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ロンドン7・7:メディア・マシンの作動開始(レッ・ボルテール:全文和訳)
http://www.asyura2.com/0505/war72/msg/322.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 7 月 18 日 03:30:05: SO0fHq1bYvRzo
 

ロンドン7・7:メディア・マシンの作動開始(レッ・ボルテール:全文和訳)


これは7月15日付レッ・ボルテール(スペイン語版)の記事です。この文章では、7・7「テロ」事件が起こった後、まるで自動機械のように定められたパターンに沿って一斉に作動し始める各国マスコミの様子を批判的に記録したものです。

これは予めこの事件を知っていた、というよりも、すでにその一定のパターンが刻み込まれそれに沿ってしか動かない、というより恐ろしい事態に関するものでしょう。

この記事は残念ながら日本の新聞については触れていませんが、まあ実際には触れるまでも無いことでしょう。実はスペインでもマスコミは例外なく一斉に「右へならえ!」になっています。よくよく見ると細かい部分でさすがに各記者や編集者の「抵抗の跡」が見えるものもありますが、やはり目立たない部分でしかありません。


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http://www.redvoltaire.net/article6468.html

Red Voltaire  国際自由論談 2005年7月15日

ロンドン事件:メディア・マシンの作動開始


7月7日のロンドン襲撃は、捜査が始まったばかりだというのに、論評の大波を呼び起こしている。その首謀者に関してはどれを見ても全く疑いを持っていない。イスラム過激派だ。他のものは一切考慮されることが無い。我々は世界の100近い新聞を毎日見ているのだが、たった一つでさえもこの襲撃の首謀者に関するこの意思一致に不審の眼を向けるものを見ることは無い。にもかかわらず、編集者たちは何の根拠を持っているというのか? 7月8日の朝刊で無数の論評が発表されたのだが、言ってみればロンドン公共交通での爆破に続く数時間で書き上げられたものだ。この状況の中で、犯罪行為についてこのような分析が現れるはずがなく、支配的な推測の解説に過ぎないものだ。批判的な見直しの余地を持たず方法論的な疑問も無い。ただただ、西側に対抗する戦争の中の危険で攻撃的なイスラムとの関係とその思想を即席に取り上げているだけである。

明日になれば、ひょっとすると厳密で独立した捜査が、ロンドンの襲撃の犯人とその組織が実際にイスラム過激派である、と証明できるのかもしれない。これは他の多くの中の一つの可能性である。ところがそんなことは、すでに事件以来何一つ明白な要素を根拠にせずに書いているこれらの論者の仕事の中では、全く正当なものとは見なされないようだ。その確信の源泉は、彼らのイスラム観と、爆破の何時間か後に発表されたトニー・ブレアーの声明だけである。この声明にしても十分な捜査が何一つ行われていないときである。つまり、彼らの予断とエスタブリッシュメントの権力に対する服従あるのみなのだ。

例によって、襲撃事件が起こった後にアルカイダの一団が名乗りを上げる。しかし、この集団の中に正確に言って何があるのか? オーストリアのイスラム学者で欧州委員会の専門家であるウォルター・ポッシュは、Der Standardの中で、メディアで広汎に使用される『アルカイダ』という略称が実際において何を意味しているのか疑問を呈している。何を表明しているのか? ポッシュはその構造を、そこに所属してその名で行動すると言われているすべての支部に対して何の統制も無い、まともな組織ではないものとして紹介する。要するに、ある種の『フランチャイズ』のようなものであり、きちんと定義された構造ではないのである。世界的で超越したイスラム組織であるという神話が崩壊して以来、この視点が実際に専門家たちの好みに合っているように思える。極めて洗練されたアフガニスタンのトラ・ボラの秘密基地という神話が拭き払われた今、あらゆる追及を逃れるピラミッドのような組織をどうやって想像できるのだろうか? しかしながら、このようなアルカイダの幻影が必然的に次の疑問を導くことになる。もしアルカイダがたまたま所属することのできる単なる略称でしかないのなら、アルカイダが存在すると断定できるのだろうか?

鷹どもはこんな疑問を発しない。別に驚くことでもなく、伝統的にネオコンのオウム返しとなっている声は、これらの襲撃が「イスラム・テロとの戦争の重要性を証明する」とその記事の中で繰り返し表明してきた世界中の新聞に、しつこく付きまとっている。もしそれが余りにも長たらしく退屈なものになったなら彼らの襲撃の記録を徹底して集めればよい。ル・フィガロ紙のPascal BrucknerからロンドンのタイムズのAmir TaheriにいたるまでのBenador Associatesの客寄せ宣伝係のアナリストたちを総動員して、新聞Mainstreamはテロリストとの戦争を拡大させることに心底没頭してきている。そのテロリストはもちろんイスラム教徒でなければならない。イスラム嫌いの思想家で米国平和協会の管理者であるDaniel Pipesはメディアに攻撃的な投資を与える。あの襲撃の翌日からNew York Sunの中で、そしてその後の日々にはJerusalem PostとChicago Sun-Timesに、彼のいつもどおりではあるが、『イスラム戦士』に対する西側の消極性をこき下ろしている。余りにも長い間英国はその領地内でイスラム過激派に寛大でありすぎ、このようにして自国内での襲撃を防げると期待してきた。現在、9・11後に採用された新しい反テロ戦略によって、以上のような了解が植えつけられている。今回の襲撃は、長い間イスラム教徒との緊張緩和を続けることができない証拠である、ということなのだ。

米国においてこのロンドン襲撃のテーマ分析を展開したのは基本的にニューヨークタイムズであった。重大な課題は米国でこの犯罪が与えるかもしれない衝撃を知ることである。

アルカイダに関するベストセラーの著者であるPeter Bergenにとっては、ロンドンの襲撃は米国に脅威を与える『危険なイスラム』が実際に欧州からやってくる、ということを明らかに示しているのだ。欧州のイスラム教徒たちはイスラム原理主義のサイレンの歌に身を捧げ、そして欧州の国籍を得て簡単に米国領土に入ることができる。この著作家はこうやって欧州各国に対してビザについて政治的な改革を呼びかける。Peter Bergenは彼の分析の中に、米国当局者がその領土に飛行機でやってくる旅客の大部分に対してすでにその資料を集めていることを、微塵も取り上げようとしない。歌手のYusuf Islam/Cat Stevensは米国に入ることすらできなかった。重要なことは、欧州人と西側諸国民を含むあらゆるイスラム教徒が危険であることを見せ付けることなのだ。それと同じ日に、Madeleine Albrightの元顧問であったThomas L. Friedmanがイスラムの指導者たちがあの襲撃を非難することを拒否した、と告発した。これは作り話だ。数多くのイスラム宗教指導者たちが世界に向けて市民に対して行われたあの犯罪を非難しているのだ。しかしながらこの著作家にとっては、イスラム社会にはある種の『死の文化』が存在するのである。それはイスラムと西側世界の関係を破壊し、それと闘わねばならないのは第一にイスラム教徒自身である、と言うのだ。

同様にニューヨーク・タイムズでは、その後にインターナショナル・ヘラルド・トリビューンに移るのだが、米国国家安全保障会議の元情報計画委員長Philip Bobbittが、テロリズムに対決する戦争を特別な調子で主張し続ける。他に比較するようなものは何も持たない。新たな視点の持ち方も無いし、以前にIRAのような他のテロ・グループに対する成功を成し遂げた政策の再起用なども無い。彼が明確な形で詳しく述べていないにもかかわらず、脅威を誇張することによって、特別立法の採用および国際的な自由と権利の見直しを要求する人士にとって、この事件が持つ他とは異なる側面がお好みの議論の的となるのだ。

フランスの反テロ闘争協力ユニット(UCLAT)の責任者であるChristophe Chaboud部長がおこなっていることもこれと同様であろうか。それはル・モンドによるインタビューの記事を見れば考えることができる。この新聞があの襲撃に関してインターネットのサイトに載せたフランスの著名人たちによる言及の記事である。 Chaboud氏は、何度も使い古された一つのプロパガンダを繰り返しながら、欧州でのイスラム過激派の脅威に対して警告を発している。この件に関して責任あるこのフランス高官の言葉を前にして驚かざるを得ない。実際にこの文章作者は、欧州での核攻撃や生物兵器、化学兵器での攻撃の可能性を心配してみせる。そして西欧に毒が回ってしまったと断定する。さてさて、このように言われていた想定が二度にわたって否定されている。一つはロンドンで準備をしていたいわゆるアルカイダ組織の件、そしてフランスのリヨン駅でのいわゆる発見であった。もしこれが彼の語る通りでなかったら、一体どうするのだ。語る根拠としてこの文章作者はイラク北東部に毒性物質を用意した研究室が存在していたと断言する。こんな例は、イラク戦争の前にコリン・パウエルが国連安保理事会で示して一度も実証されなかった程度の情報から発しているのである。その逆にこの手掛かりは、言うところの移動研究室が、ワシントンと同盟を結ぶクルド人たちによって支配されるとみられる地域で見つかるほどに、怪しげなものなのだ。その一方で、国連安保理事会で示された写真の数々は米国がこの有名な研究所の場所を突き止めていたということを意味しており、もしもそれが本当に危険なものなら簡単に爆撃で破壊できたはずのものである。もちろんそんなことはしなかった。安保理事会での質問者はこのような要素を何一つ批判しなかった。最終的にChaboud委員にとってイラクは世界ジハードの中心と変わり、ネオコンの論理を助けるものとなった。イラクのあらゆる抵抗勢力はイスラム過激派であり、イラクにおけるアルカイダの指導者ザルカウイの指導の元にある、というヤツだ。さてさて、これらの事柄は一つとして明確に示されたことは無い。数多くの真相への肉薄を前に、我々はプロパガンダ的要素に基づいて危機感をたきつけるときのChaboud氏の意図を問うことができる。どうしてヨーロッパでの脅威にそこまで固執するのか?

望むところがどうであれ、欧州にいる多くの人間は一つの襲撃が起こるたびにその意図が何であるのかについて疑問に思うのだ。

Der Standard誌でオーストリア共和国大統領のハインツ・フィッシャーは、自国にとっての危険とオーストリアの中立性に関して、疑問を呈する。同様に、名前こそ出さないがより強力な法律を押し付ける国々に脅かされて、国際的な権利が実際に危機を迎えていると考える。ロンドン襲撃後の問題の悪化を恐れて、そして国際関係への不信を述べながら、イスラムとのどのような対決をも避けるべきであると断言する。ドイツではテレビ編集者でディレクターのFriedrich Küppersbuschは、番組Tageszeitungの中で自国内での襲撃の危険性に関する論評を行う。彼は、国民が自国はイラク戦争に加担していないから安全なのだと考えることを批判して、ドイツがアフガニスタンに関与しているために目標をなりうることに注意を向けさせる。そして遅かれ早かれこの国が必ず襲撃の目標になるであろうとまでも表明するのだ。

その一方で、The Guardianでは、新聞El Mundoの共同編集長でもあるVíctor de la Sernaが、この事件の後で起こるかもしれない分裂の危険性について、最も新しい攻撃目標となった英国人に対して警告する。彼は、現在スペインは保守派と社会主義者に分裂していると、フランコ時代にスペインが経験したことと比較できる亀裂を引き合いにして、強く主張している。この分裂が、3・11の襲撃と主要な政党によってそれが利用されたことの原因であることが示唆された。現実には、これらの犯罪に関する全貌が明らかになっていないにも関わらず、各政党は分裂しているのである。

この新聞(The Guardian)の中で元英国閣僚のRobin Cookは、相当にあいまいな筋道で登場する。この文章を書くに際して彼は誰に対しても非難できない、と主張する。単純な一般的感想の考察であるとするのだ。しかしながら、かなりの割合の新聞がイスラム過激派をこの襲撃の犯人であると単純に非難するのを見て取った後からは、彼の意見によると、いかにしてG8がイスラム世界と協力してイスラム・テロと戦うことができるか、を説明する。このようにして彼は、イスラム過激派の論理を意図的に事件から離してしまったことを暗黙のうちに修正するのである。

【翻訳、終り】

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