどの国際会議。共同通信(03.8.20)朝日新聞(03.8.21)読売新聞(03.1.4)が「電磁波過敏症」を報道:携帯使用が脳の血流に影響。最近、携帯基地局周辺で花などの植物に奇形が発生しているとの報道(週刊金曜日04.7.2)。
【世界の状況】
★米国:米・連邦通信委員会の報告書(95)「携帯電話塔近くで健康被害の可能性」、カリフォルニア州公衆施設委員会が携帯電話会社に勧告(95)「学校や病院の近くに携帯電話塔を建設しないよう」:一部で撤去開始。ビル・ゲイツ(マイクロソフト)の住む高級住宅街にある町は「基地局禁止の条例」(96)。ニューヨーク州サン・ジョア島郡で「基地局は私有地から500フィート以上離せ」条例(97)。モトローラ社:「タワーは50m以上民家から離せ」との社内指針を発表。
★英国:携帯電話の危険性をマスコミが相次いで報道:英国BBC放送(96.3)、サンディ・タイムズ紙が「携帯電話が脳を料理する」という報道(96.4)。官有地での建設禁止や学校から190m以上離せとの決定する自治体も(99):国民的話題に。政府の委託を受けた「独立専門家グループ」が報告書を発表(00.5.11):「子供の使用に警告」「証拠が不十分なので研究推進を」「SAR値の掲示・携帯電話塔周辺に排除区域の設定を」などを勧告。基地局鉄塔が倒される例が多くなっている。
★オーストラリア:基地局反対運動が激化(基地局は子供から500m以上離すべきと国会議員)。95年から国中で問題が拡がる:保育所近くの基地局を撤去。送電線などの建設にも反対運動が激化。ニュージランド:基地局・送信機の学校敷地内での禁止命令(95)・国会でも大論争が起こる。
★オーストリア・ザルツブルグ、パリやイタリア、スイスが厳しい規制:「予防的対策」実施。ロシア、ハンガリーなどの東欧圏は以前から厳しい規制をしていた。中国も:SAR値は日本の半分に。
★高周波電磁波の遮蔽:細かいメッシュ状の金属である程度遮蔽が可能(例:電子レンジの窓)。アルミ箔で携帯電話を包むと通信できない。色々な製品が販売されている。低周波よりも遮蔽が簡単だが、木造は遮蔽不足(例:TV受信アンテナ):問題は窓(遮蔽ガラスが販売されている)。
★電磁波防護グッズの有効性:有効なものはほとんどない。例:VDTエプロンは高周波・電場には効果があるが、VDTからはその様な電磁波は出ていない。低周波の磁場には全く効果なし(ストレス低減効果はあるかもしれない?)。携帯電話用の防護シールなどが販売されている:効果なし。
【規制の現状】
★欧米の規制の現状:イタリアは10μW/cu(自治体独自は2.5μW/cuまで可能)、中国が6μW/cuに。(日本は〜1000μW/cu)、スイス(00.2)は4〜2.5μW/cu、パリは1μW/cuに。ザルツブルグ(オーストリア)は0.1μW/cu(この条件下であれば室内は0.01μW/cu程度に)。EUのSTOA委員会は0.01μW/cuを勧告(日本の10万分の1)。第3世代携帯電話塔周辺で健康被害か(オランダ経済省などの報告書:毎日新聞03.10.3)。90年代から低周波規制も始まる:米国アーバイン4mGスイス10mG、イタリア環境庁は学校・幼稚園では2mGを提言。スウェーデンは92年より実質的に2〜3mGを実施(VDTに関しては正式規制:MPRUは50pで超低周波2.5mG、低周波0.25mG以下)労働組合が更に厳しく。
★日本の規制の現状:郵政省が携帯電話の研究会発足(95.9):「米国では2.5p離せになっている」と各社が報道:96.3に業界よりの内容で発表。日本の電磁波規制:99.10より開始(携帯電話は除外、基地局建設の為:0.7m以遠でOKとする:600〜1000μW/cu。携帯電話のSAR値も規制へ(02.6.1より)
【環境問題・経済問題として】
★「地球環境問題は電磁波問題でもある」:放射能・x線・オゾン・温暖化・電磁波など:人類は?ベッカー博士の発言(00):地球温暖化問題より深刻。子供の注意欠陥多動症ADHDも電磁波影響では?
★Prudent Avoidance(慎重な回避)思想=「安全であることが確認されるまで回避しよう」:(米国では89年頃から)。更に一般化して予防原則(Precautionary Principle)となる(00年よりEU委員会が採択):「危険性が取り返しの付かなくなるような場合のリスクへの対応策」。ザルツブルグで国際会議(00.7):「予防原則と0.1μW/cuの確立」(家屋内では0.01μW/cu)、放射能の「アララ:道理にかなって実行可能な限り低く」思想、電磁波では「慎重な回避」→「予防原則」。
★ケネディ大統領の教書「消費者の権利憲章」(安全である権利、知らされる権利、選択できる権利、意見を反映される権利)が環境法に取り入れられている。EPAは10のマイナス6乗以上の危険性に関しては法的に規制方向(85年から。電磁波(場)は大体10のマイナス4乗程度と予想か?
★経済問題としての電磁波公害:電磁波対策なしでは電気製品は売れなくなるのでは?英国・伊は02年より大々的な研究を開始。米・日よりEU諸国が熱心:日本はマスコミに問題が多い。高周波(特にマイクロ波)は自然界で一番弱い電磁波であるが、すでに数十倍もの強さになっており、生物が異常な被曝増加に耐えれる保証はない。安全性が証明されず、「危険性」が高い場合には「乳児・子供」のためにも「慎重なる回避」「予防原則」が重要だ:安全性の証明責任は:企業にある。03年12月より環境省が「環境政策に関する予防的方策・予防原則のありかたに関する研究会」を開催しているが、全くのヒミツ会議。将来に発生する悪影響をいまどう評価するか、評価できるか?どれくらいの期間の影響を考慮すべきだろうか?EUのように「環境問題は予防原則で」考えることが重要。
【参考文献】「電磁波関係」荻野・著書リスト(共著を含む):「ガンと電磁波」(技術と人間95)、「あなたを脅かす電磁波」(法政出版95,00)、「高圧線と電磁波公害」(緑風出版97)、「携帯電話は安全か?」(日本消費者連盟98)、「ケイタイ天国・電磁波地獄」(週刊金曜日98,99)、「死の電流」(ブローダ著、監訳:緑風出版99)、「電力線電磁場被曝」(ブローダー著、監修:緑風出版01)「携帯電話・その電磁波は安全か」(カーロ他著、監修:集英社01)、「あぶない携帯電話」(緑風出版02)、「電磁波汚染と健康」(シャリタ著、監修:緑風出版04)。
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