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米英を内側から崩壊させたい人々 『田中宇』
http://www.asyura2.com/0505/war74/msg/666.html
投稿者 World Watcher 日時 2005 年 9 月 27 日 10:23:32: DdDUJ9jrxQIPs
 

イギリスのブレア首相は、イラク侵攻からしばらくの間は、アメリカの「単
独覇権主義」が、欧米中心の世界体制を維持するための新たな作戦であると思
っていたらしい。

 だが、イラクが泥沼化してもブッシュ大統領が単独覇権主義を貫き続けてい
るため、ブッシュ政権は欧米中心の世界体制を維持するふりをして、実は欧米
中心の体制を破壊して世界を多極化しようとしているのではないかとブレアは
気づいたようだ。そして今年に入って、アメリカをあてにせず、自分が主導し
て、揺らいでいる欧米中心の世界体制を復活させようと動き出した。
http://tanakanews.com/f0708London.htm

 ところが、ブレアが欧米中心体制の復活を本格的に目指し始めた今年7月の
スコットランドでのG8会議以降、急にイギリス当局は、次々とおかしな失態
を繰り返すようになっている。

 その皮切りはG8会議に合わせて発生した7月7日のロンドンのテロ事件で、
アルカイダのしわざだと説明したい英当局の裏をかくように、説明にそぐわな
い事件関係の事実が次々と出てきて、当局の説明は二転三転した。
http://tanakanews.com/f0719London.htm

▼ロンドンの人違い射殺事件

 次いで起きたのが、7月22日、ロンドンの地下鉄駅で、ブラジル人青年が
英当局の捜査部隊にテロリストと間違われて射殺された誤認事件だった。この
事件は非常に特異なので、長くなるが、以下に詳細な経緯を書く。

 射殺されたジェアン・シャルレス・デメネゼスという名前の27歳の青年は、
この日の朝、ロンドンで前日に起きた同時多発テロ未遂事件に関連していた容
疑で捜査部隊から尾行を受け、家を出て駅に着いて地下鉄に乗ったところで、
尾行してきた捜査隊によって、頭に7発の銃弾を撃ち込まれ、射殺された。

 ロンドン警視庁は当初、次のように説明した。「デメネゼスはテロ組織と関
係している疑いがあり、警察が彼の自宅のアパートを監視していた。この日の
朝、夏なのにコートを着て自宅を出たので、警察側は、彼が爆弾を身体に巻い
て自爆テロをしに行くのではないかという疑いを持ち、尾行した。彼が地下鉄
のストックウェル駅に入ったので、制止しようと声をかけたところ逃げ出した。
彼は、駅の改札口を飛び越えてホームに入り、やってきた電車に乗ろうとした
ため、警察官は車内で自爆テロを実行するつもりに違いないと判断し、追いか
けて車内に入り、彼を射殺した」

 捜査隊がデメネゼスを射殺したのは、取り押さえただけだと、その瞬間に体
に巻いた爆弾のスイッチを押し、捜査隊もろとも自爆する可能性があるためで
あり、射殺するのはテロ対策の一環として正当なものであると警察は主張した。

 ところが射殺事件の翌日、ロンドン警視庁は、デメネゼスは前々日のテロと
は関係なく、人違いで射殺してしまったと発表した。警視庁によると、デメネ
ゼスは違法にイギリスに入国してきた違法移民で、尾行していた捜査部隊から
呼び止められて走って逃げたため、テロリストと間違われて射殺されたのだと
説明された。しかしその後、デメネゼスは違法移民ではなく、合法に入国して
ロンドンで電気工として働いている人物と分かった。

 またデメネゼスはこの日、コートなど着ておらず、デニムのジャケットを着
て外出していた。夏なのにコートを着ていたので、その下に自爆用爆弾を巻き
つけているのではないかと警察が疑った、という話はウソだと分かった。
http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,3604,1537457,00.html

▼失態を繰り返した英当局

 アパートを監視していた捜査隊は、デメネゼスを「白人」として上部に報告
している。ロンドン警視庁が追っているテロリストは「非白人」だったので、
この時点でデメネゼスはテロ容疑者ではないことは明らかだった。
http://politics.guardian.co.uk/terrorism/story/0,15935,1551416,00.html

 しかも、デメネゼスは射殺される直前、捜査隊に追われて逃げてなどいなか
ったし、改札口を飛び越えることもしていなかった。ストックウェル駅の監視
カメラの映像では、彼は改札口に切符を通して普通の速さで歩いて入り、改札
口のわきに置いてあったフリーペーパーを1部とり、エスカレーターでゆっく
りホームに降り、ちょうど電車が着いたので小走りになって、電車に乗り込み、
着席したところで、尾行してきた捜査隊が車内に駆け込んできた。
http://www.antiwar.com/ips/suri.php?articleid=6991

 デメネゼスは、逃げたので射殺されたのではなかった。捜査隊の一人がデメ
ネゼスを座席に座った状態で取り押さえ、別のメンバーが30センチの至近距
離から銃弾を撃ち込んだ。
http://london.craigslist.org/pol/91649522.html

 明らかに当局の大失態であると分かった後、イギリス政府内では独立の調査
組織を作り、この失態について調査することになったが、ロンドン警視庁は
「テロ対策に悪影響が出る」という理由で、調査をしないよう、政府内に働き
かけていたことも暴露された。
http://politics.guardian.co.uk/terrorism/story/0,15935,1551416,00.html

 そもそも、テロ組織の実態を暴き、次のテロを防止するためには、テロ容疑
者は射殺せず拘束した方が良いというのが、あらゆる国の当局の基本方針であ
る。爆弾を隠せるコートなどを着ておらず、逃げもせず、すでに拘束されてい
るデメネゼスに対し、頭に7発も銃弾を撃ち込んで殺したのは、常軌を逸して
いた。

▼悪いのはロンドン警視庁ではなく英軍特殊部隊

 この事件は、単なる当局の過失ではない可能性がある。事件が発生したのは
7月22日の午前10時すぎで、その1時間後には、射殺がBBCテレビなど
で報道され始め、事件当時に現場の駅にいたマーク・ウィットビー(Mark Whitby)
という目撃者の話が放映された。

 目撃談は「射殺された男は、冬物のコートを着て、その下に何かを隠してい
る感じだった」「追われていた男は、駅の改札口を飛び越えてホームに駆け込
んできた」「男は(猟師に)追い詰められた兎か狐のように、仰天した表情を
していた」といったもので、その日の警察の説明は、ウィットビーの目撃談を
追認するものだった。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/4706913.stm

 ところがすでに書いたように、その後、これらの話はすべて間違いであるこ
とが確定している。事件発生直後、ウィットビーの証言が放映され、その内容
をイギリス当局が否定しなかったため、その後数日間、射殺された男が怪しい
身なりや行動をしていたという間違ったイメージが、英国内と世界に流れ続け
ることになった。ウイットビーは47歳の配管工で、たまたま事件現場に居合
わせたとされているが、実は一般市民のふりをした当局の関係者だったのでは
ないかと疑う指摘がある。
http://www.uruknet.info/?p=m14828&l=i&size=1&hd=0

 目撃証言が一人歩きする一方で、ロンドン警視庁の最高責任者であるイアン
・ブレア警視総監は、事件発生から丸一日の間、射殺されたのが無実の青年で
あることを知らされていなかったと証言している。警視庁のトップが事態を把
握していなかったのは、この射殺には、警視庁とは別に、イギリス陸軍の特殊
部隊が関与していたからだった。
http://www.sundayherald.com/51380

 射殺されたデメネゼスの自宅を監視していたのは陸軍特殊部隊だったが、監
視の担当者は事件当日の朝、デメネゼスが自宅から出てくる瞬間を見逃してし
まった。にもかかわらず特殊部隊は、自宅から出てきたデメネゼスを、ロンド
ンテロの黒幕と目されるフセイン・オスマン(その後イタリアで逮捕された)
であると誤認し、警視庁も巻き込んで追跡、射殺する事態となった。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,22989-1748176,00.html

 誤認射殺は、ロンドン警視庁ではなく軍の特殊部隊の失敗によって起きたと
考えられるが、実際の責任追及は警視庁に対して行われ、軍の特殊部隊につい
ては活動実態も不明なままの状態だ。

▼英与党議員「諜報機関は信用できない」

 特殊部隊は、軍の一般の部隊のように戦場で正面切って敵と戦うのではなく、
テロ組織を見つけ出して潰したり、敵の内情をスパイしたり、敵を不利にする
プロパガンダを世界のマスコミに流したりする不正規戦や諜報戦が任務であり、
諜報機関と重なっている。

「アルカイダ」に対する国際的なテロ対策は、アメリカでもイギリスでも、警
察ではなく軍の特殊部隊と諜報機関が中心である。アメリカでは従来、軍(国
防総省)と諜報機関(CIA)とは分離されていたが、911後は、軍の仕事
の中心がテロ退治という諜報機関的なものに変質し、CIAから権限を奪って
いる。イギリスでは、もともと諜報機関が軍の一部であり、国際部門は軍事情
報部第6課(MI6)、英国内部門は軍事情報部第5課(MI5)となってい
る。

 問題は、諜報機関や特殊部隊がテロ撲滅に励むふりをして、実はテロを利用
して政治力を増大させようとする政治家のために、テロ組織を裏の裏から操っ
てテロを誘発しているのではないか、といった疑惑があちこちから出ているこ
とである。

 この疑惑は以前の記事「アルカイダは諜報機関の作りもの」
http://tanakanews.com/f0818terror.htm )にも書いたが、最近ではイギ
リスの与党国会議員が「イギリスの諜報機関は以前からアルカイダとつながっ
ているため、彼らによるロンドンのテロに対する捜査は信頼できない」と指摘
する論文をイギリスの新聞に掲載している。
http://www.wsws.org/articles/2005/sep2005/brit-s14.shtml

▼ネオコンと英諜報機関はぐるだった

 さらに問題を複雑にするのは、諜報機関を使って謀略をやろうとする勢力が、
国家の上層部に複数いて、それぞれが諜報機関の一部と結託しつつ相互に対立
する、というような事態が、アメリカやイギリスで起きているのではないかと
感じられることである。このことは以前の記事「政治の道具としてのテロ戦争」
http://tanakanews.com/f0823terror.htm )でも触れた。

 ブッシュ政権は、イラク戦争に突入する過程で、イラクのフセイン政権が大
量破壊兵器を開発していると主張する根拠として「イラクは核兵器を作るため、
アフリカのニジェールからウランを購入した」と指摘し、その根拠としてニジ
ェールからイラクへのウラン販売の契約書の存在がマスコミに流れた。この契
約書は、イギリスの諜報機関が入手したものとされたが、ニジェール側の署名
者がすでに退任していた大臣名であるなど、少し詳しい人が見たらニセモノと
分かるようなものだった。
http://tanakanews.com/d0408mi6.htm

 ブッシュ政権はこの契約書を本物であると主張してイラク侵攻を挙行し、後
になって実はイラクは大量破壊兵器の開発などしていなかったとバレたとき、
この契約書もニセモノであることが確定した。アメリカの威信は失墜し、その
後イラクが泥沼状態に陥るにつれ、世界的に反米意識が強まり、アメリカは外
交力を低下させた。

 ブッシュ政権は、ニジェールの契約書のほか、イラクが購入した大量のアル
ミニウムパイプについて「核兵器を作る遠心分離器の材料である」と間違った
主張をするなど、イラクが大量破壊兵器を開発しているという主張の根拠はす
べて間違いだったが、間違いの情報の多くは、もともとイギリスの諜報機関が
ねつ造し、それをブッシュ政権中枢のネオコンの人々が、ブッシュの御前会議
で「確固たる証拠」として上程して政権の方針に組み込んだ。その結果、アメ
リカは自滅的な覇権の喪失を引き起こした。

 こうした経緯からは、アメリカの中枢だけでなく、イギリスの諜報機関の中
にも、アメリカを自滅させようとする勢力が存在すると考えられる。彼らの米
英共同作戦によって、アメリカはウソを基盤に戦争を開始し、戦況が泥沼する
とともにウソがバレてアメリカは覇権を自滅的に失い、世界は多極化しつつある。

▼ブレアの英米中心主義を破壊する諜報機関

 イギリスは伝統的に、アメリカとヨーロッパの架け橋として存在することが、
世界の中で有利な地位を維持するための戦略である。イギリスにとっては、欧
米が協調して世界の中心であることが最善であり、アメリカが自滅してロシア
や中国が強まり、世界が多極化するのは困る。

 そこでブレア首相は、自らが臨時的に欧米協調体制の中心になり、アメリカ
と独仏やオーストラリアなどの間を改めて取り持つ動きをしようとした。だが、
そのとたんに7月7日のテロ後の混乱や、その後の誤認殺害事件が起こり、ブ
レアは世界を主導する前に、国内から湧き起こる非難に対処せねばならなくな
った。

 すでに書いた誤認殺害事件の分析から分かるように、ブレアが窮地に陥る原
因を作ったのは、イギリス軍の諜報機関の中に、過失にしてはひどすぎる失態
を行う勢力がいたからである。

 アメリカでは、イラク侵攻はネオコンなど高官たちが間違った情報を信じる
過失を犯した結果だという「過失論」が強いが、イギリスでも同様に、誤認殺
害事件などの不祥事は、当局者の過失の結果であるというのがマスコミの分析
の主流である。しかし私は、過失に見せかけた内部からの破壊行為であり、そ
の目的は英米の大資本家が求める世界多極化なのではないかと疑っている。

(世界多極化と資本家の関係については http://tanakanews.com/f0906multipolar.htm
を参照)

▼イラクでの英軍の評判を故意に下げた襲撃事件

 誤認殺害事件と同じ構図と思われる事件は、最近イラクでも起きている。

 9月19日、イギリス軍が展開しているイラク南部の都市バスラで、イギリ
ス陸軍の特殊空挺部隊(SAS)の兵士2人が、イラク警察に逮捕された。2
人は、アラブ人の服装を着て、自家用車に乗ってイラク警察の警察署の近くで
停車していた。偽装した英軍兵士とは知らず、イラク人警察官が不審に思って
2人を尋問しようとしたところ、2人が発砲したため銃撃戦となり、結局2人
はイラク警察に逮捕され、勾留された。2人が乗っていた自動車からは、爆発
物や対戦車砲、探知機類などが見つかった。
http://www.antiwar.com/justin/?articleid=7366

 同僚2人が逮捕されたと知ったイギリス軍の特殊部隊は、2人が勾留されて
いると考えられた警察の拘置所と近くの民兵拠点に装甲車を突っ込ませて壁を
破壊するなどして襲撃し、2人を救い出した。バスラのイラク当局者は激怒し
「今後はイギリス軍に協力しない」と宣言し、裁判所は2人に対する正式な逮
捕状をイラク警察に対して発行し、市内では市民の反英デモが繰り返された。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,7374-1790292,00.html

 イラク南部では、イラク警察組織の中にシーア派のゲリラが紛れ込み、警察
がゲリラを取り締まろうとすると先手を打って脅し、警察をゲリラより弱い状
態にしておこうとする動きがあるとされる。イラク警察を強化して自国軍の負
担を軽減したいイギリスは、イラク警察とゲリラとの関係を特殊部隊に偵察さ
せているうちに、イラク側に見つかってしまったのが今回の事件ではないかと
する分析がある。
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article314977.ece

 しかし理由はどうあれ、これまで米軍に比べて地元民との関係が良かったイ
ギリス軍は、この事件によってイラク側の信頼を一気に失い。イラク側に治安
維持を任せてイラクから撤退していこうとするブレア政権の戦略は破綻した。
こうした対価を払う行為としては、留置場に対する英軍の襲撃はあまりに稚拙
だった。
http://politics.guardian.co.uk/iraq/story/0,12956,1574864,00.html

 英政府は、イラク側に拘束された2人の特殊部隊要員は、イランからイラク
のゲリラへの武器密輸を監視していたのであり、怪しいことはしていないと発
表したが、これはイギリスが今ちょうど核兵器開発疑惑を使ってイランを敵視
する戦略をとっているため、それに合致するように話を作った可能性があり、
にわかには信用しがたい。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2087-1796566,00.html

 イラク側との信頼関係の維持を重視するなら、英側は政治的な交渉によって
2人の引き渡しを実現するべきだった。これもまた、特殊部隊による故意の失
敗の結果、イギリスの国益が無駄に損なわれた事件である可能性がある。

 これらの損害を受けた後、ブレア首相は、アメリカの自滅的な単独覇権主義
(隠れ多極主義)に逆らわない方が得策だと思い知った可能性がある。ブレア
は9月26日、ニューヨークで行われた会議で、地球温暖化を防ぐための京都
議定書に対するこれまでの賛成をひるがえし、京都議定書は世界的な合意に達
することができないのでやめた方がいいと表明した。
http://news.independent.co.uk/world/environment/article314991.ece
http://washingtontimes.com/world/20050925-104442-5231r.htm

 地球温暖化問題は、ブレアが欧米中心の国際秩序を復活するために推進する
対象として選んだ国際的なテーマだったが、京都議定書に反対してきたブッシ
ュが全く態度を変えないため、このテーマで攻めることをやめ、ブッシュにす
り寄ることにしたようだ。ブレアにとって地球温暖化は、アメリカとの政治的
な駆け引きの材料にすぎなかったのである。

▼国家の理論と資本の理論

 以前の記事( http://tanakanews.com/f0906multipolar.htm )にも書いた
が、欧米中心主義(国際協調主義)は、アングロサクソン人を中心とする欧米
人による「人種の理論」、もしくはイギリスやアメリカが世界の中心であり続
けることを目指した「国家の理論」である。

これに対し、英米の上層部に存在するもう一つの方針である多極主義(中国や
ロシア、ブラジルなどを大国にする戦略)は、まだ経済発展していないところ
に発展をもたらすことによって投資家が儲けるという「資本の理論」である。

 世界の運営方法に関するこの2つの方針の対立は、産業革命によってイギリ
スが世界の中心になって以来、200年以上にわたり、ずっとイギリス(と、
その後世界の中心の座を引き継いだアメリカ)の上層部に存在してきた観があ
る。

 古くは第一次大戦の前後、世界の植民地に広がった「民族主義」をめぐる問
題が、それに関係している。イギリスなど欧州の宗主国の支配から離れて独立
したい、と望む民族主義は、自由を重視する欧州の思想を植民地の人々が吸収
した結果、自然に強まったものとされている。

 しかし、たとえばイラクでは、1920年に最初にイギリス軍がオスマント
ルコ帝国から領土を奪ってイラクを建国した後、地元の諸勢力をあまりに弾圧
した挙げ句、宗教心が強い地域であるファルージャやナジャフで暴動が起き、
イラク民族主義を逆に煽ってしまったという歴史がある。
http://tanakanews.com/e0420iraq.htm

 これはイギリスの「失策」と考えられているが、2003年のイラク占領後、
アメリカはファルージャとナジャフで、住民の怒りを扇動するような政策を展
開し、80年前のイギリスと同じように、イラク人の反米民族意識を煽る結果
になっている。どうも私には、約80年の間をおいて行われた英米の2つの
「失策」の繰り返しは、失策ではなく故意にイラク人の民族主義を煽るという、
隠れ多極主義者の戦略ではないかと思われる。
http://tanakanews.com/f0105iraq.htm

▼中国を応援する米の多極主義者

 第一次大戦で欧州が自滅的な相互破壊行為を行ったのも、隠れ多極主義者が
動いた可能性がある。この戦争について歴史家は、いろいろと曖昧な説明をし
ているが、長期化した原因がよく分かっていない。大戦後、世界の中心は、疲
弊したイギリスから新天地アメリカに移ったが、これは欧米中心主義者による
次善の対抗策だったのかもしれない。

 第二次大戦後も、国連安保理の常任理事国の五大国制度は、多極主義のにお
いがする半面、その後の冷戦の勃発と持続は国連の力を弱め、代わりに西欧諸
国がソ連の脅威に対抗してアメリカの傘下に入らざるを得ないという、アメリ
カ中心の欧米協調体制を作り出した。

 そして、この冷戦体制に風穴を一つ開けたのが1972年のニクソン大統領
の中国訪問だった。その後いったんアメリカの対中政策は冷戦派が奪回したも
ののの、結局7年後にアメリカと中国は正式に国交を正常化し、それと同時に
トウ小平の改革開放政策が始まり、中国が今のように強くなっていく路線が敷
かれた。世界多極化の一環である中国の大国化は、アメリカがトウ小平に持ち
掛けて実現したもので、その先鞭をつけたのがニクソン訪中だったのではない
か、というのが私の読みである。
http://tanakanews.com/f0129china.htm

 ニクソンの外交政策を立案したキッシンジャー元補佐官は、今では毎年中国
を訪れ、北京の指導者たちにいろいろとアドバイスしている。キッシンジャー
はアメリカの大資本家ロックフェラー家の政策大番頭であり、多極主義派の代
理人であると考えられる。
http://tanakanews.com/c1202US.htm

▼何も知らない日本人

 このように、どうやら世界は英米の中枢における欧米中心主義者と多極主義
者のせめぎ合いや化かし合いによって動いている部分が意外と大きいようなの
だが、戦後の日本では、こうした世界の仕掛けが全く読み取られておらず、日
本人の多くは、欧米中心主義だけが世界を動かす戦略であると今でも勘違いし
ている。

 米中国交正常化と改革開放が連携して行われていることなどから、中国では
トウ小平ら共産党首脳が世界の仕掛けをある程度把握していると思われる。そ
れに比べ、日本は世界理解のレベルが低い。

(日本が無謀な第二次大戦に突っ込んだのは、世界の中心がイギリスからアメ
リカに移転したことを、当時の日本の上層部がほとんど気づいていなかったか
らで、そう考えると、日本人は戦前から世界の仕掛けを知らなかったことにな
る)

 私自身、アメリカの中枢で多極主義者が動いていると感じ始めたのは、イラ
クが泥沼化したころからのことでしかないが、今年に入って世界の多極化傾向
は、ますます拍車がかかっている。日本にも、この傾向を研究する人が政府や
学界の中に増えていかないと、日本人は戦後営々と蓄積した富を、今後短期間
のうちに失う結果になりかねない。


この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/f0927ukus.htm

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