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シリーズ、『市民政治』の再生を考える[号外]/“政治的眼眩まし一発”の直近の事例
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投稿者 鷹眼乃見物 日時 2005 年 8 月 13 日 08:44:58: YqqS.BdzuYk56
 

<注>当シリーズ[1]〜[5]は「空耳版」へUPしてあります。このページの内容は、次の二章で構成されています。

第一章 日本国民は、小泉首相のオレオレ解散で“眼眩ましの一発”を噛まされたのか?

第二章 “政治的眼眩まし一発”の直近の事例(2004年4月から施行された財投改革)

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第一章 日本国民は、小泉首相のオレオレ解散で“眼眩ましの一発”を噛まされたのか?

 我われ一般国民は、“この喧嘩は小泉氏の完勝だ!”の報道ばかりを真に受けて済むのだろうか? ここニ、三日のテレビ・新聞の政治面の内容は“この喧嘩(衆議院解散)は小泉氏の完勝だ!”というような解説と報道で埋め尽くされています(社説欄もふくめて)。「郵政法案に反対する人」は、国会議員に限らず一般国民(選挙民)も“人でなしだ、そんな奴はマトモな人間ではない”というムードが漂っています。このような意味での(ここで書くような)疑問や批判を差し向けること自体がタブー(禁忌)になったような異様な雰囲気が流れ始めています。今まで、強硬に小泉氏を批判していたテレビ・コメンテータたちの舌鋒は鈍り始め、まったく逆の立場に寝返ったかのような言い方をする者たちが増えつつあります。

 一体、今、日本で何が起こっているのでしょうか? ナチズム一色の政治環境が開花した1930年代初頭のドイツ(ワイマール共和国/1919〜1933)の雰囲気とはこんなものだったのでしょうか? ジャーナリズムの総力を挙げて、「小泉を批判するのは非国民だ!」というキャンペーン(大政翼賛)が始まったのでしょうか ともかくも実に珍妙な雰囲気がメディア世界と社会に充満し始めています。

 今、この事態を最も喜びほくそえんでいるのは『財務官僚』(管理権限を拡大できる一方で財投と特別会計の一次的な責任から逃れられるメリットを獲得した)と各省庁の『高給(級)官僚』(言葉だけの天下り禁止とのバーターで獲得した早期勧奨退職慣行の廃止という利益を獲得した)たちではないのでしょうか? かくして日本は“今までと何も変わらぬ”どころか、すべての皺寄せ(大増税の負担、医療福祉分野サービスの切り捨てなど)を“合法的かつ強引”に一般国民が引き受けさせられることになります。よく考えてみれば、これは日本国民の悉くが“国家的なオレオレ詐欺商法”に嵌められたようなものです。

 それを、“歴史は繰り返すのだ”などと達観し傍観していてよいのでしょうか? 我われ一般国民が、こんな疑念と批判の眼を向け続けても、現実の政治プログラムにはクソの役にも立たないかもしれません。しかし、もし一人でも多くの日本国民がこのような厳しい批判の眼を持ち続けることができれば、それは“政治の暴走にブレーキをかける安全装置”の働きになれるだろうという希望を持ちたいと思っています。

 恰もテレビコマーシャルのように単純化された唯一の固有名詞(分かり易い政治的言葉)で国民に選択を迫る政治手法(ワンフレーズ・ポリテクス)は、過半の国民にとっては分かり易いと思われるのかも知れません。また、このような政治状況はメディアにとって大きなビジネスチャンスかもしれません。しかし、各メディアはジャーナリズム精神を忘れないで欲しいと思います。

 何事につけ、分かり易い単純化には必ず落とし穴があります。喩えれば、それはリフォーム詐欺、火事場泥棒、オレオレ詐欺、告知不要・医療保険、落語の“時ソバの眼眩ましのトリック”など、一般消費者の眼(正しい判断力)を誤魔化すために考案された様々な騙しのテクニックと同じことです。某「告知不要・医療保険」の場合を具体的に見てみましょう。他社の保険と比べたとき、その保険の最大のメリット(消費者にとっての)となるのは「告知書を書く手間が省ける」ということだけのはずです。つまり、説明書の細かい文字を丹念に読むと、その保険の申し込み時点より前から何がしかの病気に罹っていたことを隠した場合は保険料が絶対に支払われないことになっているのです。

 しかし、殆どの善良な消費者たちはテレビや新聞紙上のコマーシャル、“今からでも手遅れではありません。告知書は不要なので簡単に申し込みができます!”というキャッチ・フレーズにコロリと騙されているのではないでしょうか?(この種の被害者が、あるいはこのことを意識せずに無意味な保険に加入したままになっている人々(被害者?)がどれほどになるかは、その種の統計を見たことがないので知りません・・・)そして、この光景が“民営化なくして日本の構造改革なし云々”の小泉氏が駆使するワンフレーズの効果とソックリなのに驚かされます。

  ともかくも、我われ一般国民(市場における消費者)は、ワンフレーズ・ポリテクスに騙されるわけにはゆかないのです。このために大切なことは、一つの単純化された宣伝用語・政治用語(ワンフレーズ)を真に受けないで疑う気持ちを持ち続けることです。そして、何事につけ、その原点(歴史と経験も含めて)から考えるという習慣を身に着けておくことが重要なのです。

第二章 “政治的眼眩まし一発”の直近の事例(2004年4月から施行された財投改革)

 「郵便・年金の預託義務」(国民が預けた郵便貯金や年金積立金などの資金枠(約350兆円/このうち約140兆円は国債の受け皿となっている)がいったん財務省・資金運用部に預託されて、財政投融資の資金(このうち可なりの額が焦げ付いて不良債権化しているらしい)に流す仕組みを廃止するための「財政投融資改革」が、2004年4月から実施されています。このため、現在は、各特殊法人等が財投債(財投機関債)を自らの責任において発行・運用することになっています。しかし、財務状況が悪くて発行した財投債が市場で消化できないような特殊法人等の場合は、その法人に代わって「財政融資資金特別会計」が財投債を発行することになっています。そして、建て前上、これら財投債の償還財源は租税ではなく、各特殊法人等の資産(財政融資資金特別会計の場合は、従来の資金運用部基金と同じ扱い)だということになっています。

 つまり、オフィシャルな定義上は財投債は従来の国債と性質が異なるものだとされています。しかし、国の信用をバックにして発行される財投債は名前を変えた新種の国債です。「財政融資資金特別会計」から借り入れをした特殊法人等に損失が発生した場合に、最終的にその償還財源を租税に依存せざるを得ないのであれば、財投債は国債と何も変わるものではないのです。むしろ、このように中途半端な国家財政の仕組みを新しく作ったため、既に1,000兆円を超えた日本の国家的な財政赤字(地方債、償還利子込み)は更に、その上に大きな赤字を積み上げてゆく恐れがあるのです。一部では、既発財投のスリム化が計画どおりに進まないと、逆に財投債の残高が年毎に積み上がり預託金の満期償還が一巡して財投債がすべての預託金に入れ替わる6年後には、現在の財投残高に匹敵する約400兆円の財投債残高になると言われています。

 それでは、既存の財投資金が減る代わりに新たな国債が積み上がるだけという話になります。これは“政治的眼眩まし一発”以外の何物でもありません。実は、このような“政治的眼眩まし一発”は小泉氏のオリジナルではありません。これは、小泉氏の影で糸を引き続けている財務省(旧大蔵省)の伝統的な得意技なのです(小泉氏は、それを得意のワンフレーズ・ポリテクスに置き換えているだけだと思われます)。例えば、日本の近代財政史を幕末から明治維新期ころまで遡ってみると、このような“政治的眼眩まし一発”が陸続と実行されてきたことが分かります。しかも、時代の変革期には必ず国家的な債務(現在の国債・財投債等に相当)の“大仕掛けの踏み倒し”(軍国主義政策等も含む)が実行され、無辜の一般国民が犠牲になってきたのです。例えば、幕末〜維新初頭期の御用金調達(国家的かつあげ?)、貨幣改鋳(悪化への切り替え、贋金造り)、強権的な債務の踏み倒し、政府紙幣(金札)増刷、金札の兌換紙幣への転換、公募公債発行・・・、そしてこのような手練手管の中から「特別会計」という“打ち出の小槌”が案出されてきたのです。そして、トコトン行き詰まると戦争による財政全体(国・公債、紙幣、預貯金等)のデフォルトという訳です。

 そして、今持ち切りの「郵政民営化・改革」です。これは、かなりの曲者なので十分に注意すべきです。例えば、一部で「財投改革」とこの「郵政改革」が連動しているように誤解されている節がありますが、この二つは“現在の改革内容(法案)のまま”である限り、まったく関係のないことです。今の「郵政改革」が実行されても、されなくても、2004年4月から始まっている「財政投融資改革」は別軌道の上を走り続けるのです。つまり、仮に「郵政改革」が現在の案のままで実行されても、一方で、財投債という新種の国債発行は続いてゆくのです。しかも、「道路公団改革」などの結果で見られるように、特殊法人等の不合理な経営内容(膨大な無駄遣いシステム)は放置されたままです。そのため、1,000兆円を超えた財政赤字も、国債発行も減る保証はありません。この両者が恰も関係あるかのように思い、現在の「郵政改革案(法案)」さえ実現できれば、財政赤字も改善するなどと思う人がいるとすれば、余程のノーテンキでしょう。また、それが日本の未来を照らす光源であるかのように思う人がいるとすれば、その人は間違いなく「国家的オレオレ詐欺」(小泉氏のワンフレーズ詐欺)に嵌っていることになるでしょう。

 敢えて言えば、諸悪の根源は「特別会計」というモンスターにあります。先に述べたとおり、この特異な財政管理システム(国民の眼を眩ますための工夫)が、国家的な“大仕掛けの債務踏み倒し”の歴史の落とし子であることは強ち見当外れではないようです。しかし、その複雑怪奇な特異性のため、筆者の貧弱な知識・能力では全体像が未だに掴めていません。ただ、それが日本の近・現代史の中で発症した悪質な細胞であることは間違いないようです。個人の家計の基本は、まずムダ遣いをチェックすることです。もし、小泉氏が「徹底的な国家的ムダ遣いのチェックなくして国の繁栄なし!」というワンフレーズを絶叫して、“このために俺は死んでもいいんだ、俺は非情なのだ!”とフォローしてくれれば、ヒョットすると筆者も、マスメディアや大方の国民と同様に小泉ファンになるも知れませんヨ! 

 なお、余談ですが、リフォーム詐欺、オレオレ詐欺、ネズミ講などの悪徳ビジネス(或いは告知不要・医療保険、高利貸金業など悪徳すれすれのビジネス)に引っかかり易い人は、インテリ・知識人層か、あるいは認知症等で判断力を失った人々の中に偏在分布しているそうです。なぜなら、この種の悪徳ビジネスは、必ず表面的な論理(詭弁的な論理)をシッカリ組み立てる必要があるからです。もし、この種のペテンの巧みな人物に“一応の論理的な説明”が付帯しなければ、それは「強盗・泥棒・置き引き、猟奇殺人犯」などの類と何ら変わりがないこといなるでしょう。我われは、政治権力の本質が絶えず「悪」に傾き「暴政化」することを忘れるべきではないようです。

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(参考)日本近・現代史における国家的な“大仕掛けの債務踏み倒し”の歴史についてBlog記事(シリーズ)を書いております。シリーズ全体は未完ですが、現在までのURLを下にご案内しておきます。

シリーズ[5]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050811

シリーズ[4]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050804

シリーズ[3]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050731

シリーズ[2]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050727

シリーズ[1]
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050625

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