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WHOは劣化ウランの真の危険性を認めない [TUP速報]
http://www.asyura2.com/0505/war72/msg/471.html
投稿者 white 日時 2005 年 7 月 22 日 07:44:53: QYBiAyr6jr5Ac
 

□WHOは劣化ウランの真の危険性を認めない [TUP速報]

 http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/570

元WHO放射線上級顧問、キース・ベーバーストック氏ICBUWで警告
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 ウラン兵器禁止を求める国際連合ICBUW(International Coalition to
Ban Uranium Weapons)第二回年次総会プログラム「ウラン兵器禁止のために」
で、元WHO放射線上級顧問のキース・ベーバーストック博士が行ったプレゼ
ンテーションの内容を「ヒバク反対キャンペーン」DU担当/ICBUW評議員の振津
かつみさんの訳で紹介いたします。

 ベーバーストック氏は11年間、WHOにおける放射能と健康問題の第一人
者として活躍し、現在はフィンランドのクォピオ大学環境科学学部で勤務して
います。

 ウラニウムの人体や環境への影響については、ウラニウムそのものが天然で
あれ濃縮であれ劣化であれ、いずれも法律で厳しい規制がかかる危険な汚染物
質であるにもかかわらず、それが軍事目的で使われる時には、いわゆる「権威
のある」国際機関などの報告書も含め、あたかもほとんど何の影響も無いかの
ような表現で論じられています。

 日本でも、原子力「平和利用」推進のために設立された「原子力文化振興財
団」(原文振)が、湾岸・イラク戦争で使われた劣化ウランの影響は事実上ほ
とんどないかのような記述をした「プレスレリーズNo111、劣化ウラン弾に
よる環境影響」という表題のパンフレットを作成し2004年6月15日付け
で発行しています。

 ベーバーストック氏の文章には、このような事態を憂慮しつつ、どうしてそ
んなことになっているのかについてのヒントも示されています。

 私たちが劣化ウラン兵器廃絶をめざすために、たいへん重要な指摘も含まれ
ていると思います。

                 劣化ウラン研究会/TUP 山崎 久隆

この訳文が掲載されているICBUWのサイト
http://www.bandepleteduranium.org/modules.php?name=News&file=article&sid=181
ベーバーストック氏の原文が掲載されているICBUWのサイト
http://www.bandepleteduranium.org/modules.php?name=News&file=article&sid=180

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キース・ベーバーストック博士の「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)
年次総会パネル発言の訳文

【訳者の解説】

博士の専門は疫学で、その分野から放射線影響の評価に長年たずさわっ
てこられた方です。(日本にも何回かこられたことがあるそうで、放影
研も含めて日本の放射線影響の研究者とも交流があるようです。)

WHOなどで、劣化ウランの危険性を示す科学的な文献などを評価するよ
うにとの自分の主張が受け入れられなかったことを強く非難されていま
した。

すでにこれまでに発表されている科学的知見からだけでも、ウラン兵器
の危険性は明らかであり、予防原則の立場からも対策が求められるとい
う発言です。

博士自身の見解は、近いうちに独自に国際科学雑誌(どこの雑誌かは未
定)に論文として投稿する予定とのことでした。

ベーバーストックさんのような科学者が、ウラン兵器禁止の運動にも
(あくまでもオブザーバー的な立場ですが)一定のかかわりを持つよう
になったということは、注目すべきことだと思います。今後も、科学的
にオープンな論争がなされることを期待したいです。

   振津かつみ(「ヒバク反対キャンペーン」DU担当/ICBUW評議員)

「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)第二回年次総会(於:欧州議会)
パネルディスカッション(2005年6月23日)での報告より

キース・ベーバーストック博士(クォピオ大学環境科学部、フィンラン
ド)の発言

私は過去30年ほどの間、数多くの様々な状況下での電離放射線と放射
性物質による環境と職業被曝のリスク評価に専門的に携わってきました。
私は、英国の医学調査委員会(1971-1991年)と、世界保健機構(WHO)の
欧州地域事務局(1991-2003年)の職員として調査研究を行ってきまし
た。これらの組織はいずれも、表向きは「独立した」機関です。

2000年から2002年にかけて私は、軽度に放射性のある劣化ウランのリス
クに関する証拠についての調査を行いました。劣化ウラン弾は強固な標
的にあたって燃え上がると、酸化ウラン(DUO)の微細な粒子を生じます。
そのようなチリ状の粒子を吸入するという状況下での特殊な被曝に私は
関心を持ちました。このような物質(酸化ウランの微細粒子)と同じよ
うなものは自然界にはありません。また核燃料製造ための通常のウラン
精錬・加工でもそのような状態のものはできてこないのです。だから、
1991年にイラクで使用されるまでは、このような物質への暴露の事例は
ありませんでした。

国際放射線防護委員会(ICRP)によれば、吸入された酸化ウランは、もし
それが不溶性であれば肺に対して放射線が作用し、水溶性であれば腎臓
に対して化学毒性(腎機能障害をもたらす生理学的毒性)が、危害を与
えるだろうとされています。

酸化ウランは、実は、不溶性の部分と、わずかに溶ける部分(難容性)
とがあります。実験では、低濃度の劣化ウランに細胞を暴露させると悪
性化します。たしかに、劣化ウランを実験動物の体内に埋め込むと悪性
腫瘍が生じるといった知見もあります。このような研究結果が、1988年
以降、次々と発表されているのです。これらの実験のような低濃度と、
与えられた実験条件下で観察された影響は、放射線によって引き起こさ
れたとはどうも考えにくいのです。むしろ、化学的な作用による遺伝毒
性によるものだと思います。(文献1−6の例を参照のこと。ニッケル
のような非放射性物質も、同様の作用を引き起こします。ニッケルは発
ガン性物質として認められているものです。)

2001年にこれらの知見を知り、私は、吸入によって肺の深部にまで入り
込むことができる酸化ウランの粒子(そこに長期間留まる)は、何週
間、何ヶ月間も、放射能毒性の危険だけでなく、化学毒性の危険、そし
ておそらくは両者の相乗作用をも、もたらすだろうと確信するようにな
りました。従って、ICRP勧告に基づくいかなるリスク評価も、おそらく
本当のリスクを過小評価しているだろうと思います。

さらには、劣化ウランはアルファー線を放出する軽度放射性の物質です
が、いわゆる「バイスタンダー効果」によって危険性がさらに高まる可
能性もあります(文献7、8の例を参照のこと)。アルファー粒子の
「攻撃を受けた」ひとつの細胞が、周囲の細胞にシグナルを送ると、そ
れらの細胞も被曝したかのようにふるまうようになるのです。周辺細胞
への影響が優位になれば(例えばアルファー粒子の低線量被曝)、バイ
スタンダー効果は「放射線影響」を増幅するように作用します。

このように、酸化ウランについて詳細に検討すると、従来から言われて
いた直接的な被曝による放射能毒性に加えて、さらに3つの危険を引き
起こす経路が明らかになってきました。つまり、化学毒性、放射能毒性
と化学毒性の相乗効果、そしてバイスタンダー効果による経路です。

2002年以降、これらの3つの経路についての証拠はなくなってしまうど
ころか、むしろその反対です。より多くの最近の研究がこれまでの研究
が正しかったことを確認するものになっており(文献9、10)、患者
の放射線治療におけるバイスタンダー効果への関心も高まっています。

さらに、誤爆によって劣化ウランの破片が体内に埋め込まれてしまい、
尿中劣化ウラン濃度も高くなっている米国退役軍人では、末梢の血球細
胞における劣化ウランの変異原性の可能性も示されています(文献11)。

このような証拠を無視し続けることは、非常に無責任なことだと私は思
います。予防原則の適用を求める圧倒的な証拠がありますし、それは少
なくとも戦場の酸化ウランの除染が必要であることを示しています。イ
ラクでは問題は特に深刻です。乾燥した気候の下では、長期にわたっ
て、酸化ウランの粒子が難容性の成分に留まり、再浮遊と吸入が最大限
行われるような状況が促進されます。

まず初めに危険にさらされる臓器は肺です。しかし、肺で溶解した劣化
ウランは、まず骨に溜まって、骨髄腔に入り、その化学的遺伝毒性の能
力により白血病を引き起こす可能性があります。全身の劣化ウランは腎
臓から排泄されますが、その腎臓がまた遺伝毒性によるもうひとつの標
的臓器ともなります。このように、酸化ウランの吸入による被曝によっ
て、多くの組織の悪性腫瘍が引き起こされる可能性があるのです。

WHO、国際原子力機関(IAEA)、英国王立協会(RS)、ICRP、欧州委員会31
条(「欧州原子力共同体」条約)グループは、2001年以降、劣化ウラン
への暴露による健康影響に関する勧告を発表してきました(文献12−
16)。このような権威ある独立の機関が、表向きは「独立の」状況評
価をし、科学的文献に現に報告されている証拠を全て無視するなどとい
うことを、いったいどうしてすることができたのか、私と同じく、皆さ
んも不思議に思われるでしょう。

これらの評価は、実は本当に独立したものとはいえないかもしれません。
例えば、英国国立放射線防護評議会(NRPB)のスタッフは、WHOやRSの報
告にも関与していることは周知の事実ですし、ICRPの議長は最近まで
NRPBの議長でした。NRPBのスタッフはIAEAと共同で仕事をしていますし、
31条グループのメンバーにもなっています。だから、ごく少数の個人
が、これらのいわゆる独立に行われた評価の結果に影響を与えたという
ことも十分ありうるのです。

科学者である私にとっては、この証拠が無視されたということは明らか
な事実です。その証拠に言及することを反対され、危険性を懸念する理
性的な科学論争の中で、信用されることがなかったのですから。科学
は、政治的ご都合主義には応じない真実を求めるものです。この証拠を
無視すれば、劣化ウランの暴露による健康影響を軽減することにはなり
ません。影響を調査しないことは、影響がないということとはわけが違
います。マーク・ダナーは(文献17)、最近のNew York Review of
Books の中で、「(政治的)権力は、真実を造り上げることができる。
権力が最終的には真実を、あるいは、少なくとも大多数の人々が受け入
れることのできる真実を、決定するのだ。」ということを最近改めて認
識したと書いています。彼はさらに、かなり率直に、「前世紀で最も革
新的だった権力の権威」として、ジョセフ・ゲッペルス(訳注:ヒット
ラー政権の宣伝相)に言及しています。

「民主主義が喉を潤すための井戸に政治が毒を投げ入れた。」という私
の発言が記録に残されています(文献18)。政治的ご都合主義は、真
に独立した研究を排除し、そのことによって大衆の信頼を得ようとする
ものに他ならないということを、この言葉でお伝えしたいのです。大衆
の信頼を得ることなしに、民主主義は成り立ちません。リスク評価にお
いては、科学は、覆い隠すことなく、誰の目にも明らかなように、証拠
を示すべきです。そして、結果が真実であるということだけに関心を持
つべきです。このような証拠に基づいて、その時代の社会的・法的状況
の中で受け入れられるリスクを政治が決めるべきなのです。


参考文献:

1. Miller, A.C., et al., Urinary and serum mutagenicity studies with
rats implanted with depleted uranium or tantalum pellets.
Mutagenesis, 1998. 13(6): p. 643-8.

2. Miller, A.C., et al., Transformation of human osteoblast cells to
the tumorigenic phenotype by depleted uranium-uranyl chloride.
Environ Health Perspect, 1998. 106(8): p. 465-71.

3. Miller, A.C., et al., Urinary and serum mutagenicity studies with
rats implanted with depleted uranium or tantalum pellets.
Mutagenesis, 1998. 13(6): p. 643-8.

4. Miller, A.C., et al., Observation of radiation-specific damage in
human cells exposed to depleted uranium: dicentric frequency and
neoplastic transformation as endpoints. Radiat Prot Dosimetry, 2002.
99(1-4): p. 275-8.

5. Miller, A.C., et al., Depleted uranium-catalyzed oxidative DNA
damage: absence of significant alpha particle decay. J Inorg Biochem,
2002. 91(1): p. 246-52.

6. Miller, A.C., et al., Potential late health effects of depleted
uranium and tungsten used in armor-piercing munitions: comparison of
neoplastic transformation and genotoxicity with the known carcinogen
nickel. Mil Med, 2002. 167(2 Suppl): p. 120-2.

7. Mothersill, C. and C. Seymour, Radiation-induced bystander
effects: past history and future directions. Radiat Res, 2001. 155
(6): p. 759-67.

8. Belyakov, O.V., et al., Direct evidence for a bystander effect of
ionizing radiation in primary human fibroblasts. Br J Cancer, 2001. 84
(5): p. 674-9.

9. Miller, A.C., et al., Effect of the militarily-relevant heavy
metals, depleted uranium and heavy metal tungsten-alloy on gene
expression in human liver carcinoma cells (HepG2). Mol Cell Biochem,
2004. 255(1-2): p. 247-56.

10. Miller, A.C., et al., Genomic instability in human osteoblast
cells after exposure to depleted uranium: delayed lethality and
micronuclei formation. J Environ Radioact, 2003. 64(2-3): p. 247-59.

11. McDiarmid, M.A., et al., Health effects of depleted uranium on
exposed Gulf War veterans: a 10-year follow-up. J Toxicol Environ
Health A, 2004. 67(4): p. 277-96.

12. WHO, Depleted Unanium: Sources, Exposure and Health Effects.
2001, World Health Organisation: Geneva.

13. Bleise, A., P.R. Danesi, and W. Burkart, Properties, use and
health effects of depleted uranium (DU): a general overview. J
Environ Radioact, 2003. 64(2-3): p. 93-112.

14. RS, The health hazards of depleted uranium munitions Part II, in
Policy Document. 2002, The Royal Society: London.

15. Valentin, J. and F.A. Fry, What ICRP advice applies to DU?
International Commission on Radiological Protection. J Environ
Radioact, 2003. 64(2-3): p. 89-92.

16. EC, Depleted Uranium, in Opinion of the Group of Experts
Established According to Article 31 of the Euratom Treaty. 2001,
European Commission: Luxembourg.

17. Danner, M., The secret way to war, in The New York Review of
Books. 2005. p. 70 - 74.

18. Baverstock, K., Science, politics and ethics in the low dose
debate. Medicine, Conflict and Survival, 2005. 21: p. 88 - 100.


訳注:ここで使われている「遺伝毒性」という言葉は、文脈からして、
「発がん性」という意味で、体細胞の遺伝子の損傷などを引き起こす毒
性のこと。「変異原性」も同様の意味で使われている。次世代への「遺
伝的影響」(継世代影響)について言及しているのではない。

(訳:振津かつみ)

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