★阿修羅♪ > ニュース情報1 > 767.html
 ★阿修羅♪
全国NPOバンク連絡会 金融審議会金融分科会第一部会の「中間整理」について
http://www.asyura2.com/0505/news1/msg/767.html
投稿者 ODA ウォッチャーズ 日時 2005 年 10 月 05 日 03:40:04: ilU7eLmFtsv5I
 

去る9月29日、全国NPOバンク連絡会(後述)は、投資サービス法に関す
る金融審議会金融分科会第一部会の「中間整理」について、NPOバンクの
立場からの意見を提出しました。

この意見は、投資サービス法と「民による公共」との調和を図るべきという
問題意識から、
(1)非営利の出資を投資サービス法、証券取引法の適用除外とすること
(2)「相互信頼に基づく経済活動の促進」と調和した規制内容の検討
を要望しています。

以下にこの意見の全文(メールの特質を考慮し、金融庁に提出したものとは
段落の区切り、機種依存数字等を変更しています)を掲載しましたので、ご
覧の上、ご意見等をいただけるとありがたいです。

今後、10月5日に再開する金融審議会金融分科会第一部会の場で、次期通常
国会における法案成立に向け、投資サービス法に関する論議は加速すること
が予想されます。
これに対し、全国NPOバンク連絡会も活動を強め、投資サービス法と市民
事業の調和を実現することで、市民セクターの発展に寄与したいと思います
ので、今後ともよろしくお願いします。

(参考)
金融審議会金融分科会第一部会「中間整理」の公表について
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai1/f-20050707_d1sir/00.html
金融審議会金融分科会第一部会 中間整理に関する意見募集について
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/singi/f-20050902-4.html

【全国NPOバンク連絡会】
全国NPOバンク連絡会は、未来バンク、WCC(女性・市民信用組合設立
準備会)、東京コミュニティパワーバンクなど、全国のNPOバンクと、弁
護士、公認会計士、中間支援組織などで作っている連絡会で、証券取引法・
投資サービス法と、NPOバンク・市民事業」の問題に取り組んでいます。
(連絡先)東京コミュニティパワーバンク内(担当:奥田さん)
  電話  03-3200-9270  FAX 03-3200-9250
  メール community-fund@r2.dion.ne.jp

(以下意見)
==================================
金融審議会金融分科会第一部会 事務局御中

「中間整理」に対する意見

2005年9月29日
全国NPOバンク連絡会

 今般貴審議会の金融分科会第一部会から報告された「中間整理」につきま
して、私たちは、いわゆるNPOバンク(市民の非営利バンク)の立場から、
以下の通り意見を述べるものです。

 貴審議会におかれましては、今後の議事や答申において、私たちの意見を
反映されることを心より希望いたします。

1.基本認識

(1)「投資サービス法」の必要性
 最初に述べておきたいのは、私たちは投資サービス法自体に反対するもの
ではないということです。1996年以降のいわゆる「日本版ビッグバン」
においても消費者保護の必要性は広く指摘されておりながら、金融取引にお
ける消費者保護の制度は後手に回っていた観があります。

 これに対して、今回の投資サービス法で消費者保護が制度化されることは、
市民にとっても基本的には歓迎すべきものであると考えます。

(2)「民による公共」との調和
 一方、私たちは、各種の「市民事業」を通じた「民による公共」の実現が、
これからの社会を切り開くことに大きく寄与することを確信するものです。

 「市民事業」にはその態様によって公益的なものと共益的(相互扶助的)
なものがありますが、そのいずれにおいても、その活動による便益は住民の
福祉の増進に貢献するものです。また、市民事業の効果は活動自体の便益だ
けでなく、(ア)市民の社会参加を促進し、(イ)信頼の輪・互酬性の規範
・ネットワークといったコミュニティの資源を豊かにし、ソーシャルキャピ
タルの蓄積を進める点で、社会の基盤構築に寄与するものです。この点を踏
まえれば、たとえ一定の範囲で企業活動と競合したとしても、市民事業には
その存在意義が積極的に認められるべきと考えます。

 さらに、市民事業を促進するためにはそれにふさわしい資金循環が求めら
れますが、この点において、いわゆるNPOバンク(市民の非営利バンク)
は、大きく飛躍することが期待されています。
 近時、特定非営利活動促進法によってNPOが法人格を簡便に取れるよう
になるなど、市民事業を行うための制度的条件が整備されつつあります。今
後も、法制度はこの「民による公共」を促進する方向で整備されるべきです。


2.「中間整理」への要望

(1)非営利の出資を投資サービス法、証券取引法の適用除外とすること
 「投資商品」の定義については、「中間整理」6ページで3つの要件が提
示されていますが、この要件によれば、NPOバンクのように、@出資に対
して利子や配当を支払わず、A出資を譲渡することを制限し、B脱退や解散
時の払い戻しについて出資の価額を限度とするものは、「より高いリターン
(経済的効用)を期待してリスクをとるもの」とは言えず、いわば非営利の
出資というべきものです。

 よって、かかる3要件を満たす非営利の出資については、投資に該当しな
いため、投資サービス法の規制対象外であることを法に明記することを要望
します。

 上記の点につき、たとえ理論的に投資といえなくとも、損失の可能性を判
断するために投資商品同様の規制を行うべきという考えもあります。しかし、
そもそも投資商品でないものにかかる規制を行うこと自体、過剰規制の感が
否めません。また、拠出者の関心も投下する資金の使途の社会性にあり、リ
スクの厳密な判断を必要としているといえません。

 さらに、上記のものを利用した詐欺の危険性も指摘されています。しかし、
類型的に見て、投資スキームを使った詐欺は高い経済的リターンを期待させ
ることが一般であり、経済的リターンのないスキームを利用した詐欺の危険
性は限定的というべきです。

 なお、昨年12月に改正された証券取引法における「みなし有価証券」規
制では、NPOバンクで通常利用される「民法上の組合」の出資持分につき、
(ア)50人以上への募集かつ1年間で1億円以上の出資を集めた場合、
(イ)2006年6月1日時点で出資者が500人以上の場合、継続開示お
よび外部監査という重い義務が課されることになっていますが、同様の趣旨
から、証券取引法においても、NPOバンクなどの非営利の出資を「みなし
有価証券」規制からの適用除外とする制度的手当てを早急に行うことを要望
します。

(2)「相互信頼に基づく経済活動の促進」と調和した規制内容の検討
 上記の「非営利の出資」に該当しない場合でも、実質的に構成員の相互信
頼に基づいて経済活動を行っている事例は広範に存在します。こうした場合、
拠出者たる構成員は、事業の運営について日常的に関与していなくとも、自
ら積極的にリスクをとっており、いわば相互信頼によって取引費用を逓減し
ているのです。この点からすると、相互信頼に基づく経済活動は本来構成員
の自治に任されるべきものといえます。

 しかし、別紙「投資サービス法の対象範囲についての考え方」では、投資
商品の範囲が非常に広範に設定されており、これまで構成員の自治に任され
るべきとされてきた各種のスキーム(民法上の組合、無認可共済等)も投資
商品に含まれるものとされています。

 確かに、こうしたスキームに、営利的な投資事業の規制逃れに利用されて
きた側面があることは否定できません。しかし、これらのスキーム全てに対
して投資サービス法のルールを形式的に適用することは、相互信頼に基づく
経済活動に対して、本来不要な取引費用を課すことになります。さらにこの
ことは、かかる活動を行おうとする市民に対して萎縮的効果を招き、社会の
基盤たる信頼関係の構築が阻害されることになりかねません。こうして、投
資サービス法がいわば「角を矯めて牛を殺す」結果を招きかねないことは、
近時ようやく高まってきた、コミュニティの再生に向けた機運に水をさすこ
とが強く懸念されます。

 私たちはこのような問題意識に基づき、投資サービス法が目指す「市場の
形成や消費者保護」と、「相互信頼に基づく経済活動の促進」が高いレベル
で調和するよう、金融審議会の場で検討されることを心から要望するもので
す。具体的には、「規制の内容については、横断性に配意しながら、ファン
ドの内容に応じて柔軟性を持たせるべきである」(「中間整理」16ページ)
という考え方を投資サービス法全般に適用して、この「調和」をいかに実現
するかが問われているのではないでしょうか。


本件にかかる連絡先:
【全国NPOバンク連絡会】
(連絡先)東京コミュニティパワーバンク内(担当:奥田)  
電話  03-3200-9270  FAX 03-3200-9250  
メール community-fund@r2.dion.ne.jp


以   上

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > ニュース情報1掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。