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農家の抱える問題(nanayaのひとりごと)
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/1289.html
投稿者 下戸彩 日時 2005 年 9 月 28 日 19:34:29: yZ.kO/yAkn3xw
 

http://ch.kitaguni.tv/u/5238/%c7%c0%b6%c8/0000271582.html

車窓から見える田園風景。日に日に田んぼが色づいていくのがわかる。稲穂が頭を重く垂れてきた。今年は豊作かも?

山下惣一氏の連載エッセイより

◇佐賀・唐津の田んぼから その2

とうとう我が家でも電気牧柵を買った。イノシシなどから農作物を守るための防御用だ。コード、支柱、乾電池などがついて1セット6万円(税別)。この夏、我が村ではこれが急速に普及して田んぼを囲った。

私は昔、葉タバコの畑で使っていた防風ネットを田んぼに張っていた。これまではそれで十分効果があった。ところがまわりの田んぼが電気牧柵で囲われてしまうと、防風ネットを突き破ってイノシシが田んぼへ入ってくるようになった。電気牧柵購入も対抗上やむを得ない。

稲の取り入れは8月中に終わったので、これからはミカン畑だ。こちらもすさまじい。木の上の方はカラス、ヒヨドリに食われ、下枝の果実はタヌキ、穴熊、イノシシ。対策も一通りでは済まない。

・・・・・・・・・・・・・・

         朝日新聞・西部本社 2005/09/27掲載

★山下氏は早場米だろうか?こちらは、多くがこれから取入れを迎える。

昨年、我が地方を襲った台風は4個。鳥獣被害に加えて、台風による稲の被害は平成米騒動と騒がれた93年以来ともいえる。
父は70代半ばになって、更なる米つくりの苦労に音を上げ、昨年「もう米は作らん」と憤慨していた。
今年帰省してみると、目の前の田んぼは例年のように作付けしてあった。
「作らないんじゃなかった?」
「今年は台風が来てもいいように、丈の低い品種にした。田んぼも去年の半分以下だ。味は落ちる品種だが、収量はいいんだ」
「それじゃあ、今までよりうまくない米を食べるんだ」
「いやいや、作った分は全部出荷して、近所のうまい米を作っている人から買うんだよ」
「ずるいことを・・・」
「年とってもやってるんだ。まだ働いてるだけでもいいだろ。年相応の農業だと思えば、文句も言えまい」

こうも付け加えた。
「今も米は買ってるぞ。去年は不作だったからな。自家用が少ないんだ。新米を早くから食べられるし、何より安い。買って食べる方がいいな」

米の出荷価格は、昔に比べて高くなっているどころか、下がる一方である。父の言うように、精米された米を少しずつ買って食べる方が、合理的かもしれない。
米つくりは手間ひまかかる上に、経費も膨大だ。兼業農家の人は、自分のサラリーをつぎ込んで、農業をしているケースもある。
大規模農家にしても、設備投資の金額の大きさが、負債を抱え込む状況を作り出している。
「農業やってても、日当は出ない」といわれる所以である。

その上、山下氏も嘆いている鳥獣被害は、年々広がりつつあるのだ。
父の場合、牧柵一式は自作ですまし、工夫しながら改良を加えていたようだが、今年はその牧柵が全く見当たらなかった。
その代わりに聞こえてきたのが「爆竹」である。
蚊取り線香を利用した発火装置で、鳴らしたい時間に爆竹を連続して鳴らす。これなら無人でも出来るし、費用もさほどかからない。父はこの方法も自作でやっていた。
小規模だから、素人の工夫で何とか乗り切れるんだろうけど、私たちの代になって、自分の力で何とかやれと言われてもできないかも。農業はなんといっても難しいから・・・

「平成の米飢饉」といわれた年(ガットのウルグアイ・ラウンドによる米の市場開放が決定した)、コメ問題について学習したが、その時講師に呼んだのが地元の大学の農学部教授だった。
M教授は、無農薬・有機農法を目指し『アイガモ農法』を大学の実験田で行っていた。また協力農家と提携して、その方法を広めようと努力されていた。

その話を父にもっていったら、「ふん!」と。
「こんな山奥で、害獣がたくさん出てくる田んぼにアイガモなんか入れられるか」と、にべもなく却下される。
確かに、山里に下りてくる動物の数も種類も多い。熊こそ聞いたことないが、鹿、サル、イノシシ、タヌキ、アナグマ、テン、野ウサギそしてモグラやネズミ、空には、カラス、シラサギ、スズメ、ハト・・・など。
昔はこれほどたくさん見なかった(気がする)。動物を保護したわけでもないが、環境の変化が、動物達の生息環境の範囲を広げただろうし、何より人間が栽培しているものや残飯を口にした動物は舌が肥えて、危険を犯してでも人間の住む環境まで近づきエサを手に入れようとするらしい。

機械化されてなお肉体労働が必要とされる農業、自然災害と鳥獣被害、そして苦労ほど報われぬ収入、これらの理由からわが子を敢えて都会に出してきた親も多くない。

私自身、大学進学を諦めた理由が、農業負債(高額購入した肥育牛の突然死や大水害による田畑の流出、父親の事故など一気に集中したため)により、我が家の生活設計が大きく崩れたせいでもあった。だからその後何年も私は「農業が憎い」と思い続けていた。
父も外に職を求める事で人生設計を立て直した。そうやって、私を学費のかからない看護学校へと出してくれた。
(泣く泣く決めた)自分の進路のあの原点に戻る時、我が家の農業問題に突き当たる。でも今は、あの時ほど否定的にはなれない。今の自分は進路の変更があっても「嫌な人生」だったとは思っていないし、都会生活しか知らない人に比べれば、田舎の大変さを知っている分、農業問題の奥深さを論じられると思っている。

ただ年とって私も田畑作りができるかと言えば、それはまた難しい。未来の自分は何処でなにをやっているか、今は想像もつかないので・・・

投稿者:nanaya at 17:03

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