★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK14 > 1069.html
 ★阿修羅♪
何のための郵政民営化か─「東京新聞」特報
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/1069.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 9 月 23 日 13:13:40: 2nLReFHhGZ7P6
 

何のための郵政民営化か 世川行介氏に聞く
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050923/mng_____tokuho__000.shtml


 総選挙の「小泉圧勝」を受け、特別国会での郵政民営化法案は既決の観すらある。しかし、票を分析すると、国民の大多数が同法案を信任したとは思えない。先月、元証券マンで特定郵便局長だったフリーライターが一冊の本を世に問うた。「郵政・何が問われたのか」(現代書館)。著者の世川行介氏は今回の騒動で、真の勝者は「官僚だ」と説く。同氏と問題の深層を探った。 (田原拓治)

■郵政事業はトータル黒字

 三百二十七対百五十三。周知の通り、総選挙での自公与党と野党勢力の議席数だ。ただ、得票率では小選挙区、比例代表とも両勢力の差は2、3ポイントしかない。郵政民営化を争点とみれば、国民が与党案を完全に承認したとは言い難いだろう。

 「民営化することは構わない」。世川氏はこう切り出した。「でも、財政の無駄遣いを減らすことが改革の主眼なら、官僚支配をつぶすことが先決だ」。これを問わない民営化法案は無意味だ、と同氏は語る。

 「郵政民営化の論議には二つの側面があった。一つは政治闘争。これは郵政族だった自民党旧橋本派の瓦解で決着した。他方、国民への恩恵について理論闘争があるべきだった。だが、この点については論議が宙に浮いたままだった」

 世川氏は今回の法案では国民への恩恵などないとみる。与党は二十八万人に及ぶ国家公務員である郵政職員の人減らしを説いた。しかし、郵政事業はトータルで黒字であり、その給与も税金で賄われていない。

 国鉄民営化では、戦闘的な巨大労組を解体する狙いもあった。だが、郵政の旧全逓は郵政当局に再雇用先を絞られるなどして、労使協調路線に転換している。

 郵便貯金と簡易保険の巨大マネー(計三百三十兆円)の民間への還流論も挙がった。経済活性化の切り札とされたが、超低金利時代というマイナス資金需要下で、国内での資金の回り先は不透明なままだ。

 さらに身近な例では、ATMがある。民間では有料だが、郵貯では無料。しかし、民営化後もそれが続く保証はどこにもない。

 こうした疑問が浮かんでいながらも、小泉首相は勝った。世川氏は「二十数年間の執念と国民に直接訴えかける政治手法の勝利」と分析する。「反対派の特定郵便局長らは、旧(ふる)い族議員頼みの運動しかできず、時代に取り残されていた」

 しかし、首相の執念はともあれ、財界からの熱望もない状況で、誰が民営化を強く押したのか。世川氏は「財務官僚には動機がある」と指摘する。きっかけは「二〇〇八年問題」と呼ばれる国債の危機だ。

■郵貯と簡保で国債を172兆円

 破綻(はたん)寸前の財政運営が続く中、ことし三月末で国債や国の借入金残高は七百八十一兆円に上った。このうち、郵貯、簡保はその資産の52%、総額で百七十二兆円(今年七月末現在)を国債購入にあてている。

 地方債や財政投融資債なども含めれば、郵貯の九割が国や公的機関の借金の原資。裏返せば、世界最大の「国営銀行」によって国の借金がなりたってきた。

 償還できない国債は借換債に借り換え、その場をしのぐ。しかし、その額は〇八年度には単年度税収分の約三倍、百三十四兆円に達する見通しだ。

 当然、この年度には他に新規の国債や地方債、財投債も発行される。「総額は二百兆円に達しかねず、消化しきれるのか、が懸念されている。日銀が引き受け分の償還延期策を採ったり、財務省も事前に〇八年度分の買い入れ消却をしようとしている。それでも限界がある。余った国債が暴落を呼びかねない」(投資顧問会社のアナリスト)

 国債の暴落は民営化とはかかわりなく、国債を大量に引き受けている郵貯と簡保を直撃する。民営化されていれば、破綻、崩壊(倒産)という最悪のシナリオすら否定できない。

 世川氏は「そもそも、郵貯、簡保の肥大化が民業を圧迫しているというが、それを進めたのは財務(旧大蔵)官僚たちだ。一九八五年のプラザ合意で米国から『輸出より内需』と政策転換を迫られた。その資金に国民のタンス預金が集められ、郵貯は肥大化した。資金は公共事業や公益法人に回され、バブルは崩壊。焦げ付きの責任はほおかぶりしたままだ」と指摘する。

 さらに「郵貯、簡保資金の無駄遣いが本質的には問題だったが、その使い方を決めてきたのは他でもなく財務省。その出口部分は改革が乏しく、国債を垂れ流してきた結果が今日の状況だ。国債が暴落し、郵貯が崩壊しても国の借金はその分、軽くなる。泣き寝入りするのは国民。政府は『自己責任の時代』とでも言うのだろうか」と懸念する。

 確かに原則論では民営化されていれば、国に責任はない。世川氏は「国債暴落、郵貯崩壊の責任逃れのため」に民営化が急がれたのでは、と疑念を呈す。

 一方、郵政官僚は民営化論議が出始めた四年前から着々と利権構造の防衛を準備し、既に完成しているという。

 従来、郵政関連の子会社、公益法人は数多い。世川氏は財団法人・ポスタルサービスセンターを例に挙げる。「ふるさと小包」の権限を一手に握る法人だ。同法人とは別に郵便局にある贈答品カタログには、株式会社ゆうゆうギフト、同メルカード、同ゆうシステム、有限会社ゆうゆうIT企画など関連会社の名が並ぶ。「すべて郵政官僚の天下り先だ」と世川氏は語る。

 「民営化後、財団法人などは株式会社に衣替えして子会社同士、株の持ち合いで外部の介入を妨げるだろう。さらに民営化で人事、給与面双方で彼らは支配力を増すことになる。それはすでに始まっている」

 加えて、NTT民営化後は通信電波の許認可権を手に入れ、ITビジネスにも利権を広げた。いまや総務省事務次官ポストの登竜門は郵政省時代の郵務局長ではなく、情報通信政策局長だ。「郵政官僚にとり、いまや電波行政の方が関心が大きい。結局、電波通信業界を支配し、労組も特定局長会も排除し、官僚たちは新郵政王国を建国した」

 今回の民営化騒動では、現業の郵政職員が攻撃の的にもなった。特定局長はその世襲性から「裏口公務員」とまで言われた。特定局長たちの不明を認めつつ、世川氏はこう反論する。

 「自分が証券会社を辞めて局長になったとき、給料は半減した。三十代そこそこで都会での夢も野心ものみ込み、地域のためと寒村に下りていく。局長たちの苦行を識者は知らない」

■無名の職員の無念を記した

 薄給にもかかわらず、同僚の現業職員たちは二メートルもの雪をかき分け、元旦に年賀状を運んだ。彼らを支えたのはひとえに郵政職員という誇りだったともいう。

 「無名の現業職員たちの無念を本に記しておきたかった。おそらく、そんな人知れない誇りも民営化とともに消える運命だろう」

 せがわ・こうすけ 大和証券勤務後、実家の特定郵便局を継ぐため、島根県に帰郷。29歳から13年間、3局の局長を務める。渡切(わたしきり)費問題の告発を企てたことをきっかけに郵便局を去り、米穀商などを経て作家を目指す。著書に「歌舞伎町ドリーム」など。53歳。


 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 政治・選挙・NHK14掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。