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農村の女性
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投稿者 heart 日時 2006 年 4 月 06 日 23:33:31: QS3iy8SiOaheU
 

(回答先: 過疎化において、女性の農村での立場についてご意見を聞かせてください。 投稿者 東京音頭 日時 2006 年 4 月 04 日 21:55:54)

東京音頭さん、レスありがとうございます。

女性は精力的に活動している人もかなりいるようではあります。
女性が中心となって村おこしをしている、というような例も聞いた覚えがありますし。
また、女性の方が長生きするので、女性しか集落に残らず、女性が中心となっている、というようなこともあるそうです。

女性の農村での立場については、私はこれまであんまり関心を持ってきませんでしたので、この程度のことしかわかりません。申し訳ありません。

で、代わりといっては何ですが、農業協同組合新聞のサイトで、東京音頭さんのご質問に少しでも答えられそうな記事をいくつか見つけましたので、以下をご覧いただければ幸いです。

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http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku156/toku156s05011803.htmlより一部抜粋。
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特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために
インタビュー 「農村女性の力に期待します」
JA女性組織の力は地域農業改革の中核
技術研修を女性にも 仕事の領域拡大求めて
宮田 勇 JA全中会長
インタビュアー:フレッシュミズ 守川千穂さん
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守川 「農村女性の力に期待する」というテーマに入りますが、女性も農業者として自立していかないといけない、変わらなければならないと考えております。JAのほうでは基本的にどうお考えですか。

◆女性も機械の操作を

 宮田 農家は一般企業と違って家族全体で農作業に携わっているのが特徴です。女性も仕事に携わらないと男性の力だけでは経営が成り立ちません。
 女性のそうした役割をJA経営においても最大限に認識し、女性と一緒になって仕事を進めていくために女性のJA経営参画が強く期待されています。
 一昨年のJA全国大会でも、女性組織をより強く大きくする活動の強化と、経営参画を支援し、参画を受け入れる体制を整えていこうという2点を前面に打ち出し、決議しました。
 女性たち、とくに活動の主体となるフレッシュミズのような若い方々に経営参画の意識を強く持ってもらって実践していただくことを期待しています。

 守川 現場からの私の提案ですが、農業人口が減少している今、男性がいないと作物の管理ができない状況は問題です。男性主体となっているトラクターやコンバインの操作、農薬散布などを女性でもできるように、JAが機械や技術の講習会をやってほしいと思います。

 宮田 夫がほかの仕事に手を取られている場合、妻がトラクターなどを運転し、それで仕事全体がうまくかみ合って進む場合も現実にありますね。またハウスの換気などもマスターすれば結構やれます。
 そういった面から、経営体の中枢を担うフレッシュミズたちを対象にした講習会を考える必要がありますね。JAで技術を教えられるように、その基本づくりを検討したいと思います。

◆婿さんが間に入って
 宮田 作物栽培の研修では夫婦同伴の参加を呼びかけることも多いのですが、確かにJAの技術指導には青年部などを対象とする傾向があり、女性の力に期待する面が欠けているかもしれませんね。
 自動車の運転に男女の技術差はないし、農機もほ場に合わせておけばよいのだから、効率的な経営を目指すには女性の技術習得も重要です。また仕事の領域を、より総合的に拡大したいフレッシュミズの気持ちや意識の高まりもよくわかります。

 守川 機械だけでなく、経営や生活の全般について、もっと勉強したいのです。若い時に疑問を抱いた事柄も、年輩になって、その生活に慣れてしまうと、それが普通だと思い、問題意識がなくなりますから、早いうちに研修会などにどんどん参加したほうがよいと思います。

 宮田 農家の姑は自分の経験を嫁に教えます。それは良い面もあるのですが、家風とか何とかいわれると、嫁には疑問が湧きます。そういう話を家庭内できちんとできる雰囲気をつくるのは婿つまり息子の役目です。うちは2人目の孫が乳離れした時、息子を中心に姑と嫁がよく話し合い、役割分担の変更などもスムースにいきました。
 昔と違うのだから、嫁もはっきりとものをいい、理解を深め合う積極性を持つことが大事でしようね。そういう時代だと思います。陰でしゃべると、つむじを曲げられたりします。
 もう一つ、嫁のほうはフレッシュミズの組織の中で、どうしたら自分の意見を経営や生活に反映できるか、先輩たちの意見を聞いて勉強することですね。グループの話し合いはプラスになります。それを家庭内で活かしていけば良いと思います。

◆家族協定の見直しを

 守川 確かにJA鹿本女性部にフレッシュミズができて、みんなも私と同じような思いをしてきたことがわかり、それが力にもなっています。
 我が家では夫と父が家族経営協定を結んでいましたが、私が嫁いでから、これを見直し、家族全体の協定にしました。私はハウスを受け持ちたかったのですが、子どもが小さいので難しく結局、JAの直売所「ふれあい市場」への出荷代金を私個人の取り分としました。
 農家の嫁は小遣いに不自由するというマイナスイメージがありますが、収入があると働く意欲がまた違ってきますね。
 鹿本町全体でも協定見直しの運動が起こり、私たちのグループは寸劇などもやりました。

 宮田 収入による意欲は、作物の品質向上につながるし、また子どもの物を買ってやれるといった張り合いもできます。
 昔の農家は家父長が高齢になっても財布を握っているため息子が50歳を越えても経営の実権を持てないといったのが実情でしたが、今では、家族が平等な立場で、家族の役割を明確にし、働きやすい環境が整えられるようJAグループとしても家族経営協定の締結を勧めています。


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http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku156/toku156s05012408.htmlより(元記事にはグラフがいくつかあります)
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特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために
農業との両立が課題 農村の「資源」生かした子育てを
―農村の子育て期にある女性の実態と支援策を考える
加藤 美紀 (社)地域社会計画センター 副主任研究員
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 少子化の進行は都市部にくらべ農村で著しい。農村の持続的な発展のために対策が急がれる。ここでは(社)地域社会計画センターが実施したアンケート『子育てと農業経営の両立に関する調査』について加藤美紀副主任研究員に紹介してもらうとともに、少子化問題解決につながる子育て支援策について解説してもらった。農村には子育てによい環境があるなど「資源」を発見することに気づくことが課題だという。

 少子化は確実に日本社会に進行しつつある。その傾向は他産業・都市に比べ農業・農村で特に著しい。農林漁業分野の平均出生児数を見ると昭和30年代に5人程度であったのが近年は2〜3人程度まで減少している。働き手が高齢化し、子どもの数が減少し続けると農業・農村の活力は弱り衰退の危機にさらされる。農業・農村が持続的に発展していくために、少子化問題は緊急の課題である。
 国は2005年から5年間の施策「子ども・子育て応援プラン」を発表した。少子化対策の取組みは、もう何年もなされているのに合計特殊出生率は毎年過去最低を更新し続けている。子どもを安心して育てられる環境づくりのために、当事者である女性の実態と課題を把握する必要がある。
本稿では、小学生以下の子どもを持つ農家の女性3000人を対象に実施したアンケート『子育てと農業経営の両立に関する調査』を中心に農村部における子育て女性の実態と支援策を考えてみたい(平成13年11月実施 回収率41%)。

◆子育て期にある農村女性の実態

 農村に住む子育て女性の7割以上が同居家族6人以上の大家族で、約8割が義父母と同居(または近居)している。農村でも核家族化が進んでいるというもののやはり多世代同居が大部分である。子どもの数は2人、3人が各4割、4人以上は1割に満たない。約9割が何らかの仕事を持っていて、仕事を持たない専業主婦は1割を占める程度。過半数の女性が農業に携わっている。

◆子育て期の農業に難しさ

 子育て中の女性が職業として農業をどう思っているか。農業のみに従事している女性が他の仕事をしない理由を聞いたところ、「時間的余裕がない」の次に「農業以外は両立が難しい」や「農業に魅力を感じている」との回答が多かった。一方、子育て中に農業以外の仕事に就く女性に農業をしない理由を聞いたところ「時間的余裕がない」の次に「入り込む余地がない」との回答が多く、農業に興味を持っているもののきっかけがなく農業に関わることができない女性がいることがわかった。
 子育てを犠牲にしてまで農業に就業する女性の視線は厳しい。「収入が労働にあわない」などの意見や「がんばっても自分の収入にならない」などシャドーワークへの不満を抱える女性は多い。自己実現の為の女性起業など未来に希望が持てる農業への支援も農業に就く育児中の女性の支援といえるだろう。

◆農村での子育ての評価と課題

 農村に住む多くの女性は「のびのびとした環境」、「豊かな自然」、「思いやりの気持ちを育む環境」と農村で子育てすることに対し高い評価をしているものの「同年代の友達と遊ぶ機会が少ない」ことや「近所の干渉が窮屈」との意見も多い。
 「同世代の子どもとの交流が少ない」理由として、「近所に子どもが少ないばかりか公園など気楽に集う場も少ない」という意見や「同居家族が多く、親子で気兼ねなく家を行き来することが難しい」であった。子どもの交流を通じた母親同士の交流も少なく孤独に過ごす女性の存在がうかがえる。子どもを大人の世界だけで育てるのではなく同世代の子ども同士の交流を通して社会性を身につけて欲しいと願う親は少なくない。加えて、子育てという生命を育てる喜び、大変さを共有できる仲間づくりも必要だ。広い庭や田んぼ、畑は公園の代わりにはならない。気楽に親子で集まれる場の整備が求められている。
 「近所の干渉」を詳しく見てみると「子育てに専念したいが、働かないと地域の目が気になる」や「若い人は働き、子どもは年寄りが見るという地域性が未だに残っている」という意見、「女性が家事・育児・農作業をこなすのが当たり前。男尊女卑が根強い」という農村の地域性に対するしんどさを口にする女性も多い。

◆家族、夫に求める意識改革

 家族や夫に対する要望のなかでは「義父母の干渉」を問題にする女性が多い。休みなく農業する義父母への遠慮や、外出に理解がないという理由から「外出しずらい」との意見が寄せられている。「昔はもっと大変だったというけれど……。リフレッシュできたらもっといい育児が出来るのに」と女性達は口をそろえる。世代間ギャップによる問題も大きい。「昔と今は時代が違うことをわかって欲しい」「お風呂の順番、食事のことなど生活リズムがあわない」といった考え方や生活習慣の違いに対する悩みや「子育ての考えが古い」「子育てに干渉しすぎる」など、自分の理想とする育児が出来ないことへ不満をもつ女性が少なくない。同居家族がいることは心強い反面、精神的な負担になっている状況が伺える。昔は多産が当然で、育児は経験に頼ったもの。現代は農村といえども少子化だし育児の情報は豊富でマニュアル化されている。このような違いを埋めるには当事者同士の歩み寄りしかないがそのための研修会等の開催も必要だ。
 一方、パートナーである夫に対しては「父親としての意識をもっともって欲しい」という要望であった。育児に対する父親不在が言われて久しい。育児の責任は母親と同じくらい父親にもあるはずだ。農業に就いていれば雇用者と異なり長時間労働を強いられることもない。家族のやりくりで育児時間は作れるはず。育児に積極的にかかわるよう意識改革が求められている。
 農村・農業の女性がよく口にするのが「嫁の立場」。義父母や夫に意見することが難しく、どこで折り合いをつけるのか悩む女性。農業の場合、一日中一緒にいることが多いため、生活リズムや考え方などの細かいズレでも苦痛に感じる女性も多い。
 子どもが地域で集い遊ぶ姿は農村においても急速に減ってきている。また、地域内に安心して遊べる場も失われつつある。地域社会で育まれた部分を家族が担っていかなければならない状況なのだ。そしてその責任を母親だけが抱え込むには限界があるのではないか。

◆育児と農業の両立で悩む

 農業に携わる女性に子育てと仕事の両立の方法を聞いたところ、最も多い回答は「保育園・幼稚園などを利用」で約4割であった。次いで「同居家族で子育てを役割分担」「仕事をしながら世話をする」であった。また、子育てと仕事の両立で困っていることについては、「子どもの世話が十分にできない」が約6割、「子どもと一緒に過ごす時間が短い」、「自分だけの時間がもてない」との回答が多い。
 要望としては、「農業にも決まった休みが欲しい」との意見が多い。「母親の代わりに農業を手伝ってくれるヘルパーの派遣」や、「家族経営協定で育児も労働と認めること」など、産前産後休暇の確保とともに育児中の女性が休みを取りやすい環境整備が求められている。
 また、どうしても母親が休めないときの支援も整備し安心して働ける環境づくりが必要だ。地域に求められている支援策を具体的に見てみると、保育園の新設や増設、定員拡大に対する需要は低く、農村部において保育サービスが充実してきていることが伺える。しかし、保育園の延長保育や保育後、放課後、有料で預かってもらえるサービスに対する需要は高い。同世代の母親の情報交換の場や相談できる窓口設置に対する需要も高く、子育て中に孤立しがちな農村女性の多いことが伺える。

◆農村だからこそできる支援を

 農村では、農業、家事・育児、介護もこなして当たり前という固定観念の中、不満も言わず農業・農村の担い手として育児との両立に奮闘する女性が多い。しかし、農業・農村における女性の位置づけは低く、経済的、精神的な自立を困難にしている。農業の多くが家族経営体なので、女性は労働に見合った収入を得られない。閉鎖的な地域性や嫁の立場に縛られ、不満をもっているもののそれを変えていこうと行動する女性は少数に限られている。
 一方で、家族や地域の人々の理解に支えられて、農業経営に参画しながら自然のなかでの子育てに生きがいと喜びを感じている女性もたくさんいる。育児中の女性といっても、保育園の母親同士の交流でさえ窮屈と感じる女性もいれば、情報交換できて助かったという女性もいる。温かい人間関係を育児環境に良いと感じる女性もいれば一方で窮屈さを訴える女性もいる。同じ環境でも幸せを感じられる人、そうでない人がいるのは家族構成、就業状況、性格などが違えば当然のことである。また、「隣は何をする人ぞ」で、ご近所づきあいの少ないなか、過密する都市の状況と同じレベルの子育て支援では、濃厚な人間関係の地域の中で点在する農村の子育て中の女性を助けることはできない。地域で子育てするという視点に立ち、農村だから出来る子育て支援を考える必要がある。農村には子育てに良いたくさんの資源があることに気づく、発見するきっかけづくりができれば農村での子育てを楽しむ女性も増えるのではないか。


農村の良さへの声

 「地域の人達がみんなで子供達を育てるという雰囲気がある」
 「子供達に家の仕事を手伝わせるとことで成長にも繋がる」
 「子育てしていくうちに仲良い家族になっていくのがわかった。思い通りにならない子供達にイライラするけれど、畑でボ〜ッとしてホッとするとまたニコニコできる」
 「農家は時間が不規則、干渉されやすい、お金が自由にならないとマイナスに考えがち。でも、時間は自由になる、相談できる人が家庭内にいる、お金は必要な分はある。いざとなれば畑があるので心強い。本当は良いことばかり」
 「家庭という仕事場だけにとじこまらずに、もっと外に目を向けられるよう、子育てという大きな仕事をしながら色々な事に挑戦していきたい」
 「自然の中、その恵みで生活できることが幸せと農業が教えてくれた。健康で老いても続けていき、子供に伝えていきたい」
 「季節とともに稲作の変化や野菜の収穫時期などが毎日の生活のなかで感じられることはすばらしい。生き生きとのびのび育っていけるような人間性が身につけられるようにしたい」
(2005.1.24)


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http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku156/toku156s05012407.htmlより一部抜粋。
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特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために
レポート 子育て支援活動とJA女性部再生のシナリオ 
―農村女性の子育ての夢と現実
山本 雅之 (社)地域社会計画センター 常務理事
やまもと・まさゆき 
昭和19年生まれ。東京大学工学部建築学科卒。48年JAグループのシンクタンク設立準備に参画。49年全国JAグループの出資で(社)地域社会計画センター設立。以来、JAの施設再編・業務改革、生活総合センター建設、ファーマーズマーケット建設、農住まちづくり、優良田園住宅団地建設などの実践プロジェクトを多数手がける。
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◆高齢化で女性部が消滅する!?

現在、JA女性部員の数は全国で約100万人。40年前のピーク時320万人と比べると、3分の1以下にまで激減している。最近は毎年10万人ほど減り続けているから、このペースで部員数が減少していくと、あと10年ほどでJA女性部は自然消滅してしまう運命にある。
 この最大の原因は、部員の高齢化だ。いまやJA女性部は、部員の約7割が50歳代以上、約4割が60歳代以上という超高齢化組織。若い世代の部員は、20歳代と30歳代を合わせても1割に満たない。
 この先、高齢のためにリタイアする部員がさらに増えていくことは確実だから、若い世代の新規加入が進まなければ、組織として存続していくことはとうてい無理な話だ。

◆悩み多き農村の子育て

 ところで、若い農村女性がJA女性部から離れ始めたのは、いつの頃からだろう。部員の数が加速度的に減り始めたのは90年代初めだから、おそらく、この頃から若い女性のJA女性部離れが顕著になってきたのだろう。それは、バブル崩壊とデフレによって農業経営が落ち込み、都市部よりひと足早く農村部の少子高齢化が進行し、集落の助け合い機能が弱体化していった時期と一致する。
 とくに、乳幼児を抱える農村女性にとって、今はかつてない「悩み多き時代」といっていいだろう。子供の数は少なくなったが、そのために子育ての実経験の乏しい母親が増え、農作業の手伝いを強要されない代わりに、子育てに関する夫や義父母の理解・協力はかえって得にくくなった。
 そして、同世代の母親と話し合う場も、地域で互いに助け合う組織もなく、子育てと家事と農作業に孤軍奮闘する日々が続く。なかには、家庭でも地域でも孤立し、ストレスが溜まって精神疾患に陥ったり、子供の虐待にまで至るケースもある。
 その点、子育てに関する限り、農村女性は都市女性よりもずっと不利な環境条件に置かれている。都市部では、働く女性のための保育所や託児所が駅前などに開設され、企業も事業所内託児所や育児休暇制度を用意している。専業主婦も、外出時には子供を預かる会員制のファミリーサポートセンターが利用でき、気軽に育児相談ができる子育て支援センターもある。
 これに対して農村部では、子育て女性の約五割が家の農業に従事しているが、職業とはみなされていないから給料も育児休暇もない。しかも、約七割が義父母との同居で、子供を預けて外出することにどうしても気が引けるから、同世代の仲間との交流機会がなく、育児相談の機会があってもほとんど利用することができない。

◆子育て支援活動が地域を活性化する
子育て支援の助け合い活動を広めることがJA女性部再生の道でもある

 2003 年の合計特殊出生率は全国平均で1.29人、04年に産まれた子供の数は110万7000人(厚生労働省調べ)。いずれも、統計が始まって以来、最低の数字である。このまま少子化が続けば、やがて生産力が落ちて地域経済が低迷し、国全体の活力が失われることは間違いない。
 そのため政府は、これまでの「高齢者福祉」一辺倒の社会保障費を見直して、「子育て支援」にも重点配分していく方針だ。しかし、いくら政府が「子育て支援」の助成措置や保育施設整備などを進めても、子育ては個人の価値観とライフスタイルに深くかかわる問題だから、そう簡単には状況が変わらないだろう。
 女性が子供を産むか否かの意志決定をする際の決め手。それは、家族と地域に「子育て支援」の意識と協力体制があるか否かである。実際、地域における子育て支援活動が、出生率のアップと地域の活性化につながっている例がある。
 その典型が、沖縄県の多良間島(人口約1400人)。03年の出生率は3.14人で、全国平均1.29人の2倍を超すダントツの日本一だ。この島では、子供が産まれると地域全体で祝い、農繁期には義父母や隣近所の人たちが交代で子供の面倒を見る。育児の相談も、経験豊富な隣人たちが気軽に乗ってくれるという。
 行政主導で子育て支援に取り組み、出生率のアップを実現した静岡県の長泉町、愛知県の日進町、兵庫県の五色町などの例もある。ここでは、子育て女性が親子で気軽に利用できる交流スペースや、専任スタッフが親身に育児相談に乗ってくれる場など、若い女性の子育てに対する不安を解消する受け皿づくりが、安心して子供を産める環境整備に大きな効果をあげている。

◆ネックは中高年世代の意識

 ここで、改めてJA女性部の活動内容を見てみると、その多彩なメニューに驚かされる。「食料・環境問題」に始まって「地産地消」「食育」「都市・農村交流」「リサイクル」「男女共同参画」「助け合い」「高齢者福祉」「ライフプラン」「健康管理」「家族経営協定」に至るまで、実にさまざまなテーマが掲げられている。
 だが、「子育て支援」はどこにも見当たらない。若い農村女性にとって最も関心の高いテーマが、JA女性部の活動メニューにないのはなぜだろう。『いつか行く道』である高齢者福祉活動には熱心でも、『いつか来た道』である子育て支援には無関心というのでは、若い農村女性がJA女性部にそっぽを向くのも無理からぬことではないか。
 こういえば、JA女性部の中高年世代のなかには、『私たちの時代は、子供をたくさん育てながら家事も農業も立派にこなしてきた』という反論が出てくるだろう。今は子供の数も少ないし、家庭電化で家事は楽になったし、農業の手伝いを強いられることもないから、『子育てくらい一人でやれなくてどうするの』といった気持ちが強いに違いない。
 このようなJA女性部の中高年世代の意識。実は、それが子育て世代の若い女性を家庭内でも地域でも孤立させ、JA女性部への参加意欲を失わせ、ひいては農家の嫁不足を深刻化させる最大の「壁」なのである。

◆子育て女性に支援の手をさしのべよう

 確かに、昔の農村の暮らしと比べれば、今の農村女性の家事と農作業の負担は大幅に軽くなり、公的保育サービスも充実して自分だけの自由な時間が増え、農村女性としての個人の価値観とライフスタイルを持てるようになった。これは農村社会の大きな進歩であり、JA女性部の50年余にわたる活動の成果といってもいい。
 しかし、その反面、今の子供は同年代の子供どうしで遊ぶ機会が少なくなり、母親どうしも互いに情報交換をする場がなくなり、子育てに対する家庭内の理解・協力体制や地域における助け合い組織活動もすっかり弱くなってしまった。その結果、若い農村女性の子育てに関する不安感と孤立感は、昔よりずっと深刻になっている。
 中高年世代の方々には、今の子育て世代の農村女性が抱えているこのような悩みや苦労をよく理解して、JA女性部として積極的に支援することを考えてほしい。その際、最も重要なポイントは、子育て女性を孤立させないことだ。それには、地域における助け合い活動が不可欠である。
 JA女性部はこれまで、高齢者の在宅介護や家事援助や配食サービスなどに関して、さまざまな助け合い活動の経験と実績を積み重ねてきたはずだ。今度は、それを子育て支援に生かしていこう。

(中略)

◆子育て支援がJA女性部を再生する

 部員数の減少で衰退一途のJA女性部を再生するうえで、若い農村女性の新規加入を促す次世代対策は不可欠の要件である。それには、若い農村女性の最大の関心事であり、悩みの種でもある「子育て」に対して、JA女性部が積極的に支援の手を差しのべなければならない。
 その際、まず『子育てしながら家事も農作業もこなして当たり前』という中高年世代の意識を変えてほしい。そして、今の若い農村女性は、子育てに関して都市女性よりずっと悩みが多く、孤立しやすい状況に置かれていることをよく理解し、JA女性部として的確な支援策を考えてほしい。
 いちばん大変な子育て期に、JA女性部による助け合い活動のありがたさを実感してもらうこと。それが、若い農村女性にJA女性部への帰属意識を持ってもらい、新規加入を促して、JA女性部を再生する道なのである。

(2005.1.24)

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http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku156/toku156s05011907.htmlより一部抜粋。
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特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために
座談会 
私たちの幸せにつなげるための「意識改革」からはじめよう!
「JA女性 かわろう かえよう宣言」の実践をめざして
−活動の柱はいのち、自立、共生、組織−
峰島歌子 JA全国女性組織協議会会長
角田佐知子 JA全国女性組織協議会理事
小林綏枝 元秋田大学教授
(司会)野口洋子 JA全中女性組織活性化対策室室長
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(前略)

■女性の力が評価される時代のなかで

 峰島 やはり女性参画ですね。思い返せば私が女性部活動に参加した年はちょうど国際婦人年でした。それからずっと女性参画が重要だと考えてきましたが、今は、女性の力を社会がある程度必要としていて、しかもそれを評価するようになったと思います。やはり女性が参画しなければ社会が成り立たないよ、という考えが出てきたのは一つの進歩だと思います。
 ですから、そのためには女性も意識改革を進めなくてはならないということです。自分たちも農業経営に関わるとかですね。実権は握っているけれども弱いところがまだあり、何かにつけて「お父さんが…」という言葉が出てしまう。そのすべてが問題ではありませんが、やはり自分が経営に関わるという農業の姿を組み立てていくことは大事だと思いますね。ただ働けばいいということではないということに気づかなければなりません。
 それからJAへの参画も課題ですが、今はどういう会議に出ても女性は一人です。そういう会議に出て思うのは、議論されていることは私たちがついていけない内容ではなく、むしろ自分たちのことなんです。それなのになぜ女性が一人しか出席できないのか、と思います。もっともっと女性が意見を出して一緒に考えていかないとと思います。

 角田 私も全国女性協の理事になって全中の畜産・酪農対策本部委員会に出席しています。最初は難しい数字がびっしり並んでいて面食らいましたが、実際に私は養豚をやっているわけですからだんだん自分のこととして分ってきました。ただ、そういう場に出席する機会がこれまでになく、地元でも勉強会がありますが、やはり出席するのは夫でした。
 ですから、私たちもそういう場で勉強ができればもっともっと自信が持て、いろいろな場に出ていけるようになると思います。夫に対して、今日の会合には自分が出席するから、と言えるぐらいになればもっと力が出てくると思います。でも、まだまだ地域では女性は一歩下がって、という感じがあります。

 峰島 確かにそうです。だからそこから変えていかなくてはならないと思います。

 小林 でも、農村地域の女性は家のなかではみなさん女王(笑)じゃないですか。だんなさんはエジンバラ公のような方ばっかり(笑)。ただ、それは家のなかでは、ということかもしれませんね。そこが不思議で、むしろ女性は利口だから家の外のことはエジンバラ公にやってもらえばいい、ということかなと思っていますがどうですか。

 角田 私のまわりでは本当は外に出たいけれども出られないという雰囲気があると思います。周りがそうだから自分も、とどうしても考えてしまう。

■農業者としての自立と自然体の共同参画

 峰島 兼業農家では、たいてい夫が勤めていて女性が農業をしているわけですが、いざ農家組合の会合なんかがあると男の人が出席してしまう。でも私はそれではおかしいんじゃないのと言って出席してきました。農業をしているのは私ですから、と。しかし、出席してみると女性は私だけ。そうすると、今度すごく生意気なお嫁さんが来たぞ(笑)、というようなことが当時は言われたものです。
 ただ、少しづつ変わってきて自分の意見を言う女性が増えてきているとは思います。
 そういう変化のなかでの成果ですが、最近、地元JAの合併で支所が空くので、そこを学童保育施設にしようということになりました。学校と町とそして私たちJA女性部も関わって2か所つくりました。女性部ではボランティアでいろいろな食べ物をつくって提供しようと考えています。

 小林 それはすばらしい取り組みですね。今後は男性、お父さんもその学童保育の活動のなかに巻き込めれば、もっと大きな活動が期待できるのではないでしょうか。

 峰島 そうですね。実際に男性も変わってきていると思います。今、女性部では地産地消の運動に盛んに取り組んでいますが、直売所活動にしても男性が後押ししてくれるといいますか、見ていられなくなって、そんなにやるんなら俺も手伝うよ、という形になってきています。
 これを私は、自然体の男女共同参画、だと言っています。ですから男女共同参画とは、この会の役員に女性が何人なるべき、ということだけではなくて、やはり男女が一緒に農という営みをやっていく、この姿が、自然体で男女共同参画が進んでいくということだと思いますし、それが「かわろう、かえよう」ということだと考えています。

(略)

峰島 私は子どもの食事を家庭のなかできちんとするということも本当は男女共同参画の問題だと思っています。女の人がいつも台所に立たないといけないとは限らないし、やれる人がやればいいということにならなければいけない。
 この20年の間に女性が社会に進出して女性が家を空けるようになったわけですが、子どもはもちろん夫が食事を作るということになったわけではありませんよね。核家族も増え、こういうなかで家庭の力がなくなってきたことが小林先生のご指摘のような問題を生んだと私は思います。そこがこれまでの男女共同参画の問題だったのではないか。
 まず家庭のなかで男女共同参画が進まなければ、いくら共同参画と叫んでもやはりひずみが出てくる。そのひずみが子どもたちが朝食事をしないとか、犯罪の増加などに現れてきたと思います。
 ですから、男女共同参画を進めるときには、まず家庭から始める、ということと、家庭力を落とさないように参画できるよう、みんなが支援していく社会制度も考えていかなければならないと思います。
 男女共同参画とは、ただJAの理事に女性が何人登用されるかということだけでは決してないと思います。家庭のなかでの男女共同参画が根底にあることが重要であって、ただただ女性が社会進出していけばいいということではないことを、これまでを振り返ってつくづく思いますね。

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http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku156/toku156s05012406.htmlより一部抜粋。
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特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために
座談会 農業新世紀をつくる女性たち
ネットワークづくりと情報発信で農村を元気にしよう
堀  周子さん(山形県酒田市)
今井 延子さん(新潟県新発田市)
井上 幸枝さん(広島県世羅町)
(司会)今村奈良臣氏 東京大学名誉教授
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(前略)

◆機能集団としての農業者ネットワークに期待する

 今村 ここで私の持論を聞いていただいてみなさんの考えを伺いたいのですが、それは日本の農村は長男集団だということです。講演などに行って出席者に聞いてみてもまず次男、三男はいない。農協の役員、職員もそうです。もちろん女性理事もほとんどいない。
 それは制度からして農家というのは、長男が家督と田畑という家産、そして農業という家業を継ぐということになっていたし、戦後も慣習としてそのままだったからですね。そして次男、三男は外に出されるわけですから都市、企業は次男、三男社会ということになった。これが日本の社会構造の大きな特徴だったわけです。1950年代の後半からますます農村は長男集団、都市・企業は次男、三男集団という関係ができあがっていった。
 そして80年代の日本では農業、農村叩きがたくさん出てきましたね。これは次男、三男集団からのバッシングです。農村はおかしい、けしからんと。そのころ私は欧米に何度も足を運んでいましたが、農業の就業人口比率は日本以上に低い国なのに都市住民で農業、農村の悪口を言う人には一人として出会いませんでした。少なくとも先進国では日本だけなんです。
 それがさらにどういう現象になってきたかというと最近の若い女性には、親の故郷ではなくて私の故郷がほしいという人が出てきた。私が女子大で教えていたころのことですが、お父さんやお母さんの故郷には行きたくない、という。お分かりでしょうが、彼女たちは次男、三男の子どもで農村の実家からすれば外孫になる。ところが、おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなるとおじさん、おばさんの家になってしまうからもう行ってもおもしろくないということになる。なぜかといえば、やはりよそよそしい感じになってしまうからでしょう。
 しかし、故郷はほしいと思っている。つまり新しい意味での親せきづきあいをしたいと考えているわけですね。これは自分で親せきをつくろうということですが、都市・農村交流といってもこのように人の新しいつながりをどう求めるかという時代になってきていると思います。しかし、農村側はまだまだ長男社会。私は長男が悪いといっているのではなくて長男は家を守るという意識から改革に一歩踏み出すことをためらってしまう人が多いということです。これは長男の個性というよりもそういう仕組みになっているからですね。
 もう新しい時代になりつつあって長男対次男、三男という図式は崩れつつあるわけですが、それでもまだ農村の主要な組織はみな長男集団です。これは急に変えられませんが、地縁集団をどう改革するかが課題です。
 そのためには地縁集団に留まるのではなく地域農業をマネージするという機能集団としての力をこの市場経済のなかでどう発揮するか、です。みなさんの女性ネットワークとは地縁、すなわち地域に根を張りながらも新時代にふさわしい機能集団を作っているわけです。その意味で農業のあり方も、生産だけでなく加工、販売までやっていくことが大事ですし、そのためには女性が代表になって農業をやっていっていい。
 農村女性の皆さんに申し上げたいのは、出る杭は打たれると言いますが、それならいっそ出過ぎてしまえ、ということです。出過ぎてしまった杭はもうどうしようもなくて打たれないのだと(笑)。それが農業生産の法人化が必要とされる理由のひとつでもあると考えています。みなさんの実践もそこまではいっていないかもしれませんが、新しい農村社会をつくりあげるというエネルギーが女性のなかから出てくることが期待されていると思います。

(略)

◆女性参画と家族の支え 家庭でのコミュニケーションが基本

 今井 ただ、今の問題としては社会参画という点でも女性がもっと出ていかなければいけないと思います。
 自分の経験でも義父や夫の代わりに会合に出てくれといわれて出席してみると、地域のことを本当に何も知らないなと思って、これはもっとどんどん外に出て知らなきゃだめだとなった。それでわが家の場合は義父や夫が出ていた会合に私も出席するというかたちにしてもらったんです。なるべく共通した場に出るようにしてきたんですが、同じ話を聞いてきても義父や夫と私とでは全然捉え方が違ったりして、それだけでも同じ話題で話し合うことが大事だなと思いましたね。

 堀 その話を聞いて思うのは、私たちが活動しているときに、ご主人が、今日はうちのかあちゃんどこさいったんだ? というような活動の仕方をしている女性がいることです。そうではなくてやはり今日はこんな活動をしてきた、こんな話を聞いてきたときちんと家族に伝えられることが必要だと思います。家族に自分の体験を返していく、そのなかでいろいろな話をすることが大事だと思うんですね。
 基本は自分の活動を支えるのは家族ですから、きちんと家族に返していく、そのなかで家族全員がレベルアップしていくということではないでしょうか。女性が社会参画していくことは重要ですが、やはり家族の支えがあってこそですから。
 一方で男性が外に出ていくのも実際はむずかしいのではないかとも思います。夫が市会議員に立つといったとき実は私は反対したんです。夫は、これだけ外に出ている私にまさか反対されるとは思わなかった、他の家なら分かるが、やっぱり女だなと言われて(笑)。でも、ここで夫に忙しくされたら家の農業はどうなってしまうのかという不安があったんですよ。女性が外に出るには家族の支えが必要だと言いながら矛盾しているようですが、このときは自分が夫を引き留めたんです。議員になっている今でも悩むこともありますが、こういうことを繰り返して本当の男女共同参画が進んでいくんだろうなと思いますね。
 ただ、政治の場などいろいろな場で男性と一緒に考えていかないと本当にいい世の中はこないだろうと思っています。

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