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[暴政]『小泉H.C.ポルノ劇場』が蹂躙するエクリチュール
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投稿者 鷹眼乃見物 日時 2005 年 8 月 28 日 11:49:42: YqqS.BdzuYk56
 

『小泉H.C.ポルノ劇場』が蹂躙するエクリチュール

 エクリチュール(ecriture)とは“人間が書くという表現活動、生きた人間が残す生命の軌跡、書かれた文字や記号”というような哲学的・認識論的なフィールドの用語です。我われ一人ひとりの人間、地域社会あるいは国家でも同じことですが、もしエクリチュールの働きと助けがなければ一人の人間の死とともに、そのような人間、地域社会、国家などの存在は時間の経過とともに忽ち人々の記憶から消滅し、あるいはデフォルト(無かったことに)されてしまいます。そして、恐るべきことに数年も経たぬうちに、そのような人間、地域社会、国家あるいは様々な出来事は始めから存在すらしなかったことにされてしまう恐れさえあるのです。

 それどころか、直近の認知心理学等(数学者ロジャー・ペンローズらの新しい理論/下記・注、参照)の分野の研究では、エクリチュールと「人間の意識」の関係が注目(エクリチュールの働きがなければ“意識”は生まれない?)され始めているのです。余談ですが、このようなことと関連するのが古来から伝わる地方の市町村名や地名の問題です。

 <注>RojerPenrose:(1931〜 /イギリスの数学者・理論物理学者、ケンブリッジ大学教授)
・・・ペンローズは宇宙の構造に関して、一般相対性理論と量子力学を統一した「Twister仮説」を提唱している。認知心理学・人工知能研究等の先端領域では、「Twister仮説」の“脳神経内で形成される抽象的なベクトル空間への応用可能性”が注目されている。このベクトル空間で出現するグラフ的な表象(身体全体の所与条件が一定の重み付けで分配されて生成される多次元関数的な分散表象の軌跡)こそがニューロン(脳神経細胞)内部のエクリチュールと定義できる可能性がある。

 従って、いつの時代でも、自らのガバナンス正統(当)性を誇示する意志と身勝手な政権維持の意図(少しでも長く政権を維持して歴史に名を残すとともに甘い汁を吸い続けたいという、自己中心的な野望と欲望)のために、政治権力者たちは、このエクリチュールの操作(公文書、歴史資料などの廃棄・消去)の可能性に目を凝らしているのです。そこでは、「現実の出来事と事実の消去」だけでなく、政治権力者による積極的な「偽証の創作」(証拠のデッチあげ/イラク戦争を始める口実とされた“大量破壊兵器存在の問題”など、事例の枚挙には困らない)さえ行われます。しかし、このような政治権力者による意図的な「エクリチュールの操作」は、主権在民の現代社会に生きる我われ一般国民の人間としての尊厳に対する冒涜であり、最も悪質な犯罪行為だと断言できます。このような訳で、アーカイブの問題(*)は実に致命的ともいえる一般国(市民)への人件侵害に直結する問題でもあるのです。

*<注>「アーカイブ問題」の詳細は、下の記事を参照。

『アーカイブの役割とは何か(1)』
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050306/1110547706

『アーカイブの役割とは何か(2)』
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050307/1110547635
『アーカイブの役割とは何か(3)』
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050308/1110547585
『アーカイブの役割とは何か(4)』
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050309/1110547538
『アーカイブの役割とは何か(5)』
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050310/1110547371

 また、政治権力者自らが属する国家の管理体制そのものにとっても、絶えず、このような意味で歴史的現実が消去されるままに放置することは、長い目で見た場合は「国家的なリスク管理」の脆弱さという自己矛盾的な問題を抱えていることにもなるのです。なぜなら、リスク管理についての最重要な論点(公理)は「間違いを犯さぬ人間はいない」と「リスク恒常性」の二点だからです。前者についての説明は不要だと思います。

 後者の意味は「先端科学技術など人間の英知をどれだけ引き出し、それを活用・駆使・改善したとしても、これで万全というレベルには永遠に到達できない」という厳然たる現実を直視し、この現実に対し謙虚になるべきだということです。このような国家的リスク管理についての緻密な配慮からアーカイブ(文書局)を整備・充実させたという意味で、先に述べた「カール大帝の慧眼」(詳細は、『アーカイブの役割とは何か(4)』、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050309/1110547538を参照)には恐るべきものが感じられます。

 映画『スタ-ウオーズ、エピソ-ド2』の中に「銀河系公文書館」のエピソードがあります。ジエダイの騎士が、ある星の存在についての証拠を求めて「銀河系公文書館」を訪ねますが、そこのアーキビストは次のように返答します。・・・この公文書館に証拠記録(データ)がないということは、その星は最初からこの銀河系には存在しなかったということです・・・ところが、ジエダイの騎士がおおよそ目星をつけた場所へ行ってみると、なんと、その星はシッカリ存在していたのです。ここで描写されているのは、政治権力によって操られる道具と化した「銀河系公文書館」の憐れな姿です。

 このエピソードから連想されるのは、逆説的な意味合いとなりますが、昨年の国会で小泉首相が使った・・・大量破壊兵器が存在しなかったからといって、フセイン大統領が存在しなかったことにはならない・・・という詭弁です。これは無関係な言説どおしを強引に結びつけて一見意味ありげな表現を装ってみせる常套的な詭弁の手法で詐欺師の論法であり、人を欺くための小細工的テクニックです。このような小泉首相の詭弁を弄する言動から臭い立つのは、“自分にとって不都合な証拠は強権的に消去し、もともと存在しなかったことにしてしまいたい”という奢れる権力者の傲慢な意志です。

 このような政治手法がまかり通るようでは、今の日本が先進民主主義国家の一員だとはとても言えません。公文書館の根本が主権在民という民主主義の原則と関連することを理解できるようにするため一般国民の意識改革と「アーキビスト倫理綱領」及び「文書基本法」の整備を急がぬ限り、日本のアーカイブ制度は、いずれ映画『スタ-ウオーズ、エピソ-ド2』の「銀河系公文書館」のような悲惨な役割を担わされる懸念があります。

 また、2004.5.12付の朝日新聞(記事、海外文化/国際資料研究所代表、小川千代子氏)によると、突然、ブッシュ大統領がアメリカ合衆国アーキビストを交代させると発表したため、米国アーキビスト協会(SAA/Society of AmericanArchivists/http://www.archivists.org/ )、図書館、歴史家などの九つの諸団体が懸念を表明して公聴会を要求する騒ぎになりました。

 合衆国アーキビスト(NARA/NationalArchivesandRecordsAdministration/http://www.archives.gov/)という役職は、国立公文書館を擁する国立公文書館記録管理庁)のトップのことです。NARAの仕事は、合衆国連邦政府の公式な記録を包括的に管理し、その公式の歴史資料を後世のアメリカ国民に伝えるという重要な役割を担っています。従って、そのトップの交代人事は慎重に行われるべきと考えられており、その交代の必要性がある場合には関連団体と事前に十分な打ち合わせを行うことが慣例となっていました。ところが、ブッシュ大統領は、この慣例を一方的に破り、突然の人事交代を通告したのです。その後のこの騒動の決着については詳細な報道がなかったようなので詳しく承知していません。しかし、間接的な情報によると流石のブッシュ大統領も、この問題については引き下がったようです。

 ところで、映画『スタ-ウオーズ、エピソ-ド3』ではダースベーダー(宇宙帝国を仕切る悪の帝王麾下の筆頭子分)誕生の秘密が明らかにされています。つまり、「善」を代表する力を授かった筈のジェダイの騎士アナキン(ミュータント化して蘇生したダースベーダーの前身)が「悪」に魂を売り払ったのは「愛」を守るためであったとされています(詳しくは映画をご覧ください)。実は、映画『スタ-ウオーズ、エピソ-ド3』は、「愛」こそが最も人間の奥深くに刻みこまれた「エクリチュール」だと言いたいらしいのです。人間は、その「愛」を消去されたり、書き換えられたりすることには絶対に耐えられない存在だ、従って自らの心に宿る「愛」を何らかの宿命的な環境・条件(避け得ない運命的な強制力)によって書き換えられそうになれば、人は誰であっても「悪」に心を売り払い、「悪」のパワーに身を委ねるというのです。

 目を転じて見れば、それが帝国主義であれ、絶対王制であれ、民主共和制であれ、いずれにしても政治権力の頂点に立つ者たち(皇帝、国王、大統領、首相など)が、必ずや宿命的に取り憑かれるのが、この「愛」を巡る葛藤です。無論、この「愛」なるものの内容は家族愛や同志愛的なもの(男女の愛、夫婦愛、親子・兄弟愛など)だけに限るものではありません。念のため、すでに他の記事(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050827)で書いたことですが、「愛」の概念を広く捉えるという意味でイギリスの日本研究家・ロナルド・ドーア氏(Ronald P. Dore/1925−  )が新しい著書『働くということ、グローバル化と労働の新しい意味』(中公新書)の中で述べている日本社会に伝統的な価値観(恐らく、日本人の愛国心なるものの基層)の四つの要素を再録しておきます。ドーア氏は次のようなことを書いています。

・・・それは「義憤」、「憐れみ」、「慈善」、「本来の意味での自己利益」という四つの価値観である。そして、「義憤」とは“不正義に対する怒り”であり、「憐れみ」とは“他者の苦しみに対する純粋に愛他的な同情心”であり、「慈善」とは“貧困を癒したいという人間本来の欲求”であり、「本来の自己利益」とは“あなたの不安は私の平和を脅かしますという、人間本来の意思(本気で他人を愛すること)についての理解である”。・・・

  恐らく、政治権力の頂点に立つ者は、宿命的にこれらの「愛」の喪失を恐れています。と、いうより、自分が、これらの“人間にかかわる多様な「愛」を理解する、人間としての心と感性を失っていること”を国民一般から見破られることを恐れているのです。なぜなら、このような意味での国民一般からの「愛」を失うことは“頂点に上った自らの全人格を否定すること”に他ならないからです。

 たしかに、殆んどの人間が関心を向ける筈の男女の「愛」を局部的に拡大すればポルノ現象と化します。それをポルノ現象と言って言い過ぎであるなら「芸能化・大衆化」、「テレビ・ワイドショー化」、「週間誌・スポーツ紙化」と言ってもよいでしょう。いずれにせよ、その政治権力者が短慮型であればあるほど、権力維持の手っ取り早い手段として、このような「愛」のごく一部分をクローズアップして利用するという方向へ走るのです。

 とても古い話ですが、暴君ネロの破滅的な暴走政治を引き継いだウェスパシアヌス帝(F. Vespasianus/AD9-79)の「パンとサーカス」政策が、その典型の事例です(小泉政権を支える主席秘書官I.J.氏の強みが週間誌・スポーツ紙など大衆ジャーナリズムとの太いパイプであり、また一方では、それが一般マスコミに対する牽制力となっている(周知の噂によれば、一般マスコミについての様々なスキャンダル情報を手に入れて活用している)ようです。かくの如く、現在の日本政治の中枢が“病み爛れていること”を思うと、まことに嘆かわしいかぎりです。因みに、このウェスパシアヌス帝が、一般大衆の支持によって、最期には「神格化」(神として祀り上げられたこと)されたという歴史的事実も忘れるべきでないでしょう。「ポルノ化」の次は「神格化」へ進むのが歴史的な教訓なのです。

 このような訳で、最高政治権力者が「大衆迎合化」を志向するのは珍しいことではないのです。この「大衆迎合化」(ポピュリズム化)した政治権力の最大の狙いこそが、一般国民(一般大衆)の「エクリチュールの書き換えと改竄」ということです。その最も効果的な手段として考案されたのが「政治のポルノ化」ということです。そして、このような「悪」の理念から生まれてきた「特異なプロパガンダ戦略」こそが、今や周知となりつつある「郵政民営化法案のターゲットをB層に絞る」(アメリカ広告業界での常套手段/アファーマティブ・アクションの変異したものと考えることも可能)という、きわめて邪悪な大衆操作の手法です。

 しかし、長い目でみれば、このように“邪悪な大衆操作の手法”は失敗することになるでしょう。それは、人間存在の根本でもある「愛」の守備範囲(内容)は、ポルノ化へ走りがちなものだけではないからです。先に触れたことですが、その「愛」なるものの守備範囲には「義憤」、「憐れみ」、「慈善」、「本来の意味での自己利益」という四つの価値観が入るからです。やがて、「小泉H.C.ポルノ劇場」に騙され、心奪われていたことに気付く人々は、必ずや「義憤」、「憐れみ」、「慈善」、「本来の意味での自己利益」という四つの価値観へ回帰する筈です。なぜなら、これら心身の奥深くに刻みまれた個々の人々のエクリチュールを消去・改竄することは、たとえ暴政の政治権力、巨万の財力、あるいは無敵の軍事力をもってしても不可能だからです。

 「ジェダイの逆襲」ではありませんが、民主主義国日本の主権者としての我われ国民(一般市民)は、このような「ポルノ化した劇場型政治」(娼婦政治/ポルノクラシー(Pornocracy)/9〜10世紀頃のローマ教会では「ローマ教皇庁の政治的立場」の封建領主的な性格が強まり、「娼婦政治」(ポルノクラシー)と呼ばれる堕落をきわめた悪徳政治の舞台となった/詳細はHP『レンブラントの眼、2004.6.2付・日記8/「福音」を曲解した米国プロテスタント保守派に追従する日本(2) 』、http://www1.odn.ne.jp/rembrandt200306/nikki8.htmを参照)の被害を最小限度にとどめる努力(*)をすべきです。それは、我われの後に続く子供たちへの責務でもあります。このため、政治権力の暴走と腐敗を看過すべきではありません。

*現時点における「被害の概要」は下記のとおり。

★[民主主義の危機]高すぎる日本の「民主主義のコスト」
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050315/p1
★[暴政]「貧富差拡大時代」招来の上に、国の「社会保障的義務」も放棄するのか?
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050319/p2
★[暴政]米国に追従する「規制緩和」のお粗末な?実態
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050503/p1
★[暴政]「サービス残業の合法化」に関する情報が錯綜してきたので現況をまとめました
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050505/p2
★[暴政]日本政治の冷酷な現実・・・制限されつつある「生存権」
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050616/p1
★[暴政]大増税時代が始まる、増税色強まる「政府税調」報告書
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050622
★[暴政]「総選挙」(亡国の美人コンテスト?)の影に隠れる「巨額の国民負担増」、4.8兆円
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050818/p1
★[暴政]「小泉劇場・亡国のリフォーム」の第二幕は『国民皆保険』(原則)の放棄か?
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050819/p1


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