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川辺川からの報告 農民・漁民と支援者が一丸となってダム建設止めている  川辺清一
http://www.asyura2.com/0505/ishihara9/msg/147.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 09 日 06:47:38: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 川辺川ダム新局面・もつれ合う流れ・下(熊本日日新聞) ― )「今ごろ何を…」いらだち募る五木村)当事者なのに「蚊帳の外」 投稿者 シジミ 日時 2005 年 6 月 03 日 20:50:10)

川辺川からの報告  5・3ブント・ワークショップ 富士での発言から

農民・漁民と支援者が一丸となってダム建設を止めている

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会事務局長 川辺清一

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かわべ せいいち

1961年熊本県生まれ。東京在住時(1989−93)に様々な社会運動を経験する。1996年から川辺川ダム反対運動に参加。子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会事務局長。共著に『路面電車とまちづくり』。
  子守唄の里で知られる熊本県五木村にダムの建設計画が持ち込まれてから40年。ダムは必要不可欠と主張する国土交通省と、ダムはいらないと訴える住民との長い闘いが転機を迎えようとしている。川辺川の運動を10年闘ってきた川辺清一さんがブント・ワークショップで講演した。
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命育む清流・川辺川

 熊本県からやってきた川辺清一です。熊本県にある、日本三大急流のうちの一つ球磨(くま)川の最も大きな支流が川辺川です。川辺川ダムは子守唄で有名な五木村と相良村の境に建設が予定されています。高さ107・5メートル、総貯水量1億3300万立方メートルある九州最大のダムです。東京ドーム7杯分の貯水量といえば大きさが分かると思います。    

 川辺川はとてもきれいな川で、98年には当時の環境庁が水質日本一だと認めました。自然も豊かでいろんな動植物が生息しており、この川にしかいないものもけっこういます。球磨川では、尺鮎と言われる体長30センチ以上の鮎が釣れます。解禁になると日本全国から鮎の釣り師がやってきます。カヌーやラフティングでもにぎわいます。最近では生態系の頂点にいるクマタカがダム建設予定地の近くに巣を作っているのが確認されました。    

 五木村にある九折瀬(つづらせ)洞窟の中には、絶滅危惧種に指定されているツヅラセメクラチビゴミムシを始め、イツキメナシナミハグモやユビナガコウモリといった貴重な生物が確認されました。なんだか舌かみそうな名ですね(一同笑)。しかしダムが出来ると洞窟の90%が沈んでしまいます。    

 球磨川の河口では青のりが採れます。地元の人たちは、四万十川よりも水質が良く、この青のりが日本一おいしいと自信を持って言います。夏になると川で遊ぶ子供達もたくさん見られます。我々の業界では絶滅危惧種のカワガキと呼んでいます(一同笑)。ここにきれいな川があるということをご理解いただけましたでしょうか。  

ダムはなくても洪水は防げる

 次にダムの目的が破綻していることについて説明します。国土交通省が言うダムの目的は4つあります。まず第一に治水・洪水防止。国交省によれば80年に一度の確率で、熊本県南部に大雨が降り人吉市や八代市が洪水に襲われるので、水害に備えるためにダムが必要不可欠だと言います。しかし過去最大の洪水でも水はあふれないということが明らかになっています。過去最大の1982年の洪水では人吉市の流量は毎秒5400トンでした。このとき堤防から水はあふれていなかった。下流の八代市にある萩原堤防では7000トンという水が来ましたけど、堤防の一番上から3メートル以上余裕があったのです。80年に一度の大雨の時の洪水でも川はあふれないということですね。今のままでも治水の目的は果たしているということになります。    

 第二に利水、農業用水です。ダムの水を田畑まで引いて農業に使うことを利水事業と呼びます。これについてはダムの水を引かなくても、水は十分にあることが明らかになっています。それなのに農家の同意のための署名を集めようとした行政側が、ダムからの水代はタダと嘘をついたり、事業中止の印鑑だとウソの説明をしてはんこを貰うといったことが起きて問題になりました。この件では農家が裁判を起こし、一昨年5月に勝利しました。    

 第三は発電です。川辺川水系で現在使われている4つの発電所のうち、ダム建設により3つが水没してしまいます。水没する3つの発電所の合計電力は1万5900キロワット。川辺川ダムの発電量は1万6500キロワット。差し引き約600キロワットの増加にしかなりません。川辺川のダム建設にかかる費用は3300億円を超えると言われています。多額の借金をしてまで作る必要はないということです。    

 第四の目的、流水の正常な機能の維持については、川辺川と球磨川の合流点の写真をご覧下さい。ダムのない川辺川の青い水。上流に市房ダムができている球磨川の濁った水。水の色を見れば一目瞭然。ダムによって、流水の正常な機能の維持はできません。つまりダム建設の目的4つ全て破綻しているのです。

流域住民の闘いがダム建設を阻止

 ダム計画が発表されたのは約40年前、1966年です。発表されると同時に、ダムに沈む五木村が反対の決議をあげました。しかし20年後には五木村の運動が当時の建設省の様々な圧力で、最終的には裁判で和解するということになってしまいました。その後90年代に入ってからは下流域から反対運動が起こります。93年には人吉市でダム反対の団体ができて、翌年には農民がダムの利水問題見直しの運動を起こします。その2年後に今私が入って活動している「川辺川を守る県民の会」が熊本市にできまして、どんどん運動の輪が県内外に広がっていきました。    

 2000年代に入ってからは、球磨川漁協が総会や総代会でダム建設の受け入れを拒否しました。国交省は、ダム建設工事の際に漁業に被害が及ぶため、漁民に「これだけ補償しますから、ダム建設を認めてください」とお願いしないといけないのですが、漁民が拒否したために、国交省は漁民が持っている漁業権を取りあげてダムを作ろうとしました。2001年12月に熊本県収用委員会に、漁業権の強制収用のための裁決申請をしたのですが、ダムの目的の一つの利水が裁判で否定されたため、現在収用委員会は却下裁決も視野に入れ、結論を出す準備を進めています。このように住民が力をつけてダム建設を拒否したり、裁判で勝ったりした結果、現在はダムの本体着工が5年連続で止まっているという状態です。    

 2001年の11月に、住民側はダムを作らなくても洪水は防げるという治水代替案を発表しました。それを受けて、熊本県が、国と住民で議論する場を提供してくれたんですね。12月に開催された「川辺川ダムを考える住民討論集会」が、それです。住民側の専門家と国交省の役人がそろって県民の目の前でダムが必要かどうかを議論するという全国にも例がない取り組みです。これまで9回開催され、熊本県民が延べ23000人、参加しました。  

 現在、住民側と国、県で森林保水力の共同検証作業を行っています。間伐など山林の手入れを積極的に進めれば、森林の保水力が高まり、洪水が起きにくくなり、ダムは必要なくなるということを住民側は実証しようとしています。  

 川辺川ダムの水を農業用水に使う川辺川利水事業は、一昨年5月に違法という判決が下り、現在では白紙撤回されました。しかし農業には水が必要だ、水の手当をどうするかということで行政側は新しい利水計画を作ろうとしています。今、農民を含めた国、県、自治体の関係者で協議をしています。しかし、国はあくまでダムの水を押しつけてくる。我々の方は、既存の水源や、川から直接、水を引くことで十分だということで、激しいせめぎ合いが続いています。全体的には住民側が有利に進んでいますが、今後どうなるかはまだわからない状態です。

「モグラたたき」と「金太郎飴」

 この運動の特徴を述べたいと思います。水没地の五木村は、当初はダム反対でしたが、80年代半ばにはダム建設を受け入れてしまった。それは何故なのか。当時の一般的な認識としては、ダムは良い物だというプラスのイメージが強かったのです。それで、五木村が言ってる事が社会的に受け入れられないし、五木の運動は孤立化してしまった。

 90年代以降、下流域で起こった反対運動はそこを踏まえました。ダムの弊害をシンポジウムや集会、インターネットで知らせていくことから始めました。それと運動の孤立化を防ぐために、反対する組織を全国区で作ろうということになり、東京・関西・福岡と三つの川辺川を守る団体を作りました。毎年8月には現地ツアーを企画し、県外の人達にも美しい川辺川を知ってもらい、支援してもらおうと働きかけています。「きれいな川を守りたい」という気持ちから参加してくれる人がたくさんいます。    

 次に当事者主体の闘争と支援者の運動がうまく絡み合っていると思います。当事者とは主に農民とか漁民ですね。これらの人達は法的な権利を持っていて裁判闘争をやっています。しかしそれだけでは孤立を招く。支援団体を作り、当事者と支援者の両人がうまくからみあうシステムを作っています。熊本では水俣病やハンセン病などの社会問題を闘ってきた弁護団がいて、彼等が積極的にサポートしてくれたのも非常に大きかったと思います。    

 この運動は、「モグラたたき」と「金太郎飴」と呼ばれています。川辺川運動はいろんな運動団体があります。なんで一つにならないのかとよく言われているんですが、いろんな団体がいろんなところで反対運動やった方が、国交省の役人も手の着けようが無く効果的なんじゃないかと思うのです。役人にとってみればまるでモグラたたきをしている感覚ですね。「金太郎飴」というのは、団体名は違うけど担っている人は同じ人。つまりたくさん団体はあるけど、どこでも同じ顔が見えるということです(一同笑)。    

 さきほど3300億円の建設費がかかると言いましたが、当初の予定では350億円だったんですね。どんどん費用が増えているのはどうしてなのか。今、全国で不必要な公共事業が行われ、巨額の金が動いています。その結果生み出されているのが、国民への借金の押しつけと環境破壊です。川辺川では住民側が粘り強い運動を積み重ねたことによって、熊本県が間に立たざるをえない状況になった。国に対して住民にちゃんと説明しなさいと持ちかけてくれる。そう仕向けるよう出来たことは大きな成果だと思います。    

 私がこの運動を10年間やってつかんだことは、住民が望まない公共事業はできない、そして住民が闘えば勝つということです。川辺川運動の展望を全国に広げていきたいと思っています。みなさんどうぞよろしくご支援下さい(拍手)。

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(2005年6月15日発行 『SENKI』 1181号6面から 紙面掲載後訂正しました)

著作権者の依頼により、2005/06/28 更新

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