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天木直人・メディアを創る ( 5/8) 誰が一番の被害者か、ではなく
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投稿者 天木ファン 日時 2005 年 5 月 08 日 15:54:23: 2nLReFHhGZ7P6
 

5月8日―メディアを創る

◇誰が一番の被害者か、ではなく

 8日の朝日新聞、水平線/地平線 というコラムで、堀内隆という人がイスラエルについて書いている。これが私とまったく同じ意見なのだ。しかもイスラエルへの批判は、マスコミではタブーであるのに、堀内氏は明確に断じている。
 堀内氏が書いて、私が同感だと思うこと、それは、ホロコーストを体験したユダヤ人が、なぜ他者の残虐行為に無関心でいられるのか、という疑問である。
 「誰が一番の被害者か、ではなく」と題するコラムで堀内氏はこう書いている、
「・・・1915年前後にオスマン帝国から追放され、殺されたアルメニア人は150万人に上るとされるが、トルコは今も虐殺を否定しイスラエルはそれに同調してきた・・・『アルメニア人の主張することとホロコーストを同一視する試みには反対だ。あれはジェノサイドではなかった』(ペレス副首相)というのがイスラエルの説明だ・・・
・・・過去十数年間に世界中に同じような戦争記念館が林立し(たことについて)、世界ユダヤ人会議のシンガー氏は、「ユダヤ人の事件というホロコーストの地位が失われる」とイスラエル紙に語った。これをペレス発言と重ねると、『ホロコーストは唯一無二の虐殺であり、ユダヤ人にこそそれを語る資格がある』という彼らの強い自意識が見えてくる・・・
・・・イスラエルが核開発やパレスチナに対する軍事作戦を正当化する際には、常にホロコーストが持ち出されてきた。だが、アルメニア、クルド、ルアンダなど、迫害を経験した民族は各地にいる。自らの迫害の経験を事あるごとに叫びつつ、他民族の惨禍には目を向けない感度の開き・・・
・・・エルサレム在住のアルメニア人歴史家は『誰が一番の被害者かという競争は、もうやめよう』とイスラエルに呼びかけた・・・」

 かつて私が在レバノン大使であった時、東京で開かれたあるレセプションの場で、リオールと名乗る在京イスラエル大使が「お前が日本の在レバノン大使か」と私を見つけて近寄ってきた。何かと思ったら、対イスラエル抵抗運動を続けるレバノンをやおら批判し始めるのである。私は毎日繰り返されるイスラエルの不当なレバノン領空侵犯を毎日目撃しているから、「イスラエルこそレバノンの主権を尊重すべきではないのか」と反論した。彼は不快感を顔中に表し一方的に持論をまくし立ててその場を去った。外交官にあるまじき非礼な態度に驚いたものだ。
 世界はイスラエルという国を甘やかしすぎているのではないか。公平さのないところに真の平和はない。

◇日本の若者も捨てたものではない

 核不拡散条約再検討会議が開かれているニューヨークで、ニューヨーク在住の日本の若者たちが、訪米した被爆者たちの通訳をしたり、道案内をして、手助けをしたという。このことを私は7日の朝日新聞で読んだ。
こういう報道がなされると、すぐに彼らは反核運動組織の手先ではないか、共産党の連中ではないか、普通の若者はそんなことはしない、と言う者が必ずでてくる。しかし私はそんな詮索に関心はない。素直に彼らに感心する。本当に偉いと思う。なぜか。
それは口で立派な事を100回唱えるよりも、自分の貴重な時間を使って活動を起こすことの方がはるかに負担であり困難な事であると思うからだ。行動を起こすこと、それ自体が評価さるべきなのだ。
 若者は政治に関心が薄いといわれている。確かに講演や集会に参加する人達は年配者が多い。それは一つには年配者が時間的にも経済的にも余裕があるからだ。経験も豊かで物事に関心が持てるからだ。
それにくらべ若者はあらゆる面において不安定である。若者はまず自分の人生をどうやって生きていこうか考えなければならない。経済的に自立しなければならない。それでも何かしたい、少しでも参加したいと行動に移す若者が日本にもいる事を私は知っている。彼らこそ我々は賞賛すべきだ。そしてそういう若者が増えてくるような社会環境が作られるべきなのだ。
ニューヨークの若者のような活動は国内でも至る所で行われているに違いない。報道されないだけではないのか。平和を唱える活動がもっともっと報道され、それが若者に影響を与え、行動を起こす若者たちが増え、やがて平和活動に参加することが若者のファッションのようになれば、憲法改悪などという事態は間違っても来ないであろうと私は考えるのである。

◇ある脳外科医の話

 8日の朝日新聞、「ひと」欄に、福島孝徳さんという外科医が紹介されていた。米国と日本の病院をかけもちして、年に500件もの手術に明け暮れる62歳の脳外科医だ。そういえばいつかテレビでこの脳外科医のすごさを取り上げた番組を見た記憶がある。
 とにかく凄い腕らしい。米国では「ラストホープ(最後の切り札)」と呼ばれているという。頭蓋骨に開けた硬貨大の穴から病巣を取り出すカギ穴手術を開発し世界的に著名になった。
 私が興味をもってこの記事を読んだのは、彼の腕の凄さだけではない。日本の医療事情との違いの大きさを物語る次の二つのエピソードに注意をひかれたからである。
横並びの日本社会では、手術がうますぎるのは嫌われる。日本国内の大学での教授選挙で連敗し、福島医師は91年から米国へ頭脳流出した。ダイオードの中村さんを思い出させる話だ。
もう一つは、彼の次の言葉が表す日本の医療事情である。医者の姿勢である。
「自分が手術できないとなると、何もしない。セカンドオピニオンも嫌う。患者さんが可哀想で」
「僕の力で助けてあげられるのがうれしい。でも脳の病気で手術できるのは2割ほど。くやしくてねえ」
 手術中は陽気に早口でしゃべりまくる。いま何をしているのか、それは何故か。注意する点は・・・そして「外来では親切に。『すべてを患者さんのために』が医師の務めです」とさりげなく言い添える福島さん。
日本に彼のような医師が何人いるのか。どうして育たないのか。そういう日本とはどういう国なのか。  

http://amaki.cc/bn/Fx.exe?Parm=ns0040!NSColumnT&Init=CALL&SYSKEY=0057

おまけ:今日の言葉
http://amaki.cc/bn/Fx.exe?Parm=ns0040!NSWhats&Init=CALL&SYSKEY=0019

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