★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK14 > 668.html
 ★阿修羅♪
選挙報道を検証 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/668.html
投稿者 彗星 日時 2005 年 9 月 16 日 11:47:11: HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2005.09.16

選挙報道を検証
テレビ 『劇場』盛り上げ役に

 小泉自民が圧勝した衆院選。新聞各紙は、今後四年間の日本の針路を決める選挙戦であると呼び掛けた。ところが選挙報道で、より目立った“勝ち組”は「劇場型選挙」を伝えるワイドショーではなかったか。選挙報道で新聞の果たした役割は。

 有権者の関心が高かった今回の衆院選。青山学院大の四年生男子(23)は岐阜市出身で、やはり岐阜1区の野田聖子氏と佐藤ゆかり氏の対決に注目した。大学が夏休みだったこともあり、毎日二−三時間ニュース番組やワイドショーを見た。「新聞もよく読んだけど、情報源としてはテレビを重視しました」と話す。

 小泉首相が名鉄岐阜駅前で佐藤氏の応援演説をする様子をテレビで見て、「あんなに人が集まっている。地元がすごく注目されているんだ」と思った。帰省した際に期日前投票に行き、自身の一票は佐藤氏に投じた。「ワイドショーはスキャンダル的に報じているとも思ったけど、正直言って相当おもしろかったし、影響されました。『ゆかりタン』はかわいいし、ちょっとブームに乗っちゃいましたね」と苦笑する。

 川崎市の主婦(57)も、選挙情勢を知る情報源は結果的にテレビだった。「新聞はちょっと難しいし、タイトルをおおざっぱに拾い読みするくらい。ゆっくり読んでいる時間もないし。積極的にテレビを選んだわけではないけど、テレビは家事をしながらでも自然に聞こえてくる」と話す。

 ワイドショーやニュース番組の選挙報道が視聴者の注目を集めたことは、数字の上でも確かだ。

 ビデオリサーチ調べによれば、選挙前の七月十一−十五日と選挙中の九月五−九日の関東地区の平均視聴率を比べると、「ニュースプラス1・第二部」(日本テレビ)は7・2%から9・1%に、「とくダネ!」(フジテレビ)は9・0%から10・2%に、「報道ステーション」(テレビ朝日)は12・5%から14・2%に、それぞれ上昇した。

 視聴者の関心が高いことを踏まえ、テレビ各局は、テレビをつけっぱなしにしておけば、自然と選挙ネタが耳に入るほど選挙報道に多くの時間を割いた。特にワイドショーはかつてない過熱ぶりだった。

■放送時間で『ヨン様』圧倒

 TBSの情報番組「ブロードキャスター」(土曜夜十時)のコーナー「お父さんのためのワイドショー講座」は、各局ワイドショーの一週間のテーマ別放送時間を合計し、ランキングしている。九月三日放送では「衆院選」が計九時間五十九分四十八秒で一位。続くぺ・ヨンジュンさん来日のニュース(二時間一分十五秒)に大差をつけた。

 ちなみに前回の衆院選期間中の二〇〇三年十一月一日放送では、「衆院選」は二時間四十三分三十八秒にとどまり、二位だった。

 新聞テレビ欄でワイドショーの選挙報道のタイトルを振り返ってみた。八月十一日の民放各局の朝のワイドショーは「造反組に次々刺客?」(フジテレビ)、「“造反組”に容赦なく第二・第三の刺客が?」(テレビ朝日)などと、「刺客」ネタでそろい踏み。

 三十日の公示日のワイドショーも軒並み選挙の話題をトップに据えた。投票日前の最後の平日となった九月九日も、各局ワイドショーは、「妻たちの選挙戦密着」(日本テレビ)、「大物タレント代理戦争」(TBS)などと題して、衆院選を報じた。ただ、選挙期間に入ったこともあり、番組欄からは「刺客」「くノ一」など特定の候補者に絡むタイトルは影を潜めた。

 放送評論家の志賀信夫氏はワイドショーの過熱ぶりについて、「ワイドショー好みの情緒的な話題を小泉さんが出したということに尽きる。『刺客』騒ぎなんて、小泉さんがやらなければ、ワイドショーも取り上げない。小泉さんの作戦が、うまくワイドショーに乗っかったということだ」と指摘する。

■新聞 『観客』の心つかめず

 「刺客」騒ぎは新聞報道も追いかけた。一方で、投票日の十一日紙面では「自分の未来に一票を使おう」(毎日社説)、「一時の気分に流されない英知が試される」(東京社説)などと呼び掛けている。

 衆院選報道について、朝日新聞広報部は「小泉首相が『郵政の国民投票』と位置づけた土俵だけで、今後四年間の政権を選択する選挙をするのはちょっと変だ、郵政も大事な争点だが、もっと土俵を広げようというのが、朝日の報道のポイントでした」と話す。

 各紙とも幅広い争点を紹介するよう努めた。同時に毎日新聞の倉重篤郎政治部長は「テレビのおかげで政治への関心が高まり、投票率が高まった面もあり、劇場型選挙報道の功罪の『罪』だけを指摘するのは避けたい。小泉劇場の何が、国民の心を打ったのかをきちんと分析し、年金などの報道の糧とすべきだ。くやしいが『小泉に学べ』ですよ」と話す。

 読売新聞東京本社広報部は「社会面、二面、政治面で選挙の真相に迫るルポ的企画を長期連載し、郵政だけが重要課題ではないとの立場から経済面や解説面を中心に各党の公約や政策をていねいに分析したほか、今回の選挙の特徴や意義を政治学的分析で分かりやすく伝えた」と説明、「当社のネットモニター調査では投票候補者や政党を選ぶ際に新聞を重視する人は77%とテレビより多い」と指摘する。

 激変する政治状況を伝えた紙面作りもある。産経新聞の高山克介広報部長は「これまでの地元利益優先・義理人情重視型選挙とは様相を異にし、政党中心・政策本位へと大きく変わるターニングポイントになるのではないか−との認識に立った」と話した。

 東京新聞の河津市三編集局次長は「今回は年金、増税、自衛隊のイラク派遣、憲法問題、アジア外交など日本の針路にかかわるあらゆる政策と課題が問われたはずで、総合的に考えようと問題提起した」と語る。

■『あえて大衆寄り添うな』

 メディア批評誌「創」編集長の篠田博之氏は、争点が郵政民営化へのイエス・ノー一点に絞られてしまった「小泉劇場」効果には刺客報道などを面白く報じたテレビが大きく寄与したとみる。そのうえで「テレビの制作現場は『意図的に小泉劇場に乗っかったのではなく、まずいなと思いつつ、視聴率が取れる方に流れていった』と言っている。それだけに事態は深刻だ」と指摘。影響力で“負けた”新聞には、あえて「大衆の欲求に寄り添う」ことに特化しない記事を書く勇気を求める。

 作家の佐野眞一氏は衆院選報道を「これまでの小泉政権の失点をえぐり出す記事どころか、“人生いろいろ発言”などの失言語録さえ、ろくに見かけなかった。メディアの健忘症に驚いた」と話す。小泉政権は個人情報保護法を成立させ、一度廃案となった人権擁護法案の再提出も射程に入れるなど、メディア規制が着々と進む。「政権批判をしない、官報まがいのメディアの犯罪は、ものすごくでかい」とする佐野氏は「皮肉で言うけれど、テレビも新聞も“民営化”した方がいいんじゃないのか」と言い切る。

 上智大学の田島泰彦教授(メディア法)は「メディア内部からも、自民党が勝ちすぎたという意見が出てきたが、誰が勝たせたと思っているのか。それはメディアでしょう。特にテレビは小泉首相の枠に乗ってしまった」と指摘し、こう苦言を呈する。

 「ここまで圧倒的多数になってしまうと、野党も自民党をチェックできず、官僚も自民党に逆らえない。チェック機関はメディアしか残っていないことを認識してもらいたい」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050916/mng_____tokuho__000.shtml

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 政治・選挙・NHK14掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。