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天木直人・メディアを創る ( 6/4) 英雄か裏切り者か
http://www.asyura2.com/0505/war70/msg/1025.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 6 月 04 日 19:50:09: 2nLReFHhGZ7P6
 

6月4日―メディアを創る

 私は5日から8日まで北京に行きますので「メディアを創る」は9日まで休みます。ご了承下さい。

◇英雄か裏切り者か

 ニクソン元大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件で、ワシントン・ポスト紙に情報提供した「デープスロート」が名乗り出た。連邦捜査局(FBI)の副長官マーク・フェルト氏(91)だったというニュースが全米を揺るがしている。米メディアは「国を救った英雄か、あるいは政府の裏切り者か」という賛否両論の見解を報じているという。
ニクソン元大統領のスピーチライターだったパット・ブキャナン氏は米テレビで「ひどい奴だ」と批判、他方マイク・グラベル元上院議員(民主)は「政府をチェックするには密告者が不可欠であり、神に密告者を感謝しなければならない」と述べたという(2日産経新聞)。クリントン前大統領は、情報漏えいには否定的な見方を示しながらも、「彼は正しい事をしたと思う」と語り、ラムズフェルド国防長官は「政府内で悪事を発見した者は、司法省か適切な部署に報告する義務がある」と述べた(4日日経新聞)。ブッシュ大統領は記者団に感想を求められ、「判断を下すには、もう少し状況を知らないと。とにかく驚いたよ」と述べるにとどまったという(同上産経新聞)。
再選されたニクソン大統領を辞任に追い込んだ歴史的密告である。評価が分かれるのは当然であろう。私はむしろ次の点に日米の彼我の違いを思った。
一つは三十年以上も秘密を守り通した米国ジャーナリズムの密告者保護の徹底である。日本で同様のことが行われれば、密告者が見つけ出されるのは時間の問題であっただろう。そして密告者は英雄視されることなく処罰されたであろう。
もう一つは、「権力による盗聴行為は民主主義と人権を侵害する重大犯罪である」として、大統領弾劾を決議した米国議会の凄さである。日本では公権力による盗聴行為や人権蹂躙は日常茶飯事である。それがいくら明らかになっても、権力者が国会決議で弾劾されることはない。日歯連における不正政治資金受領の問題を想起するまでもない。それどころか日本では国会そのものが与野党の裏取引、談合の場であったのだ。日本ではウォーターゲート事件は決して起こらない。
最後に付言したい。新聞記事を読んで私がもっとも興味深く思ったのは、密告の背景に、FBI長官への昇進を望んだフェルト氏の意向に反してニクソン氏が別の司法省高官を長官に任命したという事情があったとされている点である。このことがフェルト氏の行動に対する評価を複雑なものにしているらしい。
しかし私はいかにも人間らしい話だと思うのである。密告や反逆に踏み切るには余程の覚悟がいるに違いない。人をしてその覚悟に踏み切らせるものは抑えがたい私怨があることが多い。そしてその私怨の多くは人事や処遇に関する不満から来るところが多いことは歴史が教える通りである。それは見苦しい事には違いない。しかしそれでも敢えて私は言いたいのだ。その動機がどうであれ密告や反逆で失うものはあまりに大きい。それを覚悟で行動に移すことは、保身の為に犯罪的行為に加担し、何があってもウソつき続けて恥じない連中と比較すれば、はるかに有益であると。

◇韓国漁船逃走事件に思う

 日本の排他的経済水域に侵入していた韓国漁船の捜査をめぐって、またもや小泉首相の自己中心的なご都合主義が法を歪めた。
海上保安庁は、国連海洋法条約に基づいて違法操業の外国漁船を追跡した。海に落ちる危険を顧みず、違法船に乗り込んで職務を忠実に執行しようとした保安官の態度は立派だと思う。その保安官を乗せたまま韓国漁船は逃走したのだ。どう考えても韓国漁船側に非がある。しかし日本政府は国民に知らせずに三日間も水面下で「外交交渉」を行った末、韓国船の船長が漁業法違反を認め50万円の担保金を支払う事で、これ以上の捜査をすることなく容疑者を釈放した。
韓国のメディアが「海上保安官から棒で殴られた」と報道する韓国漁船乗組員の証言については、海上保安官の名誉の為にもはっきりさせるべきであるし、「韓国漁船は日本の排他的経済水域を侵犯したものの、操業はしていなかった。冷凍庫が故障して操業できない状態で漁具は格納庫にいれたままだった」という韓国警察の発表もいかにも不自然だ。それなら日本の排他的経済水域内をなぜ航行していたのか。
中国の原子力潜水艦の領海侵犯の時もそうであったが、領海侵犯、排他的経済水域侵犯という違法問題を、政治的な配慮で不透明な形で終わらせるのは不適当だ。ましてやその理由が、自らの靖国参拝発言が原因でギクシャクした日韓、日中関係をこれ以上悪化させたくないという配慮からだとすれば、あるいは安保理常任理事国加盟入りを控えて両国との関係の悪化を避けたいと思うのであれば、それは本末転倒だ。
小泉首相は国会で、「靖国参拝のどこが悪い」、「A級戦犯と参拝は関係ない」、と韓国、中国を逆なでし続けている。それが負い目となって、本来毅然とした態度で臨むべき外交を曇らしてしまう。これが小泉首相の独りよがり外交の姿である。
小泉首相は2日夕、「よく協議してまとまった。話し合えばわかる」と官邸で記者団に語ったと言う(3日読売)。ツケをまわされるのはいつも末端の現場の職員である。

◇不在のままの日本の安全保障政策

4日の朝日新聞に、小さいが見過ごせない記事を見つけた。シンガポールで開かれる「アジア安全保障会議」に出席するラムズフェルド米国防長官が、専用機の中で日本の同行記者団に次のように語ったというのだ。
「自国自身の問題については、自国側で(解決して)発表すべきだ」
これは、こう着状態にある普天間基地の返還問題について、日本側の打開案をはやく示すよう苦言を呈した発言であると、その記事は書いている。
これには驚いた。日本政府当局は米国側に未だに自らの考えを提示していなかったというのか。米国が名護市辺野古沖への代替施設にもはやこだわっていないということは、かなり前から幾度となく報じられてきた。それを受けて、小泉首相なども辺野古沖以外への移転先を考えろといい始めていた。それにもかかわらず日本側は自らの政策をいまだ決められないでいるのだ。
国民に知らせずに米国に言われるままに密かに米国と移転先を合意しているのかとてっきり思っていた。しかしこのラムズフェルド国防長官の発言はいまだ日本側が方針を決めかねていることを示している。もしそうであれば我々はこれから日本政府の動きを監視し、基地のたらいまわしを許してはならない。
4日にシンガポールで開かれた大野防衛長官とラムズフェルド国防長官との会談で、年内には決定することで合意したという。これからは政府の動きから目を離してはいけない。

◇小泉首相の靖国参拝発言を批判する読売新聞

4日の読売新聞はその社説の中で、2日の衆議院予算委員会での小泉首相の靖国参拝発言を次のように批判している。
「小泉首相は、一体これまで、どのような歴史認識、歴史観に基づいて靖国神社に参拝していたのだろうか・・・2日の衆院予算委員会で、岡田代表の質問に答えて、いわゆるA級戦犯について『戦争犯罪人であるという認識をしている』と述べた。”犯罪人”として認識しているのであれば、『A級戦犯』が合祀されている靖国神社に、参拝すべきではない・・・小泉首相はまた、岡田代表の質問に答えて、『首相の職務として参拝しているものではない。私の信条から発する参拝』と述べ、私人としての立場を表明した。私的参拝であるなら、参拝の方法も考えるべきではないか。昇殿し、『内閣総理大臣』と記帳するのは、私的参拝としては問題がある・・・」
 要するに読売新聞の社説は、小泉首相の靖国参拝には、信念もなく考え方の統一性もないと批判しているのだ。読売新聞がこの社説で投げかけている問題はいずれも極めて重要な点である。岡田党首にもう少しまともな質問力があったなら、この読売新聞の社説のような本質的な矛盾について、2日の国会質問で小泉首相を問い詰められたはずである。
 最近の国会論争が全くつまらなくなってしまった最大の理由は、もちろん小泉首相の人をバカにした粗雑な国会答弁にその根本理由がある。しかしもし野党の質問時間を独り占めしている民主党の議員に、もう少しまともな議員がいて、小泉首相の開き直り答弁を追及できたなら、国会答弁はもっと面白いものになっていたに違いない。小泉首相の暴走を許している最大の原因は、野党第一党である民主党のふがいなさにあるのだ。


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