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憲法規定に違背して内閣(行政機構)優位の統治構造が維持されてきた日本
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投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 30 日 03:29:39: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 質問:憲法をその本義に則って機能させるためには? [あっしらさん、息災で何よりです。] 投稿者 如往 日時 2005 年 7 月 29 日 18:36:11)


如往さん、お久しぶりです。


Q1:「衆議院が内閣を信任しないという意思表示をしてもいないのに、天皇の国事行為に関する条項(第7条)をダイレクトに使って衆議院を解散できるという“荒業”が通用してきたのが戦後日本の政治実態である。」において、あっしらさんは“荒業”が通用してきた原因を何に求めることができると思量されるでしょうか。


A1:まずは、日本国憲法が国民的議論を通じて成立したものではなく、原案が米国政権が主導したGHQによって提示され、大日本帝国憲法の統治構造のなかで政治経験を積んだ行政機構がGHQと交渉しながら成案をつくったことをあげたいと思います。(形式的にも、天皇の裁可で憲法は交付されています)

このために、日本国憲法を体系的・構造的に把握する論議過程が希薄で、逐条的な解釈の説明がなされた程度で成立したという経緯があります。
行政機構が主導する限り、自分の手が縛られるような条文表現や解釈を避けるのは避けがたいものがあります。

大日本帝国憲法は天皇大権を軸とした行政権優位の統治構造を示しており、第五条で 「 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」とあるように、議会(国会)は立法権を有するわけではなく天皇(行政機構)の立法権に協力する存在でしかありませんでした。
婦人参政権も付与された戦後第一回の“帝国議会”総選挙を経ての議決とはいえ、議員のなかに戦前的議会観が根強く残っていたと推量します。

現在なお一般的雰囲気ではないかと思われるのは、行政(内閣)が最大の政治力を持っているという国家観です。
日本国憲法を体系的に考えれば、内閣は、日常的外交において優越的権限を有しているとしても、それ以外は国会が定めた法律を執行する機関でしかないと言えます。
予算編成権はありますが、予算そのものが法的根拠を必要とするわけですから、法を執行するための資金的基礎を算段するものでしかないはずです。

内閣(行政機構)が政治を行うものという憲法に違背する観念が一般化していることが“荒業”が通用してきた大きな要因だと考えています。

内閣(行政機構)優位思想は、成立してきた法律のほとんどが内閣提出の法律案であることに大きな疑念が提示されていないことからもわかります。
憲法を体系的にきちんと理解すれば、内閣に法律案を国会に提出する権限があるかどうか、極めて“あやしい”ことがわかるはずです。

根拠になっている憲法条文は第七十二条の「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、・・・」ですが、そこで言う議案に法律案が含まれているとは言えません。
なぜなら、次の第七十三条【内閣の職務権限】で列挙されている職務権限のなかに、法律案を作成し国会に提出するという項目がないからです。

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[参考]

第七十三条【内閣の職務権限】
 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
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第七十三条に拠れば、第七十二条で言う「議案」は、「承認を得るべき条約」であり予算案を指しているのであって、法律案は「議案」に含まれていないとも言えます。

国会(国会議員)は、自身の“専権”である立法行為を内閣(行政機構)に簒奪され、帝国憲法の時代と同じような「内閣の立法権の協賛者」的地位に甘んじているのです。

内閣総理大臣が内閣の構成で絶対的な権限を持ち、内閣総理大臣は国会で指名(任命)されるという点で決定的な違いはありますが、立法権に関して国会は帝国議会的役割しか果たさないという実態が続いています。

“荒業”は通用して他の要因をあげると、

1)内閣総理大臣を出す政治勢力(与党)が長期間にわたって一つの政党であったこと。
与党の交替があれば、行政権の専横性を知っているもの同士ですから、それを抑制すべきという声があがり、抑制の根拠として憲法がしっかり見直しされたと思っています。


2)いわゆる護憲派が、第9条や国民の権利に関する諸条項に憲法の“魅力”を見い出し、三権による国家統治の規定内容については表面的理解(三権分立といった程度)で済ましてきたこと。

3)1)と関わることですが、野党は立法能力が不十分であったり立法に必要な議員数がない一方で、与党は官僚機構との結びつきを“政治力”の源泉としてきたこと。
与党は官僚機構出身者を数多く国会議員にしていますし、与党の国会議員は地域や業界の利益を手に入れることを主眼としてきたので立法行為そのものにあまり関心がなく、もっともらしく要領もいい法律を官僚に作成してもらったほうが“合理的”だと考えてきたと思われます。

Q1:また、それと関連して「このような論をバカバカしいとお思いかもしれないが、国家機関や政治勢力の恣意的な動きを抑制する要諦は憲法を頂点とした法規定を遵守させることにあるから、ないがしろにすることはできない。」において、憲法をその本義に則って機能させるためにはどうしたらよいのか、妙案がありましたらご提示いただければ幸甚に思います。

A1:たいへん難しいテーマですね(笑)。
「大東亜戦争」とその敗北を経ても、支配層の責任を追及することもなく依存を続けてきたことを考えると・・・・ため息が出るだけです(笑)。

法学者やメディアさらには野党も、物事(憲法)をきちんと考えているようには見えません。

ざっくばらんに言うと、国民の多数派は憲法そのものにそれほど関心があるわけではなく、自分がしたいことを邪魔されたくないとか、自分の利益がより多くなればいいといった感じで政治を見ていると思っています。(それはそれで政治の本質を突いてはいると思っています)


現状は、こうやってグチを書いて、一人でも多くの方が、そんな憲法解釈もあるのかとか憲法規定はとても重いものなんだと考えていただくしかないと思っています。

権力をめざす政治活動をやる気はないので、現実的に極めて重要なテーマについてはこんな応答しかできません。

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